『TDD-1建造』相良宗介、軍曹から提督へ 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
今回は物凄くつなぎ要素が高いお話です。
飛ばしてもいいのではと思います。
ただ、神通にこんな兵器を取り付けたいだけの願望をそのまま載せてるだけです。
艦娘、強襲揚陸潜水艦トゥアハー・デ・ダナン、通称テッサが顕現してから3日が立っていた。
艦娘宿泊施設では食事当番のテッサと朝霜二人が食堂厨房に立ち夕食の準備をしている。
「フフフン、フフフン、フン~」
テッサは鼻歌を歌いながらパスタを茹で、ボロネーゼのパスタソースを作っていた。
その横で、料理が苦手な朝霜は調理器具などを洗っている。
「おおっ、うまそうだ!!テッサって料理できるのかよ!しかもイタリアン、食事の幅が広がっていいぜ。まともに料理できるのは神通姉と秋月だけだからな、そういえば早霜もこの頃美味しくなってきたな、川内姉は相変わらず全然ダメだし、あたいと清霜もなぜか上手くならないぜ」
「料理は愛です~!…出来た!これで相良さんの胃袋もハートもゲットです!」
テッサは満面の笑みをこぼしていた。
「テッサって本当に相良提督が好きだよな」
「はいっ!愛してます!!」
「うへ~、よくそんな事恥ずかしげも無くいえるぜ。まあ、あたいも提督は気に入ってはいるけどよ~好きとか正直良くわからねー、テッサはどういうところが好きなんだ?」
「うーん、可愛いところですかね」
「かわいい?相良提督が?いっつも仏頂面だぜ」
「フフフーーン、意外と可愛いところがあるんですよ。それは私だけの秘密ですっ!」
艦娘トゥアハー・デ・ダナンは通称名であるテッサの名を通し、その名前で呼ばれるようになってきた。
その頃宗介は、神通と共に、艦娘顕現(建造)施設に出向いていた。
「中尉、新たな艦娘の顕現がまだできないのか?」
「うーん、あの子(テッサ)を顕現させたときにオーバーヒート起こしちゃったみたいだし、なんか霊的なエネルギーが集まらないって言うか……全部あの子に吸い取られちゃったみたいなんだ。だからしばらく使えないね」
中尉と呼ばれる妖精は宗介に顕現装置が現状使えない理由を説明する。
「うむ、ではこの装置をもう一つ作ってもダメなのか?」
「そうだね~この場に漂う霊的エネルギーが枯渇しているからね~」
「なるほど、しばらくすれば復活するのだな」
「たぶんね~」
「了解した」
宗介はテッサの顕現による弊害に頭を悩ませていた。
本来なら、6体の艦娘を顕現させ、訓練に入っていたはずだったのだ。
「中尉、すまないが神通の艤装開発状況を確認させてくれ」
宗介はそう言って、神通と中尉(妖精)と一緒に隣の装備開発施設に向かう。
中尉は装備開発室の作業台に向かって行き踏み台に登り、作業台にある艤装と戦闘服を指さす。
「艤装の試作品は出来ているし、神通の戦闘用服はさっき完成したから、着てみる?」
「神通、着てもらっていいか?」
「はい、では更衣室をおかりします」
神通はそう言って戦闘用服を中尉から受け取って、更衣室に向かった。
その間宗介はタブレット端末で神通の艤装スペックをしばらく確認していた。
「む……中尉これは、最新のイージス艦ではないか?」
「そうだよ~」
「WW2時代の軽巡級では出力や排水量などが足りないのではなかったのか?」
「いや、神通ね。軽巡級なんだけど、彼女の戦闘能力は重巡のそれを超え、高速戦艦に迫る力をもっているんだ。武器さえ整えれば、戦艦を凌駕するかもだよ。だから、イージス艦の装備を載せても問題ないはずだよ~」
「さすが神通と言ったところか……」
宗介が感心した様に頷いていると、神通は着替えて戻って来た。
今までの服と形状は似ていたが、前は橙色をメインに白色を基調とした服だったのだが、その逆で、白色がメインに橙色とを基調にした服に仕上がっていた。
最大の特徴は艤装と共にステルス性を重視したものとなっている。
「どうでしょうか?」
神通は宗介に恥ずかしそうに戦闘服全体を見せる。
「うむ、いい感じではないか……」
「そうですか?」
神通は顔を赤らめ宗介の答えに嬉しそうにする。
「艤装を装着してくれ」
「了解です」
今までの神通の艤装と違い。背中にバックパックを装着するタイプだ。形状は鋭角の船尾が4つ並んだような形のランドセルタイプとなっている。それぞれの船尾状のバックパックが独立して上から90度に開き、垂直にミサイルが発射できるようになっていた。多目的垂直ミサイル発射装置合計で20セル1基×4が搭載、それぞれの船尾に20セル1基搭載されている。巡航ミサイルや対空ミサイル、対艦ミサイル、対潜水艦ミサイルなどが搭載可能ではあるが、現在は対空ミサイルと中距離対艦ミサイルと近距離対艦ミサイル、そして対潜水艦ミサイル(アスロック)を搭載し、トマホークなどの巡航ミサイルは積んでいない。軍事衛星や成層圏プラットホームなどが無い現状では、巡航ミサイルや弾道ミサイルなどの運用は困難なためだ。また、神通の持ち味である防御力と近中距離砲撃力を生かすためにも、このような装備となっている。
そして、メイン兵装である最新型の155mm単装砲2門を両腕の前腕部に装着、非戦闘時は砲身は格納される。射程は通常弾で44㎞、ロケット推進弾で144㎞ さらに水上、対空共に攻撃可能な最新バージョンの57mm単装砲を2門搭載、右腕上腕部に装着、此方も非戦闘時には砲身は格納される。兵装もかなりステルス性を意識した作りとなっているのだ。
そして、3機の無人航空機、現在は偵察機及び観測機を搭載している。
これだけの兵装が詰まった最新鋭の軍艦は、最早戦艦と言っていいのではなかろうか。
また、これほどの装備は神通以外では扱えないだろう。
宗介は艤装を装着した神通と、タブレット端末に映し出されるとんでもないスペックを見ながら唸る。
「むむ……」
「相良提督……私にこれだけのものを扱えるでしょうか?……特にミサイル?群と、情報統合システム?など、今まで聞いたことが無い兵装が多数搭載されております」
「直ぐにとは言わない……しかし、軽巡級という比較的、軽装な艦でありながら努力で、戦艦にも負けない力を手に入れた神通なら、必ずこの兵装も扱う事ができるだろう」
「!!……ありがとうございます!!期待に応え、必ず扱えるようになります」
神通は宗介のこの言葉に歓喜を覚え、力づよく答えた。
「うむ」
宗介は額一筋の汗を垂らしながら頷く。
この艤装を取り付け使いこなす神通……メリダ島にこの前襲撃してきた重巡棲姫率いる深海棲艦部隊群を一人で殲滅できるのでは無いか………と……
「中尉……それにあたって、他の艦娘についても、艤装の新調をよろしく頼む」
「うん、この前、聞いた彼女達の特性に合わせた設計は既におわっているよ~、後で提督見てね~」
「ところで中尉、ダナン……いや、テッサの艤装はどうなっている?」
宗介は中尉から、ダナンの艤装完成まで1週間掛かると聞いていた。
「うん、それはもうちょっと早まるかな~、仲間がまた増えたし~ この基地の修復ももうそろそろ終わるしね~、まあ、出来てからのお楽しみってころで~」
「うむ、任せる」
宗介はまだ知らない、ダナン、いや、テッサの艤装がどのようなものなのか……そしてそれは……
宗介は新しい戦闘服(艤装用)を手に入れた神通と共に、司令官室に戻る。
「相良提督に進言します。先ほどの重巡棲姫を倒した今、付近の島の制圧を行うことをお勧めいたします。現在この海域には脅威となる深海棲艦はいないものと推測します。時間を空けると新たな、深海棲艦の部隊が派遣される恐れがあるため、そうなる前に制圧し、海域を解放いたしましょう」
神通は司令官の席に座る宗介に早速、このような提案をした。
「ふむ……それはいいのだが、現状では人手が足りん。もし他の島を制圧しても管理が出来ん。さらに制圧したところで、そこに防衛網を引かなければ、敵に再度制圧されるだけだ」
「現状の戦力規模では防衛は困難ではありますが、制圧することにより、此方にも有利な事もあります。提督が制圧された島またはその海域は、メリダ島鎮守府の海域となり、妖精さん達がその地域では独立して活動可能となり、メリダ島鎮守府自身も鎮守府としてのレベルが上がるでしょう。深海棲艦が島を制圧、中継点や泊地化していない事から、それほど重要な場所ではないのでしょう。
但し、この鎮守府の様に重要拠点となりうる場所は、泊地棲姫など陸上型の強力な深海棲艦が管理し、そこが深海棲艦の泊地、陸上基地等となってしまいます。
確定情報ではないですが、少なくとも日本では、深海棲艦泊地または陸上基地は、艦娘を擁する鎮守府と同じ機能を持っていると考えております。新たな深海棲艦等もそこで生まれるとの事」
「なるほど、深海棲艦も基地や泊地などが存在し、そこで補給なども行っている可能性が高いということだな……我々が最初に接触してから、次に重巡棲姫率いる深海棲艦部隊がこの海域に現れるまで、10日以上の時間差があった。となると、最低でも最初に撃退した部隊が撤退し、敵泊地に戻り新たな部隊を編成此方に着た事を考えると……最大で片道5日はかかっているという事か、補給などの状況から察すると少なくとも片道3日の距離……意外と敵泊地は近いのかもしれないな」
「はい、しかしこのあたりの地域で泊地になりそうな場所は限られております。また、泊地となっているとしても小・中規模と想定します。3日の距離であれば、メリダ島東の島および南の島海域を収めたとしても、問題は少ないと考えております」
「分かった……警戒水域を広げるには島を傘下に収めるのが手っ取り早い事は分かっていたが、そう言事ならば、対応可能か……」
「はい」
「では神通はその深海棲艦の泊地を奪還した事は在るのか?」
「はい、私が参加した作戦では、3カ所解放いたしました」
「解放した深海棲艦の泊地はその後どうなる?」
「はい、3カ所の内、2カ所は鎮守府の機能を満たしておりました。そのままでは使用できないため基地を一度更地にし、鎮守府を建て新たに提督として資質のある人材を派遣しておりました」
「……では逆はあるのか?こちらが鎮守府としていたものが制圧された場合だ」
「はい、そのまま深海棲艦の泊地として利用されるケースが多いですね。完全に破棄されることもありますが……」
「……ふむ」
宗介はその話を聞いて一つの疑問を持つ、深海棲艦側の基地または泊地も鎮守府の機能があるとすれば、深海棲艦側にも提督に相当する人間がいるのではないかと……
「どうされましたか?」
「……深海棲艦側に協力している。俺のような立場の人間はいるのか?」
「!……それは……聞いたことはありません。深海棲艦の基地を制圧した際にはそのような人は居なかったと思いますが……」
そうは言ってはいたが、どうやらその事に神通も疑問を持っている様だ。
「ふむ、大佐に聞いてみるか……」
宗介はメリダ島の妖精達を統括している大佐と呼んでいる最初に出会った妖精を呼ぶ。
しばらくし、司令官室に訪れた大佐に、宗介は先ほどの疑問を聞いた。
「深海棲艦側に提督のような立場の人間はいるのか?」
「居ないはずだよ。悪意などのマイナス感情から生まれるのが悪鬼の正体。その目的は、この世界に住む人間又は世界そのものを滅ぼす事。でも、そんな悪意に惹かれる人間はいるかもしれないね。協力者という意味では存在するかもしれない。君の様に、悪鬼と戦うための資格を持つ人間が、全て善性の心を持った人間とも限らない。仮に悪鬼と戦うための能力を有しながら、深海棲艦側に付く人間が居たとしたらそれは厄介だね。ただ、その人はかわいそうだね。悪鬼に付くという事は、同族を滅ぼす事に加担することだから……」
「そうか……人間が直接深海棲艦を生み出すことはできないという認識でいいのだな」
「うん、あってるよ」
「……ではそもそも、どうすれば、深海棲艦をすべて駆逐することが出来るのだ?」
「最初に生まれた場所があるはず、そこを叩く、そうすれば、新たな深海棲艦はこの世界に生まれてこなくなるハズだよ」
「ふむ………神通、その事は知っていたのか?」
「いえ……私も初めて知りました」
神通はその事実に驚きを隠せないでいる。
「では、艦娘には情報開示されていなかったのだな」
「……いえ、そうではないと思います。日本政府、いえ世界中で今も躍起になってその答えを探しているはずです……」
神通は驚きの表情のまま、宗介に答える。
「なぜだ?妖精に聞けば答えてくれるはずではないのか?」
「いくら提督と言えども、直接、妖精さんとこのようにコミュニケーションできる方は私の記憶、いえ、記録にもありません。その……相良提督とここの妖精さん達だけです」
「ふむ……大佐、そうなのか?」
「うーん、分からないね。君は私が出会った最初の人間だからね」
「……まあいい、取りあえずの指針は分かった。深海棲艦を駆逐し、大元を叩けば勝利というわけだな」
「そうだね。君だったらできる気がするよ」
大佐と呼ばれる妖精はそう言ってそのつぶらな瞳を宗介に向ける。
「そうなのですが……」
神通は唖然と宗介と大佐の会話を聞くばかりで、この展開に付いていけてない様だ。
「メリダ島に比較的近いとされる深海棲艦の泊地を発見し解放することが当分の目標だな……では、手始めに、神通の提案通り、現兵力で東の島および南の島を速やかに制圧し、メリダ島鎮守府の制圧海域を広げる」
宗介は神通と大佐に向かってそう宣言した。
神通の兵装参照はアメリカのズムウォルト級ミサイル駆逐艦です。
因みに清霜はオリバー・ハザード・ペリー級フリゲート艦です。
建造について……既に一人の艦娘は決定しているんです。
それ以外に3人登場候補は上がってます。
あと二人は欲しいのですが……誰にしようか迷ってます。