是非最後までお付き合い下さい!
「君があの時の子か…。」
優を見て仁琴の父はなんとも言えない複雑な気持ちで言った。
一方、優は少し緊張しているものの、憧れ・尊敬の眼差しを向けていた。
「あの…僕、怪盗なんですけど凄く貴方様に憧れてます…!」
すると仁琴父は優しく笑った。
「ここからは僕の…憶測なんですけど、僕が鈴花端家に養子に入れるように裏で手を回して下さってましたよね…?」
優は少し戸惑いながら、仁琴父を見た。
「嗚呼。その髪の色が気になったし、鈴花端家だと安心して任せられるからな。本当は香由月に連れてきたかったが、姉2人もいたしな。」
優の目は益々輝きだし、仁琴父は恥ずかしそうに顔ごと優の視線から逃れた。
「あのー私の存在、忘れてるよな?」
痺れを切らしたようで、仁琴は呆れた顔で手を挙げて言った。すると2人は慌てて そんなことないよ とフォローを入れてきた。
「別に忘れても構わないんだが、そろそろ本題に入る。闇を纏う烏についての情報を各自、限界まで出して欲しい。私はアイツらを後悔させてやる。」
そう言った時の仁琴の顔はいつもと一緒だが、嫌悪感や怒りのオーラが出ていた。そして憎しみの塊を秘めたような瞳で仁琴は父親を見ていた。父親の方もその理由が分かっているみたいで気まずそうに下を向いた。
「まず俺から話そう。」
「可哀想になってきた。いつも通り話して。」
仁琴父が話し始めたと思ったら仁琴が遮った。
「分かったよ!じゃあ父さんから話すね。
闇金で大儲けしていて大金持ち、何億ともする宝石を持っている、小さな古民家を襲っている、コードネームで呼びあっている…くらいかな。」
「あの…僕の知ってること全て言われました…。」
優は申し訳なさそうに言った。
「気にするな。優だって何も情報がない中でそこまで調べるなんて凄いからな。
じゃあ私の知っている情報を話す。
闇を纏う烏というのは表向きの総称。組織内ではアザゼルと呼ばれている。アザゼルとはユダヤ神話に出てくる堕天使で、ヘブライ語で[強い、ごつごつした]を意味するアズと[強大]を意味するエルの合成語だ。何らかの超自然的存在や魔神、荒野の悪霊を指す場合もある。
そして組織のNO.6はチェスの駒で呼ばれる。NO.1キングから始まり、クイーン、ルーク、ビショップ、ナイト、ポーン。そしてそれ以降は幹部、又は幹部に近いものにはNATOコードネームで呼ばれ、他は適当に番号とかだ。下級だと幹部との接触もないからコードネームの必要性がないらしい。
奴らは世界各国に存在する。本部はアメリカ、シンガポール。
麻薬の密輸、生産にまで手を出しているが、日本警察おろかFBI、CIAまでもが足取りを掴めていないらしい。まさか世界的警察組織が本部の場所も掴めていないとはな。」
仁琴は呆れたような声で言った。一方、仁琴父と優はとても驚いていた。
「その情報…どこから?」 「全部一人で?」
この問に仁琴は当たり前のように答えた。
「1人に決まってる。こんな危ない組織に誰も関わらせるわけがない。情報は全て私独自で調べた。まあ奴らが経営してるホストクラブとか違法カジノとかに行ったり、幹部の人間と接触して潜入したり。」
当たり前のように言ってのけた。
「…。本当に仁琴って…。」「高校生…だよな?」
2人には仁琴が年齢詐称しているとしか思えなかった…。