テイルズオブゼスティリアクロスIF ~聖主の願い~   作:ソフトな何か

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さて、ヘルダルフもといエダちゃんの力が垣間見えましたね。なんだこれ。
でも、アニメのクロスをご覧の方はご存知かもしれないですが、天族って本気出すと超強いのですよ。
ライラさんとかめちゃくちゃ強そうでしたね!

今回のお話はエダちゃんの器に関するお話です。
ちなみにまえがき書いてる時点でいつもの通りなーんにも考えてませんが、この子たちはいったいどんな器を見つけるのでしょうか。わたしも気になります!


3.器

 あの大騒動の後、盛大な爆発音に気づいたイズチの村人達が総出で事後処理を開始した。

 みんな妙に手際がいいのは、過去にスレイやミクリオだけではなく、村の誰かが盛大にケンカした後などは、村人達が総出で事後処理もとい、お片付けを行っていたためである。

 

 「おい、こっちに風をくれ」

 「はいよ」

 

 ずぶ濡れのエダに向かって風の吹かせ、そこに火の天響術を乗せる。すると暖かな温風が生まれ、エダの服と体を急速に乾かしてゆき、エダの後ろに控えたミクリオはわしゃわしゃとタオルでエダの髪を拭いていく。

 

 一方のスレイはというと、地の天族と水の天族を引き連れて破壊してしまった山の修復に行くという。たった3人だけだが、それだけで充分なのだそうだ。

 ただの人間が見ていたら卒倒してしまいそうな光景だが、イズチではこれが当たり前であり、それを指摘するものは誰一人居ないのだった。

 

 

・・・。

 

 

 「はー。いい運動になったな」

 

 ひとしきり片付けを終え、村人達にお礼を言って別れた後、スレイ一行も帰路につく。

 ミクリオがしきりに心配そうな顔でエダの顔を覗いているが、エダは顔を上げる素振りを見せず、小さな手でミクリオの手をぎゅっと握っているだけだった。

 反省でもしているのだろうか?そう思ってそのまま歩いていると、急にエダの力が抜け、ガクンと膝から崩れ落ちてしまった。

 

 「なっ!?」

 

 慌ててエダを抱き止めるミクリオ。だが、抱き止めたエダの顔を見て、すぐに安堵のため息を吐く。

 

 「寝ちゃったみたいだ」

 「ありゃ?そっか、おぶるよ」

 

 スレイがしゃがみ、ミクリオがエダを起こさないように慎重にスレイの背中へと預ける。

 よっ!という声と共にスレイは立ち上がると歩きだし、いつも通りミクリオはスレイの左側へと並んだ。

 

 「なんかさ、思い出しちゃうよね」

 「奇遇だね。ボクもだよ」

 

 西日が傾く村の中をゆっくりと歩く。

 二人はジイジを思い出していた。

 確かあの時はスレイが、あの時はミクリオが。

 ジイジに背負われて夕暮れの道を進んでいた。

 

 今でも忘れない。大事な記憶。

 泣きながらジイジにしがみついていたっけ。

 ジイジは何も言わず、ただゆっくりと歩いてくれた。

 ジイジの背中が暖かくて、どんなことがあっても不思議と最後は眠ってしまうのだ。

 とてもとても暖かい記憶。

 

 「エダが大人になっても、今日のこと覚えてるかな?」

 「どうだろうなぁ・・・。でも、きっとボクらの事は覚えててくれると思うよ」

 

 スレイの笑顔に釣られミクリオも笑顔を見せる。二人はそれ以上何も言わずにスレイの家に向かって歩きだした。

 

 その日の夜。

 エダを寝かしつけたミクリオはスレイに自分の考えを話した。

 「エダなんだけど、たぶん部類としては雷の天族なんだと思う」

 「そりゃ、確かに雷の天響術使ってたからね」

 

 ミクリオはスレイの言葉に頷く。

 しかし、本当に大事なことは、そこではない。

 

 「エダは最初から雷を使った。この意味がわかるかい?」

 

 スレイは一瞬悩んだが、すぐに何かに気づいた顔をして、そしてまた考え込む。

 

 そう。エダは最初から雷を使った。

 

 ジイジがあまりにも普通に雷を使うので、二人の感覚はマヒしていたが、本来それは"ありえない"のである。

 

 天族が生まれながらにして持つ属性は4つ。地、水、火、風。この4つしかない。

 もちろんジイジのように長い年月をかけ修練を積むことで、属性を掛け合わせて原理として雷を使うことができる者もいる。しかし、雷の天響術というのは、あくまでも火と風の天響術の掛け合わせであり、掛け合わせた結果、雷を生むのであって、本当の意味で雷の力を呼び出して扱うわけではない。

 ジイジであってもそうだったはずだ。

 

 つまり、ただの天響術を使うよりも遥かに難しい高度な組み合わせ技を、1つの属性の天響術もまともに扱うことができない子供がやってのけたのである。

 そんなことがあるわけないのだ。100年の時を過ごしたミクリオですら、まだ自分の対応属性の天響術しか使えないのに、あんなにつたない技量で、天響術を組み合わせることなどできるはずがなかった。

 となると、やはりエダは"最初から雷の天響術を使えた"と考える方が自然なのだ。

 

 「とりあえず、まだ一度しか天響術も使ってないし、しばらく様子をみよう」

 「だな。これから時間はたっぷりあるさ」

 

 スレイの言葉にミクリオは頷くと、もう1つと付け加えた。

 

 「エダに合う器なんだけど、さっきのエダの動きを見て思い付いたものがあるんだ」

 

 そう言うとミクリオは布に包まれた棒のような物をスレイの前に差し出した。

 

 「開けるよ?」

 

 ミクリオが頷いたのを確認し、スレイは布を開いた。

 

 「これは・・・」

 

 姿を現したのは長刀。

 片刃の刀はどこか東方の地のサムライソードを思わせる。

 しかし、それは明らかに片手で扱うことを意識しておらず、柄部分と合わせると、ミクリオの身長程の長さがあった。

 そして、これは実際にこの刀を前にしてみないと感じないが、異様なまでの迫力があり、この刀が尋常ならざるものだということを肌で感じる。

 作成されてから長い年月が経っているのだろう。柄の装飾部分は既に風化をはじめているが、その刀身はまるで昨日作られたかのように、美しい輝きを放っていた。

 

 「すごいじゃないかミクリオ!こんなのどこで見つけたんだ?」

 「これは・・・。キララウス火山で見つけたんだ」

 

 スレイがヘルダルフと共に地の底に沈んだあと、ミクリオは何度もキララウス火山に足を運んでいた。

 あの戦いの後、キララウス火山の地殻が不安定になっており、行く度に洞窟内の地形が変わっていた。この刀はミクリオが4度目にキララウス火山に向かった際に発見したもので、次に向かった際には、刀のあった場所は無くなっていた。

 まるで自分を見つけて欲しいと姿を現したその刀を、ミクリオは望み通り連れ出したのである。

 

 「僕の見つけた発掘品の中ではダントツだと思うよ」

 「そっか。一応他も考えるけど、これが決まりっぽいな」

 

 しばらくあれやこれや複数の発掘品を品定めしていた二人だったが、やはりこの刀以上に相応しいと思える物がなく、

スレイはこれをエダの器とすることに決めた。

 

 異様な雰囲気と不明な出自。見たところ器としては申し分ない。

 これで旅に出ても安心だと笑うスレイを横目に、ミクリオは一人、嫌な胸騒ぎを感じていた・・・。




さぁさぁ、出てきましたよエダちゃんの器。
こんなんでてくるんだね。都合よすぎてびっくりです。
わかる人にはわかると思いますが、あの刀です。

いや、ほんとに全然思い付かなくて悩んでたんですが、話を進めていくと、キャラたちがどんどんヒントくれるのですよね。マジ有能です。
わたしが遊んでもちゃんと軌道修正してくれるので本当に助かりますね!


話しは変わりますが、
お気に入り登録ありがとうございます!
私のお話を読んでいただけるだけではなく、気に入っていただけるなんて!本当に本当に嬉しいです。
すっごいやる気でますね!もう、やる気の王様ですよ!

これからもがんばって書いていきますので、キャラ共々最後までお付き合いいただければ幸いです。

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