〉AC6はよ〈
これから毎日アリシアの整備をしようぜ?なんて言ったものの。
「……なぁにこれぇ?」
「……あんた、まさか設計やっておきながら幻晶騎士構造基礎受けてないとか言わないわよね…?」
「え?そんなんあるの?」
「道理でなんか構造の欠陥があると思った!あんなん動かないから!どれだけ私が修正したと思ってんの!?」
ふぁっ!?怒らないで、焦らない焦らない…(松岡修造)
「後でご飯おごって!拒否権無し!」
「止めてくれよ…」(絶望)
説明しよう!このカティちゃんはとっても大飯ぐらいなのだ!下手に誘わないようにしよう!身体目的なんてもってのほか!その前に帰りたくなるゾ!いやマジで。あんなに食うのに胸は…ナオキです…。何処にいってるんでしょうかね?
「なんか失礼なこと考えなかった?」
「何でもないっすよー」
「…そう、なら良いのだけれど」
目ぇ怖っ。なんで?なんで女子って皆読心術会得してるん?強くない?
「まぁえぇわ、もうすぐお昼やで。」
「あら、そんな時間?じゃぁ、行こうか。」
顔は凄く可愛く笑ってるのに目だけ笑ってない。養豚場の豚を見る目だ…ッ!!
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「ふー」
「やられた…これはマズいですよ!先輩!」
カティちゃんは先輩ではない。勿論同期だ。高等部1年の。
「約束通りよ。またお願いするわ。」
「あぁぁぁもうこの人やだぁぁ!」(ひで)
ほんとこの子人の財布に容赦なくてひで。てかなんであんな量食えるの?あなたは野菜人か何か?
「もう日も暮れてきたわね…どうする?」
「どうするって?」
「アリシアの所残っていた方が良い?」
「俺はどっちでも構わん。」
「じゃぁ残ってようかな。」
というわけで格納庫内に机と椅子を持ってきて、お茶を飲みながら少し雑談した。どうでも良いことだが気の許せる友人と話すのは楽しい。…いや前世でも居たけどあいつは先に逝ったからな。…この世界に来たらあいつ喜ぶだろうなぁ…
「…どうしたの?」
「いや、シルエットナイトが好きそうな友人を思い出してな。」
「へぇ、その友人は学園に来なかったの?」
「…逝ったからな、多分あっちで好きなだけ作ってると思うぜ。」
「…あっ…、ごめん。」
「別に」
あれは仕方ないことだったんや。その後追いをした俺も、な。
「……ねぇ、一つ聞いても良い?」
「あ?どうした?」
「デオンの中で、私って…何?」
「……は?」
「だから、デオンの中での私ってどんな存在?」
なんか難しいことを…俺の中でのカティか…ん?こういう質問してくるって…
「…そうだな、俺の中で…」
いやいやいや、考えすぎか。…しかし、もしこれが“当たり”だったら、はぐらかすのはカティに失礼じゃないか?…試してみるか。
「俺と同じシルエットナイトバカで、お前が居ないとアリシアは動かせなくて……」
「…それで?」
「…ぶっちゃけお前が居ないと楽しくない。まわりが騒がしくないからな、大声で騒げるのはお前だけだ。」
…さてと、どうだ?
「…う、あぁぁぁぁあ…」
あ、アカン。当たってしもうたかもしれない。顔真っ赤っか+言葉に詰まっている+目の焦点が合っていない。…うん、アカン。
「大丈夫か?カティ?」
「あ、あ、えーっとね…デオン、私、貴方のことが───」「だれか!ここにシルエットナイトを動かせる者は居ないか!?」
ん?なんか切羽詰まった先生の声…
「あ、はい。居ますけど……」
「デオン君か、なら安心だな。実は、ここに───」
「……は!?」
師団級魔獣、ベヘモスがこの王国に接近中?エドガー達が応戦している?…師団級が学生で相手できるとは到底…
「分かりました、出ます。」
「頼んだ、…死ぬなよ。」
「分かってますよ。」
アリシアのコックピットに走り、乗り込む。ハッチを閉めようとしたとき、カティが顔を出してきた。
「…駄目だよ、死んじゃ」
「…そんなしおらしい顔すんなって、大丈夫、お前と俺で作ったアリシアがベヘモス程度に後れを取るわけないだろ?」
「…うん。」
「それと、さっきの続き、ちょっと考えたんだが…」
さっきの続き、先生に遮られたカティのセリフ。
「アリシアってさ、“高貴なる姿”って単語から派生した名前から取ってるんだ。だから…」
「もし、そのセリフが俺の思っているとおりだったら、必ず帰ってきて、その“高貴なる姿”にしてやる。約束しよう。」
「…うん、約束。」
「じゃあ行ってくるな、式に出る人間は多い方がいい。逆に式をされる人間は居ない方が良い。」
「そうだね、いってらっしゃい。」
「ん、行って来る。」
コックピットのハッチを閉じ、目を閉じる。周りには言っていなかったがこれの新機能はまだある。その一つが…
“AMS”、アレゴリー・マニピュレイト・システムだ。これは脳波で機体をコントロールする機能だ。目を開けると、そこは真っ暗なコックピット内では無く、アリシアの目線から見た、格納庫内だった。
視界の端に、胸の前で手を組み、泣きそうな目でこちらを見上げるカティが居た。…俺、これ死んだらなにされるかわかんねぇな。財布どころか銀行の金まで使われそう。
それを視界の片隅に入れながら、近くにある高出力レーザーライフル、カノープスを手に持つ。レーザーブレードをかねた盾はもともと装着済みだ。
カティのひどい顔にははっ、とすこし一人で笑うと、足を動かす要領で、アリシアを歩かせる。そして、格納庫のドアまで着くと、背中に魔力を送る。その魔力は爆発と風になり、凄まじい推進力を生んだ。やがて機体が持ち上がり、ブースターを横に向けた瞬間、学園から空へ、流れ星が飛んでいった。
「っ、はぁ…駄目だな、私。」
頑張って溜めていた涙が、頬を伝う。
「しんじゃ、やだよ……デオン……」
そのまま座り込み、誰も居なくなった格納庫内に思い人を心配する、少女の嗚咽が響いた。
カティちゃん好感度最初からマックス。
評価感想誤字報告、お待ちしてます!
逆関節を逆間接って打っちゃうのなんでだろ。
それではまた。