それではどうぞ。
─────かつて、戦争があった。
─────大地は汚染されつくされ、残された大地に僅かな人々がしがみつくように生きていた。
─────我々は、生き延びなければならない。
─────世界はまだ、死んでいないからだ。
─────世界は、生き長らえなければならない。
─────我々には、意志がある。目的がある。
─────それは我々がまだ生きている証だ。
─────人々よ、我々は戦うべきだ。
─────それこそが、我々が生き残る、最後の縁なのだから。
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彼は、力そのものであった。
何ものも寄せ付けぬ力、誰もが到達できない地点にある力。
彼はそれが嫌いだった。
なぜなら彼が求めていたのは他人の温かさだったから。
この力に寄ってくるの者はいても、そこにあるのは鉄の冷たさだけだった。
あのときもそうだった。シティで起こったレジスタンスの暴動の鎮圧。その時の依頼だ。
あの時のオペレーターもそうだった。
しかし、それにも変化が訪れる。レジスタンスからの雇用だ。
本来、ただの依頼人のレジスタンスのリーダー。フランシス・バッティ・カーチスと言う名の少女。
齢15で初めて出会ったその少女は、汚染により髪の毛の色が抜け落ちていた。はじめは綺麗な金髪だったらしい。
ここで初めて、彼は他人の温かさにふれた。
彼は決めたのだ。彼女の盾となると。
依頼人のと傭兵の立場でありながら、彼女と彼の距離は異質だった。
彼女の為なら、文字通り世界を敵に回そうと勝利する。そう決め、彼女に宣言した。最初は唖然としていたが、やがてその意味を理解し、彼女も力強く頷いた。
そして実際にやり遂げた。シティと実質的にそのシティの支配権をにぎる企業。以前と変わらないあのオペレーターと主任と呼ばれる飄々とした男。
「人間の中の可能性」と銘打った彼らの試練を、尽く打ち破り、そして主任を、あの能天使を破壊した。
実質的なレジスタンスの勝利で終わった戦いの果て、彼の身体はボロボロだった。
先はもう長くない、そう感じるのに考えることすらいらなかった。もう、終わりなのだと。
自らの愛機を湖に沈め、そのエンブレムは“彼”に引き継がれた。
砂浜に座り込み、星空を見上げていると。隣にいつの間にか彼女がいた。彼女は何も言わずただ隣で微笑んでいた。
朝日が昇る。黒く硝煙と血に汚れた翼にはひどく眩しく感じた。瞼が落ちる。続けて意識も落ちる。しかし、それでも感覚が消えるまで、隣にあった“温かさ”はずっと感じていた。
そして、一番最初の“黒い鳥”の伝説は幕を下ろした。
…筈だったのだが
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「…前もこんなのやってたな。」
「…あなたが逝った時の?」
「…覚えてないんだ。前の記憶がなんとなく消えかかってるからな。」
「…そう。でも」
「…あぁ、綺麗だな。」
「…汚染の無い大地、綺麗な水、どこまでも広がる緑…まったく、嘘みたいだな。」
「えぇ、でも私は幸せよ。あなたとまた…」
「……。そう、だな。」
「キャーロりーん。なんかあいつらいちゃつき出したんだけどどうすればいーのー?」
『主任…とりあえずそこから離れましょう。』
「あ、あいつ押し倒したよ?ギャハハハ!いーじゃん、面白くなってきたねぇ!!」
『うるさいです。死にたいんですか?』
「キャロりんもするー?あ、もちろん俺とだけど。ギャハハハ!」
『…っ!うるさいです。死んで下さい。』
「ギャハハハ!クールだよねぇ…いつも。」
なんかこいつら出したら終わりなきがするけど気にしなーい。メアリー・スー的だけどね。こいつら。
あ、それとカップリングは大体分かりました…よね?
まぁいいや、つぎは数世紀後だ。
それではまた。