FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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今回、もしかしたら読んでいる方が不快に思ってしまうかもしれないです…。

この展開しか頭に浮かばなくなってしまった…


第29話  終わりの始まり

 ドロマ・アニムからの攻撃で足止めをくらったせいで、王国軍がエクシード達の元へと接近するのを許してしまった。あそこまで近づかれたら躱すのも難しいだろう。エクシードの身代わりにするため展開ていた小さな防御結界(ディフェンド)も、ドロマ・アニムの一撃でほぼ全て消えてしまった。今からエクシード達を守ろうにも、ここでは遠すぎて魔法が届かない。

 

「ああ…!大変だ!」

 

「ここまで悲鳴が…」

 

「追いついた!王国軍だ!」

 

「しかしなんて数だ」

 

「どうする?」

 

「…行くしかないですね」

 

「ああ。私達がやらねば、エクシードがやられる!」

 

 どれだけ多勢に無勢であっても、行かなければならない。エクシードを守る為には、王国軍を蹴散らすしかない。少しはマジカライズキャノンも破壊出来ているし、今からでも過半数のエクシードを助けることくらいはできるはずだ。

 

「オイラも戦うよ!」

 

「ええ。私達の故郷を、守るのよ!」

 

 何より、ハッピーとシャルルの故郷であるエクスタリアに住む、同じ種族の仲間たちだ。二人の為にも助けてあげたい。初めての里帰りがこれじゃひど過ぎるし。

 

「待っていたぞ、スカーレット」

 

後方から一体のレギオンがやって来る。その上にはナイトウォーカーの姿があった。

 

「待っていただと?」

 

「まずい、罠だ!!」

 

「伏兵!?」

 

「レギピョン、避けて!!」

 

 目の前にはレギオン部隊が、後方からはナイトウォーカーが向かって来ていた。レギオン部隊が持っている武器はマジカライズキャノンではない。あれは攻撃用の武器だ。

 

 レギピョンが高度を上げ上空へと逃げるが、この嵐のような銃撃から逃げ続けるのはほぼ不可能だ。

 

防御結界(ディフェンド)(スフィア)!!………くっ」

 

「ゴーシュ、防ぎきれるか!?」

 

「な、長くは持ちません…!どうしますか!?このままじゃジリ貧です!」

 

 レギピョンを包み込むように結界を展開する。一発一発は大したことがなくても、これだけ物量差で攻められると厳しい…。

 

「皆はエクシードを守れ!」

 

「エルザ!?」

 

「私はナイトウォーカーを引き受ける。皆は一度地上に降りた方が良い」

 

「それはそうだが…!」

 

「…分かりました。もしナイトウォーカーがエルザさんと同じくらいの実力なんだとしたら、太刀打ちできるのはエルザさんだけです!」

 

「…気をつけてね、エルザ!」

 

「ああ、お前たちもな。任せたぞ!」

 

そのままエルザさんはレギピョンから飛び降りた。

 

「よし、俺達は地上に降りるぞ!」

 

「レギピョン、お願い!」

 

 ココの指示に従いレギピョンが地上へと急降下する。僕の結界が持っている間は攻撃の心配はないから、一気にスピードを上げていく。

 

そうして地面にぶつかる瞬間にレギピョンが体勢を整え、地面を滑るように着陸することに成功。だけど…

 

「こいつら…。もう待ち伏せしてやがる」

 

 周囲には少なくとも百人以上はいるんじゃないかと思ってしまうくらいの王国兵。それに少し離れた所にはレギオンも何頭かいる。

 

「皆、もう止めてよう!」

 

「やるしかないわね」

 

 王国兵達は僕達を取り囲み、攻撃の隙を窺っている。と、ある一点が光を発していることに気づいた。これは、マジカライズキャノンか!

 

防御結界(ディフェンド)(ウォール)!」

 

「ありがとう、ゴーシュ!」

 

 結界に命中し、小さな魔水晶(ラクリマ)に変わる。やっぱり不思議だ…。一体どんな原理で生物や魔法を魔水晶(ラクリマ)に変えているんだろう…?

 

 それはともかく、今のは明らかにハッピーとシャルルを狙っていた。やっぱりエクシード狙いなのか。

 

「ハッピー、後ろよ!」

 

「うわっ!」

 

「野郎っ!!」

 

 別方向から撃たれたが、今度はグレイさんが氷壁を生み出し防御する。

 

「二人とも、伏せて!」

 

「うぐっ!」

 

「何なのよ!」

 

 さらに別の方向からハッピーとシャルルに向かって光線が放たれるが、僕が言った通りに伏せて躱すことが出来た。

 

「なんでハッピーとシャルルばっかり?」

 

「逃げたエクシード共も、すでに過半数が魔水晶(ラクリマ)に変わった。残りのエクシードも別部隊が変えているだろう」

 

「残るはそこの二匹のみ!大人しく我が国の魔力となれ!」

 

「……くそっ」

 

 エクシード達を守り切れなかったという事実に、悔しさと怒りを感じる。ドロマ・アニムの攻撃が凄まじかったのもあるけど、もう少しやりようがあったんじゃないかと思えてしまう。

 

「自分たちの魔力の為に、エクシードはどうなっても構わねぇってのか…!それが、この世界の人間なのか!!」

 

 グレイさんの氷欠泉(アイスゲイザー)が、目の前に向かって来ていた王国兵達を飲み込み凍らせていく。いつもより魔力が上がっているように感じる。それだけグレイさんも怒っているってことだろう。

 

「仲間はやらせねぇぞ、クソ野郎ども!!」

 

「ハッピー、シャルル!こっちに!」

 

「う、うん!」

 

 奴らの狙いは二人だ。僕が傍にいれば、あの光線はいつでも防ぐことが出来る。それに僕の魔法は、後方支援に向いていると思う。これは僕が妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入って、何度も仕事に同行させてもらい気づいたことだ。周囲を観察して敵の攻撃を防ぎ、仲間たちがカウンターで敵を倒す。何度もそんなパターンがあった。

 

「開け、獅子宮の扉!ロキ!」

 

「待たせたね!」

 

「うりゃーっ!」

 

 ロキさんが現れ、拳に光を宿し敵を次々と殴り飛ばしていく。ルーシィさんも星の大河(エトワールフルーグ)を入手したことで一人でもできる戦闘の幅が広がった。ココも顎に飛び膝蹴りを食らわせたりと肉弾戦で少しずつ相手の戦力を削っている。

 

「撃て!」

 

「魔法弾!?」

 

「任せて下さい!反射結界(リフレクション)(ウォール)!からの、防御結界(ディフェンド)(トーテム)!」

 

 王国兵が銃を構え準備しているのは分かっていたので、敵が発射する瞬間に目の前に反射結界(リフレクション)を展開。跳ね返った魔法弾によって敵は次々と吹っ飛ばされていく。そして銃を手放した所を防御結界(ディフェンド)(トーテム)で破壊した。少しずつでも、これで敵を無力化できる。

 

「ナイスだよ、ゴーシュ!獅子王の輝き(レグルスインパクト)

 

氷雪砲(アイスキャノン)!!」

 

 獅子の光と氷の大砲による一撃が、さらに王国兵たちを蹴散らしていく。これで地上にいる王国兵の半数近くは一掃したはず。でも、ここからが問題だ。

 

「グオオオッ!!」

 

「レギオンが、三頭…!」

 

 巨大な生命体、レギオン。それが一気に三頭。他にも何頭かいたはずだが、恐らく残りはエクシード達を捕獲しに行っているのだろう。その体格のもつ突進力は途轍もない。なんせ竜鎖砲によって加速させられた自身の体の何倍もある巨大魔水晶(ラクリマ)の速度を、わずかとはいえ単騎で抑えたんだ。それだけですごい力だと僕は思う。

 

「レギピョン、お願い!」

 

「グオォッ!!」「グオッ……!」

 

防御結界(ディフェンド)(トーテム)!!」

 

「グオッ!?」「グオァッ…!」

 

 でも、その強大なレギオンは味方にもいる。レギピョンが敵レギオンの横っ腹に突進攻撃を仕掛けたことで一頭がダウン。残った敵レギオン二頭は、結界を体の隙間に通すことで動きを阻害する。ホント、ドラゴノイドや白ワイバーンとの戦闘が役立っていると思う。

 

「先にレギオン達を気絶させましょう!あいつらに好き勝手にやられたら勝てません!」

 

「グレイ!!」

 

「おう!一頭任せるぞ、ロキ!!」

 

「ああ!!」

 

 今なら残り二頭のレギオンたちは攻撃することも防御することもできない。そんな無防備な状態にこの二人の一撃を叩き込めば…!

 

「レギオンは、お腹が弱点だよう!」

 

「分かった!氷造形(アイスメイク)大槌兵(ハンマー)!!」

 

獅子王の輝き(レグルスインパクト)!!」

 

 ココの助言を受けた二人の攻撃が、急所の腹部に命中。そのまま二頭とも気絶した。人間で言う所の鳩尾なのか…。僕がしたわけじゃないんだけど、めっちゃ痛そうだから何となく罪悪感。で、でもこれで残るは地上の王国兵だけだ。彼らを倒せば、もしかしたらウェンディ達の加勢に行けるかも…!

 

「皆、上!!」

 

「クソ…これじゃキリがねぇ!」

 

「そんな…!」

 

 上空を見上げる。……合わせて十頭のレギオンがこっちに向かって来ている。しかもその背中には一頭に対して王国兵が十人近くは乗っている。つまり…王国兵も戦力大幅増強ということか。対してこっちは今の戦闘だけでもかなり魔力を消費している。これは……詰み、か……?

 

「このままじゃ……!」

 

「…あたしは、諦めない!」

 

「ルーシィ……」

 

「ナツたちやエルザだって、まだ戦ってるはず!あたし達だけ、先に諦めたりなんてできないよ!!」

 

「そうだ…!ナツたちだけにいいカッコさせてられねぇ!!」

 

所有者(オーナー)が諦めてないんだ。星霊が先に諦めるわけにはいかないよ!」

 

「レギピョン!まだ戦えるよね?」

 

「グオウッ!!」

 

 ルーシィさんの魂の籠った言葉で、皆に再び闘志が戻ってくる。ああ、そうだ…。前世で、アニメで見ていた時もそうだった。ルーシィさんだけじゃないけど、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆の不屈の心が、すごくカッコイイと思ったんだ。自分も、こんな風になりたいって。

 

「皆さん、譲渡結界(ランブル)を!少しでも回復して下さい!」

 

 皆に譲渡結界(ランブル)を2,3個ずつ投げ渡す。即時回復とはいかないけど、戦闘中に少しずつ回復できるかもしれない。

 

「よし、行くぞ!!」

 

「うん!あたし達は負けない!だってあたし達は、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士だから!!」

 

 次の瞬間、この状況を逆転する出来事が起きたんだ。

 

 

 

 ドロマ・アニム黒天。ドロマ・アニムの最終形態であり、エドラス中の魔力を無尽蔵に吸収しエネルギーへと変換してしまう。それは魔力が有限であるエドラスの世界には大きすぎる代償であり、魔力の枯渇を恐れ人間たちが、自ら禁式としていた。

 

 そのドロマ・アニム黒天の目の前に、三人の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)が倒れ伏していた。

 

『アースランドの魔導士。尽きることのない永遠の魔力を体に宿す者たち。その中でもこ奴らの、ドラゴンの魔導士のでたらめな魔力!寄越せ、その魔力を!世界はこ奴らを欲しておる!フハハハハッ!地に堕ちよ、ドラゴン!』

 

途中までは三人が圧倒していたが、この最終形態を発動させたことでドロマ・アニムの能力が上昇し、形勢が逆転した。もはや三人には、魔力がほとんど残されていない。

 

『絶対的な魔法兵器、ドロマ・アニムがある限り、我が軍は不滅なり!!』

 

「ううっ……」

 

「ぐっ……!」

 

「ぐ、ぐっ……!」

 

『まだ起きるか!大したものだ。その魔力、素晴らしい!我が物となれ、ドラゴンの魔導士!!』

 

「うあっ!!」「ぐおっ!!」「きゃあっ!!」

 

 ドロマ・アニム黒天が、三人にさらに追い打ちをかける。三人は打ち上げられ、数m先に落下した。これではほとんど死体撃ちにも等しい。もっとも、国王であるファウストは多少のパーツの破損は仕方ないと考えて攻撃している為、死体どころか機械か何かのように考えているようだが。

 

『もっと魔力を集めよ!空よ、大地よ!ドロマ・アニムにもっと魔力を集めよ!!』

 

 ドロマ・アニム黒天がその右腕に取り付けられた巨大な槍を掲げると、魔力が視認できるほど膨大に流れ込んで来た。魔力を吸収された大地の植物は枯れ始めている。だが、ファウストは止まらない。目の前の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)を捕らえるまで。

 

『おお……!感じるぞ。この世界の魔力が尽きようとしているのを!だからこそ、こ奴らを我が手に!!』

 

火竜(サラマンダー)……!ブレスだ!ガキ、お前もだ!」

 

「三人で同時に…?」

 

「何が起こるか分からねぇから控えておきたかったが…。やるしかねぇ!」

 

「よし!!」

 

「分かりました!!」

 

 三人はそれぞれ、魔力を収束させる。自分達はもう立っているのもやっとだ。これで決めるしかないと三人は最後の力を振り絞る。

 

「火竜の……」

 

「鉄竜の……」

 

「天竜の……」

 

『おお、まだ魔力が上昇するか!』

 

「「「咆哮!!!」」」

 

 三人の同時に放たれたブレスが混ざり合い、その威力が増していく。そしてそれがドロマ・アニム黒天を包み込んだ瞬間、大きな爆発が起こった。

 

「やったか……?」

 

『まさか、これを試すことになるとはな』

 

「なっ……!?」

 

「そんな……」

 

 ドロマ・アニム黒天の目の前には、青緑色のバリアのようなものが展開されていた。本来ならドロマ・アニム黒天の驚異的な跳躍により躱されているのだが、ファウストは敢えて受け止めた。それはエドラスのゴーシュが作成した防護壁発生装置を試すためである。ドロマ・アニムに新しく取り付けられたその装置により、ドロマ・アニムは完璧に守られていた。この結果にファウストは満足そうな笑みを浮かべる。

 

『あの男もやるものだ。短期間でこれほどの装置を生み出すとは…』

 

「三人同時の攻撃が、防がれるなんて……」

 

「もう一度だ!!」

 

『させんよ!竜騎拡散砲!!』

 

「ぐっ!!」「ぬお!!」「うあっ!!」

 

 吹き飛ばされ、地面に何度も叩きつけられる。砂煙が晴れると、そこには先ほども見たような光景。

 

『世界の為、このエドラスの為!儂と貴様らの違いはそこよ!世界のことなど知らぬと貴様は言ったな?この世界で生きる者に必要なのはギルドなどではない!永遠の魔力だ…!民が必要としておるのだ。貴様と儂では背負うものの大きさが違いすぎるわ』

 

「ぐっ……!かはっ」

 

「まずい……もう、魔力が…」

 

『尽きたようだな?』

 

「はあ、はあ………」

 

 ナツはまた立ち上がろうとするが、バランスを崩しまた倒れた。

 

『いくら無限の魔導士と言えど、一度尽きた魔力はしばらくは回復せんだろう。大人しく我が魔力となれ。態度次第では、それなりの待遇を考えてやってもよいぞ?』

 

 ウェンディは思った、もう駄目だ、と。立ち上がる力もないのだ、どうしようもない。

 

ガジルは思った、ここまでか、と。魔力が尽きたのだ、回復するまで待ってくれはしない。

 

 だがナツは……少しずつ、力を込めた。

 

「諦めんな……!」

 

「「!」」

 

「まだ、終わってねぇ……!!かかってこいや、この野郎!!俺はここに、立っているぞーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

 

 やがて立ち上がり、ナツの叫びが辺りに響き渡った。

 

 

 

 ナツさんの声だ。ナツさんの声が聞こえた。少し前に大きな爆発もあったので、かなり大急ぎでここまで来たけど、さらにスピードを上げる。

 

 あの王国兵とレギオン部隊に囲まれた危機的状況で、タイミングを見計らったかのように現れたこちらの世界の唯一の闇ギルド・妖精の尻尾(フェアリーテイル)が駆けつけてくれた。ギルドの建物が大木で出来ているからか、地面から現れた時にレギオン達を根のような触手で巻き付け行動不能にしてしまった。

 

 その後、王国兵達と戦闘中に、エルザさんがナイトウォーカーと共に浮遊島ごと落下してきたのにも驚いたけど、どちらも戦闘不能のようだった。そしてそのタイミングで現れたのはなんと、こっちの世界の僕だった。

 

 彼はドロマ・アニムにある装置を取り付けたと言っていた。で、僕にある物を渡してドロマ・アニムを止めてほしいと頼んできたのだ。グレイさんやエドルーシィさんもここは任せろと言ってくれたので、僕は今、ナツさんたちの元へと向かっている。

 

「やっと、着いた……!!ナツさん!!」

 

 息も絶え絶えになってしまったが、ようやくドロマ・アニムを発見した。でもドロマ・アニムが見ている方向を見ると、ガジルさんとウェンディが倒れていて、ナツさんも立ってはいるけどフラフラだ。その姿を見ただけで体は疲れを忘れたかのようにさらにスピードを上げ、ナツさんたちの元へと駆ける。

 

『ええい、どこまでも強情な小僧じゃ!』

 

「ふぐっ!!」

 

「ナツさん……」

 

「馬鹿野郎……。魔力がねぇんじゃどうしようもねぇ…」

 

「捻りだす!!」

 

 ナツさんがドロマ・アニムに踏みつぶされたように見えるけど、ウェンディやガジルさんが話しかけているように見えるし、まだギリギリ踏ん張っているんだろう。急いで、ナツさんたちに譲渡結界(ランブル)を渡さないと。あの様子、魔力が尽きてしまっているはずだ。

 

「明日の分を、捻りだすんだ!!うおおおーーーーーーーっ!!!!!」

 

「……うそでしょ?」

 

 魔力が尽きているんだと思ったんだけど……?ドロマ・アニムが……ナツさんに逆にバランスを崩されて倒された…!?

 

『身分を弁えよ、クソ共が!!儂を誰だと思っておるか!!……ぬっ!?』

 

「力を合わせる必要なんかねぇ!!力は、願いは!繋げればいい!!!」

 

『足を……!?』

 

ナツさんは下からの爆撃により高く打ち上げられてしまったが、その間にガジルさんがドロマ・アニムの足を殴り、地面と足を縫い付ける。

 

「ロックした!これでもう逃げられねぇ!!」

 

『おのれ…!』

 

「行け、火竜(サラマンダー)!!お前しかいねぇ!!お前がやれ!!!」

 

「っ!!ウェンディ、俺に向かって咆哮だ!!立ち上がれっ!!!」

 

「は、はい!!!」

 

『小癪な!!だがまだ防護壁があるのだ、貴様らの攻撃は効かんぞ!!』

 

 ナツさんが宙を舞い、ウェンディはナツさんの声に応えようと魔力を練り上げる。この攻撃を、防がせたりなんかしない!

 

『何!?防護壁が、発動しないだと!?』

 

「いけ…!ナツさん、ウェンディ!」

 

「うううう………!!天竜の、咆哮――――っ!!!」

 

「うおおっ!!火竜の、劍角――――!!!」

 

 ウェンディの天竜の咆哮の回転を利用して放たれたナツさんの渾身の一撃は、ドロマ・アニムの胸に穴を空け、中にいた国王を引きずり出した。二人は勢いのまま地面に叩きつけられる。

 

「ぬうっ……!?」

 

「…………………」

 

 国王がナツさんたちの方をしばらく見つめる。表情は見えないけど。……ナツさんの表情は見える。あれは恐いよ…。強大な力を見せられた後だと尚更。やがて国王は気絶したようだ。

 

「ダーハッハッハ!!王様やっつけたぞ!こういうの何て言うんだっけ?チェックメイトか!」

 

「それは、王様をやっつける前の宣言ですよ」

 

「ギヒッ、バカが」

 

 どうやら、無事に終わったようだ。僕?途中参加しただけで他は見てるだけだったよ?今回エドラスの僕がドロマ・アニムに変な装置つけてなかったら、僕がここに来る必要なかったし。……心配はもちろんしてたけど。

 

「な、なんだ?」

 

「まさか敵の増援…?冗談じゃねぇぞ、流石に魔力が空っぽだぜ」

 

「違います、あれ!」

 

「浮いている島が、……落ちてきた?」

 

 空を見上げると、浮遊していた全ての島が落下を始めていた。それが示すのは。…………魔力の、喪失だ。

 

 

 




この無理やり絡めた感。本当はもう一つ攻撃用新兵器を付けようと思っていたんですが、原作のこの展開をあまり壊したくないと感じてしまって……。エドゴーシュのいい所を残したいと思ったらこんな感じになってしまいました。


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