アイドルな彼女と声優の彼氏   作:飛簾

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久しぶりの休日。

 「んん……まだこんな時間か……」

 

 重たい瞼を半分くらいまで開けて、僕は頭上にある目覚まし時計に目を向ける。

 時刻は七時十五分。

 うん、休みの日なのに早く起きすぎちゃった☆

 

 そう、今日僕はとても久しぶりの一日休日だ!

 声優の仕事では、良く午後からとか午前だけとか、かなり仕事時間の振り幅があるんだけど、

 今日はアニメのアテレコもなくイベントもないので、超久しぶりの休日だ。

 希の件で無断で仕事をサボって以来、僕はなんとしてでも遅れや周りの評判を取り返すべく、

 とにかくここ一週間は死ぬ気で働いた。

 いや~さすがに体力の限界だったね、こんなに働くのは。

 社長から直々に説教(二時間近く)を受けて以来、ホントに必死だったからここ最近のことは

 仕事のことぐらいしか覚えてないけど、まあとにかく何が言いたいかというと、

 やっと……休みだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

 

 ずっと待ってたよ、休みちゃん。

 君が僕のもとに来てくれて本当に嬉しいよ。大好きだ、休みちゃん。

 ……え? さすがにそれはマジで引くからやめろって?

 うん、僕も最初の行で気づいてた。

 

 まあ茶番は置いといて、さっきも言ったかもしれないが只今の時刻は七時十五分。

 世間から見たらこの時間帯は果たして早いのか遅いのかは分からないが、僕的にはこの時間は

 休みの日にしては早く起きすぎてしまったと思う時間帯だ。

 普段だったらこのまま二度寝して十時くらいまで寝るところなのだが、今日はそう言う訳にも

 いかない。

 ん? 何でかって?

 それはですね……

 

 「……すぅ……すぅ……」

 

 僕のすぐ隣に、希が寝息をたてて寝顔を見せながら寝ているからです!

 いや~僕も最初は早く起きすぎたな……二度寝しようかな……なんて思ってたら、

 すぅ~すぅ~って可愛い寝息が聞こえてきて、まさか……と思いながら横を向くと、そこには

 幸せそうに頬を緩まして寝てる希がいたんです!

 これはもう寝れないでしょうよ! これはもう寝れないでしょうよ!!(二回目)

 というわけで、僕は今希と体を対峙させるように寝ているわけですが、希は一向に起きる気配を

 見せません。さらに言うと、「……うふふ……アルパカ……私の……ふふっ……」なんて寝言を

 言ってるじゃありませんか! というか希よ、希は一体全体どんな夢を見ているんだ……

 まあ真剣に考えていくと謎は深まるばかりなので、思考するのはここで一旦中断しよう。

 

 「のーぞーみーさーん、起きないんですかー」

 

 ということで、僕は今から希にちょっかいを出すことにしました。いやどういうことだよ僕。

 まあ声をかけたくらいじゃ希は起きないので、希の両頬をぷにぷにしてみる。

 うーん、やっぱりさすがは希、頬に対してもケアを忘れない……

 予想以上に頬がスベスベしててぷにぷにしてたので、僕のテンションはアゲアゲである。

 あれ、なんか楽しいぞ? しかも希起きる気配が一向にないし……続けよう!

 

 「のーぞーみーさーん」

 

 今度は希の頬を軽く引っ張ってみる。むにぃ~っと。

 

 「っ……ぅぅんん……すぅ……すぅ……」

 

 いや、もう本当、何で僕の彼女は寝てる時まで可愛いのでしょうか。

 本当困りますね、主に僕の理性が。

 まあそりゃアイドルという仕事をやっているから可愛いのは間違いないんだけど、

 仕事外やプライベートでも可愛いって反則じゃありませんか。

 この”希が仕事外でも可愛すぎて僕の理性が叫びたがっている”件についてはまた後程話し合いましょう。

 

 「それにしても起きないな、希……」

 

 さっきからずっと頬をぷにぷにしたり軽く引っ張っているけど全く起きない。

 そろそろ頬が赤くなるからやめないといけないんだけど、できればもう少し希にイタズラしたい。

 んーでも、希を起こしちゃうと可哀そうだしなー…………仕方ない。

 今日はもうこれで終わって、今度やるゲームキャラのセリフでも覚えるか……

 と、僕が希のそばから離れようとすると、ふと僕の足元の裾に希の手が握られているのが分かった。

 

 「掛け布団と間違えてるのかな……よいしょっと」

 

 希の手をそっと解いて、布団をかける。

 希も今日は休みっぽいので、しっかり休みを取ってもらいたい。

 そしてもちろんイタズラしてたことは隠ぺいするつもりだ。

 

 「コーヒーでも淹れるかなっと……ん?」

 

 今度こそ立ち上がろうとすると、今度はさっきの逆の足元の裾が握られていた。 

 ん? 何かおかしいぞ?

 希の顔は布団で半分覆われていて表情は窺えないのだが、本当に寝ているのだろうか。

 確認しようとして、僕が布団をそっと持ち上げた、その瞬間。

 

 

 「あまいよ……カズくん」

 

 寝言ではない、確かに意識ある声が、僕の目の前にいる目をパッチリと開けた希から聞こえた。

 僕は驚きのあまり体を動かせずにいると、希はそのまま上半身だけ浮かせて、

 そのまま僕の唇に吸い付くかのようにキスをした。

 そして。

 

 「……私のほっぺは触っていいけど、触るんだったら私が寝てる時じゃなくて起きてる時にして。

 そうじゃないと……せっかく甘えてくれてたのに……反応、できないじゃない……」

 

 「え……?」

 

 「それに……カズくんとの時間は、ちゃんと二人で一緒に過ごしたい……だから……」

 

 そう言って、僕の顔に両手を包みこむように添えると、ニコッと微笑んで。

 

 「今日は、いっぱい一緒に休もうねカズくん」

 

 ……今日はずっと希を愛で続けよう。

 そう決め込んだ、久しぶりの休日の早朝での出来事でした。

 




お久しぶりです!
もう十月になって、肌寒い季節になりました。
皆さん体調を崩さないように気を付けてください。
ちなみに僕は38.5の熱を出しています。
小説書いてる場合じゃありませんでした。
皆さん体調を崩さないように気をつけてください。(二回目)

今回もお読みいただきありがとうございました。

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