ちょいと投稿サボりました!しばらく忙しくなるので、遅くなります!
是非最後までお付き合い下さい!
「仁琴、おはよー!」
今日も当たり前の日々が過ぎていく。仁琴はその当たり前の日々がいつまで続くことを願わずにはいられなかった。自分はどうでもいい。この大切な人達の平和を願った。
「ねぇ、仁琴!最近、大丈夫?」
優が通学電車内で急に聞いてきた。恐らく大丈夫?とは組織のことだろう。
「嗚呼。動きはない。」
それだけ告げると仁琴は足早に優達をおいて電車から降り、学校へと向かった。
優は巻き込みたくない。傷つくのは私だけでいい。
仁琴は心でそう呟いて優に秘密を持っているという罪悪感を打ち消した。
「仁琴りん…なんかおかしいよね?」
「月もそう思う?僕も最近、というか黒蝶組の手紙が届いた時くらいから深刻そうな顔が増えたよね…。」
「そういやー、この前の夜、どっか行っとったでー!仁琴っちのことやからヘマはせぇへんと思うねんけど、いつも1人で抱え込んでまうやろ?心配や…」
仁琴のいない理事長室でこんな会話が繰り広げられていた。仁琴も勘の鋭い3人のことだから隠し通すことは無理だろうとは薄々思っていたが、こんなに早く気づくとは思いもしないだろう。だが仕方ない。この3人は仁琴のこととなると、好きすぎてバカみたいに調べ抜くのだから。
「仁琴は1人で抱えすぎる…。もっと自分を大切にして欲しい…。」
「うん。仁琴りんは自分が犠牲になればいいって思ってるみたいだけどさ。」
「でも仁琴っちが傷ついてもうたら俺らも悲しいんやで…。」
3人は悔しそうな表情で言葉を絞り出すようにして紡ぎだした。
「どうも、こんばんは!貴方が黒蝶組の組長さんですか?」
その日、小町は黒蝶組の本部の場所をハッキングして探し出し、組長へ挨拶に来ていた。
「ああ。そうだ。」
「小町、と言います。もちろん、ご存知ですよね??」
「ああ。今回は本当に済まなかった…。」
長身で体が大きい50代ほどの組長は怖そうな顔のまま丁寧に小町に向かって頭を下げた。その様子を見た小町は2階の窓から室内へと足を運ばせた。
「しかしまた、今夜はなぜ?」
「今夜私がここに来たことは秘密にして下さいね!今日、ここに伺ったのはアザゼル…についてです。」
そう言った途端、組長の顔が少し強ばった。
「あのデータは本当なんですか?」
「本当だ。あの組織には色々とやられていてな。仕返しに粗探しをしたがあれだけの情報しか得られなかった。」
組長は座っていた椅子からおもむろに立ち上がりながら言った。
「なんでしたっけ?あの…あ、そうそう!なぜボスの下半身が不自由だって分かったんですか?」
「それはウワサだ。組織内でもやはり噂というのは絶えない。組織の助手に関しても潜入した部下からの情報だが、髪が長く、長身で、顔に大きな傷があって、真っ黒な黒髪を持ち、睨まれただけで息が出来なくなるような眼力を持つ男だとか、色々と報告されている。」
それだけ言い切るとタバコに火をつけ、咥えた。
「なるほど。流石は黒蝶組の方々です!!それでは失礼しました!」
そう言って小町は入ってきた窓から出ようと身を乗り出したが、また再度振り返って組長に言った。
「もしかしてこの組って銃の違法取引…してます??」
その途端、組長は咥えたてのタバコを灰皿にグシッと音を立てて押し付けた。
「ほぉ…なぜそれを?」
「ふふっ!小町ですから!」
小町はまた窓から手を離し、組長の方を体ごと向く。
「それで何をお望みかね?」
「さすが、お話が早いですね!その銃、いくらかこちらに回していただけますか?」
そう言うと組長は今までに無いくらい吃驚した顔を見せた。
「ほぉ…まさかとはおもうが…?」
「嫌ですねー!私達が殺しをする訳ないじゃないですか。ただ護身用と興味本位ですよ!」
「まぁそちらには迷惑をかけたからな。いくらか回してやろう。」
「感謝します!銃の件は組長と私だけの秘密ということでよろしくお願いしますね!この捨てアドにご連絡ください。では本当に失礼しますね!」
そう言って小町は窓から屋根に飛び移りながら宵闇に姿を消した…。