テイルズオブゼスティリアクロスIF ~聖主の願い~   作:ソフトな何か

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さぁ、ほのぼのタイムは終わりです。
とうとうスレイたちも旅にでますよ!

他のみんなは何してるのですかね!
わくわくが止まりません!

今回もそんなキャラ達頼みの
見切り発車でお送りいたします!

あれ?もう作者いらなくねぇですか???(困惑


4.約束を果たそう

 「いよっと!」

 

 荷物の入った皮袋を持ち上げる。

 中には旅に出ても困らないようにグミやハーブに食料など、さまざまな物が詰め込まれている。

 

 「スレイも準備できたかい?」

 

 「うん。大丈夫。まぁ、足りない物があったら現地調達かな」

 

 「エダもできたー!」

 

 旅の準備は万全。みんなでお揃いのウリボアの皮袋だ。

 スレイとミクリオの皮袋は巾着風で、エダのものは肩かけのポーチのデザインになっている。

 これは、少しでもエダが歩きやすいようにと、ミクリオが裁縫して作ったものだ。

 

 エダが嬉しそうにミクリオに飛び付く。

 ミクリオはエダの頭を軽く撫でると、行こうか。と言って歩きだした。

 

 

 村の入り口に着くと、村人全員が集まっていた。

 なんでも、スレイとミクリオの旅立ちの際も気づいていたが、ジイジに見送りを止められていたらしい。

 ジイジ曰く、若い者の旅立ちに後ろ髪を引かせてはならん。ということだった。

 

 しかし、今回はジイジもおらず、また二度目の旅立ちともあって、みんなほのぼのとした雰囲気で集まってくれていた。

 

 「なにかあったらすぐに帰ってくるんだよ」

 

 「なんにも無くても顔ぐらいはだせよ!」

 

 ワハハハと笑い声が起こる。

 

 「絶対帰ってくるよ」

 

 「ジイジのお墓のこと、お願いします。」

 

 二人はそれぞれ言葉を残すと、両側からエダを挟むように手を繋ぎ、村の入り口に背を向けた。

 

 「やっぱりさびしいもんだねぇ・・・。」

 

 「みてみて、あの3人ほんとに親子みたいね!」

 

 「ほんとだねぇ・・・」

 

 村人達にとってスレイもミクリオも幼い時から皆で育ててきた大事な子供だ。二人の連れてきたエダに至っては、初孫のような気持ちで見守っていた。

 もちろん本当にミクリオとスレイの子供だなんて誰も信じてはいなかったが、まるで本当の親子のように寄り添う彼らを見て、その事については本人達が口に出すまで黙っていようと村人全員で決めていた。

 「だから、絶対無事に帰って来るんだよ・・・」

 

 誰かが呟いた言葉に、イズチの村人達は彼らの大好きなふるさとを、これからも守っていこうと心に誓った。 

 

 小さくなる3人の背中。そして彼らが見えなくなった後も、しばらくの間、誰一人その場所から動くことなく、ただただその場に立ち続けていた。

 

 

 村を出て小一時間。

 エダが疲れてしまわないか心配していたが、その心配は杞憂だというように元気に先頭をずんずん歩いていた。

 

 旅の目的地は"霊峰レイフォルク"

 まずは居場所がわかっているかつての仲間に、スレイの復活と旅のお誘いをかけるつもりだった。

 その仲間の名前はエドナ。

 地の天族である彼女は、可憐な少女の見た目とは裏腹に、毒舌を吐きまくるミクリオにとってはもはや天敵とも言える間柄だった。しかし、見た目よりも遥かに年上の彼女の本質はとても優しい心の持ち主で、かつての旅の際もきっと思うところも沢山あっただろうが世界を救うために、本当は何よりも大切な物事を半ば諦めてまで最後まで一緒に戦ってくれた。

 

 そう、今回の旅の最終目標は、彼女の兄を救うというものだ。

 

 彼女の兄の名は"アイゼン"

 かつてはとても不器用だけど、とても優しい天族の青年だった。

 彼は長い年月を人と過ごすという生活を送っており、いつからか穢れに飲まれ、完全なドラゴンとなってしまっていた。

 

 ドラゴンというのは、天族の穢れの先にある成れの果てで、本来穢れを生み出すことのない天族が、人々の放つ穢れに長く当てられることで、ドラゴンパピーを得て完全なドラゴンへと変わっていくものである。

 ドラゴンパピーであれば、まだ救う手段は数多く残されているが、完全なドラゴンを救う方法は、これまで無いとさえ言われていた。

 アイゼンは、この完全なドラゴンに分類される。

 

 しかし、救う方法が無いというわけではない。

 これまでと表現した通り、ドラゴンを救う方法はあるのだ。

 

 ドラゴンと言えども憑魔である。浄化の炎を使うことで浄化は可能なのである。しかし、そこには問題があった。憑魔を浄化する際に放たれる穢れ。

 一人の人間が発する程の穢れであれば、難なく耐えることができるのだが、ドラゴンになるほど深く穢れた者を浄化するためには、一人の導師では耐えきることができかったのだ。

 

 そのため、本当は彼女を迎えにいった先で願いを叶えてしまいたいところなのだが、その前に仲間集めを行わなくてはいけなかった。

 

 少なくともかつて一度だけドラゴンを浄化した時と同じ3人。長くドラゴンの姿で過ごした彼を助けるためには、さらにそれ以上の数の導師の力が必要だとスレイは考える。

 実を言うとこの世界には既に導師がスレイ一人しかいない。スレイの後任の導師もいたようだが、スレイが眠っている100年の間に、人間の彼はとっくに寿命が尽きていた。

 もちろんかつての仲間も同じく亡き人となっているため、導師、もしくは従士を増やす必要がある。

 

 従士というのは名前の通り導師に付き従うもので、導師になる素質である高い霊応力を持つ人間が、導師と契約した主神である天族と従士契約を行うことで、従士となることができる。

 

 なので、途方もない話しではあるのだが、まずはスレイの主神を探す。その後従士になれるものを複数人探して契約し、そこまでして初めてドラゴン浄化の儀式にとりかかるという流れになる。

 

 しかし、これだけ大変な事とわかっていても尚、スレイもミクリオも表情は晴れやかだった。それはかつて何度も涙を飲みながら倒してきたドラゴンを今回は必ず助ける方法があることを知っており、さらに過去に助けた実績まであるからだ。

 あの助けられなかった頃とは心持ちが全然違うのだ。

 

 「もうすぐアロダイトの森の出口だよ」

 

 ミクリオが昔作った地図通りに道を進んでいくと、目の前に森の出口を現す、ひときわ強い太陽の光が射し込んでいた。

 

 「どうしよう、一度レディレイクに寄ったほうがいいかな?」

 

 「まだ時間も早いし大丈夫じゃないか?ここまで憑魔とも戦ってないし」

 

 「エダ早く山登りしたーい!」

 

 エダの様子次第で決めようと思っていたが、まだまだ元気な様子のエダを見て、レイフォルクに向かうことを決めた。

 

 一行は森の出口の前で一旦立ち止まる。

 

 「いいかいエダ?ここから先、イズチの結界からでてしまうと憑魔というモンスターが現れる可能性がある。まず出会ったら僕とスレイの後ろに、すぐに隠れて欲しいんだ。できるかい?」

 

 ミクリオは優しそうな、それでいて心配そうな顔をしてエダの顔を覗き込む。

 

 「エダも戦っちゃだめ?」

 

 エダの言葉にミクリオは少し考えた後に、柔らかい笑みを浮かべて言う。

 

 「エダは僕達を助けたいのかい?」

 

 「うん!」

 

 大きく返事をするエダの頬に手を添えて、ミクリオはエダの額に自分の額をあてる。

 

 「エダの気持ちはわかった。とても嬉しいよ。でも、違うんだ。これから現れる憑魔というものは、スレイのような浄化の炎を使える導師じゃないと戦うことができないんだ」

 

 「どうして?エダ戦えるよ。すごいてんきょーじゅつも使えるよ!」

 

 「うん。エダは強いよ。だけどだめなんだ。エダが戦うと・・・」

 

 「ミクリオはなんで意地悪いうの? ミクリオ嫌い!」

 

 エダは話を聞かず森を飛び出した。

 

 「スレイぃぃ・・・」

 

 「ま、理解するにはちょっと難しいよな。俺からも話すよ」

 

 泣きそうになっているミクリオの肩をぽんぽんと叩くと、スレイは早足でエダの後を追った。

 

 

 森を出て数分。エダはプリプリと怒ってますアピールをしており、スレイに隠れてミクリオを近づけさせない。

 

 「こりゃ一旦レディレイクに寄らないとだめかもなぁ」

 

 ミクリオは先ほどから死んでしまいそうな顔をしながらトボトボと歩いている。

 スレイは小さく嘆息しながら、レディレイクへの道を進むのであった。

 

 

・・・。

 

 

 「あれは・・・」

 

 スレイ達が去った後、森の出口付近に人影が現れる。

 

 「ようやく見つけたでこざる」

 

 人影は小さく呟くと、スレイたちの歩いて行った方に向かっていった・・・。

 




というわけで今回も読んでいただきありがとうございます。
とうとう旅の目的も明らかになりましたね。

でも、最後の影って誰なんでしょう?
すっごく気になりますね!

次回もお付き合い下さいませ!
それでは!

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