是非最後までお付き合い下さい!
仁琴がバイクを止めたのは港の何個かある倉庫の一つの前。
「おせーぞ、ルーク。」
黒コート、サングラスをかけ、金髪を後ろで一つに結った長身男にルークと呼ばれた仁琴。
「何よ。急に呼び出したのはそっちでしょ?」
そう言って仁琴は腕を組み、鉄骨になんかかった。
「まあまあルークちゃん!僕は今日も君と会えて嬉しいよ。」
こんなセリフを飄々と吐くのはナイト。黒髪赤メッシュでチャラそうに思えるが、仕草にはどこか品がある情報屋。仁琴がよく情報提供を求める相手でもある。
「うるせぇ、キザ野郎。」
「そういう貴方こそ、そんな顔でクイーンよ。不似合いにも程があるわね。」
そう、金髪のコードネームはクイーン。幹部で1番の存在。組織のNo.2とも言えるが生憎、キングには助手が1人いる。だが組織のNo.1やその助手は特に命が狙われやすいので、誰も会ったことがなく、いつもメールでやり取りをする。
「クイーンって呼ぶなっつてんだろ。」
この男はクイーンと呼ばれるのが嫌で、殆どの人が『リヴァル』と呼んでいる。フランス語でsans rival(敵無し)から取られた。確かに敵無しと言える見た目と技術を兼ね揃えている。
「うるさいですね。それで何故私達は呼ばれたのですか?」
それまで気配を消していたビショップが話に入ってきた。中性的な顔立ちで細渕眼鏡の奥の瞳は冷たく、真っ黒な髪は闇とも捉えられる。
「今度はコイツを殺せと命令があったぜ。」
そう言ってリヴァルが見せてきた写真と資料を見て全員が息を呑んだのを仁琴は感じ取った。
「それ…アメリカ……国務長官…。」
そう口にしたのはポーン。長身、茶髪、左目に黒の眼帯で口数が少なく、怖いイメージだが、実はコミュ障なだけ。しかし銃の腕前は組織でもずば抜けている。
「国務長官を殺しちゃうんだ~!おっもしろそー!」
ナイトはこう言うが仁琴はあることが気になって仕方なかった。
「何故わざわざ日本支部の私達に米国国務長官を殺させるのかしら?確かにリヴァル、ポーン、ビショップは米国本部の人間よ。でも私とルークは日本支部。米国国務長官を殺せというのなら本部の貴方達が殺ればいいじゃない。」
そう、リヴァル、ポーン、ビショップはシンガポール本部の人間で今日はわざわざ米国からやってきた。
「それが俺らにも分かんねぇんだよ。」
「キング……幹部……殺れ…って。」
キングが幹部内だけで片付けろと命令したらしい。
「そう。なら仕方ないわね。殺るわ。」
「あの、もう解散してもいいですか?プランはメールしましたので何かあったら私に連絡下さい。では、私はこれから日本でのバカンスを楽しむので。」
そう言ってビショップ、キング、ポーンは帰り、倉庫には仁琴とナイトだけになった。
「ルークちゃん!あそこ、行こっか!」
ナイトの一言で仁琴達も夜景の綺麗な展望台までバイクを走らせた。
「どうです?仁琴の方は何か情報ありました?」
ナイト…いや、横端要(よこはし かなめ)が仁琴に聞く。
「いや…。特にないな。そっちもだろ?」
「ええ。中々…ね。」
要はFBI潜入捜査官。日本人だが、実はアメリカ国籍でグリーンカードまで持っている。
「でも要には本当に感謝している。証人保護プログラムまで受けさせてくれてありがとな。」
「いいえ。私も仁琴の頭脳に助けられてますからね。でも大丈夫ですか?寿 仁琴、香由月 小町、ルーク、####、四つもの顔を持つのはキツくないですか?####という本当の貴女を失わないで下さいね。」
要は唯一、仁琴の全てを知っている人間。
「要が居るだけでとても私は楽だ。本当の私は要以外知らない。でもここ何年も本当の私に会っていないな…。」
仁琴はそう言って遠くを見つめる。
仁琴の過去に何があったのか。本当の仁琴とは何なのか。それを知るのは要以外いない…。
ありがとうございました!いかがでしたでしょうか?ᔦ๑° ꒳ °๑ᔨ
もうだんだん怪盗とか忍者から離れていってる気が……(笑)
グダグダな小説ですが、今後ともよろしくお願いします!