FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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思ったよりも遅れてしまいました。これも寒すぎるせいってことにさせて下さい。…部屋の中なのに、手袋しないとやってられない……ただ冷え性なだけなのか、これは?いや、違うと思いたい。



あと、天狼島編のオープニングと同じサブタイつけられて、ちょっと満足。






第34話  永久のキズナ

「……………ごほっ、ごほっ!」

 

「ウェンディ!」

 

 ウェンディがむせ込み、少しずつ体を起こしていく。……良かった、本当に。

 

「ゴ……ゴーシュ……?」

 

「大丈夫?気分は?」

 

「……うん、大丈夫。ちょっとフラフラするけど…。そうだ、試験は!?」

 

「まだ続いてるよ。あれの向こうにエルザさんがいるんだ。……多分、待ってくれてる」

 

 あれから数分は経っている。それでも何もしてこないってことは、待ってくれているに違いない。結界があるってことが、僕がまだ諦めていないって意思表示だと思ってくれているのかもしれない。

 

「よ、良かった…。ごめんね、ゴーシュ。途中で気絶しちゃって…」

 

「……」

 

「……?ゴーシュ?」

 

「えっと、ウェンディ」

 

「どうしたの?」

 

 ……言わないといけないことがある。目の前の女の子に。

 

「…………聞いてほしいことがあるんだ」

 

「………いいよ」

 

「え…?」

 

「無理に言わなくて、いいんだよ。言いたくないんだったら、辛くなっちゃうんだったら、無理しないで「違うんだ…」……ゴーシュ…?」

 

 ウェンディが気を遣ってくれている。でも、もうこのままじゃいけないんだ。

 

「……ありがとう。気を遣ってくれてるんだよね。でも、言っとかないと後悔するから…。こんな時だけど、言わせてほしい」

 

「…うん。聞かせて」

 

 今までずっと、ウェンディには助けられ続けてきた。この世界に来てから最初に出会ったのが彼女で、ナツさんたちと出会うまでほとんど仕事も一緒に行ったり、魔法の特訓をしたり、たまに普通の子供のように遊びまわったり。あの頃は僕がウェンディを守らなきゃって思って、必死に魔法の特訓をしてた。

 

でも、六魔将軍(オラシオンセイス)と対峙した辺りから、ウェンディはどんどん強くなっていった。ナツさんがガジルさんと喧嘩しているところとかよく見ていて、技の参考にしようと特訓していたのも知っている。エドラスではあのドロマ・アニムと戦えるほどに成長した。ジェラールにも言われたけど、もう、ウェンディは守られる存在じゃないと感じた。感じたんだけど…………やっぱり、僕は。

 

「君が、好きだ」

 

「……!」

 

「ジェラールはもう、君を守る必要がないって言ってたけど……僕は、君を守り続けるよ。僕にとって、一番大切なのは、君だから」

 

 どれだけ強いからって、もしも僕より何倍も強いんだとしても、僕が守らない理由にはならない。大切な存在だということは、変わらない。

 

「ありがとう…。私もゴーシュのことがずっと前から、好きだったんだ。優しくて、いつも誰かの為に行動してて…ずっと尊敬してたんだ」

 

 そう言われると、なんだかくすぐったい…。

 

「ゴーシュ」

 

「!」

 

 ウェンディが僕の胸に飛び込んでくる。前にニルヴァーナが発動した時もウェンディを受け止めたことがあったけど、あの時とは違う。あの時はただ恥ずかしさだけがあったけど、今はそれに加えて、心が、温まるように感じる。なんだか、安心する感じ。

 

「……これからも、よろしくね」

 

「うん…!」

 

「あと…………いや、やっぱりいい」

 

「何?」

 

「今度話すよ。今はこれ以上、エルザさんを待たせるわけにはいかないし。それじゃ、作戦会議しようか」

 

「気になるなぁ…」

 

 この間の盗み聞きしちゃったこととか……さっきのこととかは、話しておかないと怒るだろうな…。そしていつか、前世のこととかも話せたらいいな。

 

 

 

 作戦会議終了。上手くいったら、あのエルザさんからでも一本取れるはずだ。

 

「いくよ、ウェンディ!」

 

「うん!!」

 

 ウェンディが走り出すと同時、弾性結界(バウンド)で足場を複数作り出す。そして、今のうちにある程度の仕込みもしておく。

 

「天竜の咆哮!!」

 

 結界を足場にしてウェンディが加速し、攻撃のタイミングに合わせてエルザさんと僕たちの間にあった防御結界(ディフェンド)を解除する。

 

「……さすがエルザさんだ」

 

 でもそれを予期していたのだろう、エルザさんの姿はそこにはなかった。エルザさんなら金剛の鎧で受け止めてくるかなとか思ったんだけど、そんなことはなかったみたいだ。姿がないのなら、どこかに身を隠しているってことだから…

 

索敵結界(サーチ)!」

 

 弾性結界(バウンド)で移動しながら索敵を始める。エルザさんのことだから、水中とか岩をくり抜いて隠れるとかもありそう……っ!

 

防御結界(ディフェンド)(ボックス)!」

 

 僕とウェンディにそれぞれ結界を張って防御した瞬間、水中や岩に紛れていた沢山の剣が僕らに向かって飛んできた。索敵しといて良かった…。

 

「換装!」

 

「ゴーシュ!!」

 

「うん!!」

 

 エルザさんが煉獄の鎧に換装して、僕の背後からさっきみたいに結界を破壊しに来た。ウェンディの声で反応して僕とウェンディの周りの防御結界(ディフェンド)を解除する。

 

「天竜の咆哮!!」

 

「換装!」

 

 さっきより距離が短いから、当たると思ったんだけどな…飛翔の鎧で躱された。

 

「なるほど。先ほどより動きが良くなったな」

 

「おかげさまで、ですかね」

 

 まあ、あれだけ助言を頂いているから、少しは前に進めないとね。精神的に抱えていた問題が無くなったからか、何でも出来るような気がする。……二人なら、頑張れる。

 

「ウェンディ」

 

「大丈夫、やれるよ」

 

「それじゃ…いきますよ、エルザさん!」

 

「来い!」

 

柱百烈拳(ハンドレッド・トーティスト)!!」

 

 まずは先制攻撃をさせてもらう。一番最初に放って全部対応されてしまったけれど、今回はさっきまでと違う。

 

「天竜の咆哮!!」

 

「換装!」

 

 ウェンディの竜巻に乗せることで軌道を読まれにくくする。さっき話し合って考えた戦法だけど、これは僕が却下した攻撃方法だった。

 

 だって、いくら打ち解けたからといっていきなり合体魔法(ユニゾンレイド)なんてできると思えなかったから。そしてやったとしてもエルザさんからしたら付け焼き刃にしかならないんじゃないかと思ったから。

 

それなのになんで実践したか?それは、ウェンディの狙いが攻撃ではなかったからだ。

 

「はっ!」

 

 ウェンディの天竜の咆哮とそれに乗せた数本の(トーテム)がエルザさんに突き刺さる。まあ金剛の鎧で防がれたからダメージはないだろう。それに、この攻撃の狙いも上手くいったから良しとしよう。

 

防御結界(ディフェンド)(ウォール)!!」

 

「これは…!」

 

「天竜の…!!」

 

 大量の(トーテム)がエルザさんを囲うように壁に突き刺さっていて、今の(ウォール)でエルザさんは逃げ場をなくした。そこに、空気を食べたウェンディの一撃と、作戦を考えてる時に思いついた僕の新技。

 

「咆哮!!!」

 

柱百花槍(ブルーム・トーティスト)!!」

 

 イメージは砂の元人〇力さんの技。周囲に突き刺さっている柱全てをエルザさんに突き刺す。これが、ウェンディと話し合って考えた作戦だ。今の僕たちにはエルザさんの金剛の鎧を破ることなど出来ないけど、あの鎧は正面しか防ぐことが出来ない。だったらどうにかして、エルザさんを全方位から攻撃することが出来ないかと考えた。さっきの合体魔法(ユニゾンレイド)擬きは(トーテム)を周囲に配置する為の布石。

 

 まさかウェンディがこんな作戦を考えるとは思わなかった。思わなかったけど、聞いたと同時に納得してしまった。前世でゲームやっている時に感じたが、回復役やバフ・デバフ役っていうのは周りの状況をずっと把握していなければならないんだと思う。ここは現実だから違うのかもしれないけど、今までサポートに回っていたウェンディには状況を把握する力が養われていったんだ。状況を把握できれば、作戦を立てるのにすごい役立つ。

 

 とにかく、これでエルザさんはこの攻撃を避けることは出来ない、はず。ウェンディの天竜の咆哮を防ごうとすれば僕の(トーテム)が襲いかかり、僕の攻撃に対応しようとすれば竜巻に飲み込まれる。これなら、いけるはず!

 

「換装」

 

「……!!」

 

 エルザさんの声が聞こえた瞬間、竜巻が……斬られた。

 

「天輪・円輪の剣(サークルソード)!!」

 

 一瞬何が起こったのか把握できず硬直してしまったが、その次の光景を見て思考が再び加速する。天輪の鎧に換装したエルザさんが、周囲の(トーテム)を剣で相殺していた。僕の結界は剣で壊せるほど脆くない。でも、そこは物量の差で一本の(トーテム)につき何本か剣を当てて軌道を変えられた。さらに、剣を当てて弾く方向を調節して、別の結界にも当ててる。百烈拳とか百花槍とか言っているけど、今の僕には(トーテム)は精々五十が限度だ。

 

 あの一瞬で、あれだけの攻撃を対応されてしまった。これが、S級魔導士の実力か…。

 

「天竜の……!」

 

「……防御結界(ディフェンド)立方(スクエア)!!」

 

 もう一つ、この攻撃の後の作戦も立てておいて良かった。

 

「な――――」

 

「砕牙!!!」

 

 加速したウェンディが、エルザさんのすぐ真横を通り過ぎていった。そのまま向こう側の水に落ちそうになったけど、弾性結界(バウンド)を展開したから問題ない。そのまま、ウェンディがまた直接攻撃しようとしていたけれど、エルザさんがゆっくりと足下の岩場に降りて、たまに見る普段着に換装したのを見て中断する。

 

「……見事だ。お前たちにこんな攻撃手段があろうとは。…私もまだまだだな」

 

 エルザさんは右腕を押さえている。さっきのウェンディの一撃が入った証拠だろう。よく見ると、血が流れていた。

 

「エルザさん、血が…!」

 

「大丈夫だ。負傷した敵に情けをかけるな」

 

「そんな……!」

 

 ウェンディがエルザさんの治療をしようとしたけど、制止されてしまった。僕たちがつけた傷だとしても、やっぱりウェンディは治そうとしている。……敵によっては、ふざけるなと言われてしまいそうだ。でも、今回の相手は敵じゃない。僕たちと同じギルドの、尊敬できる大先輩だ。……だったら、いいだろう。元々考えていたことだし。

 

「エルザさん」

 

「なんだ?」

 

「僕は―――――」

 

 

 

 






これが限界。そして後半もエルザの最強イメージがどうしても離れなくて、これ何しても勝てないんじゃね?ってなりました。天竜の砕牙は本来ならまだ覚えていませんが、ゴーシュとの合わせ技によって疑似的にですが技になっております。ここは新しい結界使ってますので、天狼島編終わるまでには分かります。

そして今回、作者リミットのこと忘れてね?って思われた方いるか思いますが、ちゃんとリミット使っております。ヒントとして、下にリミットの説明を改めて載せますね。次回でそこら辺もちゃんと分かるので、お楽しみに。



制限結界(リミット):紫色の術式の文字が書かれている結界。結界内で設定した魔法を封じる。空間内にいる誰かの魔法を条件として発動する。ゴーシュが自分に設定して使った場合は空間系の魔法が使用できない。設定する魔法はこの結界の範囲30m内にいる者の使用した魔法でなければならない。一方的に相手の魔法を封じることはできない。つまりこの結界を使用した状態で相手が何か魔法を使うまではゴーシュ自身の魔法しか設定することができない。



エルザがいるのはDルート。アニメや原作見てる方なら、ここまで言えば察して下さると思います……多分。

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