FF9 観光日記   作:祝子 紀

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 わが青春を捧げたFF9にスポットをあてて書いていきます。

 時々は浮気してましたが私はあなた一筋よ!



日記の始まりが書かれている…
第1話


 記録を付けようと考えた。自分が確かにこの世界に存在していると確認するために。

 

 

 

 始まりは何だったのだろう?

 

 この日記を見た私以外の君は唐突に失礼だがFF9というゲームを御存じだろうか?

 

 知らない人はいいのだが、知っているならば歓迎と共にいろいろと話をしたいものだ。

 

 主に()()について

 

 数ヶ月前(正確には四か月と半月ほど前)に遡るのだが詳しい話は追々、日記に記していこうと思う。

  

 一ヶ月目は混乱と共に時代の把握と自身のスペックの確認と衣食住の確保に必死だったと思う。

 

 なんせ本当に信じられない話であるが目が覚めたら吐瀉物特有のすえた臭いのするトレノの路地裏で無防備に寝ころんでいたのである。(よく寝ていたところを泥棒や酔っ払いに襲われなかったのは幸運だった思う)

 

 目が覚める前の記憶については学び舎に赴き、友人たちが下らない話をして盛り上がるそばでいつも通り読書に夢中だった日常に送ったと覚えている。

 

 

 読書に夢中だった平穏な日常が遠い。

 

 

 慌てて起き上がり路地裏を抜け出しつつ(背後でゲエゲエと誰かがまだ吐いている音が聞こえいたのを不思議と覚えてる)、カバンの中やポケットの中を確認すると入っていたのは本当にわずかばかりの硬貨十数枚(一円玉から五百円玉まで結構あった)、読み返していた小説の文庫本が数十冊(置き勉派だったので教科書はロッカーに入れっぱなし)、筆記用具とノート六冊(今書いている日記帳はこっちで購入したもの)がカバンの中身でポケットには携帯電話(スマホ)だけであった。

 

 路地裏を出た先は運よく見覚えのあるマップで犬っぽい生き物がこの数ヶ月(正確には四か月と半月以下略)で見慣れたモーグリと追いかけっこを繰り返す場所であった。

 

 

 その時はじめて自分がこの世界のトレノの自分がいると気付いただからあの光景は印象に残っている。

 

 

 気づいた事実に動揺しつつも持っていた持ち物を売ってこちらの服と護身用としての武器を手に入れたあの時の自分はえらいとほめてみる(いい成績をとった時に褒めてくれた両親はこちらにはいないのだから自分で褒めるしかないのだ私は虚しい)。

 

 生憎と小説は()()()の文字でないため買取を断られたが()()の硬貨はこちらでは精巧な出来で珍しいコインとして高値で引き取ってくれたし、足元を見られず低く買取せずに適正価格としてギル相場を教えてくれたり、小説のほうは塔に住んでいる変わり者の学者先生に見せたらどうだとアドバイスもくれた。

 

 いい装備を揃えられたし、その日の宿も教えてくれたナイト家の店番さんは優しい人だった。

 

 この時、驚きの連続であったためそれほど気にも留めていなかったがナイト家の店番さんは物珍しく精巧な異国のコインを持った変な服を着た人物によく丁寧に対応してくれたものだとおもう(たぶんいつも相対している客または腕試しの旅人にしては不審者だが騒ぎ立てるものじゃないからのものだという考えが私は近いと思う)。

 

 教えられた宿屋に赴きその日は鍵を閉めると同時にベッドに崩れ落ちる形で眠りについた。

 

 朝起きた時に夢であったと家族に笑いながら挨拶できることと信じていた。

 

 それが私の始まりの日であった。

 

 

 

 

 

 ザアザアと風に合わせて草が揺れて草原独特の草の香りが鼻をくすぐる。本日の天気はとても良い。

 

 

 

 太陽は真上にあり時間帯は正午頃だろうか。

 

 草原のど真ん中で野宿(キャンプ)のための見張りをしてくれるモーグリも呼び出さず、無防備にも寝ころんでいた私はむっくりと起き上がり背についた草きれを払いながら大きく伸びをした。

 

 カチャカチャと音を立てて、数か月前(正確には四か月以下略)から相棒となってから使い込んだ二本の突剣(レイピア)が腰で揺れる。枕代わりに折りたたんだくたびれた感じの羽ペンがささった日に焼けてやや色あせて朱色にも見える紅い婦人帽を丁寧にしわを伸ばして被り直す。

 

 「空…綺麗だね」

 

 起き抜けの第一声にしてはあまりにも間抜けで極まりない能天気なことを呟いた私である。

 

 

 場所はアレクサンドリアにほど近い川のそばの草原である。

 

 




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