聞こえるか、この鐘の音が()   作:首を出せ

17 / 24
UAが30万を突破しました。本当にありがとうございます!
評価をくださっている方、感想をくださる方、誤字報告・修正をしてくださる方も何時もありがとうございます!
これら全てが私の励みです。


NDKNDK?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時が経つのは早い。これは年齢が上がるごとに自覚していくらしいが、ここ最近は本当にそう感じる。だってもう既に魔導兵団戦当日なんだもの。今は1組の担任講師であるハーレイ先生がこの魔導兵団戦のルールを説明してくれている最中だ。

 

 さて、ここ一週間あったことだけど別に特に何もない。一応は講義と言う形態をとっている為にレオス・クライトスがうちのクラスに魔導兵団戦における基本である三位一体陣形的なものを教えてくれたが、グレン先生がそれをバッサリカット。俺達にまだ三位一体の究極技は早いとのお達しである。彼曰く、その陣形はプロの軍人が長年の訓練の末に身に付けるものである。一週間やそこらで身につくものではないと多大なる説得力を以て説明してくれた。

 

 しかし、逆に言うのであればレオス・クライトスは理論的に理想であるその形を絶対に取ってくるとグレン先生は言う。そこに隙があるとも。レオス・クライトスの理論と実際の生徒の動き。その差に如何に付け込むかが勝利の鍵となるとも言っていた。

 

「ではこれより特別講義。魔導兵団戦の模擬試合を開始する。各クラスと担当講師は自軍に向かう様に」

「っしゃぁー!行くぞ皆の衆!!」

『おうっ!!!』

「(―――あの2組の気合の入りようは一体何なんだ……?)」

 

 ハーレイ先生が妙にテンションの高い我がクラスをとてもおかしな物を見るような目で眺めていた。とりあえず、内心で謝っておく。すみません、貴方のいう崇高な講義の時間は、割と私利私欲にまみれた醜い戦場になります。

 

 陣地となる場所に移動した俺達は、最後にこの戦場における各員の役割を確認していた。基本的には皆が二人一組で行動をする。俺達にやらせるのであれば三人目はいらないとは例の如くグレン先生の言葉だ。まぁ、そうだろう。状況に応じて補佐なんて学生ができることじゃない。ただ単純に成績がいいからできるという問題でもないからなぁ。

 

「―――そして、例外組であるリィエル、サン、ギイブル」

「ん」

「はい」

「……」

「お前たちの役目は重要だ。リィエルはその機動力を生かして丘を陣取っておけ。恐らくあいつらはピンチになると丘からの遠距離攻撃にシフトするはずだ。そして、サンとギイブル。お前たちが戦場の要だ。サンはそのビックリ箱みたいなショック・ボルトで敵を攪乱。自分がいけると思ったらレオスを打ち取りに行ってもいい。ギイブルはその補佐だ」

 

 そして俺達例外組。グレン先生からチーム戦は向かないと判断された戦場に置いて英雄となる資質を持っているらしい。もちろん皮肉だ。

 

「さぁ、集団行動のできないアウトロー共。好きに暴れろ。リィエルも、丘に来た奴は全員倒してオッケーだ。ただしその場から動くなよ?お前の一挙一動に白猫の人生がかかってるからな」

「任せて。システィーナは私が守る」

「ギイブルとサンは今更言うことはないよな」

「当然です。作戦は全てこの中に入ってます」

「先生の期待通りに暴れますよ。とりあえず、隙を見せた奴から順番に」

 

 俺達の答えに満足したのか彼は最後に気合を入れるために声を荒げて号令する。

 

「それじゃあ、この戦いでレオスをぶっ潰してサンと白猫の愛が本物だって証明しようじゃねえか!」

「おい」

 

 いい加減にしてくれませんかねぇ……。貴方たちがそれを言うたびにシスティの顔は真っ赤に染まっているんですけど?

 

「大体、そこまで話を大きくしないでください。俺とシスティは本当に付き合っているわけでは―――」

「―――おっと、そこまでだサン。何処でレオスが聞いているかわからない。だから迂闊な発言はするな」

 

 急に真面目になられたので、少しだけ対応に困るが、それでも一利あったので大人しく口を塞いだ。

 

「それでいい。……と言うわけでここで一つ白猫に対する愛を語ってもらおうか!」

「はィ?」

「さっきも言った通り、何処でレオスが見て聞いているか分かったもんじゃない。だからこそここで付き合っているという信憑性を得るために実行に移す必要があるんだよ!」

 

 何言ってんだこの人。

 と言うかよくよく考えてみるとここでの話が聞かれてたら作戦丸聞こえだし、見られていたら配置バレバレになるからそんなことないと思うんだけど……。

 そう思うのだが、どうやらこの場に味方はいないらしい。指笛まで吹いて煽ってくる馬鹿ばっかである。最後の望みとしてシスティを見るが、彼女はもじもじしたままこちらに視線を向けては外すという行動を繰り返していた。……やれと?

 

「………」

 

 この子受け入れ態勢バッチリなんですけど。

 

「さぁ、視覚と聴覚……隙の無い二段攻撃をお願いします!サン先生!」

「これが終わったらお前ら全員覚えておけよ……」

 

 クラスメイトに煽られる中、俺はシスティに近づいて―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――結果から言えば、とんでもなく恥ずかしかったとだけ言っておく。

 

 

 

 

 

✖✖✖

 

 

 

 

 

『2組のケン君とクリス君に4組の魔術が炸裂!ここで2名脱落だ!流石学年でもトップレベルと名高い4組。術の威力、精度、速度全てが2組を上回っているぞ!しかも魔導兵団戦の基本である3人一組を見事にこなしているぞ!』

 

 実況を行う生徒の声を聴き、レオスは監視の魔術を使用する。そして実況が伝えた状況を自分で確認すると思わず笑みを浮かべた。2組の生徒の配置はバラバラで尚且つ三人一組など欠片もできていなかったからだ。レオスは素早く2組の生徒の数を確認すると、それぞれに2組の人数を上回る戦力を投入した。

 

『おぉっと!ここでレオス先生が動いた!2組の人数を上回る戦力を投入、これは一気に戦いを決める気か?』

 

 これによりこの特別講義を見ていた他の魔術講師達はグレンの敗北を予想した。しかし、この戦いの審判でもありある意味一番グレンに関わって来た男。ハーレイ・アストレイだ。

 彼はグレンのことを途轍もなく嫌っているが、それでも彼の意味不明なまでの実力を誰一人理解している人物でもあった。だからこそ、既にレオスが勝つ雰囲気を漂わせる講師陣の中で難しそうな顔で戦況を見守っていた。

 

―――確かに状況はレオス殿の圧倒的有利。そもそもそんなことはこの模擬戦が始まる前から分かり切っていたことだ。……にも関わらず、あの男が対策も立てずに挑むだと?それこそあの男がただで負けることよりもありえない。

 

 それはある意味で信頼だった。競技祭の時、彼にしてやられたことを彼は誰よりも覚えていたのだ。そして戦況は、ハーレイにとって幸か不幸か、思った通りになる。

 4組の陣営が2組の陣営に近づいた時にそれは起こった。なんと、彼らの足元から唐突に魔方陣が発生し、それぞれコード・エレメンタルと紫電が迸る檻のようなものが構築され、動きを封じたのだ。これには実況を行っている生徒も驚きを隠せないのか、興奮したような早口で戦況を実況していく。

 

『な、なんとこれはもしかしてトラップか!?2組の前衛に近づいた4組が悉く生み出されたゴーレムと紫電の檻に拘束されていきます!……そしてその隙を逃すことなく2組の前衛が4組を攻撃!!ここで4組、3名が脱落しましたァ!!』

 

 ここで動揺をしたのは4組の生徒達だ。今まで自分達が有利だった状況が一転して不利に転じた。尚且つ、自分達を拘束した魔術式が確認できなかったことも恐怖を助長している。下手に動けばあのトラップの餌食となるかも知れない。……冷静に考えればあのような変態的な魔術を行使できる生徒がそう多くいるはずもなく、また複数も一気に設置できる筈などないのだが……戦闘経験の少ない生徒たちにそれを求めるのは聊か厳しいと言えるだろう。

 そして、それだけではない。いやらしい戦法に定評のあるグレン率いる2組が崩れた前線をそのままにしておくはずがない。

 

「ぎゃぁあ!?」

「うわぁぁ!?」

 

『4組、ここで更に二人脱落!しかしこの魔術は2組の前線の者ではない、一体何処から撃っているのでしょうか!?』

「よし、いい感じ。どうギイブル。自分で改良してみた術式の感覚は」

「まだ改良の余地があるな。拘束時間が短すぎる。不意を突けたにも関わらず落せたのはたったの5人だ。普通なら全滅すら狙えたというのに……」

「少し理想が高すぎるとも思うけど……向上心があることはいいことだよね」

 

 最前線から少し離れた所に位置取りをしているサンとギイブルが戦況を見ながら言葉を溢す。

 そして、前線が混乱したところを見計らうと二人はそろって頷き、前線へと押し上がり始めた。監視の魔術でそのことに気づいたレオスは素早く次の行動の指令を下す。

 

「皆さん落ち着いてください。あのような魔術はそう多く仕掛けることはできません。一先ず、今前線に上がって来たサン・オールドマンとウィズダン君を優先して狙ってください。前線から離れている部隊は丘に戻り、遠距離攻撃を」

 

 流石軍事魔術を研究しているだけあり、戦場の把握や術の特徴を分析するのが早い。混乱の最中に在った4組を落ち着かせた彼は丘の場所取りを行っている部隊に通信を送った。

 

「リト君。制圧状況はどうですか?」

『そ、それが……』

 

 返って来たのは制圧の報告ではなく、逆に制圧されたという泣き声だった。どうやらここでレオスはグレンが一騎当千の駒を配置していたことに気づいたらしく、溜息を吐く。

 

「グレン先生はこんな駒まで用意していましたか……ならば―――皆さん森の中に移動を開始してください。私の森林戦術を駆使して一気に2組を殲滅します」

 

 レオスの指示通り4組は2組に顔を向けながらも森に後退していく。その様子を見た2組の前線は徐々に徐々に4組の後を追って、森の方へと突き進んでいった。レオスは今度こそ決まったと薄い笑みを浮かべ――――そこで思い返す。前線に居た人数は明らかに少なすぎる。サンとギイブルの活躍で騙されてはいたが、あの場には2組の女子生徒の姿が確認できなかった。

 

「しまった、私としたことが……!皆さん、気をつけて下さい。森の中には既に2組の伏兵が―――」

『えっ?あ、わぁあぁぁぁっぁあ!!??』

 

 時既に遅し。

 誘い込んでいると思っていたが、実は誘い込まれていた。これにはレオスも歯噛みする。自分の得意分野、そして戦力も申し分なかったはずだった。確実にグレン・レーダスをそして何よりも、サン・オールドマンを蹂躙できる筈だった。

 

 自分の歯を噛み砕かんばかりに力を込めるレオスだったが、ここで冷静になる。襲われただけで未だ全員が脱落したわけではない。確かに彼らは混乱の最中に在るが、それでも自分が指示をすればまだ立て直すことができると彼は考えていた。

 

「……前線で生き残っている人はそのままサン・オールドマンとウィズダン君を倒してください。森に居る生徒は今から私が言う通りの行動をしてください」

 

 

 こうして、レオスは自身の横に在る盤上を眺め戦況をどう動かすのかを考えるのだった。

 

 

 

 一方、こちらは場所が変わって森の中の戦い。

 レオスの指示で勢いを取り戻しつつある4組に2組は苦戦を強いられていた。挟み撃ちにしているはずが、逆に回避されてフレンドリーファイアをしてしまうような事態も発生している。全体的なチームワークでは4組の方に軍配が上がるようだった。

 

「大いなる風よ!」

 

 それでも、システィーナを始めとする突出したものは4組を着実に一人ずつ倒すことができている。

 更に言えば―――――

 

「うぉぉおおおお!!」

「何っ!?突撃だと!?」

「セシル!やれー!」

「えっ、あっ……うん!!雷精の紫電よ!」

『あばばばば』

『おーっとここで2組まさかの道連れだ!状況的には一人ずつ減っただけだが、たった今2組のカッシュ君と一緒に脱落したのは4組の部隊長を務めていた為、これは大きいぞ!』

「とまるんじゃねえぞ……」

「カッシュ君。そこはラディ〇ツ戦の〇空じゃないかな?」

 

 ―――何やらふざけているようなやり取りをしているが、それでも彼の功績は大きい。体外にして部隊は隊長がやられると連携が崩れる。もちろん長きにわたり戦場で絆を育んできた部隊はその限りではないし、本職の軍人もそう簡単にうろたえることはないだろう。だが、ここに居るのは何度も言うようだが学生であり、しかも練習期間は一週間しかなかった。

 

「皆、カッシュの犠牲を無駄にしてはいけませんわ!」

 

 部隊の司令塔がいなくなり、烏合の集と化した4組の部隊に待っていたのは2組によるゲイル・ブロウの嵐だった。

 

 

 そして、前線に置いて残りの4組を全て相手しているサンとギイブルはサンお得意の手数の数で確実にその数を減らして言っていた。もちろん、その際に攻撃が飛んでくるが、それは隣に居るギイブルが全部カットしてくれている。正しくぴったりなコンビネーションだった。

 

「おっと電気が滑った」

「大気の壁よ……。おい、オールドマン。その起動の仕方、どうにかならないのか?」

「これが一番わかりやすいんだな、これが……おっと遠距離ではレンジが届かないから前に出て来たね。なら今度はこれだ」

 

 遠距離の射撃では勝てないと悟ったのだろう。少しだけ前線を押し上げ、取り囲むように配置しようとする4組。もちろんそのことは予想済みとばかりに彼は自分の右足で2度地面をたたく。

 すると次の瞬間には、4組の前線に出ていた一組が紫電の檻に再び閉じ込められることになった。何度見ても学生が対応するにはいささか酷な魔術だった。

 

『再び4組を撃破!戦場の中央を陣取るサン君とギイブル君、強い強すぎます!その変幻自在にして鉄壁の守りを軍用魔術専攻のレオス先生はどう攻略するのか!?』

「ギイブル、大体残り何分か分かる?」

「もう後僅か。正直このまま攻め込めば勝てる……が、それはしないんだろ?」

「その通り。グレン先生曰く徹底的にボコッた後にあえて見逃すと相手の精神をズタボロにできるらしいから。なんかクラスの皆もそれで納得したらしいし」

「……今更だが僕達の担任、最低じゃないか?」

「ハハハ、何を今更。と言うか、賛同した俺達も同類なんだよなぁ。それに、これは名目上は講義だしね。表立って何か言ってくることはないだろうから、気楽にしていればいいと思うよ。―――――まぁ、俺は俺のできる限りの嫌がらせをするけどね。雷精よ・紫電の衝撃以て・天を穿て」

 

 サンはそれだけ言うと、前線から司令官のレオス目掛けて改良したショック・ボルトを試合が終わるぎりぎりまで撃ち続けた。その所為で、マナが枯渇し残り3分全力でギイブルに守ってもらっていたのは彼だけの秘密である。

 

 

 

 

 

 

✖✖✖✖

 

 

 

 

 

「今回の魔導兵団戦の結果は……まぁ……ひ、引き分け……だな。多分。………諸君ご苦労だった。これでほんの裾を握る程度だが、魔術を使って戦うという意味が分かったかもしれん。それはとても貴重な体験だということを忘れないで欲しい。各自、経験を求め自分の足りないものを追求し、補うようにこれからも勉学に励んでほしい。以上だ」

 

 やったぜ。

 ハーレイ先生が最初の動揺をイイハナシダナーで流したが、その気持ちは分からなくもない。なんせ、4組に残っていた戦力は残り一桁。一方こちらの戦力は半分以上が生き残っていた。にも関わらず後半攻めもしないでずっとその辺で時間を潰していたんだ。どう判断していいか迷うのも分かる。ぶっちゃけ、今回の所為でグレン先生の立場が更に悪くなった気がするんだがいいのだろうか?そこら辺のことは後で聞いてみよう。

 

 とりあえず、レオス・クライトスがどういった表情をしているのかと見てみれば、何とも意気消沈したようだった。顔色は青いを通り越して白くなっており、はっきり言ってゾンビのようである。

 そのことにグレン先生も気づいたのか心配したように駆け寄っていったが、レオス・クライトスはグレン先生の手を撥ね退け一人で何処かに行ってしまった。グレン先生はやり過ぎたか?と頭を掻いていたが……あの表情は………。

 

「――まぁ、いいか」

 

 言ってしまえばレオス・クライトスがどうなろうと俺の知ったことではない。とにかく、目先の目標は達成できたのでよしとすることにしようじゃないか。

 

 とりあえず―――

 

「あの……流石に鬱陶しいのでやめてくれません?」

 

 ―――疑似的なおしくらまんじゅう状態をどうにかしなければ。

 クラスメイトの皆は何故か俺達のオアシスは守られたーとか、色々言っているが俺はお前らのしでかしたことを忘れてはないぞ?

 

『さぁさぁ、とりあえず。無事に奥さんを守れたことだし、戦う前の続きをどうぞ』

「おい……」

 

 この前まで俺のことを避けまくっていたくせに、おもちゃへの華麗な転身を遂げてしまった。これは喜んでいいのかよくないのかとても迷いますわ。……思わず痛くなる頭を抱えながら俺はこのクラスメイト達をどうしてくれようかと悩むことになった。

 

 

 

✖✖✖✖

 

 

 

 

「成程、あれがサン・オールドマンと言う男か……」

 

 夕日の中、一つの馬車が魔導兵団戦の戦場となった場所から離れていく。それを操っているのは例の御者だった。彼は相変わらず狂気に侵されたたような視線を携えながら思考する。

 ……彼の計画の邪魔となりそうな存在、サン・オールドマン。そんな彼のことに関して調べてみると、日常生活では至って真面目な生徒。特務分室の資料を漁れば近年起きている失踪事件の犯人―――代行者の正体ではないかという疑いをかけられていた。

 

 それらの情報を全て分析し終えた御者はニヤリと唇を三日月のように吊り上げる。性格、行動様式などを分析したことによって彼は固有魔術である限りなく予知に近い予測が使うことができるようになったからだ。

 これでサン・オールドマンと言う男もこの御者がこれから行う()()の登場人物と化した。彼の役割はその辺のモブキャストとは訳が違う。彼を吊り上げ、そして御者の目的である非常勤魔術講師、グレン・レーダスを表舞台に引き釣り出すのだ。

 

「……これで長年のつかえがとれる。この試練を乗り越え、僕は初めて自身の正義を再び公に振るうことができるんだ」

 

 思わずと言う風にこぼれ出た言葉。

 そんな彼が操る馬車の中には数多くのハエが、その騒がしい羽音を立てながら飛び回っていた。

 

 

 

 だからだろうか、御者は遠くで聞こえる鐘の音に気づくことはなかったのだった。

 

 

 

 




……私が名前を間違えたばっかりに感想欄でも首を求めるジャティスさん可哀想。可哀想じゃない?
と言うか、そろそろジャティスさん。アンパンマン超えるんじゃないかな。首の数で。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。