バイトと宿題が(汗
あと書きたい物語が出来たのですが試行錯誤してたら、時間がどんどん流れてまして……。
今回時数が短くて申し訳ないです。が、次話につながる大事な話です。と言うか大事な話になりました。
行き当たりばったりなのはいつものことなので大目に見てくださいまし。
小鳥遊、イン我が家。
「お邪魔しま~す」
「いらっしゃい。榊のクラスメイトだっけ、いつも榊がお世話になってます」
紅葉の母親っぷりに苦笑しつつも小鳥遊を居間に案内する。今気が付いたのだが、俺達三人の関係はどう説明すれば……。三兄妹とかでいっか。
テキパキと飲み物を準備する紅葉とは真逆に八重は普段と何も変わらずソファで寛いでいる。
丁度ソファに日光が当たっているので暖かそうだ。気持ちよさそうな八重の顔がたまらなく可愛い。
が、今は来客優先だ。
「八重、小鳥遊と座りたいから別に移ってくれないか?」
多少の駄々は覚悟していたのだが、予想に反して八重はすんなりとソファから離れた。驚いたが、礼を述べつつ二人で腰を掛ける。
と、俺の膝の上に八重が乗っかってきた。なるほど、これが狙いか。
「ソファからは退いたもん♪」
「はいはい」
得意げな顔で俺の胸に後頭部を擦りつけてくる八重。小鳥遊の前なので思い切り抱きしめたい気持ちをぐっと堪え、それでもついつい頭を強めに撫で繰り回してしまう。
八重が可愛すぎるのが悪いんだ。
紅葉の用意してくれた冷たい麦茶を飲みながら高校の話に花を咲かせる。
内容はクラスのメンツの話だったり文化祭についてだったりまちまちだ。
時折紅葉も会話に混ざりつつ、非常に楽しい時間が流れていく。
「……さて、八重ちょっとおいで」
「は~い」
唐突に紅葉が居間を後にし、それに続いて八重も退出していった。膝上に寂しさを感じながらも、小鳥遊との会話を続ける。
一体どうしたのだろう……。
「どう? あの子」
「うん、仲はいいけど確かに狙ってはなさげだね」
「やっぱりか。……榊がとられるんじゃないかと思ったよ」
「あはは、紅葉も榊好きだね!」
「あ。当たり前じゃないか。家族だろう」
「うん、そうだね!」
数学教師の奇妙な癖の話で盛り上がっているところに、二人が戻ってきた。何をしていたのかと訊ねてもそれとなく濁されてしまう。まぁ別にいいけど……。
それからまた他愛のない話で盛り上がり、気がつけば二時間ほどが経っていた。
赤と黒のチェック柄のプリーツスカートを軽くはたいて小鳥遊が立ち上がる。
トイレに行きたいとのことだったので、廊下の突き当りだと教えてやる。
「榊、あのさ」
トイレのカギが閉まる音と同時に八重が少し静かな声音で口を開いた。
「私達と小鳥遊さん、どっちといる方が楽しい?」
人間と八咫烏、その壁を改めて感じたのだろうか。
人外である自分より、同じ種族の友人のが大事なのではないか、と心配になったのだろう。
が、俺を舐めないでもらいたい。
八重と紅葉を俺の前に来させ、一応気遣って声のボリュームを落とし、はっきりと告げる。
「馬鹿だな。俺はお前らといるときが一番楽しいし幸せだよ」
頭を撫でてやると二人は安心したような表情を浮かべて、紅葉は自室に、八重は俺の膝の上に乗っかった。
小鳥遊が戻ってくると、膝の上の八重を撫でる俺を見てクスリと笑顔を浮かべた。
「学校じゃこんな榊君、絶対見れないよ」
笑いながらそういうので俺もつられて笑う。
確かに、学校より家のが何倍も幸福を感じられるしな。決して学校が嫌いなわけではないが。
あ、委員長の仕事は嫌いだ。
不思議と話は尽きないもので、その後もワイワイと盛り上がっていたら日は既に沈んでいた。
家の途中まで小鳥遊を送るべく、八重を一撫でして家を出た。
別れ際、不意に小鳥遊が俺を見つめてくる。
「あの、さ。紅葉さんの事なんだけど」
「紅葉がどうかしたか?」
「その……紅い目に紅い髪で、染めてたりしてるようにも見えなかったんだ」
……まずいな。怪しまれているのか?
確かに赤目赤髪の人は普通いないし、俺達三人の関係も普通じゃない。怪しまれて当然だ。
しかし、小鳥遊が言いたいことは別にあった。
「別に紅葉さんが変とか言いたいんじゃなくてね。実は、近所にそういう子が居るんだ。金髪で黄金色の目してるの」
それは、普通にハーフの子じゃないのだろうか。
そう思っていると、小鳥遊は神妙な面持ちで言葉を続けた。
「背も小さくてまだ幼いんだけどね、家もないみたいで……それに、自分のことを”八咫烏”だなんて言うの」
俺は、小さく息をのんだ。
やっとあの子ですよ!もし推しの方がいらっしゃったら本当すいませんでした!!!
是非是非感想や評価宜しくお願い致します!