「ではクラス対抗戦の代表を決める」
教室に着くと千冬姉さんが話し始める。
各種集まりがある場合代表として出席したりする通常の学校でもある仕事に加えて、運動会のクラス対抗なんちゃらと言った風な具合でクラスの代表として戦闘を行わなければならない。
「自薦他薦は問わんぞ」
「だったら織斑君がいいと思います!」
「私も織斑君に一票!」
………。
学園唯一の男子生徒としての物珍しさから推薦されているだけのような気がする。
だがしかし、考えようによっては通常よりもISの操縦経験を濃厚に積めるといった良い機会でもある。専門用語を始めとした知識を取り敢えず詰め込んではあるもののやはり実際に触れてみて操縦しなければ分からないこともあるだろう。
今の状況は以上のことを踏まえて悪くないものと言える。推薦される原因を考えると微妙な気分になってしまうのだが……あまり気にせずいた方が精神衛生上都合が良い。寧ろ此処で自薦してみると言ったアピールの仕方もありかもしれない。
なすがままに自分にきまりそうな流れに乗っている所に待ったが掛かる。
「納得がいきませんわ!」
最前列の自分の耳にもはっきりと聞こえる否定の声。
今までほぼ女子校であるという特殊な環境にのみ注目していたが、同時にIS学園はエリートが集まっていることを思い出す。ISは使われている技術が全てにおいて最先端だと言われている、乗るにしろ弄るにしろある程度はそれらを理解する必要があるのだ。当然求められる知力も高水準となる。
純然たる事実として男子であるだけで入学したぽっと出の自分ではエリートの代表として不十分だと言いたいのだろう。
「―――聞いてますの?」
後ろから聞こえて来る言葉を聞き流しながら考えていると言葉が止まる。
自薦のスピーチとして此方への攻撃を行っていると思ったのだが……反応を期待してのことだったのか。もしかすると自分も何か抱負を発表してから多数決だろうかと考え事をしていた。
千冬姉さんも特に止めるつもりもないみたいなので、自分が応えなければ話しは進まないのだろう。
「うん、一応」
「いちっ――! 馬鹿にしてますの!?」
立ち上がり顔を合わせると何処かで見覚えのある顔だ。確か昨日箒との鬼ごっこの時にぶつかりそうになった子か。あの時よりも遥かに目を釣り上げて怒りを顕にしている姿を見て思い出す。
「してないよ」
「ではその無気力ぶりは元からですのね。全くこれだから男というのは――」
またしても流れ出てくる罵倒の嵐。
日本人であること。男であること。庶民であること。僕のあらゆる要素が気に入らないらしい。あまり舌を回さない側の人間からするといっそ清々しい程の口数だ。
「つまり私がクラス―――」
「代表候補生を勝ち取るまで―――」
「華々しい―――」
…………。
……。
…。
「―――以上のことから私に相応しいのがクラス代表という立場なのですわ」
「貴方はどう思って?」
…はぁ。
「どうでもいい」
これで漸くアニメ一話分。
リアクションが(基本)良くない湊君だとマジンガートークになってしまう初期セッシー。