FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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失敗した…。

何を失敗したのかは、今回を見てくれれば分かる人は分かると思います…


第3話  化け猫の宿【ケットシェルター】

 森バルカンに襲われてから数十分が経過した頃、僕達は廃村のような場所にたどり着いた。周囲は森に囲まれていて建物はほとんどが壊れてしまっている…所々に刃物で斬りつけたような跡がある。

 

「ここまで来れば、あいつも追ってこないだろう」

 

「ジェラール、どこかで休もうよ。ウェンディもゆっくり休ませてあげないと」

 

「それじゃあ…あの廃屋で休もう」

 

 ジェラールが指差すのは、見た中で一番まともそうな建物。あそこなら雨宿りもできそうだし運が良ければ何か布団とかもあるかもしれない。ウェンディは魔法を使った影響か森バルカンに捕まってよっぽど怖かったのか、ジェラールの背中で眠ってしまっている。僕もちょっと眠たい。夜中とはいえまだ日付は変わっていないと思うんだけどな…

 

 中に入ってみると、荒れてはいるけれど雨漏れとかはしていなかった。それだけなら喜んで休んでいたんだけど…中には、1人の老人がいた。あれ?この人は…

 

「こんな場所に人が住んでいるなんて…」

 

「なぶら…こんな所に旅人が来るとは、思わなんだ」

 

 あ、やっぱりそうだ。この人ローバウルさんだよ。〔なぶら〕が口癖の、化け猫の宿(ケットシェルター)のマスターだ。っていうか起こしちゃったかな?

 

「なぶら…お前さんたち、何の用でここまで来たんじゃ?」

 

「俺たちは旅の者です。どうか、この2人を預かって下さい!!」

 

 ジェラールが真っすぐとローバウルを見つめてそう伝える。ローバウルさんはとても驚いたような表情をしていた。僕も、突然ですぐに反応できなかった。

 

「…理由を聞かせてほしい」

 

「…俺は、これから危険な旅に出なければなりません。今すぐにでも行かなければいけないのですが…2人を、見放すことはできません」

 

「ジェラール…僕からも、お願いします!なんでもしますから、どうかここに居させて下さい!!」

 

「ゴーシュ…」

 

元々、ジェラールはアニマを防ぐ為に旅をするつもりだったんだ。それを僕達がいたから、一時的にジェラールはその役割を中断していた。僕達はジェラールの邪魔をしていると言ってもいい。このままでは原作のマグノリアのように、アニマに吸い込まれてしまう町が出てくるかもしれない。

 

 もし、このままウェンディの言うようにジェラールに無理にでもついて行ってしまったら…最悪の場合、リサーナと同じようにアニマに吸い込まれてエドラスに行ってしまう。さすがにそれはまずい。

 

「分かった。2人のことは任せておきなさい」

 

「!ありがとう、ございます…!…もう1つお願いがあるのですが、いいですか?」

 

「なんじゃ?」

 

「彼を魔導士ギルドにて修行させてあげてほしいのです。僕ができれば連れて行ってあげたかったのですが…お願いできますか?」

 

「…分かった。儂にできることは何でもしよう」

 

「ありがとうございます!(…彼は1度だけ魔法を使ったんですが、自覚がありません。それがキッカケだと思うので詳しくは彼から聞いて下さい)…それでは、俺はこれで…」

 

 ジェラールはローバウルさんに何かを耳打ちした後、そのままこの場所から離れていく。外に出て行ってしまったのを見て、僕は急いで追いかけた。どうしても、伝えておきたいことがあったから。

 

「…ジェラール!!僕は、僕はもっと強くなる!!もう、どんな奴が襲ってきても、ウェンディを守り通せるくらいに!!」

 

「…ああ。ウェンディを頼んだよ、ゴーシュ」

 

「たった1週間くらいだったけど…本当に、ありがとう!!」

 

 ジェラールは歩きながら振り向かずに右手を上げて答えてくれた。僕は、自分とジェラール…ミストガンに誓う。ウェンディを、仲間を守り続ける…!!

 

 

 

「…おじいちゃん、ここどこ?」

 

「こ、ここはじゃのぅ…」

 

翌朝。ウェンディが目覚め、あたふたしているローバウルさん。こればっかりはどうにかしてもらうしかない。ジェラールはすでに1人で旅立っていったことを伝えている。最初は泣き続けてたウェンディだったけど、ようやく落ち着いたところでこの質問だ。

 

 

「ジェラール…私を、私達をギルドに連れて行ってくれるって…」

 

「ぎ、ギルドじゃよ!ここは、魔導士のギルドじゃ!」

 

「ほんと!?」

 

「なぶら!外に出てみなさい。仲間たちが待っているよ」

 

 お、おう…原作通りの会話に近いんじゃないかな?でも、ウェンディさん、こんな廃屋でよくそんな話を信じたね?僕は普通信じないんじゃないかなー、とか思ってたんだけど。魔導士ギルドの建物を見たことがないのが幸いしたかな。

 

 ウェンディの後に続いて僕も外に出てみる。すると、さっきまで誰もいなかったはずなのに、何十人という人がいた。これが、ローバウルさんが造りだした、意思を持った幻…!

 

「お、お前たちが新入りかい?俺はマグナっていうんだ、よろしくな!」

 

「あら、可愛い子たちね!私はペペル、よろしくね~」

 

 外へ出た途端に沢山の人に自己紹介される。途中から覚えてないけど…何人か原作でも名前があった気がする。

 

「すごーい…!ほんとに、魔導士のギルドだよ、ゴーシュ!」

 

「…ああ。そうだね」

 

「どうじゃ、2人とも。このギルドは、なぶら楽しそうじゃろう?」

 

「うん!」

 

「2人も、今日からこのギルド…化け猫の宿(ケットシェルター)の一員じゃ。名前を教えてくれんか?」

 

「私はウェンディ、ウェンディ=マーベル!」

 

「僕は…ゴーシュ=ガードナーです」

 

「うむ。儂はマスター・ローバウルじゃ。ウェンディにゴーシュ、よろしく頼むぞ」

 

 こうして僕達は、化け猫の宿の一員になった。

 

 

 

 その日の夕方。僕とウェンディが化け猫の宿(ケットシェルター)の一員になった、までは良かったんだけど…僕には、ある問題があった。

 

「お主、魔法が使えんのか…」

 

「そ、そうなんですよ…」

 

 僕はこれからどうしたらいいんだろうか。魔法が使えないのに魔導士ギルドの一員ですとか恥ずかしくて言えないぞ…。ジェラールがローバウルさん…マスターに魔法を教えてもらうよう言ってたけど…

 

「ウェンディは使えるんです。あいつは天空の滅竜魔導士で、僕も怪我の治療してもらったことがあるんで。でも、僕は一度も…」

 

「?儂は、あの若者から、君が一度だけ魔法を使ったと聞いたが…」

 

「…え?」

 

 僕が、魔法を…?じゃあ、森バルカンにウェンディが連れて行かれそうになったあの時に出てきた四角い物体は…僕がやったってことか!?

 

「…どうやら、心当たりがあるようじゃの」

 

「え、ああ…僕も今初めて気づきました」

 

「その時のことを教えてくれんかの?それは魔法を習得するキッカケに違いないからのぅ」

 

 僕はあの時のことを事細かに説明した。つっても、あの時どうやってあれを出現させたのか分かってないんだけど…

 

「ふむ…そんなことがあったのか」

 

「ここに来る少し前の出来事ですね」

 

「ゴーシュ、君はどんな魔法を身につけたい?」

 

「どんな魔法、か…防御の魔法ですかね」

 

「ほう…その理由は?」

 

「僕、誓ったんです。ウェンディを…仲間を守り続けるって。だから、守る為の力が欲しいって思ったんです」

 

 FAIRYTAILの漫画では、防御の魔法って少ないんじゃないかと思う。立体文字(ソリッドスクリプト)とか術式に造形魔法…あとは妖精の球(フェアリースフィア)とかぐらいじゃないだろうか。だから防御の役目は、妖精の尻尾(フェアリーテイル)ではフリードとかレビィにグレイしかやってなかった…と思う。アニメからハマって、第2弾の映画も見てないし漫画も買い揃えたいなー、と思ってたところで死んだから詳しくは分からないけれど。

 

 とにかく、攻撃系の魔法が多いのに防御の魔法を都合良く覚えられるのかな、とか思ったわけだ。

 

「なぶら…それなら、君に合うかもしれない魔法に心当たりがある」

 

「本当ですか!?」

 

「うむ。結界魔法…【バリアー】という魔法じゃ」

 

「結界魔法。それだ…!」

 

 そんな魔法があったとは…!それならきっと、ウェンディを守り通すことができる!

 

「マスター!その魔法、教えて下さい!」

 

「なぶら…いいじゃろう。明日から特訓を始めるぞ。ギルドの一員にその使い手がいるということにしよう」

 

「ありがとうございます!!」

 

 僕はジェラールと一緒に来た時にここがギルドではなかったことを知っている。だから、マスターもメンバーが本物の人間ではないことを僕に教えてくれていた。ウェンディを騙す形になってしまったのは心苦しいけど…仕方ないか。打ち明けるタイミングはマスターの判断に任せよう。

 

よし…燃えてきた!明日から頑張るぞー!

 

 

 

「ムムムムム…!」

 

「ゴーシュ、どう?」

 

「…うん、魔力の感じは分かってきた!」

 

 あれから1週間。僕はまず魔力を高める訓練をし続けています。魔力を感じられないことには魔法を覚えることなんて夢のまた夢だからね。最近は1日中瞑想することに慣れてきた。

 

 ようやく魔力を何となくではなくはっきりと感じることができるようになった僕は、ようやく次のステップへと進むことができる。

 

「いい?結界魔法はただの防御魔法ではないの。生み出した結界に色々な効果を付加することで、様々な状況に対応することができるのよ」

 

 マスター・ローバウルが生み出した意思を持つ幻。つまりギルドメンバーの1人であるペペルさんに修行をつけてもらう日々。ちなみにウェンディは簡単な依頼を他のメンバーと一緒に受けています。迷いネコ探しとかそんなのばっかりだけど。まあ、できたばかりのギルドだから仕方ないよね。

 

「色々な効果…例えば?」

 

「例えば、そうね…弾性結界(バウンド)

 

 ペペルさんの手にオレンジ色のボールみたいな結界が現れる。それを地面に落とすと、スーパーボールのように跳ねていった。なるほど、結界に弾性という特性を組み合わせた結果がこれか。

 

「どんな効果を付加するかは人それぞれ。魔力が上昇すればより強力な効果を持つ結界や、様々な効果を組み合わせた結界も使えるようになるわ。でも、注意点が1つ。この魔法は使いたいタイミングで効果を付加するわけじゃなく、先に効果を付加した〈型〉をいくつか作ってそれを使用するの。だから、最初は3つだけ型を作りなさい。後は魔力が上昇してから少しずつ作っていけばいいわ」

 

「3つか…どんなのにしようかな」

 

「焦らず、ゆっくりとね。一度作ってしまうと、それはもう1つの型としてずっと残ってしまうから」

 

「分かった」

 

 なんだか、HUNTER×HUNTERの念能力のスペックの話みたいだ。能力を複数作れないとか、そんなところが。

 

 でも、悩むな…どんな効果を付けるかでどれほど戦えるかが変わって来る。しかもそれが一生に関わるのだから、なおさら重要だ。

 

「…とりあえず、1つは決まってるんだけど」

 

「早いわね。それじゃあ、まずはそれでやってみて。あ、型はできるだけ細かく設定した方がいいからね。どんな形かとか、名前とか…色を決めるだけでも出しやすくなるわ」

 

「分かった。よし…それじゃ、いくよ!」

 

 結界魔法と聞いて、最初に浮かんだイメージをそのまま当てはめる。細かく、明確に…よし、なんか上手くいけそうな気がする!

 

「来い…防御結界(ディフェンド)!!」

 

 目の前に、四角い形をした青緑色の結界を出現した。少し小さいけれど…これは、ひょっとして…!

 

「ペペルさん!」

 

「…驚いたわ。成功よ」

 

「よっしゃー!」

 

 やっぱり一番最初に思い浮かんだイメージは、結界師だった。結、滅!ってアレ。でもこの防御結界(ディフェンド)(名前はそのままにした)はアレと違って、形状は自由に変えられるようにしてる。上手く扱えるようになれば、攻撃にも利用できるかもしれない。

 

「どんな能力を付加したの?」

 

「とりあえず、固いものが良いと思ったんだ。攻撃を防げる結界が一番イメージしやすくてやりやすかったから」

 

「そっか…でも、これなら後は大丈夫そうね」

 

「何が?」

 

「ここから先は君に任せるわ。君の思った通りに、自由にやってみなさい。というか、これ以上は教えようがないんだけどね。しいて言うなら、付加するイメージは実際に見たことがあるものの方がいいかな。見たことないのに特殊な能力を付けようとすると、中途半端な効力しか見込めないからね」

 

「そうなんだ…分かった、後は自分で頑張ってみるよ!ありがとうございました、ペペルさん!マスターにも伝えておいて!」

 

「ええ。頑張ってね」

 

 ペペルさんはマスターの元へと去っていった。でも、意外とあっさり成功したなぁ…他の能力はどうしようかな。さっきペペルさんに見せてもらった弾力のある結界、弾性結界(バウンド)って言ったかな。あの能力も持っておきたいなと思ったから1つはそれにするとして…いいや、もう1つは後で考えようっと。

 

「おーい!ゴーシュ~!」

 

「あ、ウェンディ!お帰り~」

 

「うん、ただいま!魔法の修行、どう?」

 

「ようやく一歩進んだってところかな。そっちは仕事上手くいった?」

 

「そうなんだ!やったねゴーシュ!私の方は大丈夫!マグナもナオキもいてくれたし!」

 

 ウェンディは元気そうに振舞ってはいるけれど、まだジェラールがいなくなってしまったことが辛いと思う。まだ、夜に泣いている時が多いから…。それでも、依頼をこなしていけばジェラールにも、もしかしたらグランディーネにも会えるかもしれないと思って頑張ってるみたい。

 

 ちなみにだけど、どうやらこの1週間でギルドメンバーが評議員にギルドを結成する為に必要な書類を提出しておいたらしい。依頼なんかも最初はギルドメンバーのお願いを聞いてあげるくらいのをやっていたけれど、最近は近場の町まで行って依頼をするってケースが多い…もちろん依頼をやっていたのはウェンディだけだけど。僕もやろうとしたけれど、まずは魔法を覚えなさいというマスターからのお達しだ。

 

 ウェンディにこのまま遅れをとるわけにはいかない…早く結界魔法を最低限まで習得して追いつかないと!

 

「そっか、早くマスターに報告してきなよ!初めての町での依頼だったから、少し心配そうにしてたからね」

 

「うん、それじゃ行ってくる!また後でね!」

 

「うん、後でな~」

 

 ウェンディは向こうで待ってくれていたマグナとナオキの元に行って、そのままギルドへと入っていった。

 

 よし、それじゃ修行再開といくか!まずは防御結界(ディフェンド)を何度もやってみよう。さっきは成功したけど、何度も連続で成功させないと習得したとは言えないからね。慣れてきたら形も変えてやってみよう!まだまだ先は長いだろうけど…頑張るぞ!

 

 

 




前書きで言った失敗について。

前回、第2話で感想をいただいた際に、僕は今回の話の内容だと思って答えてしまったんです…前回の「四角い物体」についてのコメントのことじゃないかって思ったのが今日の昼間でした。

もし勘違いしてたらすみませんでした!

追記
少し会話文を変更しております。

言い訳すると、実はこの作品調子こいてかなり書きだめしてまして…最初の頃の話をどこまで書いたか忘れてました。

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