Fate/Grand Order ~Another Destiny~   作:らまちゃ???

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一話一話が短いかも知れません。
地の文が少ないのは定期なので……


序章
第1話 衛宮士郎、カルデアにて


人理継続保障機関フィニス・カルデア

そこがオレが案内された場所の名前だった。

 

人類の未来を語る資料館。時計塔の天体科を牛耳る魔術師の貴族である、アニムスフィア家が管理する機関。

魔術だけでは見えず、科学だけでは計れない世界を観測し、人類の決定的な絶滅を防ぐ為の各国共同で成立された特務機関。

表面上は標高6,000メートルの雪山の地下に作られた地下工房。

 

とまぁ、こんな説明をされてもオレからしてはチンプンカンプンだった。そもそも、オレは魔術協会に属さない一匹狼の魔術師である。そんなオレがそんな機関に派遣されることはまず有り得ない事だった。

 

そう、オレはある魔術師の代理として来ている。元々ここに来るはずだった「彼女」は現在、時計塔である魔術の実験を行っている。そのため、弟子であるオレがこの場に派遣された経緯である。

 

輸送機から降りてすぐ、司令室に案内された。そこでは最新鋭のコンピュータにより管理運営がなされていた。

しばらく待つと、1人の女性がこちらに気づき歩いてきた。

「あなたがトオサカリンの代理ですね?」

恐らくこの女性は責任者だろうか。年下のようにも見えるが、一応敬意は払っておこう。

 

「ええ、オレが遠坂凛の代理の衛宮士郎です」

 

「私はここの所長、オルガマリー・アニムスフィアです。呼び方はご自由に」

という何か冷たさを感じる挨拶だった。というよりかは自分にはあまり興味の無いような雰囲気である。

 

「ほう、君があの遠坂凛の弟子か。たしか君も聖杯戦争に参加したマスターだったね」

と、オルガマリーの後ろに背の高いスーツ姿の男が現れた。何やら怪しさを感じたが、杞憂なのかな?

「いや、自己紹介が遅れた。私はレフ・ライノール。ここの技術士の様なものだ」

レフと名乗った男はオルガマリー所長とは違い、好印象な人だ。恐らくさっきのはやはり杞憂だったんだろう。

「レフさんですね。衛宮です。これからよろしくお願いします」

「ああ、よろしく頼む。話を戻すが、君は聖杯戦争の参加者だったね?」

 

――――そうだ。オレは数年前、聖杯戦争という万能の願望器である聖杯を降霊されるための儀式に参加した。正確にはその儀式を止めるために参加した。一人の少女を守るために。

だが、この聖杯戦争の集結を知るものは少ない。というのも、オレは本当は死んだ扱いになっている。この話は色々ややこしいので、話すのも面倒だが――――

 

「というよりかは、『巻き込まれた』という表現の方が正しいのですが」

「いや、聖杯戦争参加者がいるのはコチラとしては心強い。何しろ呼び掛けた他の魔術師は優秀だが、マスターを経験したものは殆どいないのでね」

「レフ、無駄話はもういいでしょ。それよりも、事態の説明を」

「そうだったな。質問をするが、君はどこまで状況を理解しているのかな?」

「確か、ここのコンピュータが2016年に人類滅亡が証明されたという話までは」

 

ココのコンピュータ――確かカルデアスという名前だったか――は百年後の地球に時間設定をし、地球表面の文明を観測することによって未来の人類の生存を証明していたらしい。だけど、

 

「そうだ。突如2016年以降の文明を観測出来なくなってしまったのだ。君らはその事態を解決すべく集められたというわけだ。

そこで君には、Aチームのリーダーとしてこの問題の解決を担ってもらおうと思う」

「ちょっと待ちなさいよ!この男は仮に聖杯戦争参加者とはいえ、データでは魔術はからきしなのよ!?そんな人物にAチームのリーダーは任せられないわ」

ひどい言われようだが、事実だから反論のしようがないんだが……。

「確かにこの青年は魔術はからきしらしいが、経験というものがある。巻き込まれたとはいえ、あの戦争に生き残ったのだ。それだけで理由は十分じゃないのか」

どうやらレフさんはこのオレをだいぶ買ってくれているみたいだ。正直言うが、オレはそこまでの人間じゃないぞ。

「うぅ、レフがそう言うなら……分かりました。あなたをAチームのリーダーに任命します」

「ということだ。改めて、よろしく頼む」

レフさんはそう言ってオレに手を差し伸べた。

 

「ええ、こちらこそよろしくお願いします」

 

こうしてオレは、2度目の聖杯戦争に赴くことになるのだった。

 




士郎について少し

凛ルートの一部を辿った桜ルートのトゥルーエンド後の衛宮士郎という設定。
魔術は強化も使えなくなっているが、投影魔術だけはある程度使える。協会には現在、遠坂凛の弟子として扱いされている。


次は恐らく岸波白野視点です。

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