Fate/AlterZero   作:NeoNuc2001

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誕生日おめでとう!!!


番外編
鷲尾須美生誕記念小説


「明日から学校ね。」

 

「そうだね〜。」

 

「そ、そうだな。それよりもさ、い、イネスに行かないか?」

 

「銀、もしかして宿題が終わってないのかしら?」

 

「そ、そんな訳がないだろ。はははははっ!...」

 

銀の空笑いが部屋に響く。

暦は神世紀二百九十九年、四月三日の午後である。場所は銀の家。彼女の弟が須美と園子と遊びたいとおねだりした結果、須美が

 

「富国強兵を進めるにはまず、肉体訓練よ!」

 

と異常なテンションで了承したのだ。辛うじて須美が園子に許可を求めるだけの理性は残っていたが、その気迫は園子の頭を縦に振るには十分だった。

 

しかし男の子のわんぱくぶりにさしもの三人の勇者は疲弊してしまった。というのも、これの次はあれ、あれの次はそれ、と色んな遊びを次々にやらされ精神的疲労を感じたのだった。まるで無限に沸く骸をひたすら狩り続けるような。

 

結局、三人の少女はリビングで休息の時間を過ごしていた。

 

そう、三人の少女は今日も日常の喜びを噛み締めていた。

 

しかし、それは泡沫のように終わる。

 

「須美お姉ちゃん!一緒に遊ぼ!」

 

「おっ!わっしー直々のご指名だね〜。」

「何言ってるの?三人も一緒よ。」

 

須美は園子と銀がサボろうとしているのではないかと疑問を投げ掛けたが、

 

「でも、ミノさんは宿題を終わらせないと〜。なら、私がミノさんのお手伝いをしないとね〜。」

 

「なら私も銀の世話をするわ。」

 

「私はよいぼれのおばあちゃんか!」

 

銀の的確?なツッコミに一瞬世界が止まったが、

 

「と、とにかく、私も銀の宿題を見るわ!」

 

「でも、鉄男君が待ってくれるかな〜?」

「なぁ、須美お姉ちゃん!国防ごっこしよう!」

 

「こうなったら、もうこいつは止まらんぞ。」

 

銀が須美に追い討ちをかけていく。須美は悩みに悩み、

 

「仕方ないわね。私が行ってくるわ、でも銀は早く宿題を終わらせるのよ。さぁ、鉄男君、一緒に国防をしましょう!」

 

結局ノリノリの調子で須美はリビングから出ていった。

 

「ふぅ、さて作戦会議だな。須美を除け者みたいな感じにしたのは申し訳ないな。」

 

「そうだね〜。でもそうしないと二人きりになれなかったよね〜。」

 

二人の顔が近づく。自然に近づく唇、お互いの顔が目の前まで近づき、頬が高揚する。

 

「それじゃ...」

 

「そうだね〜、決めようか〜...」

 

お互いが笑みを溢す。

 

「「誕生日プレゼントを!」」

 

 

 

 

 

二人の少女が須美を外に追いやったのは、決していかがわしいこと出はなく、須美の誕生日プレゼントを決めるためだった。

 

「でも、何がいいんだろうな。」

 

しかし、手詰まりな状態でもあった。

 

戦艦のプラモデル、旧世紀の歴史書、宝石、果てには羅漢像の模型も考えられていたが、どれも様々な理由によって不発に終わった。特に須美の個性的性格が彼女達を悩まさせていた。

 

「うーん〜。」

 

流石の園子も苦しんでるようであり、中々珍しい光景だった。

 

「そうだ!一緒に滝行とかどうだ?」

 

「でも、結構辛いらしいよ〜。」

 

「やっぱ、やめます。」

 

うんうんと唸り続けること30分、園子が顔を上げて一つの答えを出す。

 

「そうだ!わっしーが欲しそうなものじゃなくて、私たちが欲しいものをあげればいいんじゃない〜?」

 

「そうか、それで喜ぶかな。」

 

「大丈夫だよ〜。心がこもってたらきっとわっしーも喜ぶよ〜。」

 

そうして計画は次の段階に進んだ。尚、銀が宿題を全く進めてないことにわっしーが怒ったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

最近、二人がよそよそしい。

遊びに誘っても断られ、連絡が遅れることもあった。

きっと何か隠し事をしているに違いがないと私、鷲尾須美は偵察に向かった。

 

最初に向かったのは安芸先生のところ。もしや勇者のお役目に関わることかと思ったが、関係がないとのこと。そして、

 

「真実を知りたいなら、三ノ輪さんの家に向かいなさい。」

 

とゲームの主人公を導く賢者のようなことを仰った。流石に先生に言い寄るのはどうかと思ったので、大人しく銀の家に向かう。

 

そこでは

 

「須美お姉ちゃん!」

 

銀のご家族が外出の準備をしていた。

 

「あら鉄男君、こんにちは。今日はお出かけ?」

 

「うん、これからその――」

 

「こら!鉄男。それは秘密だろ。」

 

秘密が多少気になるけど、それよりも、

 

「ところで銀はどこにいらっしゃるのでしょうか。」

 

今まさに外出しようとしている銀のご家族には肝心の銀がいなかった。

 

「あぁ、銀なら乃木さんのお家にいるぞ。」

 

銀のお父様が答えをくれた。

私はそのままそのっちの家に向かった。

 

「須美様、こちらにどうぞ。」

 

そのっちの家に着いたらお手伝いさんが案内してくれた。一体二人は何を。

 

「それではお楽しみください。」

 

私はとある部屋の前に案内され、お手伝いさんは何処かへ消えてしまった。

二人がここにいるにしては静かだと思いながら、扉を開け、部屋に入る。

 

中は暗かった。何も見えず、そのっちと銀に呼び掛けようとした時、

 

反転

 

爆発する音がした。

色豊かな紙吹雪が舞い、一つの言葉が紡がれる。

 

「誕生日おめでとう!」

 

そこには色んな人がいた。

安芸先生

三ノ輪家のみんな

乃木家のお手伝いさん

そして、銀と園子も。

 

「もしかして、私のために!?」

 

須美は涙を溢す。しかし、そこには笑顔があった。

 

「そうだよ〜、それにはい、これ〜。誕生日プレゼントだよ〜。」

 

「えっ!?」

 

園子が満面の笑みで小さな箱を渡す。須美が箱を開けると、

 

「ブレスレット?」

 

出てきたのは七色ね色彩を放つブレスレットだった。その色の調度はプロの仕事と言っていいレベルだった。

 

「頑張って、自分で作ってみたの〜。どうかな〜?」

 

「物凄く嬉しいわ。ありがとう、そのっち。」

 

須美は満面の笑みで感謝を表す。そこには不安はなく、安堵があった。

 

「はい、須美。これ。」

 

銀から紙切れが渡される。クレヨンで色付けされて、中央に「何でも言うことを聞く券」と書かれているそれは、

 

「お願い券かしら。」

 

「私、須美が欲しいものも、私が欲しいものもよくわからなかったからさ、パパとママにいつもあげるこれにしたんだけど、いやだったか?」

 

「うんうん、全然いやじゃないわ。むしろ嬉しいわ。これであのお着替え大会の続きができるわね。」

 

「えっ?ちょっと待て。あれはもうやらんぞ。」

 

「銀の意思は聞いてないわ。私にはこれがあるものね。」

 

高圧的な態度でチケットをヒラヒラと揺らす様は昔の貴族のようだった。

 

「園子ー!助けてくれよ!」

 

「私はミノさんの新しい一面が見たいな〜。」

 

「そ、そんなー。」

 

「皆さん、ケーキですよ。」

 

結局、ケーキを食べたあとに銀のファションショーは始まった。家族の目の前で。

 

その後も楽しい日々は続く。

まもなく、三人の少女は中学生になる。

それでも三人の日常は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続かない。

 

何故なら、その全てが290年の四国滅亡の事象に繋がる。銀の生存も、英霊の未召喚も、全てあってはならないこと。すなわち、剪定の域を越えたその世界は全ての人類滅亡の可能性を内包したただ一つの事象だから。

 




最後の部分はfgo第二部(予定)に関わる重要な情報です

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