早く盗めよ~と思われてるかもしれませんがもう少しだけ作者の茶番じみた小説をよろしくお願いします!
是非最後までお付き合い下さい!
仁琴は怪しげなウエイトレスと鍵のかかった喫煙室にいた。
「さぁ、なぜここにいるのか説明して頂けませんか?」
ウエイトレスはポケットから出した煙草を咥えて、右手でライターをつけた。
「それを聞きたいのはこっちよ。何故この国にいるのかしら、ナイト…?」
仁琴がそう言うと、ウエイトレスはまるで奇術師のようにウエイトレスの変装からナイトの変装へと素早くチェンジした。
「いやぁ、ヨーロッパ支部の動きが怪しいから探れってリヴァルが言うから来ちゃった!」
ナイトはいつもの調子で言ったが、仁琴にはナイト…いや、要がフランスへ来た本当の目的が分かっていた。念には念をということで2人ともナイト、ルークとなっている。
「それで、動きはあったのかしら?」
「ううん、全く。」
そう口にしたナイトはニヤリという効果音がピッタリの表情をしていた。
「じゃあね、ルークちゃん!」
そう言ってまた奇術的な変装を経てウエイトレスとなり、出ていった。
仁琴は煙草の香りが残った喫煙所で1人で答え合わせをしていた。
Tir d'argile とはフランス語でクレー射撃のこと。クレー射撃とは散弾銃を用いて、空中などを動くクレーと呼ばれる皿を撃ち壊していくスポーツ競技だ。クレー射撃の散弾銃は多数の小弾丸を散開発射する大型銃で狩猟、有害鳥獣捕獲等で使用される。つまり組織(アザゼル)は動く有害な獣を打ち壊していくという意味。
組織にとって有害な獣というと組織に潜っているネズミ、つまり潜入捜査官のことだ。要は組織が潜入捜査官を始末しているから気をつけろという警戒の意を示したかったのだろう。こんなことが1度もなかった訳では無い。でもあの要がこんな簡単な単語で、しかも組織の目が少ないフランスで伝えなければいけないほど切羽詰まった状況なのだろう。
仁琴はウエイトレスと同じようにニヤリと笑って、喫煙所をあととした。
「仁琴りん、フライト時間に遅れちゃう!はやくはやく!」
仁琴は月に急かされながら飛行機乗り場へと向かったが、まだフライト時間まで30分もあったのでなぜ急ぐのかが分からなかったが、そのあと、ワクワクした顔でお土産コーナーで買い物をする月を見てその謎は解けた。
「ただいま、僕の日本。」
優は飛行機から降りると、右足の踵で軽くトントンと地面を叩いて呟いた。仁琴達はその無意識な優の行動にイケメンにしか許されない行動だなと心から感じていた。
その後、仁琴の家へ4人で泊まった。
「東洋の鶯の警備は今まで以上に厳しいんちゃうか?買取者もおるし。」
天晴はチョコアイスを食べながら言った。
「だろうね。僕もそう思ってたよ。」
「うんうん!めっちゃ厳しそうだよね!ああ、ゾクゾクしてきたよ…。」
月は武者震いのようなものをしながら興奮の絶頂のような顔で言った。そんな月を見ながら3人は違う意味で武者震いをした。
「ま、まぁそれは置いておいて、警備データのハッキングは優に任せる。天晴は予告状準備と私達のサポート、私は真っ先に東洋の鶯に向かう。月は好きに暴れろ。」
「えっ…。」
月は仁琴の言葉を聞いて、捨てられた仔犬のような顔をした。
「月は誰かに命令されて動くよりも暴れる方が十八番だろ?まぁ、人は殺すなよ。」
そう言って笑った仁琴はどこか自信に満ちていた。
夜の静寂に包まれて静まりかえった家。仁琴は温室に居た。今日は優もおらず、温室に1人だけの仁琴は世界に自分だけしかいないのではないだろうかと疑った。
「今日の月は赤く輝いている…。あの赤とは違って……な。」
仁琴が口にしたこの言葉は誰の耳にも届くことはなく、夜の静寂と月の朧気な光に消えていった…。
ありがとうございました!
優の ただいま、僕の日本 というセリフはただ私が優に言わせたかっただけです!すみません(笑)
またよろしくお願いします。