月明かりで出来たシルエット   作:有栖川アリス

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こんにちは。アリスです(❁´ω`❁)Alice


投稿遅くなりました( ´⚰︎` )
次の投稿はだいぶ遅れます(テスト関係です)!

是非最後までお付き合い下さい!


おかしな仁琴

今日、仁琴達は学校にいた。確かに仕事もあるが、やはり普通の高校生でいたいという願いもあるのかちゃんと毎日通っている。素顔の仁琴はあっという間に人気者。天晴は最初は告白されたりして彼氏ができないかと心配していたが、仁琴は高嶺の花すぎて誰も話しかけてこれないらしい。それに仁琴は未だに優、月、天晴以外とは滅多に話さない。だが、そんなクールな姿勢も素敵だと女子が騒いでいた。

 

「寿、また全国模試も1位だったな!」

担任は仁琴と遭遇する度に褒める。地味な姿の時は周りから勉強だけが取り柄だしね〜と嫌味を言われていたが、今は全校生徒の憧れの的だ。

 

だが、今日の仁琴はどこか落ち着きがなかった。周りからしてみれば可愛い、癒されるといった感じだが、天晴と月にとっては大丈夫?!というほどであった。普段あれほどのポーカーフェイスだからだ。

「仁琴、どうした?」

天晴(学校用)が聞く。

ちなみに天晴が未だに学校でキャラを変えてる理由は単に気に入ってるかららしい。(余談)

「いや、何でもない……。」

そう言って仁琴は読書を始めたが、その読んでいる本は逆さまだった。

【ねぇ、仁琴りん、やばくない?!】

【めっちゃやばいやん!どないしたんやろう!!】

天晴と月は小声で話す。

「ゴンッ!!!」

急に大きな音がして、天晴と月は驚いた。別に音に驚いたわけではない。驚いたのはその光景だ。

なんと、仁琴が自分の頭を本で叩いた音だったのだ。

周りは声も出ないくらい驚いている。

「ど、どうしたの?!仁琴りん!」

「いや、その、心配してるとかじゃなくてっ……。」

ほんのり顔を赤らめて言う仁琴。2人は最初、なんのことを言っているのか分からなかったが、空いている席を見て、やっと理解することが出来た。理解出来た喜びと同時にそれを遥かに上回る怒りが湧いたのも事実だった。

「優が学校来てないのがそんなに気になる?」

月はいつもとは違う怒ったような顔をして仁琴に聞いたが、すぐにいつもの笑顔に戻って言った。

「今朝はやーくどこかに出掛けたみたいだよ?僕もどこに行ったかは知らないけど!」

そう言って一枚の紙を仁琴に渡して、天晴とどこかに行ってしまった。仁琴は急に立ち上がり、鞄を持って教室から出た。そしてさっきの紙に書いてあった場所に電話をかけた。

『はい?どちら様ですか?』

『ほぉ、学校休んで何してるんだ?』

すると電話の主は驚愕の声をあげた。

『仁琴?!なんで僕の番号を?!』

『ふふっ。元気そうで何よりだ。月から貰ったぞ。』

『なるほど…。あ、じゃあまた。』

そう言って優は電話を切った。居場所を知られたくなかったのだろう。仁琴ならば数分通話しただけで場所が分かるだろうと悟ったまでは良かったが、仁琴を舐めすぎていた。

「あの鐘の音は正教会の音色。この当たりで正教会の教会は…マトリアル教会だけか。あのくらいの響きなら教会から半径1km以内にはいたな。また今は…北西の風か。物凄く音が伸びていたから優はマトリアル教会から半径1km以内の北西にいる。」

仁琴はスマホで調べながら1人呟く。そして、スマホを直し、鞄をしっかり肩にかけ直して軽くあたりを見回して助走をつけて走った。妙に速く走るよりも、人には見えないくらいの速さで走った方がいいと仁琴は思った上での判断したらしいが、この二択は仁琴と他3人以外は迷うことも出来ないだろう。

 

マトリアル教会についた仁琴は、教会の屋根のてっぺんに立ち、街を見下ろした。北西の方を向くと、高校生くらいの男子が1人、売り地という看板が立てられた空き地の真ん中で寝転んでいるのが見えた。

ーなぜあんな所で寝転んでいるんだ?男子高校生が昼間からあんな所で寝ていたら通報されるリスクもあるのに。ー

そう思いながら仁琴は屋根から降り、やや足早に空き地へ向かった。


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