ターミネーター イースタン・フロント   作:花咲 狼

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活動報告を書いた後ふと思ったけど、
「審判の日が2018年に起こった事だから20式は正式採用にならない時間軸になるんだわww」
って考えに至りましたw


11話「RISING SUN」

《スルト1より各機へ。これより航空優勢の確保にあたる。一機も堕ちるな。》

 

 まだ夜明け前の日本の上空、高度1500mにF35Aが4機。上空を飛行する。

 

《レーダーに感あり、敵飛行物体が急速接近中。恐らくHKだと思われる。方位数は2、各機注意して当たれ。》

 

《スルト2、了解》

 

《スルト3、了解》

 

《スルト4、了解》

 

 スルト1の指示に全員が答える。

 

《狩りの時間だ。スルト隊各機エンゲージ。我々の空を取り戻そう。》

 

 4機のF35AとHKの距離が縮まる。

 

《スルト1、フォックス2。》

 

 スルト1に続き、他の機体も空対空ミサイルを次々に放つ。8本の矢が白い尾を引きながら大空を飛翔する。

 ミサイルが当たる寸前で2機のHKは左右に分かれ、3発がビルに着弾し倒壊させる。残りのミサイルが追う中HKはビル群を大蛇のように掻い潜りミサイルを翻弄する。最後のミサイルがビルに着弾するのを機に、2機が同時に姿を現す。

 

《やはり、ミサイルでは駄目か。各機散開、格闘戦に持ち込め。背後は取られるな。》

 

《 《ウィルコ。》 》

 

 4匹の番犬が編隊飛行という名の鎖から解放され、各々が自由に飛びまわる。

 

《2年前まではAIは人類には勝利し得なかった。進化したAIの力を見せてもらおうか。》

 

 誰に言うでもなくスルト1がそう呟く。落ち着いた声が彼の経験の長さを物語っていた。

 HKが一対のジェットエンジンを後方に向け、速度を上げる。丁度ヘッドオンの状態だ。F35Aの25mm機関砲が火を噴く。同時にHKも30mmバルカンを掃射してくる。相手の機銃に被弾しないようにすぐに機首を逸らす。

 

《まずい。後ろに着かれた!ウォルター、援護してくれ!》

 

《了解。》

 

 一瞬だけ仲間の方を見る。3機の機影が列を成してドッグファイトしている。

 意識をこちらに戻し、敵を確認する。

 こちらの機銃が何発か被弾し少し黒煙を上げたハンターキラーがこちらに向かってくる。

 

《なかなかにしぶといな。》

 

 後ろに付かれ、振り解こうと上下左右に動き回る。加速して相手が追いかけてくるタイミングで減速とバレルロールを同時に行い、オーバーシュートさせる。

 

《フォックス3》

 

 機銃の連射音とともにHKの装甲から火花が散る。そのまま当て続けると左側のジェットエンジンに被弾し、火を噴いた。黒煙を上げ墜落して炎上する。

 

《一機撃墜、そっちはどうだ。》

 

《こっちも片づけた。》

 

 こちらの問いに絶え絶えの息で返答が返ってくる。

 

《了解。各機機体チェック後にRPD。》

 

 言い終わると自分の機体のチェックに取り掛かった。

 

《隊長。》

 

 スルト3が恐る恐るといった声色で聞いてくる。

 

《どうした。》

 

《陸に人影が見えました。民間人でしょうか?》

 

 その報告を受けて耳を疑った。

 民間人?こんな交戦空域の真っ只中に?

 

《確かか?》

 

《はい。一瞬ですが確かにこの目で見ました。》

 

《了解。HQに捜索隊を出してもらおう。》

 

 そう言い終えると無線の周波数を切り替える。

 

《スルト1よりHQへ、座標H区の海岸沿いに人影を確認した。捜索隊を要請する。》

 

《こちらHQ了解。スルト隊は安全を確認次第帰投してください。》

 

《了解。帰投する。》

 

 4機が編隊を組み直し作戦空域から離れていった。

 

※ーーー※

 

「行ったか。」

 

 海岸沿いに人影が一つ現れる。

 

「こちらゴースト。任務を開始する。」

 

 そう言って人影は太陽が昇り始めたビルが立ち並ぶ街に歩みを進めた。




次回
 「敵の敵」

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