Fate/AlterZero   作:NeoNuc2001

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第拾話 決別(上)

「お役目とは言え、子供たちの尊き命が失われた事はご親族、ご友人にとっては堪えがたき悲しみです。ご遺族のご心痛、いか程ばかりかと案じております。」

 

淡々と述べられる平凡、無意味な定型文(テンプレート)。壇上に立つのは大赦のトップの一人。銀をお役目に縛り付け、死地に送り込んだ張本人。にも関わらず、己の非を認めないその姿勢。それを糾弾し、正す者は―――

 

―――この場にはいなかった。何故ならば、それは、それでも、誰にとっても否定できない(正しい)ことだからだ。

 

そのまま壇上に立つ()は目を閉じ、一時の間を置いて再び開く。何かを隠す(守る)かのように、確かめるかのように。

 

「だからこそ、我々は失われた尊き時間を負債として負い、戦い続けるのです...人生という名の戦いを。」

 

()()は、(呪い)であり、虚無(過去)であり、故に人の原点(発展)の一つである。

 

スピーチの後、無言で礼をした()は後ろに振り返り、二人の勇者を見た。その目は冷酷であり、冷静であるように見えれば柔和で温厚にも見え、何かを伝えようとし、何か特別であるようだった。もしくは単に何も見てないのかもしれない。

 

()は参列者がざわめき始める直前まで不動の体制をとり続け、そのまま大赦のトップらしく堂々と壇上を降りた。

 

そして二人の勇者は―――エールにすら気付くことなく、無表情だった。

 

 

 

 

 

「献花。」

 

神官の言葉を合図に二人の少女が立ち上がる。自身の親友と別れを告げるために。

 

神官から■■の花を受けとる。

 

迷うことなく、拒絶することなく、その足を着実に進める。その先には一人の眠り姫が住まう。()()()()に囲まれて。

 

それでも勇者は突き進む。

 

別れを告げるために。

 

(寝台)の中に彼女はいた。

 

その時ですら眠り姫、銀は眠りについていた。但し彼女は目覚めることはない。残酷な程にこの世界には王子様の目覚めのキスは無い。

 

二人の勇者は棺の前に立つ。最後の別れの時。

 

「ミノさん。」

 

「銀。」

 

園子が花を渡す。

 

染々と、彼女は自然と花は添える。その表情は悲しみに満ちており、僅かな憤りも含めていた。

 

しかし、その憤りは添えた後には空洞となり、そこに驚きと安堵が瞬時に発生しては消失し、最終的に悲しみがまた満たされた。

 

そして

 

須美が花を捧げる。

 

しかし

壊れたコンパスのように手は震え、石頭以上に腕は固まる。

 

迷わないと決めたはずだった。

拒絶しないと覚悟したはずだった。

 

だが、銀のその表情が瞬時に塗りつぶす。

 

様々な思い出、記憶、体験。そのすべてが決意を、覚悟を否定する。

 

自身の奥底から何かが叫んでるようだった。

 

困惑し、動揺し、停止し、諦めかけたその時...

 

静寂が訪れる。

 

「えっ...」

 

世界が須美に合わせたかのように時が止まり、四次元の虚無が満たされる。その状況に驚いた須美はやがて事実に気付く。

 

「そんな、こんなときに...」

 

須美は再び銀を見る。もはや耐えられなかった。この場には須美の叫び(悲しみ)を知らない者はいない。

 

「わっしー...」

 

限界だった。

 

 

 

「うああああぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

その怒りは

その声は

その怨瑳は

誰に対して。

 

世界は再び花びらに包まれる。樹海化の現象。二人の勇者は混沌の中、戦いに入る。心は既に呪いに塗り固められ、もはや須美は天を仰ぎ見るのみだった。

 

しかし、

 

須美は、

 

銀の側に添えられていた、

 

一輪の黄金色の花に気付いただろうか。

 




黄金色の花
十の大家

そして、わっしーに宿る怨嗟。
ヒントは大体撒いてあるはず(多分)
ちなみにわっしーが大好きなので不幸にさせるつもりはありません(多分)

ではまた

P.S LE最新話を見て、「さすがきのこ&シャフト!」と思いました。

■■発動まで■■■■■■■■

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