ターミネーター イースタン・フロント   作:花咲 狼

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お待たせしましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

MGS4のドレビンと3のシギントが最近になって好きになりましたww


8話「Heartbreak」

〈対馬駐屯地 星沢 未来〉

対馬市の駐屯地に避難して1日が経過した。倉坂先輩は部屋にこもり、中からは泣いている声が聞こえた。

 

「未来ちゃん、ちょっと良いかな?」

 

そう呼んだのはジョーカーさんだった。彼の後に続いて先輩の部屋から少し離れる。

 

「どうしたんですか?」

 

たちどまって振り返る彼に質問すると、彼は周りを伺い小声で話す。

 

「実は、ウルフに秘密でアイツに発信機を付けてたんだ。」

 

「発信機?」

 

私の聞き返しに彼は無言で首を縦に振った。

 

「それで…コレを見て欲しいんだ。」

 

そう言って彼はズボンのポケットから端末を取り出す。

 

「これって…」

 

「アイツの居場所だ。」

 

その点は基地から数キロ離れた場所にあり、ゆっくりと移動していた。

 

「多分、負傷してるがまだ生きてる。それで…」

 

そこで言葉を詰まらせる。端末から彼の顔に目を向けると、バツの悪そうに頸を手で摩っていた。

 

「俺はアイツを助けに行こうと思ってる。」

 

「行きます!」

 

勿論、直ぐに答えた。

彼には2年前と昨日の2回も命を救われている。行かない理由が無い。

それに、確信は無いけど…多分、倉坂先輩は神村先輩の事が好きだから。

 

「良い返事だ。」

 

そう言って彼は真剣な眼差しで頷いた。

 

※ ーーー ※

〈基地から数キロ南:森林地帯 神村 一狼〉

森の中で偵察ドローンの音が駆け抜ける。

基地が崩壊して足が下敷きになった。折れた左足を引きずりながら移動する。

倒木に腰掛け、足の状態を見る。出血していて治療できる道具はない。俺は持っているハンドガンのマガジンから弾を1発取ると倒木の上に置きサバイバルナイフの柄の部分で叩く。弾丸は土の上に落ち、薬莢から火薬が見える。それを傷口にかけるとジッポライターで着火する。

 

「ッぐぅ・・・!!!」

 

叫び声を堪え呻く。炎が上がり止血は完了する。添え木になる木の棒を拾いパラコードで足を固定する。立ち上がり、足を引きずりながら歩き始めた。

 

※ ーーー ※

〈GPS反応から10キロ地点:星沢 未来〉

 

「ここで停めてくれ。」

 

陸自の軽装甲車両(LAV)のブレーキ音が車内に響く。体が揺られLAVが停車した。

 

「降りるぞ。」

 

LAVの後ろの扉が開き私を含め6人が降車する。すぐ側の建物に入り2階に上がる。驚く程早い連携で2階に登って行き、部屋のドアを開けた。そこには複数の武器・弾薬とホワイトボードに貼られたここら一帯の地図があった。

 

「皆んな、聞いてくれ。すぐに終わる。」

 

ジョーカーさんの声で全員がホワイトボードの前に集まる。

 

「現在位置はここ。ウルフの反応から10キロ地点。俺達はここから徒歩で救出に向かう。」

 

赤いペンを使い説明をするジョーカーさんの声に耳を傾けながら装備の点検を済ませる人達を見て、私はただただホワイトボードを見る事しか出来なかった。

 

「アイツは今、追われている筈だ。狙撃手と観測手はポイントから2キロ地点で展開、他の4人はターゲットを護衛しつつ後退する。後退するときに発煙筒で煙を焚く、そこに攻撃ヘリと回収用ヘリが来るからそれで帰還する。」

 

ジョーカーさんが説明し終えて少し間が空いて1人が手を挙げる。

 

「ハンターキラーはどうする?攻撃ヘリじゃ太刀打ちできないぞ?」

 

「その為のスナイパーだ。お前達にはプレゼントを用意した。」

 

そう言って彼は背後にあった長方形のケースを持ち上げて机に置く。机が軋んで埃が舞う。それだけでも重さが伝わってくる。

ケースを開けると、そこにはスナイパーライフルが鎮座していた。私が使った物より軽そうな姿をしたソレをジョーカーさんは狙撃手の2人に押しやる。

 

「マクミラン TAC−50 威力と射程は十分、軽量だから持ち運びもしやすい代物だ。」

 

ジョーカーさんが説明する傍らで狙撃手の1人はスナイパーライフルを持ち上げて、ボルトを起こし、何度か前後させて動きを確かめている。

 

「安心しろ。接着剤なんて詰めてない。」

 

それを見ながらジョーカーさんは笑みを浮かべて言った。

 

「準備しろ。出発する。」

 

ジョーカーさんがそう言うと、全員が一斉に動き始める。

 

「先輩、待っててください。どうか死なないで...」

 

私はそう呟いて無事を祈った。

 

※ ーーー ※

〈神崎 一狼〉

いったいどのくらい歩いたのだろう。出血と骨折の治療で体力を使い、水はとっくに底をつき、朦朧とする意識の中でなんとか次の一歩を踏み出す。

 

「ックソ!」

 

木に寄りかかり、悪態を吐く。一度、耳を澄まして周りの音を聞く。

木々の間を風が抜ける音、木の枝や木の葉が揺さぶられる音、川の流れる音、それらの中に金属が軋む音が混じる。

 

「200mくらいか。」

 

そう言ってもう一度足を動かした。

 

※ ーーー ※

〈ビーコンの位置から2キロ地点:星沢 未来〉

 

〈狙撃手、位置についた。〉

 

「了解。その場で待機しろ。」

 

〈了解。〉

 

狙撃手の連絡を隣のジョーカーさんが短く返す。

 

「ツーマン・セルで道路のサイドから進行する。前方の安全確認を頼む。」

 

〈了解。前方はクリア。進んでも良いぞ。〉

 

「了解。」

 

 

ドーーン!!!!

 

その瞬間、少し遠い所で爆発音がした。




次回
「サクリファイス」

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