本日2話目!
是非最後までお付き合い下さい!
『香由月62代目の忍者は天才だ。あの宝石を探し、盗むことが出来るだろう。コルダ流星群が通り過ぎる前に。そして我らの仇を取ってくれるだろう。』
「ねぇ、仁琴?」
昨日は月と優も泊まり、今は5時30分。仁琴は優と一緒に朝の軽い(仁琴にとっては軽い)運動を済ませて朝食を作っている。
「なんだ?」
「いや、その…大丈夫?」
仁琴は相変わらず無表情だったが一瞬、眉を動かした。
「気付いていたんだな……。天晴にも気づかれなかったのに。」
そう言って仁琴は辛そうな顔を優に見せた。
「少し…嫌なことを思い出してしまってな…。」
仁琴は泣くのを耐えてそうな目をしていた。
「僕が役に立つとは思えないけど、何かあるなら聞くよ?聞くくらいしか出来ないからさ。」
優はどこか寂しそうに笑った。
「今は…言えないな。でもどうやら一番先に優に言わなければいけないみたいだな。」
そう言って仁琴は笑った。勿論だが優は顔を赤くして照れ笑いのように笑った。
そして優は思った。
僕に守れるものは少ない。この手から零れてしまうものも多くある。だけどこの少女だけは何があっても、命に代えてでも、必ず守ってみせる。
それが例え、どんなに暗くて、深くて、臭くて、息苦しい沼のようなものが迫ってこようと絶対に守る。守らなければいけない。
どうしてこんなことを思ったのかは…正直、優にも分からなかった。ただ仁琴の言葉と表情から感じた。それだけの事だった。
「朝だよ!月、起きて。」
優は月の布団を無理やり剥がして起こした。
「ねむいよぉ〜!!!」
月は優に奪われた布団に諦め悪く、くっついている。
優は月を思いっきり蹴り、起こした…というより殺りかけた……。
月は優の顔を見るや否や10秒で身支度を済ませ、優の前で正座をした。
「よし!最初からそうやって起きればいいんだけどね…。」
「へへへっ!」
月は反省してるのかしていないのか、分からないような反応でヘラヘラ笑っている。
「朝ごはん出来てるから、行こうか。」
そう言うと目を輝かせて、優よりも先に部屋を出て、居間に行ったのだった。
「天晴、起きろ。」
仁琴が天晴を起こしにいくと、天晴は窓際に座り、外を見ていた。
紺色の縦しまの寝間着を身につけており、テラ·ローザのかかった髪が朝日に包まれてほのかに輝いて見える。その天晴の表情は哀愁漂っているというか、なんというか、思いつめた様子だった。
「仁琴か。」
天晴はいつもより低い声で仁琴っちなどという呼び名ではなく、仁琴と呼んだ。
「天晴、もしかして……。」
仁琴は何かを悟ったようで、確認するように天晴の様子を伺う。
「ああ、いや。少し役作りは疲れたなって思って。」
二人の間には少しの沈黙があった。その空気を先に破ったのは天晴だった。
「仁琴っちのためや!大丈夫。あんじょうやるから!」
そう言って仁琴1人、部屋に残して居間に向かった。
背中を見ていた仁琴は気づかなかった。天晴が何かを強く恨み、憎んでいるような…バケモノのような顔をしていたのを。
ありがとうございました!
ネタバレとかになるかもしれないんですけど、天晴は仁琴達の仲間なので裏切りなどではありません!ご安心(?)下さい!
今後ともよろしくお願い致しますm(*_ _)m