『TDD-1建造』相良宗介、軍曹から提督へ   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。



またしても、テッサ(偽)出ません><
次こそは!!


色々訂正してますので、初期投稿時と若干違います。


第七話 レーバテイン出撃

神通は覚悟を決めた表情をし、メリダ島から東大凡160㎞に位置する島の方向へ高速で海上を進んでいく。

 

メリダ島西側に位置していた重巡棲姫は海上を東に航行する神通に気が付き、追撃を開始した。それと同時に、東の島を砲撃していた深海棲艦の一部も神通に向かい移動しだす。

このまま行くと、何れは挟み撃ちとなるだろう。

 

しかし、神通はそれに気が付くもお構いなしに、そのまま東へ東へと進む。

 

しばらくし、メリダ島側の重巡棲姫率いる深海棲艦から、多数の艦載機が神通に迫る。

神通は後ろ向きに航行し、艦載機を正確な砲撃で次々と落として行くが、神通一人では対処できる数ではない。ついに神通に追いつき、爆撃を開始しだしす。

それでも神通は後ろ向きのままスピードを緩めず爆撃を避け、艦載機を次々と落としていくのであった。

並みの艦娘では出来る芸当ではない。日本屈指の艦娘である神通であるからこそなしえるのだ。

 

しかし、正面を向き、真っすぐ進むよりスピードが鈍るのは必然である。敵艦載機による爆撃が一時的に収まり艦載機が引き出した頃、ついに先行追走してきた重巡棲姫率いる船足が早い水雷部隊が追いついてきたのだ。

 

追走する重巡棲姫を一瞥した後、神通は東の島へ向き直り、スピードを上げ突き進む。その間敵魚雷攻撃及び重巡棲姫からの砲撃が襲ってくるも、避けつつそのまま東に向かう。

しかし、このまま進んでも東の島からの追撃部隊が迫ってくるのも時間の問題なのは神通も分かっているはずである。

 

神通はしばらく砲撃を避け続けていたが、急に反転し、重巡棲姫が率いる足の速い部隊に反撃を開始したのだ。

「この時を待っていました。覚悟してください」

 

メリダ島からの追撃部隊18体3部隊は部隊間が間延びし、各部隊が追走中に足の速い部隊順に部隊間距離が離れていったのだ。

重巡棲姫、率いる足の速い部隊は、他の戦艦級率いる水上砲撃部隊と空母級率いる機動部隊と距離が大分と離れ、神通を追ってしまっていたのだ。

 

神通の狙いは、東の島への敵誘導ではなく、この海域に現れた深海棲艦の司令塔である重巡棲姫の単独撃破だったのだ。

重巡棲姫を撃破出来れば、部隊は撤退、再編にも時間がかかるだろうと考えたのだ。

その為に、出来るだけ、敵兵力を分散させ、重巡棲姫と直接対決にもちこんだのだ。

 

重巡棲姫は神通のその言葉でようやく自分が罠にはまった事に気が付いたのだが、重巡棲姫の有利は変わらない。

「……フフッ、アジナマネヲ、カエリウチニシテクレル。シズメ!!」

 

そして、神通と重巡棲姫、軽巡級2、駆逐級3の正面戦闘が始まる。

神通は敵砲撃をかわしながら猛然と重巡棲姫率いる部隊に迫り近距離戦を展開してい行く。

 

神通は敵の部隊の真中突っ込み、超近距離砲撃を開始していく、敵部隊は同士討ちを避けるために、どうしても砲撃を躊躇してしまう。その隙に、神通は次々と駆逐級、軽巡級を撃沈させていく。

 

神通も無傷では居られなかったが小破状態で重巡棲姫と1対1で対峙するまでに持って行き、14㎝砲を構える。

「お覚悟を!」

 

「フン、ナマイキナ……オシカッタナ、ジカンギレダ」

重巡棲姫は決死の表情をする神通に向かって、余裕の笑みを浮かべそう言った。

 

すると、神通に魚雷が迫り、近くで爆破する。

神通は何とか避ける事が出来たが、その余波を受け、後退し、海上に膝を付く。

 

すると敵艦載機が上空で神通を囲む様に飛来してきたのだ。

そして、追撃部隊の戦艦級率いる水上部隊、そして、東の島から向かっていた、足の速い水雷部隊が到着した。

 

神通は敗北を悟る。

元々、重巡棲姫と対峙する時間は限られていたのだ。追撃部隊や、艦載機の第二次攻撃、そして、東の島からの部隊が来るが直ぐに迫ってくるからだ。

そのわずかの時間で決着を付けなければ、勝機は無かったのだ。

 

神通は周りを見渡し

「そうですか、残念です。しかし、貴方だけでも!!」

 

神通は重巡棲姫に向かい玉砕覚悟で突き進み砲撃を加えようとするが、艦載機、その他部隊から砲撃、爆撃が飛んでくる。

神通は、猛然と進むが、数が違いすぎる。

 

吹っ飛び、水上に倒れる。

 

しかし、神通はゆらゆらと立ち上がり、重巡棲姫を見据える。

 

神通は体中を赤く染め、戦闘服はどこもかしこもボロボロとなり、艤装も14㎝砲一砲塔を残して、破損、脱着し、左腕はだらんと垂れ下がり、呼吸も荒く、いつ轟沈してもおかしくない状況であったが、目の光は失わず、闘志を切らしていなかった。

「……みんなを、……相良提督はやらせない」

 

 

「フフッ、アトデソイツラモ、ナカヨクオクッテヤルヨ!!オトナシクシズンデシマエ!!」

重巡棲姫はそう言って手を上げ、攻撃の合図をする。

 

 

 

その時だった。

神通と神通を取り囲む深海棲艦頭上に巨大な影が下りてきたのだ。

それと同時に上空から弾丸が雨あられと、神通を取り囲む深海棲艦に降り注ぐ。

深海棲艦達は溜まらず、退避行動をとり、神通から離れて行った。

 

 

そして、その巨大な影は神通の真上に降り立ったのだ。

 

神通はその様子を目を丸くし、深海棲艦が退避する様を見た後、頭上の影を見上げる。

そこには10m弱の人の形をした何かが水面に立っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

宗介は何時もの野戦服のまま、ジャングルの下にある航空機発着場で緊急展開ブースター装着したレーバテインに乗り込んだ。

「アル!!発進はまだか!!」

 

「緊急展開ブースターに燃料注入中です」

 

「急げ!」

 

「了解………昔の軍曹のようですな」

 

「ああ、そうだな、これ(レーバテイン)に乗っている間は前に戻れる」

 

「準備完了、いつでも発進可能、基地発進口開口します」

 

「行くぞ!」

レーバテインをAS用カタパルトに足をロックさせ、発進準備を完了させる。

 

「了解」

緊急展開ブースターのエンジンが点火し、激しくバーニアが吹き荒れる。

 

 

そして、地下滑走路から一気に地上に出て、勢いよく空へと向かって飛びだした。

 

 

 

 

宗介は上空から神通を囲む深海棲艦の姿を捉えた。

「アル!!」

 

緊急展開ブースターに装着していた巨大なガトリング砲2丁をサブアームの補助を受け両手で持ち、深海棲艦に頭上から無数の弾丸の雨を降らす。

 

 

 

レーバテインの後頭部から放熱用の髪の毛の様な放熱索を放出させ、ラムダ・ドライバを起動させ、そして、神通が立っている、水面へと静かに降り立ったのだ!!

 

ラムダ・ドライバにより、レーバテインが降り立った海上に力場が発生し、水面は波紋の様な波を打っている。

 

 

 

宗介は降り立つと同時にアルに叫ぶ。

「アルまかせた!!」

 

「了解」

するとレーバテイン(アル)はその意図が分かったかのように、立ったまま頭部がズレ、ハッチが解放する。宗介は素早くコクピットから出て、ワイヤーロープを片手に、飛び降りる。

 

 

重巡棲姫はその様子を驚きながらも、攻撃を指示する。

「ナ……ナンナンダ!!……シズメ!!」

 

深海棲艦はガトリング砲による砲撃からようやく立ち直り、無数の砲撃を艦載機及び砲身から巨大な人型兵器、レーバテインに浴びせるが、全て、途中で砲弾や爆雷は爆破または消滅する。

まるで見えない壁があるかのように……

 

アルがラムダ・ドライバでレーバテインの周りに障壁力場を張ったのだ!!

そして、レーバテインはその場で回転しながら、ガトリング砲を深海棲艦に浴びせる。

 

 

宗介は、ワイヤーロープ片手にレーバテインのコクピットから飛び降り、海上で此方を驚きの顔で見上げフラフラと立っている神通を抱き寄せ、レーバテインが回転する勢いを使いつつ、ロープを巻き上げ、コクピットの頭上へと上手く着地。

 

 

「……あの、その」

神通はここに居るはずがないと思って居た宗介に抱き上げられ混乱していた。

 

「済まない」

宗介は片手で抱き上げているボロボロの神通を見てそう言って、残っている手で神通の残っている艤装を取り外した。

 

「きゃぁ」

神通はますます混乱する。

 

そんな神通をよそに宗介は神通をお姫様抱っこの様な抱き方をして、後ろからコクピットに体を預ける。

「しっかり首に掴まれ」

 

ASのコクピットは極端に狭い。人がやっと一人はいれる程度だ。幸いにもレーバテインはM9系に比べ、多少コクピットに余裕があるが人2人が入るスペースは厳しい。

 

宗介はコクピットに座り、神通を膝の上に横に座らせ、腕を首に巻きつけさせ密着させ、コクピットのマスター・スレイブ操縦系に手と足を通す。膝には神通がいるため胸部ロックは締まらない。

 

「提督、胸部ロックが出来ず安全機能が低下しますが」

アルの声がコクピット内に響く。

 

「ハッチが閉まればいい!!」

宗介はそう叫ぶと胸部ロックがされないまま、ハッチが閉まっていく。

 

神通はさっきまで必死の形相で戦っていた自分が今、宗介と密着し抱き着いている状態で狭い空間に押し込まれている。頬が宗介の頬に密着し宗介の息づかいと心臓の鼓動がモロに伝わってくる状態に、何が何だか分からない混乱の坩堝に陥る。もしかして、これは夢で自分は既に轟沈してしまっているのではないかと神通は思ってしまっていた。そもそも宗介がここに居ること自体が神通にとっては予想外もいいところなのだ。神通は声を出すこともできずジッと宗介に密着したままになっていた。

 

「アル!!行くぞ」

 

「了解」

 

 

 

 

レーバテインによる先制のガトリング砲で敵勢力は駆逐級が2艦轟沈したのみで、ほとんどが防御態勢で耐えていた。小さくとも艦船級の耐久力はあるという事だ。

 

 

宗介はレーバテインのガトリング砲を緊急展開ブースターに戻し、76mmボクサー散弾砲に持ち変え、アルはレーバテインのサブアームズを展開し、40mmアサルトライフルを2丁構える。

 

そして、海面をジャンプし、散弾砲とアサルトライフルそして、頭部12.7mmチェーンガンで上空で飛び回っている敵艦載機を次々と一気に撃墜させ数を減らす。そして、ジャンプから降下する際、レーバテインは回転しながら、ラムダ・ドライバにより貫通イメージを乗せた散弾砲を戦艦級に放つ。

戦艦級は一撃で穴だらけになり轟沈。水面に着地する際、重巡級を蹴り飛ばし、粉砕。

そのまま、残った戦艦級を散弾砲で轟沈させていく。

その間アルは、アサルトライフルで、軽巡級などを集中砲火させ撃破させていく。

 

あっという間に、深海棲艦は戦力を半減させていった。

 

 

深海棲艦は反撃をするも、レーバテインの動きについて行けず、砲撃の殆どが空を切っていた。

 

 

再度レーバテインは大きなジャンプをし、自動追尾対空ミサイルを遠方で控える空母率いる機動部隊に6発発射させ、全弾命中させる。

 

軽空母級はそれで撃破、正規空母級ヲ級は小、中破したようだ。そして、落下する際に、重巡棲姫に向け腕部に仕込んであるワイヤーガンを放ち、しっぽの様な長い砲台に突き刺し、落下する勢いを使い重巡棲姫をワイヤーで引き寄せ……

 

「ナンナンダ?キサマハ!!」

 

「ゴミ係兼提督らしいぞ」

宗介は、対戦車ダガーを抜き、ラムダ・ドライバですべてを切り裂くイメージで投げつける。

 

 

「ヴェアアアアアーーーーー!!」

対戦車ダガーは重巡棲姫を真っ二つに切り裂いた。

 

 

重巡棲姫が轟沈すると正規空母ヲ級率いる機動部隊は撤退。その他の島を砲撃していた深海棲艦の部隊も撤退していった。

 

 

宗介はその様子を見てホッと一息ついて

「アル、戻るぞ」

 

「ゴミ係……懐かしいですね」

 

レーバテインは大きくジャンプをし、緊急展開ブースターを再点火させ、メリダ島へ戻って行く。

神通はその間も黙ったまま、宗介に抱き着いた状態であった。

 

 

 

 

宗介はレーバテインを直接、宿泊施設の前に着地させるつもりでいる。

大破状態の神通を直ぐに、入渠施設に行かすためだ。

 

 

宿泊施設の入口には川内や朝霜、早霜、秋月に清霜がいた。

アルは先に川内達に神通が重症(大破)状態である事を伝え、出迎えてくれるように頼んであった。

 

 

レーバテインをラムダ・ドライバの力でゆっくりと宿泊施設の前に着地させ、膝を付いた体勢になる。

胸部ハッチが空き、宗介は神通をお姫様抱っこの様に抱き上げ、そのまま、レーバテインのフレームに飛び移りながら、地上に降りる。

 

川内や駆逐艦たちは、レーバテインの姿を見て唖然と見上げていたが、宗介がボロボロの神通を抱き上げ下りてきたのを見て、まずは川内が駆けつける。

 

神通は宗介の腕の中で黙って顔を真っ赤にしたままだったが無事そうだ。

 

川内はその様子を見て、涙ぐみ宗介にお礼を言う。

「良かった……、相良提督ありがとう」

 

宗介は神通を下ろし、川内に託すが、その時になって、どうやらようやく気付いたらしい。

神通は顔を真っ赤にして宗介に目を合わせない様にしていたのと、戦闘服がボロボロになり、肌があらわになって、ほぼ半裸状態であった事に……

 

宗介は、急に顔中汗の玉びっしりになり……90度で頭を下げる。

「す、すまない、いや、すみませんでした!」

 

神通はずっと黙りこんで顔を真っ赤にしたまんまだったが川内はそんな宗介の様子におかしくなり。

「フフフフッ大丈夫だよ相良提督、神通も嫌がってないから……それより、入渠させるね」

そう言って、神通に肩を貸して、秋月と共に宿泊施設に入って行く。

 

 

そんな中、朝霜は、レーバテインを見上げて叫んでいた。

「すげーーーーーーーーーーーー!!何これ!!かっけえぇーーーーーーーーー!!」

 

早霜と清霜はその姿をまじまじと見て、まだ驚いている様だ。

 

朝霜は宗介を見上げて目をキラキラさせて質問する。

「相良提督!!これなんだ!!」

 

「うむ、レーバテインだ。ちなみにアルの体でもある」

 

「アルの!!アルかっこいいーーーーー!!あたいも乗ってみたいぞ!!」

 

「それほどでも……今からメンテナンスに入るので、後ほど」

アルは外部スピーカーでそう答えて、レーバテインは基地の方に歩き出す。

 

「アル、かっこいいかも」

「アル、かっこいいね!」

早霜も清霜もどうやら、朝霜と同意見らしい。

レーバテインは夕雲型三姉妹には大好評の様だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

その晩、長時間の入渠(お風呂)を済ませた神通は自室で川内と話している。

 

川内や駆逐艦たちには宗介から既に、深海棲艦との戦闘があった事や重巡棲姫を撃破したことなど大凡のあらましを伝えてあるが、神通も川内に今日起こった事を話した。

 

「姉さん……私、相良提督の麾下に入る……」

 

「そう、なら私も一緒にね。今度は一人で行かせないから」

 

「……でも駆逐艦の子たちは……」

 

「多分、大丈夫よ。みんな相良提督やアルの事好きだし、明日話してみたらいいよ」

 

「姉さん、相良提督は……その、戦闘慣れをしてました……。戦闘中の相良提督は何時もと違い……雰囲気が歴戦の勇士と同じでした」

 

「そう……何者なんだろうね……相良宗介。でも、相良提督ってかなり、鈍い上に初心そうだよ。神通の半裸見て、めちゃくちゃ焦って、こんなんなって謝ってたし」

川内は神通の話を聞いて、宗介の姿を思い出すも、焦って謝っている姿を思い出し、ジェスチャーを加えながら笑う。

 

「ねね、姉さん!」

神通はまたしても顔を真っ赤にしていた。

 

 

 

 

その夜ベッドの中で神通は今日の出来事を思い出す。

戦闘中の宗介の精悍な顔つき、息づかいと鼓動、そして抱きしめられた時の体温が体に記憶に残り、結局一晩中寝付くことが出来なかった。

 




ようやく、テッサ(偽)次回出せそうですw
タイトル通りになかなかいかないものです><

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