月明かりで出来たシルエット   作:有栖川アリス

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こんにちは!アリスです(❁´ω`❁)Alice

二日連続の投稿でございまする!╰(*´︶`*)╯




是非最後までお付き合い下さい!


天晴と仁琴 (天晴回想回)

仁琴は1人で抱え込みすぎている。

 

 

俺と仁琴が初めて出会ったのは、俺が5歳の時だった。俺が生まれてすぐ、髪色を見た両親が前々から繋がりがあった香由月家に駆け込んだ。両親は俺を香由月家に預けて、今も2人で暮らしている。勿論、未だに会いに行っており、仁琴の父親は一時帰省も勧めてくれる。でも俺は帰らない。それは両親も承諾してくれているし、メールや手紙は定期的に送っている。俺は仁琴を守らなければいけない。

初めて仁琴を見た時、天使だと思った。シャモアのかかった長い髪に、透き通るような白い肌、ローズクオーツのような大きな瞳に長く毛先がカールしたまつ毛。まだ鮮明に覚えている。そして幼いながら直感した。

ああ、俺はこの子を守らなければいけない と。

 

それから仁琴の父親によって鍛えられた。身体以外に、勉学、メンタルなど役に立ちそうなものは全て教えられた。確かに大変だったが、辞めたいなどは思わなかった。それは仁琴のおかげだった。

 

守らなければいけない。その思いはあの事件が起きてから一層強くなった。仁琴はあの事件から変わった。無表情を纏い、笑わなくなった。あの時、俺がもっと強ければ、大きければ、震えていた仁琴の肩を抱きしめることが出来ていた。守ることが出来たはずだった。

 

仁琴は自分を強く持つために必死に修行を始めた。仁琴の父親からは仁琴の我儘を出来る限り聞いてほしいと頼まれた。だから2人だけで離れに住み、誰にも素顔を見せないようにしていた。

 

初めて素顔で学校に行かせたのには理由があった。勿論、小町となることが決まったのもあるが仁琴は変わりたいと思っていた。だから自分から小町になりたいと申し出たのだと思う。素顔で学校に行く前日、仁琴は悔しそうな顔をしていつもの黒髪のウイッグを握りしめていた。その時、初めて俺は気づいた。本当は変わりたいんだ。だけど誰かに背中を押してもらわなければ、いけない。その1歩先を知るのが凄く怖い。もっと早く俺が背中を押してあげなければいけなかったんだ。気づかなかった自分がいかに未熟なのか思い知った。もっと早く気づいていれば、仁琴はまた違う未来にいたのかもしれない…と。

 

 

俺は仁琴の苦しそうな顔を何度か見たことがある。さっきもそうだ。俺を起こしに来た仁琴はどこか変だった。まるで寂しさや悔しさ、悲しさを押し込めたような表情だった。その時、どうすればいいか分からない。

そんな俺の迷いを打ち消すように日々演技をして暮らす。演技は疲れないのか?そう聞かれると疲れる。でも辛そうな仁琴に何もしてあげられない自分を思い知るのがもっと疲れる。

 

俺は怪人十二面相……までは行かないが最低6つの顔を持っている。

 

 

 

学校での自分

 

仁琴の前での自分

 

忍者の時の自分

 

両親の前での自分

 

本当の自分

 

********の自分

 

 

 

 

 








ありがとうございました!


つい最近、閲覧設定から背景の色や文字の色を変えました!

はい、すみません。ただそれだけです(笑)


また次回もよろしくお願い致します!

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