更新速度遅くてごめんなさい。
新連載ばかり書いていてごめんなさい。
八重ちゃん可愛い(自画自賛)
卓上にずらりと並べられた豪華な料理。窓際には色とりどりの輪飾り。電飾などで綺麗に飾り付けられたクリスマスツリー。
電飾をくくりつけている紅葉の横で、ツインテールに輪飾りが絡まって半泣きになっている烏沙義。そんな作業風景だったが、なんとかクリスマスパーティーの用意は整った。
八重といえば、料理している俺の横にくっついてつまみ食いしようとしていたが、勿論そんな隙は与えなかった。
「ほら皆、席に着け~」
手を叩いて合図すると三人が明るい笑みでそれぞれの席に腰を下ろした。俺の隣の八重が目の前の唐揚げにこっそり手を伸ばしたので、素早くそれを叩き落とす。
いただきます! と合掌して普段よりも量の多いおかずに手を伸ばし、口に放り込んだ。うん、我ながらいい出来だ。
「榊、あーん」
不意に隣から鶏肉を突き刺したフォークが目の前に突き出され、八重がはにかんだ笑顔を見せる。天使かよ。
恥ずかしいという気持ちよりも、八重にあーんしてもらえるという喜びが圧倒的に勝り、お言葉に甘えて口を開ける。
うむ、数倍旨く感じるな!
俺も口をつけたフォークでそのまま食事を続ける八重を見て、少しドキリとしてしまう。
「さ、榊! あーん、だ!」
続いて目の前の紅葉からフォークで刺した生ハムサラダを口に突っ込まれた。
何故だか不満そうな顔をしており、あーん、と言っていた割には、俺が口を開ける前にねじ込まれた気がする。
ちなみに、烏沙義は俺たちのやり取りを気にせず無我夢中でキャベツをむさぼり食っていた。
「榊様! キャベツおかわりください!」
「はっや! ちょっと待っててな」
サラダのキャベツとは別に予め用意しておいた生キャベツを全て食らいつくし、なおかつまだ食べ足りない烏沙義。俺もキャベツは好きだが、こいつの場合は常軌を逸している。
キャベツをボウルいっぱいにして食卓に置くと烏沙義が満面の笑みで礼を述べた。
料理もあらかた食べ終え、皆が満足げな表情を浮かべているが、ここでケーキ登場だ。
「ケーキだー!!!」
八重はケーキを目にするなりいそいそと皿とフォークを人数分用意し始めた。普段からこのくらい積極的に手伝ってくれると有り難いんだがなぁ。
俺のイチゴを八重にプレゼントすると、お礼にもう一度あーんしてくれた。鼻血でそう。榊君幸せ。
「あ、雪だ」
紅葉が窓を見て小さく呟いた。つられて目を向けると、確かに雪が静かに降り注いでいる。
三人で初めて迎えるクリスマスがホワイトクリスマスになるとは、実に嬉しい。
と、八重が俺のシャツの裾を引っ張ってきたので顔を向けると、少し頬を赤くした八重が抱きついてきた。
「えへへ、メリークリスマスだよ、榊♪」
「榊、メリークリスマス」
「メリクリなのです! 榊様!」
――思えば、あの春八重と出会っていなければ、今頃俺は一人だったのだろうな。
「メリークリスマス。八重、紅葉、烏沙義」
今年も残りわずか。八咫烏との生活は幸せばかりである。来年も、この生活が続きますように……。