FAIRY TAIL 守る者   作:Zelf

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今回から日常編に入ります。数話続いてからエドラス編をやる予定です。


日常編
第14話  新居建築


「ん~、船って潮風が気持ちいいんだな~」

 

「良かったね~、ナツ~」

 

 僕達は妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入ることになり、船が出航してから2時間くらい。ナツさんはウェンディに乗り物酔いに効く魔法・トロイアをかけてもらったおかげで、船の上を元気に駆け回っている。そういえば、そろそろ効果が切れる頃だったような…あ、ダウンした。

 

「ウェンディ…もう一回かけて…ウップ」

 

「連続で使うと効果が薄れるんですよ」

 

「ほっとけよ、そんな奴」

 

「あははっ!」

 

「本当に三人とも妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入るんだね~」

 

「私はウェンディが行くっていうからついて行くだけよ」

 

「素直になればいいのに」

 

 ハルジオンまであと1時間弱ってところかな。それまでナツさんはこのままか…頑張って、ナツさん!

 

「そういやゴーシュ、お前その魔道二輪は…」

 

「これ、以前に頑張って貯金して買ったんです。残していくにはもったいなくて…」

 

「俺はてっきりあのレーサーって奴のかと思っちまったぜ」

 

「そっか、グレイと戦った時に魔道二輪で攻撃してきたんだっけ」

 

 やっぱり、自分で依頼をこなしてお金を貯めて買った物だと愛着がわくもので…せっかくだから、持っていくことにした。余談だけど、これのSEプラグでの魔力消費を修行に利用したりしてました。少ない魔力で走ってくれるけど、スピードを上げようとするとあんまり長続きしないんだよね、コレ。だから魔力を高める修行にはもってこいだったけど。

 

 そういえば何も考えていなかったけど、家はどうしよう…?

 

 

 

「というわけで、ウェンディとシャルル、ゴーシュを妖精の尻尾(フェアリーテイル)へ招待した」

 

「「よろしくお願いします!」」

 

 やってきました、マグノリア。そしてギルド・妖精の尻尾(フェアリーテイル)!中には人がすごい沢山いて、100人以上いるんじゃないかと思う。エルザさんが紹介してくれたので、ウェンディと一緒に頭を下げる。シャルルはもちろん照れているかの如く視線をそらしている。っていうか、ウェンディに視線が…

 

「可愛い~!」「ハッピーのメスがいるぞ!」「お嬢ちゃんいくつ~?」

 

「…ウェンディ、ちょっと下がって。シャルルも」

 

「う、うん…?」

 

「何する気?」

 

「いや…何となく危険かなって」

 

 このまま男性陣の中に2人を置いておくのは危ない気がする。誰か、止めてくれ。

 

 と思っていたら、突然床が浸水し始めた。なんか、さっきまでその辺にいた男性陣だけでなくグレイさんとかも流されているんですけど。

 

「私、グレイ様が心配で心配で…目から大雨が…」

 

「グレイ止めろー!」「なんで俺が~!!」

 

 水を大量に発生させて浸水させているのはジュビア=ロクサーさん。グレイさんのことが好きで、いつも猛アピールしている。以前は妖精の尻尾(フェアリーテイル)と敵対していた幽鬼の支配者(ファントムロード)の幹部、エレメント4(フォー)の一人だ。っていうか、グレイさんに早く止めてもらいたい。このままだとジュビアさんの水でおぼれる人とか出そうだ。

 

 そして少し落ち着いたころ、ナツさんたちがそれぞれ今回の件について語っていた。落ち着いたのを見計らって来てくれたのか、一人の女性がこちらへ近づいてきた。この人は原作知識以外で、この世界の雑誌とかで見たことがある。S級魔導士でありながら、ウェイトレスや雑誌のモデルの仕事なんかもやっているミラジェーン=ストラウスさんだ。

 

「初めまして、ミラジェーンよ」

 

「うわぁ~!本物のミラジェーンさんだよ、シャルル!」

 

「だからウェンディ…」「あ、ごめんなさい…」

 

「いいのよ、気にしないで」

 

 確かエルザさんに初めて会った時も同じことをしていたので、横でジト目をしてみたらちゃんと伝わったらしく謝っていた。ミラさんもこういうことが多いのか軽く流してくれた。

 

「シャルルは多分ハッピーと同じだろうけど…ウェンディとゴーシュはどんな魔法を使うの?」

 

「ちょっと!!オスネコと同じ扱い!?」

 

「僕は結界魔法を使います。主に防御が得意です」

 

「私は天空魔法、天空の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)です!」

 

『!!?』

 

 ウェンディの言葉で、周囲のざわつきが静かになった。それを見て、ウェンディは少し落ち込んだような様子を見せる…信じてもらえないとか、思っているんだろうな。

 

『うおー!すげー!!滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)かー!!』

 

「え?」

 

「ナツと同じか!」「ガジルもいるし、このギルドに3人も滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)が!!」「珍しい魔法なのにな!」「ゴーシュも珍しい魔法だな!」「防御系の魔法とかこのギルド全然いないからな!」

 

 皆口々に喋っていたから、あんまり聞き取れなかった。でも、ウェンディの魔法のことは信じてもらえたらしい。それが分かり、ウェンディは笑顔になった。良かったね、ウェンディ。シャルルは反対に不貞腐れてしまったけれど…その内収まるか。

 

 ガジルっていうのは、ジュビアさんと同じく幽鬼の支配者(ファントムロード)に所属していた鉄の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)のガジル=レッドフォックスさん。当時は幽鬼の支配者(ファントムロード)でマスターの次に強い魔導士だったらしい。ナツさんたちともいい勝負だと思う。

 

 それから宴が始まった。皆それぞれ飲んで、騒いで、歌ったり踊ったり…すごく楽しそうだ。

 

「楽しい所だね!」

 

「私は別に…」

 

「うん、すごい賑やかだ」

 

 僕達の歓迎会は、夜通し続いた。途中で僕は寝ちゃったけどね。

 

 

 

「うーん…」

 

「どうしたんじゃ、ゴーシュ」

 

「あ、マスター…いや、まだ住む場所が決まってなくて」

 

 このギルドにやってきてから三日、僕にはまだ住む家がなかった。できることなら、借家とかアパートとかじゃなくて一軒家を買いたいけれど、贅沢は言ってられない。船での移動時間とかも含めて、この一週間は物件探ししかしてない。幸いギルドでご飯とかは食べさせてくれるし、ベッドとかもあるから寝泊りさせてもらっているけど…さすがにそろそろ決めないと。

 

「お主、金はあるのかの?」

 

「まあ、貯めておいたのが100万Jくらい…でも、マグノリアってどこも部屋空いてないんですね」

 

 妖精の尻尾(フェアリーテイル)が有名だからなのか、この町のアパートとかも全て探したんだけどどこも部屋が空いていない。こうなったら、どこかの宿屋を拠点にするしかないか…?

 

「フム…少し足りんが、心当たりがある」

 

「本当ですか!?」

 

「町の外れでちょっと遠いしボロボロの小さな一軒家じゃが…それでも構わんのなら儂が町長に話しておく。金も肩代わりしとくぞ」

 

 まさかのマスターからそんな情報が聞けるとは!しかも、一軒家!これはもう決定だ。そのボロボロだという家を我が家にしよう!

 

「あ、ありがとうございます!!場所は?すぐ行ってみたいんですが」

 

「ほれ、この辺りじゃ」

 

 マスターに地図で教えてもらい、住民票みたいな必要な書類を書いてマスターに託してからその場所へと向かった。

 

 

 

「ここが…」

 

 マグノリアの町の本当に端っこ、多分ギルダーツシフトでも動くことがないんじゃないかって場所。すぐ傍には森、反対側には町が広がっている。そんな場所にあった我が家は、本当にボロボロだった。とりあえずナツさんの家よりは小さい。しかも窓は割れているし屋根も穴が空いている。中の床はギシギシ言うし蜘蛛の巣とかたくさんあるし…テンプレみたいなボロ家だ。

 

「掃除、大変そうだね」

 

「他に家無かったの?」

 

「お金無かったし…っていうか、なんで2人ともいるの?」

 

「ゴーシュの住む場所がようやく決まったって聞いたから」

 

「様子見に来てあげたのよ」

 

「…それはどうも」

 

 ウェンディはともかく、シャルルはからかいに来たっぽい。まあ来てもらったからには手伝ってもらうけどね。

 

「中は…家具みたいなのはあるけど」

 

「案の定ボロボロ…やっぱり、全部出すしかないか」

 

 家の壁とか床とかに使われている木材も腐っている部分が多々ある。これは一度ぶっ壊して立て直した方がいいかもしれないって感じだ。

 

「さて…頑張るか」

 

「うん!」「仕方ないわね…」

 

 何も言わなくても手伝ってくれるから本当に大助かりだ。これ絶対一人だと面倒くさいことこの上なかっただろうなぁ。

 

 

 

 昼に始めた大掃除が終わるころには既に日が傾いていたが、ウェンディたちの手伝いもあって、思ったよりも早く終わることができた。一人でやっていたら、きっと終わるのは夜中か明日の早朝になっていたと思う。

 

「よし、今日はこれで終了だ!」

 

「でも、まだ色んな場所に穴が空いてるけど…」

 

「いや、穴っていうよりほぼ何もないじゃない!これもうただの廃墟よ!?」

 

「ま、まあ僕の結界で塞げばいいし…。後は木材で少しずつ直していくしかないから、僕一人で何とかするよ…」

 

 えっと…まあボロボロだった部分を全部引っぺがして使える所だけ残した結果、シャルルの言う通りほぼ廃墟になってしまった。中の家具とかも全て出し、水道とかはなぜか普通に使えたのでそのままにした…もちろんできれば取り替えたいけど。これを結界で塞いだらもう結界の家だな。

 

「誰かに手伝ってもらった方がいいんじゃない?」

 

「…誰かいるかな、ちゃんと壊さずに直してくれる人」

 

「「ああ~…」」

 

 妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーだと、ほぼ全員破壊者ってイメージが…これを直すってなると、複数人いるでしょ。つまり相性とかも考えないと駄目だから…どうしたものか。

 

 

 

 次の日。

 

「ここがゴーシュの家か」

 

「本当にただの廃墟ね…」

 

「いや、これぞ漢の家!!」

 

「ちょっと意味が分からないんですが…」

 

「ったく、なんで俺が…」

 

「嫌ならついて来なくていいのに」

 

「皆さん、よろしくお願いします」

 

 エルザさんにルーシィさん、エルフマンさん、ガジルさん、レビィさんを呼びました。ウェンディとシャルルもいます。木材とかも買ってきた…僕の貯金は無くなったから、エルザさんのお金で。昨日は結局ここで寝るのはまだ無理だというウェンディたちの説得?により、ギルドで寝泊まりさせてもらうことになった。

 

それで朝にウェンディたちとこの家について話しているとエルザさんが任せろと言ってくれて、力仕事にエルフマンさん、設計図を作製してくれたルーシィさんとレビィさん、そしてなぜかついてきたガジルさんが集まった。早く仕事でお金を稼いで、マスターと皆に恩返ししなくては…エルザさんは遠慮するかもしれないけど、おいしいケーキとか数十個単位であげればもらってくれるだろう。

 

「よし、では早速作業に取り掛かるぞ!」

 

『おー!』

 

エルザさんの指示の元、次々と家が組み立てられていく。土台とかは僕の結界で枠を作って、ガジルさんとエルザさんが木材の長さを調節し、エルフマンさんとタウロスが次々と枠の通りにはめていく。釘の打ち付けなんかもガジルさんがやってくれた。レビィさんとルーシィさんとウェンディとシャルルは塗装をやってくれている。僕は主にガジルさんのサポートだ。

 

そして数時間後…とうとう、僕の家が完成した。

 

「中々の出来だな」

 

「塗装もバッチリ!」

 

「これぞ漢!」

 

「だから意味わかんないって」

 

「ガジルさんも、ありがとうございました」

 

「ギヒッ…今度なんか奢れよ」

 

「うっ…お金貯まってからでもいいですか?」

 

「皆さ~ん、お昼ご飯出来ましたよ~」

 

 なんということでしょう。本当に新築の素敵な家が出来上がった。結局水道とかも取り替えたから、廃墟だった痕跡がほとんど無くなった。午前中に始めて、今は正午。ウェンディとシャルルが一旦ギルドへ行って、ミラさんと一緒にお弁当を作って来てくれた。せっかくだから中に入って食べることになったけど、まだ家具は何もないので、床に座って、皆でご飯を囲むようにして食べる。

 

「やっぱり広めに設計して正解だったね!」

 

「うん、これならそこそこ大所帯でも入るしね!」

 

「あの、二人とも?ここ僕の家なんですけど」

 

「細かいことは気にするな」

 

「そうだ!細かいことを気にしていたら漢になれんぞ!」

 

「イカれてるぜ」

 

「ホント、騒がしいわね」

 

 それぞれがご飯を食べながら談笑する。シャルルのそのカップはどこから持ってきたんだろう。6年くらい一緒のギルドで過ごして気づいたんだけど、シャルルはダージリンティーが好きみたいで、おやつの時とかよく飲んでいる。

 

「皆さん、まだ沢山ありますからね~」

 

「なんかウェンディがお母さんみたいになってる」

 

「え?」

 

 しばらくの間食事と談笑を楽しんで、夕方頃に皆帰っていった。明日から仕事、頑張らなくては。ルーシィさんほどではないけど、しばらくはお金を頑張って稼がないといけないな…。

 

 

 

数日後、初めての依頼を終えてギルドへ戻ってきた。最初は誰かのアシスタントとして行くのが普通との事だったので、雷神衆の皆さんと一緒に行かせてもらった。なんで雷神衆なのかというと、フリードさんの術式を見てみたかったから。突然のお願いだったけど、三人とも快く引き受けてくれた。仕事も山賊の討伐だったので、簡単だった。雷神衆が強いっていうのもあるけど。ウェンディに最初は一緒に行こうって言われてたけど、中々決めてくれないからまたの機会にすることにした。

 

「あれ、ナツとハッピーじゃない?」

 

「ウェンディもいるぜ」

 

「初仕事ですかね?」

 

「かもしれん」

 

 入り口に着く前にナツさんとウェンディ、ハッピーにシャルルがどこかへ出かけて行った。ウェンディたちもようやく初仕事かな?

 

「雷神衆の皆、お帰りなさい!ゴーシュ、初めての依頼はどうだった?」

 

「雷神衆の皆さんのおかげで問題なく終えられました!」

 

「ま、それほどでもあるけどね~」

 

「あれぐらい大したことないぜ」

 

「ゴーシュも見どころがある。簡単な依頼なら、次から一人で行っても問題ないだろう」

 

 フリードさんに褒められて少し照れる。本当に大したことはしていないんだけど…まあ早く一人前になりたいと思っていたから良かった。メタいことを言うと、早く一人でお金稼げるようにならないといけないしね。

 

「そういえばナツさんとウェンディたちが出て行くのを見たんですけど…依頼決まったんですか?」

 

「ううん、違うの。西の荒れ地にあるっていう、ライズって宿。そこにドラゴンを見たって人がいるんだって噂があってね」

 

「なるほど…その人を探しに行ったのか」

 

 話を聞きに行くだけだったらそんなに時間もかからないだろうし、丁度レビィさんもいるから、フリードさんにもお願いして術式教わろうかな。二人とも教えるの上手そうだし。まだ今回の依頼とこの前の評議員の時ぐらいしか術式を見ていないから、まだよく分からないところが多いし。

 

 そう考えて、二人に術式を教わりながらウェンディたちを待つことにした僕だったけど、何時間待っても二人が戻って来ることは無かった。

 

 

 

 

 




術式も覚えて始めたゴーシュ。物語の区切りに一つずつ新しい結界魔法を覚えさせていきたい。

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