FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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追記です!

明日は更新無理そうなので、最終日の6日に二話連続公開します!


第88話  伏魔殿

 昨日の夜、マスターは見事に酔い潰れていたので朝一番に起きて貰って昨晩のことを話した。

 

「エクリプス…その計画にルーシィ、星霊魔導士が必要ということ、か…」

 

「どうしますか?このまま大魔闘演武に参加し続けるか、それとも…」

 

 このまま参加し続けるのは危険だ。仲間を守る為であれば、今すぐにでも辞退すべきだと思う。今回の誘拐のような手段に出るというのであれば、こちらも形振り構っていられなくなる。

 

「そうじゃのぅ…」

 

 マスターとしては、七年間耐え続けてくれていた皆の為でもあるし、優勝の三千万Jも欲しいだろうし…早くギルドも元の場所に戻りたいだろうから。体裁とかは気にしないけど、ようやく良い流れになってきた所なのだ。このまま辞退するのは出来れば避けたいはずだ。

 

「その必要は無いと思われます」

 

「初代…」

 

 悩むマスターに、初代が話しかけてきた。昨日は子供っぽい所があって本当にマスターだったのかなって疑問も持ったりしたけれど、今の凜とした姿を見ると只者では無いと納得出来る。

 

「どういうことですか?」

 

「相手が王国軍であるなら、これ以上強硬手段に出ることは無いでしょう。この大魔闘演武という大会はこの国の国王も楽しみにされています。言い換えれば、この大会に参加していれば王国軍は動く必要がなくなります。反対にここで辞退しようとすれば…」

 

「捕らえられるのもあり得るってことですか…」

 

「成る程…」

 

「それに、優勝すればそのエクリプス計画とやらについて向こうから話を持ちかけてくることも十分にあり得ますね。もしも強硬手段に出たとしても、今の妖精の尻尾(フェアリーテイル)なら勝率は十分です!」

 

 さらっと恐ろしいことを言うなぁ…それ、下手したら闇ギルド認定されてしまうのでは?まあ、確かにその通りだと思うけど。

 

「な、何と…」

 

「分かりました…マスター、僕はこのままカナさんと交代ということで良いんですよね?だったら選手以外で出来る限り警戒していきます」

 

「うむ。それと別件じゃが、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)にも警戒は怠るな。奴らはあからさまに妨害してくるじゃろう」

 

「勿論です。一日目のこと、忘れてませんよ」

 

 とにかく、医務室にはフリードさんが妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバー以外入れないよう術式を張ってくれているから、試合中の警戒を怠らないようにしないと。

 

 

 

 というわけで、僕らは警戒の為に各々出来ることをやってみることにした。観客席の皆とデジモン達で手分けして一般人用の観客席にばらけてもらったり、ミッシェルさんには一時的に人形化してもらってルーシィさんの傍にいる。因みに人形化してても動く事は出来るようになったらしく、ルーシィさんの腕の中で楽しそうに観戦している。そして僕は隠匿魔法(ヒドゥン)でこっそり試合会場内にいた。選手達に怪しい動きが無いかは、会場内にいた方が良いからね。

 

 さっきハッピーとシャルルから聞いたけど、ナツさんが昨晩剣咬の虎(セイバートゥース)の宿に乗り込んだらしいし…ユキノさんが剣咬の虎(セイバートゥース)を追い出されたことが原因らしいんだけど、流石に問題だよね…よく普通に返してくれたな。夜はAチームの宿の見張りに行った方が良いのかな。

 

 

 

 っと、そろそろ三日目の競技パートが始まるらしい。

 

『本日、三日目の競技を発表します!競技の名前は、伏魔殿(パンデモニウム)!参加人数は、各ギルド一名です!選手を選んで下さい!』

 

 Aチームからはエルザさん、Bチームからはカナさんが出るようだ。

 

「負っけないよー、エルちゃん!」

 

「ああ」

 

 あれ…確か、あの人はミリアーナさん…確か、楽園の塔でナツさん達と戦ったっていう…あまりそこら辺のことは聞いたこと無いな。あ、青い天馬(ブルーペガサス)からはヒビキさん、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)からはジュラさんが出るようだ。今回は知っている人多いな。

 

 僕も選手が集まる場所に混じって、ルールを聞かせて貰う。どうやら今目の前に出現した巨大な空中要塞のような建造物には、全部で100体のモンスターがいるらしい。そのモンスターというのは主催者側で造り出した魔法具現体で、本物のモンスターというわけではない。そのモンスター達にはランクが設定されており、強さが変わる。S、A、B、C、Dの五段階で、討伐した数が多い順に順位が決まる、と…

 

 問題は挑戦権のシステムか。一人ずつ中に入り、戦う相手の数も決めなくてはいけない。数取りゲームの要領で、順番もかなり重要だ。魔力の回復の計算とかもしなくてはいけないし、今見せて貰ったDランクの強さが大体以前戦ったワイバーンくらいな気がする…意外と長期戦が予想されるな。因みにエルザさんは一番、カナさんはラストの八番だ。これは、エルザさんが一番有利だろう。一番多く回数が回ってくるのだから。

 

「この競技、クジ運で全ての勝敗がつくと思っていたが…」

 

「クジ運で?いや、どうでしょう~…戦う順番よりペース配分と状況判断の方が重要なゲームですよ?」

 

「いや…これは最早ゲームにならんな」

 

 

 

 エルザさんは伏魔殿(パンデモニウム)の入り口の前に立つ。そして、彼女は宣言した。

 

 

 

「100体全て、私が相手する。挑戦権は、100だ!!」

 

 

 

 きっと、殆どの人はエルザさんを無謀だと言うだろう。しかし、間違いなく出来ると思わせる心の強さをエルザさんは持っているのだ。

 

「あの~…挑戦権100って、そんなの無理ですよ?一人で全滅出来るように設定されていません!」

 

「構わん」

 

 まあ、彼女を知らない人からすれば止めたくなるのは当然だろう。審判であるマトー君も困惑しているし、他の選手達もそうだろう。

 

 入り口からワープし、建物内に出現したエルザさん。この競技に関しては妨害を心配する必要は無いだろう。モンスターの設定を弄っているなら分からないが…それでも、エルザさんならきっと勝てる。

 

 エルザさんの周りに次々とモンスター達が溢れ出す。見た感じだと、固そうな敵が多い印象を受けるけど…

 

 

 

「換装!天輪、繚乱の剣(ブルーメンブラット)!」

 

 恐らく、まずは小手調べの一撃だろう。全方向に放たれた剣がモンスター達に襲いかかり、Dランクはかなりの数を倒したようだ。

 

 続いては黒羽の鎧に換装し、殲滅していく。一撃の威力が上がる黒羽の鎧で、防御力が低いモンスターから倒していくようだ。

 

 

 

 背後から炎を吐いてきた赤いモンスター。しかし炎帝の鎧に海王の鎧とセットの水属性の武器を装備したエルザさんには効果が無い。そのまま炎帝の鎧とセットの剣も装備し二刀流で、水の攻撃をしてきたら海王の鎧と雷帝の鎧の槍で応戦。飛翔の鎧と煉獄の鎧の武器を装備して一掃…次々と鎧と武器を入れ替えながら撃破していく。

 

 

 

『お、恐るべし妖精女王(ティターニア)!次々と換装を繰り返し、着実にモンスターを撃破!!ダメージ、魔力の消耗共に大きいものの、残すは何と、あと四体!!』

 

 

 

 Sランクが一体、Aランクが一体、Bランクが二体。映像を見ていると、何回か黒い小さなモンスターがエルザさんの攻撃を紙一重で回避しているが…まさか?

 

 紅桜でSランク以外のモンスターが撃破され、やはり残り一体は黒い小さなモンスター。エルザさんが紅桜から二刀流に切り替え、モンスターの一つ目が光った次の瞬間、場所が切り替わっていた。

 

 

 

『さあ、伏魔殿(パンデモニウム)ラストの一体!しかし気づけば、バトルは決戦場へと移動しており、巨大化したSクラスのモンスターが襲いかかる!!』

 

今までのどのモンスターよりも屈強で、強固。消耗したエルザさんでは少し厳しそうだ。

 

 

 

 しかし、それでもエルザさんは最後の力を振り絞って戦い続ける。その舞うような美しさを想わせる戦いはまるで、凜と咲き誇る…緋色の花。

 

 

 

 

 

 

 そして、遂に。

 

『信じられません!!何とたった一人で、100体のモンスターを全滅させてしまったーっ!!!妖精の尻尾(フェアリーテイル)A、エルザ=スカーレット、圧勝!!文句なしの大勝利ーっ!!これが七年前、最強のギルドと言われていた真の力なのかーっ!!』

 

 

 

 観客達は大興奮、七年前を知っている人からすれば、ようやくあの妖精の尻尾(フェアリーテイル)が帰ってきたと実感していることだろう。無茶苦茶だけど自由で、問題扱いされていたけど実績もあるギルド、それが妖精の尻尾(フェアリーテイル)なのだと。

 

 

 

 そしてエルザさんに駆け寄って来たAチームの皆。早く治療してあげて下さい。エルフマンさん程ではないとは言えボロボロだから。まだ戦えそうな気もするけど、後に響かないようにしなければ。

 

伏魔殿(パンデモニウム)完全制圧!!妖精の尻尾(フェアリーテイル)A、10P獲得―っ!!!』

 

 




改めて追記です!

明日は更新無理そうなので、最終日の6日に二話連続公開します!

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