fate / archer in IS   作:タマテントン

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第6話

一日目の授業がすべて終わり、士郎は一夏と共に学生寮に向かう。

 

「おい、士郎…。」

 

「あぁ…我慢だ一夏。」

 

士郎と一夏の後ろには大勢の女子がついてきていた。

 

「初めだけだ。その内飽きるだろう。」

 

「そうだといいけど。」

 

士郎と一夏は軽口をたたきながら歩き、学生寮に到着する。

 

「そういえば、士郎。お前の部屋はどこなんだ?」

 

「えっと…1026号室だな。一夏もだろう?」

 

「ん?俺は…1025号室だ。」

 

「へぇ~そっか。」

 

「あぁ。」

 

「…ってなんでさ!?部屋って二人部屋だよな!?」

 

「あぁ、そういってたけど。」

 

「じゃあ何で一夏と同じ部屋じゃないんだ!?おかしいだろ!」

 

「そういえばそうだな。それじゃあ寮長に言ってみるか。」

 

士郎と一夏は二人で寮長室に行くが、部屋には誰もいなかった。

 

「寮長って先生だもんな。今は仕事してるか…。」

 

「仕方ないか。一夏、一度部屋に行くぞ。」

 

二人はそれぞれ与えられた自室へと向かった。

 

「ここか。それじゃあな一夏。」

 

「おう、じゃあな士郎。」

 

士郎は部屋に入り、部屋を見渡す。

 

(結構きれいだな。パソコンも置いてあるし、ん?ここはキッチンか。トイレは共用って言ってたな。ここがシャワールームだな。同居人は居ないみたいだな。荷物は置いてあるからどこかに行ってるのか。)

 

士郎は荷物を置き、パソコンを起動させる。士郎はある動画サイトを開き、あるワードを入れ検索をかける。開かれた動画を士郎は食いつくように見る。

 

「俺もいつかはこいつみたいに…。」

 

士郎が動画を見ていると、扉が開く。

 

「あれぇ?衛宮君だー。私は布仏本音だよ。よろしくねぇ~。」

 

眠そうな目をした女生徒は士郎に挨拶をすると奥のベッドに腰掛ける。

 

「よろしく。衛宮士郎だ。悪い、何かの手違いで君と同室になったみたいだ。後で寮長のところに行って、部屋割りについて相談してみるから、少しだけ我慢してくれ。」

 

「んー?別に気にしなくていいよー?」

 

「そういうわけにはいかないだろ。そろそろ寮長が帰ってるかもしれない。俺少し行ってくるよ。」

 

士郎は部屋を出て寮長室へ向かう。寮長室に到着し、ノックする。

 

「誰だ?」

 

ノックをすると中から声が聞こえてくる。

 

「この声は…織斑先生、衛宮です。」

 

「士郎か。入れ。」

 

士郎はドアを開けて中に入る。千冬は手元にある何かの資料を読みながら士郎に話しかける。

 

「今はプライベートだ。先生呼びはしなくていい。それで何か用か?」

 

「あ、いや。同室の人が女の子だったから来たんですけど。」

 

士郎の言葉を聞き、千冬は手元の資料を閉じ、机の上に置いた。

 

「なるほど、一夏と別室だったから何らかの手違いかと思ったわけか?」

 

「はい。」

 

「喜べ、それは手違いではない。そういう元からだ。」

 

「へ?」

 

「なに間抜け面を晒している。元からだ。わかったのなら早く戻れ。悪いが仕事がまだ残っていてな。今は相手をする時間がない。」

 

「わ、わかりました。失礼します。」

 

士郎は千冬の部屋をでて大きくため息をついた。

 

「ハァー…。なんでさ。」

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

翌日、士郎は一夏と共に登校し、席に着く。授業開始のチャイムが鳴ると、千冬が教室に入り教卓に立った。

 

「今日はクラス代表を決める。自薦他薦は問わない。誰か希望が居るか?」

 

千冬がそう言うと、教室中で一夏と士郎の推薦の声が上がる。

 

「俺かよ?」

 

「クラス代表って。今までISを触ったことのない俺が務めるのもおかしくないか?俺は代表候補生のセシリアが良いと思うぞ?」

 

士郎はセシリアを推薦すると、セシリアは机に勢いよく両手を置き、立ち上がる。

 

「当然ですわ!男がクラス代表になるなど、恥さらしもいいところですわ!こんな後進国の国に来ただけでも耐えられないというのに…。」

 

セシリアの言葉を聞き、ムッときた一夏は立ち上がる。

 

「イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一不味い料理ランキング何年覇者だよ?」

 

「くっ、貴方!私の母国を馬鹿にしましたわね!?決闘、決闘ですわ!」

 

「望むところだ!」

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

「しろー!!どうすればいい!?」

 

一夏はセシリアと決闘することになり、放課後になってすぐ士郎に泣きついた。

 

「ハァ…全く。考え無にも程があるだろ…。俺に言われても困るぞ。ISの事はさっぱりだからな。千冬さんに聞いたらどうだ?世界チャンピオンが折角近くにいるんだ。教わらない手はないだろ?」

 

「……いや、千冬姉には頼らない。俺は家族を守りたいんだ。こんなところで千冬姉には頼れない。」

 

「ハァ…お前も頑固だな。」

 

「士郎には言われたくないな。」

 

二人で軽口をたたき合っていると、一人の女生徒が二人の元に近づき、一夏に話しかける。

 

「おい、一夏。お前、あんなこと言って大丈夫なのか?」

 

「箒。いや、まぁ今から頑張れば何とか…。」

 

「ハァ…お前という奴は。」

 

箒と呼ばれた少女と一夏は親しげに話している。

 

「おい、一夏。この人は?」

 

士郎は一夏にそう尋ねると、女生徒が士郎に挨拶をする。

 

「すまない。名乗り遅れた。私は篠ノ之箒と言う。一夏とは幼馴染でな。小学4年生までは同じクラスだったんだ。」

 

「俺は衛宮士郎だ。よろしく。」

 

二人は挨拶を済ませると、一夏が箒に話しかける。

 

「そうだ!箒、頼む!俺にISを教えてくれ!」

 

「わ、私に!?」

 

「あぁ、頼む。お前だけしかいないんだ!」

 

一夏の言葉に箒は顔を赤くして狼狽える。

 

「わ、わかった。そこまで言うなら仕方ない。私が面倒を見てやる。早速教えてるから来い!」

 

箒は一夏の手を掴みどこかへと連れて行った。

 

「本当に大丈夫なのか?アイツ。」

 

士郎は二入と別れ、トイレに行ってから教室にある荷物を取りに行くと、教室に残っていたセシリアに会う。

 

「セシリアじゃないか。まだ帰らないのか?」

 

「あら、貴方ですか。貴方はあの人とは仲が良いのですか?」

 

「あの人って、一夏の事だよな?まぁ、仲は結構いいぞ。一夏の家には小さいときから世話になってるからな。」

 

「あら、小さいときから知り合いですの?」

 

「あぁ、俺、親が居ないからさ。千冬さん…織斑先生と一夏と一緒に暮らしてたんだ。」

 

「あ…それは…。」

 

セシリアは気まずそうな顔をする。

 

「気にしないでくれ。もうずっと前の事だからさ。あいつ結構天然だし、鈍感だけど悪いやつじゃないんだ。だから、あんまり誤解しないでやってくれるか?」

 

「それは…今度の決闘ではっきりしますわ。」

 

「まぁ、それもそうか。一夏もそっちの方が向いてるかもしれないな。ただ、そう悪いやつじゃないってことだけは言いたかったんだ。それじゃあ俺はもう帰るよ。じゃあなオルコット。」

 

「えぇ、衛宮さんもまた。」

 

士郎は荷物を持つと教室を出た。

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

[side:archer]

 

「…やれやれ。いい加減諦めてほしいんだが?」

 

アーチャー内戦により廃墟となった建物の中で誰もいない空間に話しかける。

 

「そういうわけにはいかねぇなぁ?」

 

誰もいないはずの場所から一人の女が出てきてアーチャーと向かい合う。

 

「また君か。オータム…だったか?」

 

「化け物に名前を憶えていただけるとは光栄だなぁ!」

 

そう言うと同時にオータムと呼ばれた女はISを纏い、アーチャーに襲い掛かる。

 

「化け物とはまた随分な言い方だ。」

 

アーチャーは腰に付けた干将莫邪を取り出し、オータムの攻撃をいなす。

 

「ハンッ!生身でISとやり合う奴が人間な分けねえだろうが!あの時の借り、今日こそ返してやらぁ!!」

 

オータムはアーチャーに向かって銃を乱射する。

 

「悪いが、今日も逃げさせてもらおう。無駄な戦いは避ける(たち)でな。」

 

「逃がすわけねえだろうが。」

 

オータムはアーチャーが何かをする前に突撃する。

 

「お前のバカげた弓の実力はもう知ってんだ。それに比べりゃテメェの近接攻撃は大した事ねぇ!」

 

「フッ…舐められたものだ。忘れたのか?君は以前私の蹴り一撃で気絶したことを。」

 

アーチャーは相手の懐に潜り込み、腹に強烈な蹴りを打ち込む。蹴られたオータムは壁を数枚破壊しながら吹っ飛んでいく。

 

「む?」

 

アーチャーは蹴りの感触に違和感を感じ、足を止める。

 

「っ…。防御性能を上げてもまだこの威力かよ…。マジで化け物だな…。」

 

オータムは覚束ない足取りで立ち上がる。

 

「なるほど。そう何度もやられてはくれないか。」

 

「そういうこった。今日こそ決着をつけてやる。」

 

オータムは再びアーチャーに向かって銃を乱射しながら突撃する。アーチャーは弾丸を両手に持った干将と莫邪で弾きながら後退する。

 

(更に力を込めて蹴り飛ばしても良いのだが……。)

 

アーチャーは干将莫邪をしまい、一本のを投影し、それを建物の中心に位置する大きな柱に向かって投げて突き刺す。

 

「なんだ?ついに気でも狂ったかよ!化け物!!」

 

「生憎と私は冷静だ。君はしばらくここで埋まっていると良い。」

 

「あぁ?何言ってやがる?」

 

アーチャーは力強く踏み切り、罅の入った窓を割りながら身を外に投げ出す。

 

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

 

柱に刺さった剣がいきなり爆発を起こし、瓦礫がオータムの元に降り注ぐ。

 

「この程度は時間稼ぎにしかならんな。今のうちに撤退するのが得策か。」

 

アーチャーは崩壊した建物をしり目にその場を離れて行った。

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

「ここ数年会わなかったのに、どういう風の吹き回しだ?」

 

「まぁまぁ、そういわないでよ~。せっかくアーチャーが逃げるのに一役買ったんだから。」

 

アーチャーは廃墟から撤退している最中に束の隠れ家に拾われていた。

 

「今まで接触が無かった君が、突然私の元に来るなど、何かあると言っているようなものだろう。それで?用件はなんだ?」

 

アーチャーは壁に寄りかかりながら椅子に座る束に尋ねると、束は椅子から立ち上がり、アーチャーの前に立つ。

 

「お願いがあってね!貴方にはIS学園に行ってほしいんだ!」

 

イタズラっ子のような笑みを浮かべながら束はアーチャーにそう言った。

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

[side:shirou]

 

「おい、一夏。お前今日がセシリアとの対決だけど大丈夫かよ?」

 

士郎と一夏はいつものように周りから視線を受けながら登校しているとき、士郎は一夏に決闘について尋ねる。

 

「あぁ…やばいよ…。箒…クラスメイトの篠ノ之箒って奴に見てもらってたんだけど、結局剣道やって終わっちまった。まぁ、それはどうにかしてやるさ。そんなことより士郎こそこの一週間何してたんだよ?放課後すぐどっか行っちまうし。」

 

「部活に行ってたんだ。」

 

「部活!?いつの間に…。何部に入ったんだよ?やっぱりアレか?」

 

「あぁ、弓道部だ。」

 

「そういえば、士郎って弓道馬鹿上手かったよな。」

 

「そうでもないさ。それより、今日の事だろ?少しでもISの勉強しておいたほうがいいんじゃないか?」

 

「…それもそうか。付け焼刃でもやらないよりはマシだな。」

 

二人は教室に到着し、それぞれ席に着く。授業を受け、放課後となった。士郎は一夏、箒と共に第三アリーナへと向かう。

 

「それで?自信の程はどうなんだ一夏。」

 

「あぁ、何とかするさ。それにしても俺に専用機が来て、お前には無いなんてちょっと気が引けるな…。」

 

「そんなこと気にしなくていいぞ。俺のIS適正はCだからな。適正Bのお前の方に専用機をやるのは当然のことだしな。」

 

「それでもなんかな…。」

 

「そんなことよりこれからの試合だろ。そっちの心配をしろよお前。」

 

「いやぁ、もう逆に開き直ったって感じかな。ここが指定場所だよな。入ろうぜ。」

 

ある扉の前に到着し、一夏はそこに入っていく。後に続くように部屋に入ると中に千冬と真耶がいた。

 

「来たか。織斑。なんだ、保護者同伴か?」

 

千冬からかうような眼差しで一夏を見る。

 

「違うって!それより俺の専用機はどこなんだ?」

 

「あそこだ。山田先生から説明を聞け。」

 

一夏は専用機の元に向かって歩いて行った。士郎と箒は千冬と共にモニターの前に立つ。

 

「織斑先生。一夏に勝機はありますか?」

 

「さぁな。だが、あいつの意外性は中々ものだぞ。それに、あの機体の武器は特殊でな。どれだけ格上の相手でも勝機はある。」

 

「あ、あの織斑先生、衛宮とはどういったご関係で?」

 

箒が恐る恐る千冬に尋ねると、一瞬不思議そうに箒を見たが、少しして納得のいったような顔をした。

 

「そういえば、衛宮はお前と入違いで学校に入ったんだったな。こいつは小学5年の時から家で面倒を見ている。最も、私と暮らしていたのはそれよりも前からだがな。私が一応こいつの後見人になっている。」

 

「あ…そういうことでしたか。」

 

三人で話していると、一夏の準備ができ、アリーナへと飛び出し、試合開始の合図が出された。

 

「ついにか…。」

 

士郎は一夏とセシリアの勝負を見る。セシリアは遠距離攻撃主体で一夏を攻撃するが、一夏が手にしている武器は剣のみ。

 

「一夏の奴何で銃を使わないんだ?素人とは言えこの状況では普通銃を使わないか?」

 

士郎が疑問を口にすると、隣に立つ千冬が返答する。

 

「織斑の機体は近接戦闘特化型だ。故に奴の装備はアレ一本だ。」

 

「…新手のイジメですか?」 

 

「なに、私の現役時代も剣一本だ。」

 

『アンタと一緒にするな』という言葉を飲み込み、士郎は一夏達の戦いを見る。

 

戦いセシリアが遠距離攻撃で流れを掴み、セシリア優勢で進んでいる。一夏はセシリアの攻撃を避け切ることが出来ずに被弾してしまう。

 

「なんか…下手というより、慣れてないって感じですね。無駄な動きが多いというか。」

 

「その程度数秒で慣れてほしいものだが…。」

 

『ダメだこの人。スパルタにも程がある。』という言葉を更に飲み込み、士郎は再び二人の戦いを観る。すると、一夏の動きが目に見えて良くなり始める。

 

(流石だな。剣道も小学生の時は一本も取れなかったしな。やっぱりアイツの才能は千冬さん譲で一級品だ。)

 

しかし、一夏はセシリアを追い詰め、あと一歩の所でセシリアが遠隔操作するブルー・ティアーズによって迎撃され、ロケットが一夏の機体に当たり爆発し、煙が立ち昇る。

 

「なっ、一夏!!」

 

士郎と箒は心配そうに一夏を見るが、隣に立つ千冬は涼しい顔をしていた。

 

「機体に助けられたな。」

 

千冬がそう言うと、煙の中から一夏が出て来る。

 

「機体が変わっている…?」

 

士郎は不思議そうに一夏の機体を見ると、千冬がその疑問に答える。

 

「やっと最適化が済んだのだろう。ここからが本番だ。」

 

千冬の言葉に士郎は注意深く一夏たちの試合を観た。


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