今回は仁琴と優!いつもと違う仁琴をお楽しみください!
是非最後までお付き合い下さい。
優はいつも通りの時間に起き、周りを見渡す。隣を見ると、月が幸せそうな顔で寝ている。仁琴の家の美しいカーテンを少し開けて外を見たが、まだ暗く、何も見えなかった。高そうなふすまを開けて、キッチンへ向かう。流石に昨日の夜ご飯のような豪華なものは作れないけど泊まらせてもらっているからには何かしないとという優の善心から簡単な朝食位は作ろうと思った。(いつも作っている)キッチンのドアを開けようとすると、ドアの下から明りが漏れていた。ドアを開けて入ると、まだ午前四時なのに仁琴がいた。(午前四時に朝食を作ろうとする優も優だが………)
「にっ、仁琴?!どうしたの?」
仁琴はいつもの涼しげな顔で横目でチラッと優を見たが、また視線を戻す。
「優こそどうした?早いな。私はいつもこの時間だが優もか?」
仁琴はポニーテールにした髪を揺らしながら少し顔を傾けて視線を優に向ける。優は自分が茹でタコのような顔になっているのを気づき、視線を少し外す。
「ぼっ、僕は今日だけ。朝食作ろうと思って。」
「そうか。ありがとう。」
少し頬の筋肉を緩めて優しく微笑む。赤みが引いた優の顔にまた赤みが…。
「にっ、仁琴はさっきから何してるの?」
「嗚呼、今、白玉ぜんざいを作っている。」
優が仁琴の手元を覗くと、粉から白玉を作っていた。
「えっ?粉から?!いつもなの?」
「ハハッ。えらい驚きようだな。嗚呼。いつも和菓子を作っている。あっ、そうだ。」
珍しく声を上げて笑いながら、とても広ーいキッチンの奥にあるデカイ冷蔵庫から黒い箱をいくつかとってきた。その箱の蓋を開けると、美しい桜色、癒される抹茶色、輝きを帯びているチョコ色の直方体が入っていた。
「これって羊羹?仁琴が作ったの?」
「嗚呼。昨日作って1晩乾燥させた。寒天から作ったんだぞ。」
そう言いながら仁琴は包丁をだして器用に羊羹を薄く切る。そして漆の器にいれ、紅葉をしき、その上に切った3色の羊羹を置いて優に出してくれた。
「食べてみてくれないか?初めてで下手だが。」
仁琴は不安そうな顔をして、優に言う。優は遠慮なく頂くことにした。一口食べると抹茶の香りが口いっぱいに広がる。あっという間に優は完食した。すると仁琴はパァっと顔が明るくなった。
「良かった。誰かに食べてもらうの初めてで不安だっとんだ。ありがとう。」
仁琴は今までの微妙な笑顔ではなく、少し歯を見せて笑った。まるで子供のような表情で無邪気に…………。
「凄い美味しい!誰かに食べてもらうの初めてって言ってたけど、天晴は?」
「恥ずかしいから言ってない。」
「えっ?こんな美味しいのに!お店のよりも美味しい!」
優は心から思った。優は思わず立ってしまっていた。それほど美味しかったのだ。(仁琴の笑った顔が可愛すぎたのもありますが…。)そんな優を見て最初は不思議な顔をしていたが、段々笑顔になっていった。
ー本当に仁琴はお菓子作りが好きなんだ。ー
優は笑顔の彼女を見て、心から思った。
なのに何故このような可愛らしい少女が忍者をするのかが不思議でたまらなかった。本当に忍者のような忍術が使えて、体力があるのか。
忍者の家に生まれて来なければ、普通の美少女高校生として普通の日常を送れていたのだろうか。優は考えると止まらなくなる。まぁその謎解きは機会があればということで……
ありがとうございました!
話がぶっ飛んでいます!まぁ気にせずに…(気にしますよね…)
ではまた!