最近、頭痛、吐き気、ドライアイ、花粉症が酷いです!!(;´・ω・)/Help me! !
是非最後までお付き合い下さい!
「ただいま。」
仁琴は真っ暗になった家に小さな声で言った。
「優、わざわざお出迎えか?」
仁琴は電気をつけず、暗く長い廊下に向かって言った。
「やっぱバレてた?」
そう言ってパジャマ姿の優が今まで暗かった廊下を手持ちランプで照らした。
「まぁな。さぁ、今から出掛けようか。」
仁琴は藍色の百合柄の浴衣を身につけ、パジャマ姿のまま優を連れ出した。
「ねぇ、僕本当に寝巻きなんだけど…。」
「嗚呼。私も寝間着だ。」
「いや、音は一緒だけど漢字変換したら違うからね?」
「まぁ気にするな。敷地内からは出ない。」
ようやく優は納得して、パジャマについては何も言わなくなった。
「ほら、ここだ。」
そこは和風な香由月家には不似合いな大きくて、オシャレな西洋風温室があった。温室内にはアンスリウム、カトレア、薔薇、ガーベラ、月下美人、胡蝶蘭、ガジュマル、水中花などの植物が咲いていた。真ん中にはブロンズ製のオシャレな机と椅子があり、証明が淡いおかげで、透明な硝子の天井から白い半月とその周りに疎らに散りばめられた星が静かに輝いている。
優は椅子に座りながら呟くように言った。
「月も星も太陽無しじゃ輝けない…。」
「嗚呼。人も一緒だ。私達が盗みを続けられているのは私達だけの力じゃない。何事も同じだな…。」
仁琴は珍しく饒舌に話している。
「ねぇ、仁琴。大丈夫…?」
優は前触れもなく仁琴に聞いた。仁琴は言葉を詰まらせることなく言った。
「組織のことだろ?大丈夫だ。ちなみに東洋の鶯の話は出なかった。」
そう仁琴が断言すると、優は求めていた答えと違ったようで不満そうな顔をした。
「そうじゃなくて。仁琴、なんか疲れてない?疲れてないとしても…なやんで…る?」
優は自信がなさそうに言った。仁琴は動揺しそうな心を抑えて淡々とした口調とポーカーフェイスで言った。
「嗚呼、悩んでるぞ。組織を壊すためのシナリオをどれにするか…な。」
そう言ってニヤリと右の口角を上げる仁琴は、イタズラを考えている子供のようだった。
「そう。ならいいけどね。」
「大丈夫。何かあったら言う。優は東洋の鶯について調べてくれ。」
「分かったよ、仁琴。東洋の鶯については僕に任せて!」
「助かる。優のハッキング技術は本当に尊敬する。」
仁琴は自分より少し上のハッキング技術を持った優に敬意を払った。
「それに、疲れた時はこの温室に来るんだ。素敵だろ?全て私が植えて、普段はAIが水量や温度を調整してくれている。鍵も私の指紋認証で、私以外登録されていないから防犯対策もバッチリ。と言っても私以外ここの存在は知らないがな。」
そう言って仁琴が天井を見上げた時は、月は黄色に輝いていた。優は仁琴が持ってきてくれたミルクティーを一口飲み、同じように月を見た。
「綺麗…。」
どちらが口にしたのかは分からなかった。だが、この景色を見て綺麗と思わない人は少ないだろう。
「あ!僕、ミルクティー飲んじゃったよ?寝れなくなるよね…。」
すると仁琴は自分のミルクティーの入ったカップを軽く上げて笑った。
「ホットミルクには安眠効果があるし、紅茶のカフェインも適量なら安眠効果があるぞ。」
その言葉に優は安心してミルクティーをもう一口飲んだ。
「でもいいの?仁琴の秘密の場所なのに僕が知っちゃって。」
「嗚呼。ちなみに優の指紋も設定しておいたから自由に出入りしてもらって構わない。2人の秘密な。」
実はこの温室、外からはただの倉庫にしか見えない。世の中で言うマジックミラーのようなもの。
「ありがとう…。素敵な場所のプレゼントだよ。」
2人は暫く夜空を眺め、煌めく星の数を数えている途中で寝てしまった。
そしてまた夜は朝を連れてくる…。
ありがとうございました!