FF9 観光日記   作:祝子 紀

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名付け親の権利にあの人は困ってるようです。


第31話

 さて、どうしたものかはテンプレート過ぎる言葉だな。

 

 

 

 大公殿下から委託された専用小型艇の名付け親の権利にありがたくもここ数日は頭を悩ませる日々である。

 

 リンドブルムは今日も青い大空に様々な飛空艇が上空を飛び交っている。

 

 滞在期間が半月を過ぎ、ビショップ家に向けての定期報告の手紙とレポート、それと合わせてトット教授への手紙と翻訳内容のまとめたものを指定された特注の宝石箱を思わせるような特殊魔方陣があしらわれた銀色の魔道具の箱に収めた。

 

 これは最近空間移動系統の魔法、魔法名テレポを物体に宿らせることが成功したために作り出すことに成功したテレポボックス。

 

 この銀色の魔道具の箱は中に入れたものを対になる箱に送ることができる、箱のふたに赤黄青緑の順で魔石がはめ込んであり赤は起動時に、黄色は転送中、青は送信済み、緑は受信時に光る魔石だ。

 

 

 バックを利用した定期報告は荷物を安全に届けることは信頼に値する人物しか利用できないためにいづれ、私が故郷に帰った時に困ると思い開発に力を注ぎ現物を作り上げるに至ったものだ。

 

 試作した段階で物品の転送自体は問題なく成功し今現在は私名義で特許出願済み。

 

 実際はレッドローズのテレポットに使われている術式の資料にアレンジと改良を加えたモノを物体のみに焦点を絞って小型化した魔方陣を仕込んだ遊びで作った1対の手品ボックスをトット教授に説明書付きで送ったものがビショップ家当主様の目にとまったらしいくいつの間にか特許を出願させられた。

 

 事後報告は良くないと思うんだが特許を取れとの上司の命令に流された自分が憎いし、いささか安易に既存のものに改良を施したことを反省するべきか。

 

 個人の利用ではテレポボックスのために大量の魔石と相性の良い魔法銀(ミスリル)が大量に使われているために目が飛び出るほど高いのでお勧めはできないが金に糸目をつけない瞬時の取引ができるためある程度の水準の豪商や貴族に飛ぶように売れるため需要は切れることがない。

 

 一箱、単価10000ギルは暴利を貪るにも程があると思うんだが…それ程に価値があると言ったのはその場でオークションの真似事で値を釣り上げた鑑定のために呼ばれた商人組合(ギルド)が悪いと私は責任転嫁してみる。

 

 報告のために何度かやり取りしテレポボックスはビショップ家では当たり前になる日も近い。

 

 技術革新に手を貸したせいで一部錬金術や魔道具製造方面に名を売ることになってしまったがこれがのちの憂いになるかどうかはまだわからないといったところだ。

 

 

 さて目下の問題は大公殿下から提案された専用艇の名前に関してだがこれに関してはいい案がすでに2つほど思い当っていた。

 

 7月のお披露目まで秘密ではあるがその時までには絞り込めるだろう。

 

 

 それよりも困ったことがある。

 

 大公殿下がブリ虫に変化した呪い事件についてだ。

 

 覚えている範囲では7月頃に大公夫人に酒場での民間人女性との逢瀬(デート)を知られた為に怒った大公夫人にシド大公がブリ虫に変化する呪いをかけられ、その日の内に大公夫人がヒルダガルデ1号機を使った盛大な家出を行ったことまでは知っているのだが、6月の初めまでにシド大公殿下が城下町にいらした気配や噂話もなく仲睦まじい夫婦中であらせられるといった話しか聞かないのだ。

 

 このまま何事もなく6月が過ぎ去ればいいのだが…人生そううまくいくわけがなく。

 

 

 

 わが目を疑うとはこのことか!と思わず現実から目を背けたくなる。

 

 宿の前にいる人物のせいでだ!

 

 大公殿下…、なんであんた城下町に降りてきているんだ!

 




UA10000記念の旅行先はFF6に決まりました!
40話後の番外編もお楽しみに!

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