fate / archer in IS 作:タマテントン
速攻で直します
[side:archer]
「束。悪いが降ろしてくれ。魔力が心許なくてな。そろそろ回復しておきたい。」
「えぇ!?またぁ!?4日前にしたばっかりじゃん!今回は戦ったりしてないし、何でそんなに早いの!?」
アーチャーと束の二人は束の隠れ家いた。束は作業を止め、不服そうにアーチャーにそう言った。
「普通、私のような霊体は1日と持たん。4日も持っていることを褒めて欲しいくらいなのだがな。」
「そんなのどうだっていいよ!何かないの!?補給が要らなくなる方法とかは!」
束は地団駄を踏みながらアーチャーに詰め寄る。
「補給は必須だ。君に置き換えれば食事を辞めろと言われているようなものだ。だが…手間の掛からない方法があるにはある。あまり勧められたものではないがね。」
アーチャーの言葉に束はホッとした表情を浮かべる。
「なんだ、あるならあるって言ってよ。これ以上他に寄ってたらクーちゃん迎えにいけなくなっちゃう所だったよ。」
「クーちゃん?」
「私の助手。詳しいことは後で説明して上げるよ。それよりも、手間の掛からない方法ってなに?教えてよ。」
アーチャーは溜息をつくと、口を開く。
「簡単なことだ。私と君が契約を結び、君の魔力を私に送る。これが一番手っ取り早い。」
「契約…ね。何か不利益を被ることはあるの?」
束はふざけた雰囲気を消し、真面目な顔になる。
「不利益か…。そうだな、私は魔力を殆ど自己生成出来ない。故に魔力を使う際、足りない分を君から貰う。魔力を扱う者を魔術師というのだが、私のようなもの何かのバックアップなしに契約すると自分の使う魔力分がなくなる。だが、魔術を使うことはできない君にとって、不利益などあってないようなものだ。」
「魔術師、ね。じゃあなんで貴方はオススメしな言っていったの?」
「それは…いや、それはこちらの匙加減だ。私が気を付ければ済む話でもある。」
「ならやろうよ!地上に降りる回数を減らせるなら何でもいい。」
「フゥ…全く君は。まぁいい。そこまで言うのなら仕方ない。」
「さぁ、時間は有限だからね。ちゃっちゃとやっちゃおー!」
アーチャーは束にジッとしているように指示を出し、束と自身の周りに魔術陣を描く。
「魔術は苦手なんじゃないの??」
束は自分の周りに描かれた複雑そうな魔術陣を見て胡散臭そうにアーチャーを見る。
「苦手だとも。だからこの大層な魔術陣を補助として描く必要がある。一流の魔術師なら指先一つで全てが済む。……これで良し。ここに血を垂らせ。それで契約が完了する。」
アーチャーはナイフを投影し、束に手渡す。束はアーチャーに言われた通り人差し指をナイフで切り指定された場所に血を垂らす。すると束を中心に紅い波紋が広がる。
「……これで終わり?」
束には自分の体を見るが、特に変わったところが無く拍子抜けしていた。
「言っただろう。魔術師でない君には大した不利益は無いと。これで以上だ。後は君らしく好き勝手にすると言い。君の言ったIS学園とやらに着くのも幾ばくか掛かるだろう。私は魔力の消費を抑えるために霊体化している。」
アーチャーはそれだけ言うと霊体化し、姿を消した。
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
一夏とセシリアの決着は予想に反して呆気なくついた。結果は一夏の敗北、セシリアの勝利である。しかし、内容は一夏の優勢であったのだが、自分の武器の特性を見落とし、自滅という形になった。
「……。」
「頼む、黙らないでくれ。」
士郎は一夏に『コイツは何をやってるんだ?』という視線を送りながら、二人は部屋に戻っていく。
「そりゃ黙りたくもなるさ。あれだけ追い詰めてたのに自滅なんて。」
「うぐっ…仕方ないだろ!自分のシールドエネルギー削りながら使う武器なんて予想つかないし!」
「まぁそうだな…今回は代表候補相手に良くやったって褒めるべきなのかもな。」
二人はそんな話をしながらそれぞれの部屋に到着する。
「まぁ、今日はゆっくり休め。」
「あぁ、そうする。」
士郎は部屋に入る。
「お帰り~。」
同室の本音が着ぐるみのような寝間着を着て、士郎を出迎える。
「ただいま、布仏さん。ん?そんなにお菓子持ってどこに行くんだ?」
「これからクラスの皆で織斑君のクラス代表就任のお祝いをやるんだよ!衛宮君も行く?」
「一夏がクラス代表?クラス代表はセシリアじゃないのか?」
「なんか辞退したんだって〜。」
「なんだって!?」
士郎は自室を出て走って一夏の元に行く。
「おい!一夏!お前聞いたか!?」
「…俺がクラス代表になったってやつか?」
「あぁ、もう聞いてたのか。なんだ思ったよりも冷静じゃないか。もっと取り乱していると思ったんだけどな。」
「いや、一周回って落ち着いただけだ。」
一夏大きく溜息をつきながら項垂れる。
「まぁ、元気出せよ一夏。お前には千冬さん譲りの才能が有る。お前が適任さ。それにクヨクヨしてるのはお前らしくないぞ。」
「…そうだな。折角選ばれたんだし、やるだけやるか。」
「よし、それじゃあ食堂に行こう。みんながお前のクラス代表の就任祝いをするらしい。」
「おう、行こうぜ。」
二人は食堂に向かって歩いて行った。
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
[side:archer]
「アーチャー。あとちょっとで着くよ。」
束の言葉にアーチャーは実体化し、キーボードを叩く束の背後に立った。
「ようやくか。これなら普通に飛行機で行った方が早く着いたな。」
「仕方ないでしょー!だってどっかの政府の追跡機撒くのに最短ルートから外れちゃったんだから!クーちゃん迎えに行けなかったから現地のホテルに延長して泊まってもらってるんだよ。」
「そういえば、結局クーちゃんとやらは紹介してもらえなかったな。」
「だから仕方ないじゃん!もうアーチャーを届けてから迎えに行くよ。」
「まぁ、それは置いておいて、だ。いい加減詳細の説明をしてもらおう。学校に雇われると言っても、どういう立場になる?ISは君の調べで乗れることはわかったが、教職免許は持っていない。用務員でもやればいいのかね?」
「ううん。普通にIS学園で調理師の募集があったから申し込んだら受かったよ。アーチャーが何で調理師免許なんて取ってるか疑問だったけど~、アーチャーのごはんは美味しいからね!でも備考欄にISに乗れるって書いたのが一撃だったかな!」
「自分の趣味を逆手にとられたか…。」
「そういうわけだから。あっちに着いたらISの試験と面接だって。」
「随分とリスクの高いことをするな。ボロが出て困るのはこちらではないのかな?」
「大丈夫だよ!ちゃんと手は打ってあるからね!」
「それもそれで怖いものだが…。」
「あ、でも、もう少し待機してね。時間になったらおろすから。そしたらその後は自由に動いて!」
「はぁ…。何を企んでいるか知らないが、余り人に迷惑を掛けないことだ。」
「いやぁ~、他人なんてどうでもいいし~。私は箒ちゃんとちーちゃんといっ君がいてくれればいいし。」
「君はブレないな。そこまで貫き通せるならその思いは間違いなく本物だ。」
アーチャーは肩をすぼめながら椅子に脚を組んで座る。
「そんなの改まって言うことじゃないじゃん。アーチャーだってそういうの持ってるでしょ?わざわざ紛争地にまで行って人助けしてたじゃん。死んでるのに人助けなんてお人好しにも程があるよ~。」
「…そうだな。全くもってその通りだ。作戦の日とやらが着たら教えてくれ。それまで私は魔力の無駄を省くために霊体化しておく。」
アーチャーはそれだけ言うと霧のように姿を消した。
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
[side:shirou]
士郎はいつも通り朝早くに目覚め、外に行き、学園の敷地内にある人気のいない森の中へと入っていく。そして足元にある枝を拾い上げる。目を閉じて神経を枝に集中させる。
「————同調、開始。」
いつも通り魔術回路をつくり、枝に魔力を流して強化する。
「っ…。」
集中を乱さぬようにゆっくりと確実に魔力を枝に行き届かせる。そして魔力を流し終えると、閉じていた眼を開き、枝を近くにあった岩にたたきつける。すると、枝の先端部分が欠けてしまった。
「くそ、魔力がちゃんと行き届いてなかったのか…。」
士郎をは新しい枝を探しに行くが10分探しても見つからなかったため投影魔術でナイフを創り、そこに魔力を流す鍛錬をする。
鍛錬を終え、学校に行く時間になり、士郎はナイフを消すと校舎へと向かっていった。教室に着くと一夏がうつ伏せになって倒れているのを発見した。
「おい!一夏!どうしたんだ!?」
士郎が一夏を仰向けにすると、一夏の頬に奇麗な紅葉の後があった。
「ん?何だこの跡。お前誰かに叩かれたのか?」
すると周りにいた箒とセシリアが説明をした。
「衛宮、実はさっき中国からの転校生が来てな。まぁ、省略すると、一夏が悪い。」
「なんでさ。省略しすぎて何もわからないぞ。」
「簡単に説明致しますと、一夏さんとその中国の転校生がお知り合いでして、約束を反故にしたというか、勘違いしてよりタチの悪いことをしたというか…。」
「中国からの転校生で知り合い…?もしかして鈴のことか?」
「そうなんだよ…。」
一夏が頬をさすりながら起き上がる。
「あいつが突然切れてぶっ叩かれてさ。あいつ前からあぁいうところあるよな。」
(ん?前に鈴が切れたことと言えば…)
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
(スーパーでの一幕)
ある日スーパーで士郎と一夏と鈴は織斑家の夕食の買い物に来ていた。
『一夏、俺は野菜を見てくるから、肉は頼むな。』
『わかった。じゃあ鈴、肉のところ行こうぜ。』
『う、うん!わかった!』
二人は一緒に肉売り場に足を運ぶ。
『なぁ、鈴。こっちの肉とこっちの肉どっちがいいかな?こっちの方が安いんだけど、こっちの肉は結構良いと思うんだよな。お前の家料理屋だろ?アドバイスしてくれよ。』
『えっと…、やっぱりこっちの方かな。いくら安いからってそれよりもこっちの方が良いお肉だし、それを考えたらこっちの方がお得よ。』
『やっぱりか!鈴は頼りになるな。』
『っ、と、当然よ。……ねぇ、一夏。二人で買い物してると、周りから恋人っぽくみえるかな…?』
『ハハハ、まさか。俺たちじゃきっと兄弟に見られてるぜ!』
『……。』
『ん?おい、鈴。どうかしたか?』
『この…馬鹿ぁ!!』
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
(そういえばあの時、すぐ後ろにいたけど、雰囲気的に近付きづらくてしばらく見てたらそうなんたんだっけな…。)
「おい、士郎。お前も鈴って切れやすいと思うよな?」
一夏が同意を求めるように士郎に尋ねる。
「いや、たぶん今回もお前が悪いと思うぞ。」
「なんでだよ!」
すると突然一夏の頭に拳が飛んでくる。
「いってぇ!!な、なんだ??」
一夏が振り向くとそこには拳お振り下ろした形で千冬がいた。
「チャイムはとっくになっているはずだが?」
一夏が周りを見ると、先ほどまで目の前にいたはずの士郎や箒たちは既に着席していた。
「あ、あれ?」
「良いから座れ。」
千冬は軽く出席簿で一夏を小突くと教卓へと向かった。
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
1時間目の授業が終わると、勢いよく教室の後ろのドアが開く。士郎は音のする方へ振り向くと、見知った顔を発見した。
「ヤッホー士郎。」
「よう。元気そうだな鈴。」
「まぁね。アンタも相変わらずお人好しそうな顔してるわね。」
「なんだよそれ。というか何しに来たんだ?」
「ちょっと一夏に宣戦布告をね!」
「宣戦布告?何のだよ?」
「一夏クラス代表でしょ?だからその宣戦布告。アタシ2組のクラス代表だからね。」
「そういえばそうだったな。まぁ、あまり派手にやり過ぎないようにな。」
「はいはい、わかってるわよ。」
鈴音はそう言うと、一夏の元へと歩いて行った。
(鈴も全く大変だな。)
士郎は2時間目の準備を始めた。