流れる汗が心地好い。
始めは通常通りの剣道で箒と竹刀を交えていたのだが段々と残心も気にせず打ち合う乱打戦となり、既に蹴りでも投げでも有りな攻防戦となっている。面も投げ捨て隙を見ては、隙がなくとも竹刀を打ち込む瞬間を作り出す。
だけど疲労で甘くなっていたのだろう一撃を軽く受けられ、いつの間にか竹刀を手放していた箒に投げられてしまった。気付いた時には足の裏に床を踏みしめる感覚はなく浮遊感の後に背中へと衝撃が襲って来た。
ようやく取り戻せて来た感覚に従い素早く跳ね起きようとするも、数瞬隙が生まれてしまっていたのだろう、竹刀を手の内に戻した箒に喉元へと竹刀の切っ先を突き付けられ諦める。
「……参った」
「ああ、私の、勝ちだ」
互いに肌に汗を滴らせ髪を濡らし蒸気を立ち登らせるまでになっている。呼吸も乱れ、剣道…剣道?を終わってしまった今では手足が床にへばりついたかのような疲労感を自覚する。
シャドウと戦っていた頃の所謂最盛期とは比べ物にならない位劣っているが、幼い頃に箒と共に剣道を習っていただけにしてはよく動けた方ではないだろうか。
短期間での筋力や持久力のアップは微々たるものであり勘を取り戻すのがあくまで主な目的だ。筋肉痛とも相談しつつ箒にオルコットさんとの決闘の日まで付き合って貰えばいいだろう。
本日の特訓の成果を把握して満足しては差し出された箒の手を取る。
「っとと」
「わっ、わ!」
多少とかなり、慌てた二つの声が発せられた後に小さくない衝撃音が響く。
自分はほぼ仰向けに寝転がっていた状態だから問題ない。軽くしゃがんでいた箒は大丈夫だろうかと、綺麗に胸元へと顔を収めた幼馴染に声を掛ける。上から身体に押し付けられる大きな二つの塊の柔らかさを感じながら。
「大丈夫?」
「だ、だだだ大丈夫だ!」
「わー、バトルから一転ラブコメ!」
「べったべただねぇ」
「ひゃー……篠ノ之さんすけべ!」
「ちょっと待て!? 何で私が……」
「彼女は己の武器である豊満な乳房を下にいる男に押し付けた。かぐわしい雄の匂いに衣服の下では突k」
「止めろぉ!!」
惚れ惚れする動きで自分の上から退いた箒は見学していた一人に竹刀で斬りかかった。流石に不味いだろうと慌てるも太刀筋を読み切った上で真剣――否、竹刀白刃取りを披露していた。箒相手に凄まじい見切りだ。明日以降は彼女にも相手をお願いするのもいいかもしれない。
「大人しくっ、斬られろぉ……!」
「ふふふ……図星を当てられちゃって照れてるのかな?」
「ち、違うぞ!」
「そんなこと言ってその爆乳の先っp」
「だ、か、ら、止めろぉぉ…!」
「ぬぉぉぉ…ちょ、マジでたんまたんま…!!」
仲良くしている二人を眺めつつ渡された飲み物にお礼を述べてから口をつける。少々変わった形ではあるが箒にも友達が出来たようで安心する。
自分も先程の箒との試合を話題に、箒とその友達のじゃれ合いが終わるまで剣道部員との交友を深めた。
細かく描写しようとすると話が進まず文字数が嵩む。
原作よりも激しいバトルでした。
所で原作で、束さんは自称細胞単位で天才らしいけど、千冬姉も身体能力的に同じ感じなんだろうか。
あとそこら辺は箒とか一夏は兄弟で似てないんだろうか。
あとP3の主人公とかって、影時間はシャドウとバトってるけど素の身体能力とかってどうなんだろう。
対シャドウとか影時間にだけパワーアップしてたのかな。