Fate/AlterZero   作:NeoNuc2001

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前回のあらすじ
英雄王だけ訓練していないのに妬みを感じない勇者部員(そのっちは気になっている様子だか)


第四話 狂宴という名の日常

それは日が明けたばかりの朝。

彼女は今日も身を清める。

 

暦の上では7月の中旬。暑さが増す中での水浴びは涼しさを与え、同時に暑さによって損なう冷静さを取り戻す。

 

しかし、その一日をより洗練するだろうその行いは、今回は一つの悩みを解決するために利用されていた。

 

「休息を取ることもまたお役目。でも私、気が休まるかしら。」

 

悩みは須美の鉄壁とも言える性格なら当然と言える不安であった。自分の意思で気を休める。これまで、ある意味、一度も休息を取ったことはない故に、一般とは違い、難しいことなのだろう。

 

 

しかしそれは杞憂に終わる。

 

 

「お嬢様。乃木様がお見えです。」

 

「こんな朝早くから?」

 

来たのは須美の親友、乃木園子である。しかし、須美にとって彼女はこんな朝早くから活動をするアクティブな人ではなく、むしろ気付いたら正午、下手をすれば夕方までぼ〜っとしている気まま屋の印象が深い。

 

その園子が来たとすれば、それなりの介抱をするべきだろうと須美はいきこんでいたが、

 

「ヘイWasshi!レッツハブKAGAWAライフ!!!!」

 

それはこの世のものだと思えなかった。

 

その異物、車、の色は全て黄金色だった。

 

タイヤホイールは銀で、窓も光輝いていた。

 

幾たびの洗浄を越えてはがれず

 

ただのひとつも金メッキはなく、ただのひとつの贋作もない。

 

...とにかく、そこには、黄金の、ハイカラな、車のような何かが存在したのだ。

そしてその車からひょっこりとそのっちがサングラスを掛けながら顔を出しながら元気に言葉を交わそうとしていたのだ。しかし、須美はその言葉には反応せず、

 

「これは一体どういうことかしら、そのっち?」

 

「ひぇぇ~。わっしーが怖いよ~。」

 

「一体もなにも無かろう。新たに娯楽を行うのだ。ならばそれにふさわしい者をそろえるのが当然であろう。それに喜べよ。この我が直々に運転をして見せよう。バイクもよかったが、車も中々。」

 

須美が少し怒ったら突然運転席の窓が開き、ギルガメッシュがその返事を行った。少しとは言え、それは泣く子も黙るほど。それに対して平然と答えるのはさすが英霊(サーヴァント)と言うべきなのだろうが、言い切った後に窓が降り続けているのはなんともいえない空気を作った。無言の中窓が下がり、ギルガメッシュのドヤ顔が少しずつ見えてくる。異常なまでの窓のスピードの遅さ。狙ったとしか思えないが、ギルガメッシュの性格ならそれはありえないのだろう。

 

「あはははは...って、おわぁ!」

 

さすがのそのっちもその空気には苦笑をせざるを得なかったが、窓から飛び出してたためか、バランスを崩して地面に頭がぶつかりそうになったのはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

車の中でゴタゴタがありながら、三人は乃木家に到着した。

乃木家の家系は神世紀300年の間において絶大な権力と義務を持ち続けた大赦のなかでもトップに位置する家だろう。特に初代勇者のリーダーとして抜擢された先祖は英雄とも遜色違わぬ力、技量、精神を持ち合わせたという。そのような家である以上、当然家風も厳格なものになる。娘は英才教育を受け、家の隅々まで静けさが染み渡る。

そのような厳かな空気において似つかわしくない口喧嘩が繰り広げられていた。

 

「そもそも、あの車はどこから持ってきたのよ!」

 

「なに。あれはこの我の宝物庫にしまっていた物の一つに過ぎない。あまり使いたくはなかったが、」

 

「なら、使わなければいいじゃない!ここにはアレ意外にも車はあるでしょうに!あと、プレートはつけないとだめでしょ!」

 

「むむむ。しかし!王たるもの、上に立つのは当然のことである。そしてその下に置くべきものも己にふさわしき物であるのは当然というものだ。」

 

「あれが"ふさわしき物"ねぇ...」

 

確かに王にはそれに相応しいオーラをまとい、それを維持する義務を持つ。ならばそれに相応とする車を持つのはそれを損なわないのは当然といえば当然なのだが、金ぴかの車とはそれに合う物なのだろうか?

 

「まぁ、さっ!それはともかく。なんでギルギルは園子と最初に合流したんだ?」

 

「それは~ギルっちを私の家に泊めているからなのさ~」

 

家屋には静けさが少女たちの周辺を除いて支配している。確かに物理的にはそうだ。しかし、見た目は静けさとはかけ離れたものが空間を支配していた。

 

「あとさ。気になっていたんだけど、この宝石とかは園子の?ギルギルの?」

 

それは各所に飾られている宝物のことである。

その一つ一つが素人にもわかるほどの最高の品。やや雑に飾れているルビーも割れば灼熱の太陽が出てくると言えば完全な否定はできず、神秘を知る者なら信じる者も多いだろう。

そのような宝石が乃木家の家屋の様々な場所に置かれており、やや目につらい部分はあるものの、きれいと評するに値する光景が映し出されていた。それはさながら、様々な色があり、幾千の花が咲き誇る、夏の花園(・・)であった。

 

「これらは新たに王の住処を得た際にこの我が賜ったものだ。この我が住むのだ、ならばそれ相応の舞台を用意するのは当然であろう。」

 

「"相応"ねぇ...」

 

人々を支配するにはそれに対応する権威、そして権力が必要だ。前者はオーラ、後者は力。共に常に保持し、誇示するべきものだ。ならばそれを物品に任せるのは良い方法なのだろう。宝物を並べれば感嘆し、風と火を巻き起こせば驚嘆し、見下せば畏怖し、書を残せば後世まで語り継がせることも可能だろう。だが、しかし...

 

その後、少女たちは着替えパーティを始めた。男であるギルガメッシュは追い出されたが、最終的にギルガメッシュが観客、少女たちがモデルというファッションショーをすることによって王の機嫌は損なわずに済んだ。

 

 




王とはなにか。

これから立て続けに投稿します。アニメのほうに合わせながら行きたいと思います。

Fate/strange fake。早くアニメ化しないかな...

というわけでいつもの

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そしてこのような駄文をよんでくれてありがとうございます。

またそう遠くない日に。

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