「ねぇねぇカズくん! ゲームしよ!」
久々の休日。
しかもカズくんも同じ日に一日中休みなんて、一年で十回あるかどうかの確率だ!
そんな久しぶりの休日に、今私とカズくんはソファにぴったり隣同士で座っていて、
カズくんはブラックコーヒーを飲みながら、私は特に何もせずただこの居心地の良い空間を満喫していた。
このまま何もせずにこの幸せな空気を吸っていても良かったけど、どうせなら何かしたいな~
と思って、最初のあの言葉に戻る。
「ゲームか~……最近やってなかったし、久しぶりにやってみたいかもな~」
「お~! やろうやろう~!」
カズくんも意外とノリ気だったみたいで、何やら手首を回しながら準備運動をしている。
カズくん……ひょっとしたら私よりもノリノリかも。
よ~し、私も気合入ってきたぞ!
「と、その前に希」
「ん、何?」
私もカズくんと同じく手首の準備運動を真似ていると、カズくんが何かいい悪戯を思いついた
子供の様な顔で私の方を見てきた。
はぁ……全く、今回はどんな悪戯を思いついたの?
「希、今からこの”スマッシュシスターズ”で三本勝負して、負けた方が罰ゲームってルールにしない?」
「罰ゲーム~? またカズくん変な罰ゲーム思いついたの?」
「変なのじゃないよ!……僕が考えた罰ゲームは、
”もし希が負けたら昨日先輩から借りたこのホラー映画を一緒に観よう!”です!」
「うう~私がホラー苦手なの知ってるくせに~!」
「いや~やっぱりホラー映画は二人で見るもんでしょ!」
「……カズくんも怖がりなくせに……」
「う、うるさい! そ、それで希はどうするの?」
うーん、罰ゲームかー。
そもそも私ゲーム系の操作が苦手なんだよね、誘ったの私だけど。
だから勝率ははるかにカズくんの方が高い。
とすると、私は少し度が過ぎた罰ゲームでも大丈夫なわけだ。
カズくんにしてもらいたい罰ゲーム……あ!
「私の好きなところ……十個耳元で囁く、で……」
「え、えっ!? なんかレベル高くない!?」
だ、だって……してもらいたいんだもん……
それに、カズくんが私のどんなところが好きか……知りたいし?
別に耳元でカズくんに私の好きなところ言われて超ドキドキなんてしないし?
これは罰ゲームだから……そう罰ゲーム!
「だってカズくん私よりゲームうまいじゃん!」
「まあそりゃ希よりはやってるけど……そんな大差はないよ?」
「あるよ! ありあり! それに……嫌だったら勝てばいいじゃん!」
「別に嫌ってわけじゃないけど……まあ分かったよ、じゃあ罰ゲームも決まったしやろうか」
おーカズくん私の罰ゲームに乗ってくれた!
それに、別に嫌ってわけじゃないって……!
こ、これは絶対勝たなければ!
「じゃあゲーム起動するねー」
そう言うと、カズくんは電源ボタンを押して、私にリモコンを渡してくれる。
今からやるゲーム、大乱闘スマッシュシスターズは色々なゲームキャラが自分の分身として
選べて、相手と戦うゲームだ。もう結構昔のゲームだけど、今やっても全然楽しめるし
面白いからこのゲームは好きだ。
「じゃあ俺はゾニックにしようかな~。希はどのキャラにするの?」
「う~ん、私はカーピィかな~可愛いし!」
「よし、じゃあ3ストック制で、アイテムはスマッシュボールだけでいい?」
「うん! かかってこいカズくん!」
「おう! レッツスタート!」
1戦目終了。
結果:勝者カズくん
「もう~~~! カズくん強すぎ! ていうか必殺技が強すぎるよ~!」
「ふっふっふ、ゾニックの強さをなめてもらったら困るな」
「私も必殺技打ちたかったよ~……」
「ははっ、じゃあ二戦目行こうか。僕はキャラ変えてメタナイドにしよ!」
「カズくんキャラ変えるの~? じゃあ私もビカチュウにしよ!」
「希、次勝たないとホラーだからね?」
「わ、分かってるよ……あ、そうだ!」
「うん?」
1戦目を終え、私はカズくん操るゾニックを一回も倒せずに負けてしまった。
次勝たないとホラー映画なのに、多分次も負けちゃう……
だから、私は少し卑怯だけど、この作戦で行くしかない!
「あの……希さん? 何で僕の胡坐の上に座ってらっしゃるのかな?」
「え、えっと~……ノ、ノリ?」
「いやどんなノリだよ」
「と、とにかく! 早く二戦目行こうよ」
「待って! この体勢のままするのか?」
「そうだよ、何か不満?」
「え、えっと……画面見れないしいい匂いするしちょっと色々マズいんだけど」
「ダメ!」
「ダメって……はぁ、分かったよ。じゃあこのままでやろうね」
「うん!」
そして……
2戦目、3戦目終了。
結果:勝者どちらも希
最終結果:希の勝ち
「やった~~~!」
「負けた……何で……」
何と勝っちゃっいました!
カズくん、途中から全然うまく操作できてなかったらな~。
まあ全部私のせいなんだけどね!
ということは……
「カズくん! ちゃんと罰ゲーム覚えてる?」
「うぅ……はい……」
「うむよろしい。じゃ、じゃあ……今にでも……いいよ?」
わ、私が緊張してどうするの希!
ここは立場的優位性を保ってカズくんに更なる追い打ちを……
と、私が心を落ち着かせようとした時。
「大好きだよ、希」
そうやって、カズくんが私を少し強く抱きしめながら耳元で囁いてくる。
「可愛いところ、優しいところ、努力家なところ」
カズくんは、すごく落ち着いた声で、ゆっくりと言葉を紡いでくれる。
「おっちょこちょいなところ、泣き虫なところ、甘えん坊さんなところ」
私のダメなところも。
「いつも一生懸命なところ、いつも明るいところ、いつも笑顔なところ」
全部受け入れてくれるカズくんが。
「そして……僕のことを好きでいてくれるところ」
「カズくん……大好き」
本当に、大好き!
この後……
「あの~……希さん?」
「ふっふーん♪ にゃ~」
「さっきからホラー映画観れないんだけど……」
「私はカズくんのこと見てるよ!」
「いや、そういう問題じゃなくて……」
「ホラー映画より、カズくんのこと見てた方が楽しいもん♪」
「はぁ……まあ、これはこれで悪くないかもな、ふふっ」
「あぁ~カズくん何で笑ったの~?」
「いいや、別に?」
「ぶぅー! 教えて教えて!」
「わぁ!? こら、希!」
二人仲良くくっつきながらホラー映画を観たカズくんと私でした。
久しぶりの投稿ですみません。
なかなか書ける時間がなくて書けませんでした。
でもこの作品は絶対完結させるのでご安心を!
是非是非コメントや評価よろしくお願いします。
今回もお読みいただきありがとうございました。