特に前書きのようなものは必要ないのでそのまま本文へ!
最後までお付き合い下さい!
「あわゎゎ♡仁琴っち最強に可愛ええ~」
向こうからこんな声が聞こえてきた。月と優が見に行くと…。
「仁琴りん?だよね…!」
そこに居たのは黒い忍者服に腰の部分だけ桃色のラインがあり、口の部分には桃色のバンダナを巻き、ポニーテールを桃色のリボンに桃の花のアクセと黒のビーズがついているゴムで結んでいる。目尻をアイライナーでつり目気味にして、付けまつ毛をつけて、右目下に小さなほくろがある。
「可愛ええやろっ!」
天晴は自分の事のように自慢している。
「可愛いけどなんでほくろとかつけたりしてるの?ツケマだって仁琴は元々長いから影になるよ?」
「優、馬鹿ちゃうか?影にならな正体バレるやろ!それにほくろをつけてるなんて誰も思わへん。ちゅうかなんでアンタらおるん?お泊まり会はもう終わったで?どっから入ってきたん?明日の夜やから準備でもしとるんかと思ってたねんけど?」
天晴は仁琴を眺めながら興味無さそうに優達に聞く。
「嗚呼、準備とかはもう優がしてくれてる。裏口からこっそり入ったんだ♡」
月はウインクをしながら言うが天晴は見向きもせずに言う。
「不法侵入で訴えるで」
冗談なのか本気なのか分からないような声。
ー仁琴りんが可愛いすぎてこっちには興味無しか。ー
ー仁琴愛強いな…いや、強い所じゃないね…ー
二人は思った。当の本人はというと本を読んでいた。その本のタイトルは『鬱陶しく、過保護な人を黙らすには』。仁琴は天晴を鬱陶しいと思っていて黙らせたいんだなと二人は察した。まぁ天晴の過保護は凄いから仁琴も嫌になるのは当然。
「なぁ、ただ盗むだけなのに準備なんているのか?私達は闇同然。怪盗とは違う。」
仁琴は読んでいた本に桃の花が描けれている栞を挟んで閉じ、いつもより真剣な顔になる。仁琴にも香由月家の忍者という自覚がだれよりもあることが分かる。だが、月は思った。
ーまず、物を盗む時点で闇同然だと思うけどな…。ー
「ええんちゃう?別に今までがそうやったっちゅうわけで、これからもそれでいく必要は無い。なっ?」
天晴はいつものようなクシャッと顔面を崩した笑顔。だが少なからず声のトーンからして真剣だとわかる。
天晴はすぐに声のトーンを戻し、いいことを言ったといわんばかりの満面の笑みを浮かべていた。その笑顔の裏には多分、誰か褒めて!という意図が隠されている。
「天晴、珍しくいいこと言った! 」
優が褒めると天晴はそりゃあ嬉しそうな笑顔でもっと褒めてくれていいんだよと語っていた。
「ねっ、仁琴。おーい、仁琴ー!」
優が仁琴に同意を求めると、仁琴はまた本の世界に入っていた。
「なんだ?天晴、なんか言ったの?」
この一言には流石の天晴でもグサッときたようだ。
さっきまでの笑顔とは真反対の顔でその場をあとにした。仁琴は変わらず頭の上にクエスチョンマークを幾つも並べている。月はそんな仁琴が少し怖かったらしく、3歩程、後ずさりしていた……。
最後までありがとうございました(❁´ω`❁)
次回は投稿が遅くなると思います。