FF9 観光日記   作:祝子 紀

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書いてないと感覚忘れそうですわ(´・ω・`)


第16話

 生きたいと思う。行きたいと思う。逝きたいと思う。この場合はどれになるのだろう。

 

 

 

 絶賛全力の生死をかけた船の上での鬼ごっこ中、()()()の私は意外に足の速いサラマンダーさんを相手にずいぶんと皮肉に満ちた考えに浸っていたと思う。

 

 メインの盗賊君の次に速いと思われがちの竜騎士の姐さんよりも初期パラで比べると彼は加入時期が遅いだけで肉体面で素晴らしい性能を誇ること(かといって魔法系はお粗末かと思うなかれトランス時の全体技と化した絶技は強力だ)を思い出して道の曲がり角や牽制用にグラビデを空間指定で飛ばして即席の見えない罠にしたりで距離を稼ぐことで逃げることを優先した。

 

 時折、急所めがけて円月輪を投げつけてきたり、こちらの動きを先読みするように急接近しては思いもよらぬ方向から爪の一撃をくらわせて来ようとしたりする彼から追い詰めて殺すことを専門にする暗殺者の一面が感じ取れる。

 

 遊ばれているとすら思える彼の余裕(油断ともいえるが彼はそう思ってもないだろう狩られる側は明らかにこちらだ)に考えが浮かぶ、相手が油断してくれているというならば其処をつくまでだ。

 

 新たに手に入れた装備の魔法に魔力を入れる。

 

 

 

 

「    」

 

 

 

 

 実をいうとこれを使う機会が来るとは思わなかったのが本音であった。

 

 

 

 

「追いかけっこは終わりだぜ」

 

 後方から声がかけられると同時に避け損ねた円月輪が右太腿の膝に近い外側を切り裂いて悲鳴を口からいやがおうにも噛み殺しきれず漏れると同時に膝が地面についてしまった。

 

「まぁ、長く持ったほうだったな」

 

 がくりと円月輪が掠ったほうの足から力が抜けていくと同時に感覚がなくなりつつある恐らくは刃の部分に麻痺させる薬品でもついていたのだろう。

 

「終わりだな」

 

 流れ出る血が止まらない感覚が遠くなる。

 

 爪の一撃が心臓めがけて放たれた。

 

 

 

 

 

 嫌にあっけない終わりだなと彼は目の前の死体を眺める。

 

 先ほどまでに見事な逃げっぷりを見せた人物が無様に薄暗い水路に屍をさらしている。

 

 魔法を使った簡易的な(だが威力はえげつない)見えない罠には苦戦させられた。

 

 トレノへの道につながる下水道を出る直前まで逃げ切ってみせた身体能力は純粋な戦闘ではどんな技を繰り出してきただろうかなど考えても仕様がない事が次々と湧き上がるが所詮はちょっとした感傷に過ぎない。

 

 

 自分は殺しを請け負う裏の暗殺者だ。

 

 

 決して正道を行く表の格闘家などいう華やかな職でない。

 

 

 思考を振り払う様に目の前の死体から殺しの証拠の為に何か証拠となるものをと言われていたことを思い出し髪でも切り取ろうかと近づく。

 

 爪についていた血を拭い去り、死体の髪に依頼人に渡すために懐のナイフ取り出し切り取ろうとするとふと彼は違和感に気づいた

 

 手に取った髪の毛が徐々に絵画から色が抜けるように触ってる感覚がなくなっていくのだ。

 

 いや気のせいではない!

 

 即座に死体から離れ爪を構えあたりを警戒しながら死体の様子を注意深く観察する。

 

 心臓を貫いたことで噴出して地面を汚していた血が消えていく。

 

 死体から色が抜けて徐々に透明になり消えていく。

 

 爪についていた暗殺対象の血も消えていく。

 

 

 目の前にあったはずの死体は完全に消えてしまった。

 

 

 これが意味することは

 

 

「まんまと逃げおおせられたのかよ…」

 

 

 暗殺の失敗であった。

 




実を言うとアルティマニアに載っているLv.1初期パラメータで

比べると竜騎士の姐さんって見た目以上に速さが低いんですよ。

1位 主人公君 23 

2位 焔色の旦那 22 

3位 お姫様 21

4位 竜騎士の姐さん 20

重装備な分、速さを犠牲にしているのですかね。

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