これからは学校があるため更新が遅くなりますが、週一で出していけたらと思っています。
アスフィと別れてから5日が経った。
5日間は進路を邪魔してくるゴブリンを俺が倒しまくるだけの日々で過ぎていった。
そしてこの日、俺達はようやく旅の当初の目的。迷宮都市オラリオに到着することができた。
オラリオの第一印象は―――――――――――
「すごいでかい!!」
「何だあのでかい塔は……」
俺らはただ、オラリオに圧倒させられた。
あの都市の真ん中にそびえ立っている塔は圧巻の一言だ。
俺らはオラリオの門を潜り、これから住むことになる街を目にした。
「お兄ちゃん!たくさんのひとがいるよ!」
「そりゃ、世界の中心なんて呼ばれてるくらいだからなぁ」
ここオラリオはこの世界の中心と言われるくらい栄えており、様々な
確かに街にいる人々を見ると、エルフにドワーフ、
初めてのことが多すぎて、頭が混乱してくる。
「じゃあ早速探索だー!!」
「そうだな。今日は初日だし、色々と見て回るか」
俺達はオラリオの街を探索し始めた。
***
まず最初に行った場所は、外からでも見えた巨大な塔である。
ここはバベルと呼ばれる塔で、この下にはダンジョンがある。
また、バベルは50階建てであり、20階までは公共施設や換金所、各ファミリアの商業施設があって、そこから上は神々のプライベートルームとなっているらしい。
「間近で見ると本当に大きいよね」
「50階建てってこんなに大きいんだな」
「今まで見たのは最高でも2階建ての家だったから小町驚きでいっぱいだよ」
「俺もだ」
こんなデカイ建物そうそう見ねえだろうし。
「じゃあ次はどこ見る?」
「メインストリートを全部制覇しようぜ。ここに住むと決めたからには見ておくべきだろうし」
「じゃあお兄ちゃん。人が多いから手、繋ご」
「確かに迷子は怖いしな。いいぜ」ギュ
「ふへへ……お兄ちゃんと手繋ぐの何年ぶりだろう。うれしいな〜」ボソボソ
なんか小町が独り言に走っているが……いつものことなので特に気にしない。
すると、なにかに観られている感じが全身を襲った。
「(これは……バベルの最上階か?神様が俺ごときを観察なんて暇なんかね)」
「お兄ちゃん?どしたの上なんか見て」
「いや、なんでもない。行こうぜ」
「うん」
この時の俺は知る由もなかった。
俺を観ていたのが、美の女神だったなんて。
***
夕刻
「オラリオがこんなに広いとは思いもしなかったな」
「そだね」
「まあ西のメインストリートに酒場があることと、東のメインストリートにくつろぐのに良さそうな喫茶店があることはチェックしとかなくちゃな」
「それにしても、途中に買った芋の食べ物おいしかったなぁ」
「気にいったのか?」
「うん」
「じゃあ所属するファミリアが決まったら作ってみるか」
「おおっ!お兄ちゃんが自分から料理するなんて、小町今日一番の驚きだよ」
「いや、俺結構料理好きだからな?」
「最初は嫌がってたじゃん」
「そりゃあ、親にお前は器用だから何でも覚えろ!なんて言われたらさすがに嫌気がさすだろ」
「まあね」
あんときは本気でビビった。だって両親なんでも俺に求めるんだもん。小町も少しは仕込まれたらしいが、俺は毎日のように新しいことを覚えさせられたから格差がありすぎる。
イノシシ狩りに連行されるわ、ゴブリンと死闘をさせられるわ、組み手をさせられるわ……そう考えたら、下手するとオラリオへの旅よりきつかったかもしれん。
ま、今となってはありがとうとしか言えないんだけどな。実際に使えるし。
「今日はもう寝ようぜ」
「そうだね。宿は?」
「そこでよくないか?ちょっと高めだけど一回っきりって考えたら泊まっても損はないだろうし」
「さんせーい!」
俺らは少し高めの宿を取り、明日行うファミリア探しに思いを馳せた。
***
バベル50階。
ここバベルの最上階には、美を司る神であるフレイヤが住んでいる。
なんか一人で興奮している様子だ。
「ああ、ああ!なんて素晴らしい魂の輝きなの!」
フレイヤは一人、独白を続ける。
「こんな魂オッタル以来かしら。本当に綺麗」
「表は白く輝いていてかと思えば、裏では禍々しいほどの漆黒に包まれている。こんな魂初めて……!」
「欲しい、欲しいわ!」
彼女は一人、彼、比企谷八幡を手に入れるため、ローブに身を包んだ。
***
翌朝
「起きろ小町。朝だぞ~」
「ううっ、早いよお兄ちゃん。もうちょっと寝かせて……」
「何言ってんだ。もう5時だぞ」
「……おかしいのはお兄ちゃんだよ。立派に調教されてんじゃん」
「ちょっと小町ちゃん?どこでそんな言葉覚えたの?」
「お母さんに色々聞いた」
「お袋め!いらんことを小町に吹き込みよって!」
彼らの母である比企谷小枝子は、八幡に料理や裁縫、洗濯に掃除と、様々なことを叩きこむ半面、娘である小町には、いらん言葉ばかり教えていたのである。
小町が現在、超ブラコンと化している原因を作ったのも小枝子だった。
「まあいいや。俺は身体動かしに行くから、帰ってくるまでは寝てていいぞ」
「わぁい。じゃ、おやすみ」
「寝るの早えよ」
即行で寝た小町を放置し、俺は宿を出る。
昨日の探索で、メインストリートは壁側とバベル周辺の二ヵ所で交わっていることが分かったため、そこを周回するか。
そうして5周回ぐらいしたときだった。
バベルの付近を走っていると、目の前からフードを被った者が歩いてきていた。
見るからに怪しい。しかも、隠してはいるが、わずかながらゼウスと同じような神の気配を感じる。
ま、無視するか。
だが、そのまま俺がフードを被った神の横を通り過ぎようとしたときに声をかけられた。
「ちょっといいかしら?」
「え?な、なんですか?」
ヤッべ、話しかけられちまったよ。反射的に返事をしてしまったし、これは逃げられない。
「あなた、私が誰だかわかるかしら?」
「神、ですよね」
「あら、本当にわかるの。これでも神威を抑えているのに」
「雰囲気でわかりますよ。それくらいなら」
「まぁ」
ヤバいヤバいヤバい!なんかついつい答えちゃうけど、こんな怪しさ満点な神とこんなにも話しちまってる。これはヤバいんじゃないのか?
ちょっと怖くなって、俺は顔を伏せる。
だが俺は選択を間違ったのだ。
「ねえ、こっちを見て」
「え?」
強制命令。見なさいが発動されてしまった。
基本的に俺は神様の言う事なら大抵は聞くようにしようと思っているのでつい言う事を聞いてしまった。
そうして俺が顔を上げると……そこには銀髪の美しい女神が。
「綺麗だ」
「!?」
おっと、ついつい声に出してしまったが、仕方がないことだろう。
確かに今までにも可愛い女子とは会ってきた。小町だって可愛いし。
だが、闇精霊にしろアスフィにしろ……ロリ属性つきなのである。(あ、俺がロリなんて言葉知ってるのは親父のせい)
だが目の前にいるのは神様。しかも俺より身長も高く、美しい。つまり、お姉さん属性持ちなのだ。(これも親父!)
これを綺麗と言わずになんと言うのだろうか。
実際、この神を見て不細工なんて言う奴がいたら正気を疑うわ。
「………ち」ボソボソ
「え?」
美しい神様が一人俯き、震えていた。
あ、これ俺死んだパターンじゃね?小町、すまん。
だが、
「不意打ちなんてずるいわよ!」
「え?え?」
あれ?なんか叫んで走り去られちゃたんですが……。
ま、いいや。朝から美しい神様も見られたことだし、今日も一日頑張るか!
そう思い直して、俺は宿に戻った。
***
「はあ、はあ」
美の神であるフレイヤは自分の住まいに戻ってきていた。
走ったことなどいつ以来だろうか。
いや、そんなことはどうでもいい。
「私の『魅了』が効かない……?」
そう。第一に問題にすべきは、モンスターや神でさえも虜に出来る『魅了』が彼に効かなかったことだ。
さらに、
「綺麗……綺麗……ふふっ」
彼が見た瞬間に放った言葉がフレイヤを上機嫌にさせていた。
下界の子は神の前では嘘はつけない。そのため、本心から言っているのかを神は知ることが出来る。
そして、あの一切の嘘偽りない『綺麗』という素直な言葉は、美の神であるフレイヤに大きな影響を与えた。
「また、接触したいわ……名前も知りたい」フフフ
これが下界で言う『恋』であることをフレイヤが知ったのは、もう少しあとになってからだ。
***
俺は銀髪の女神さまと別れた(正確には逃げられた)あと、小町の待つ宿へと戻ってきていた。
「ただいまー小……小町さん?ど、どうしてそんなに機嫌が悪いんですか?」
「お兄ちゃん。さっきまで女の人と一緒にいたでしょ。それも、かなりの美人さんじゃない?」
「え?……い、いや、そ、そんなことな「あるよね?」あ、あります。はい」
「その人のことどう思う?」
「その人ってか神様でな。この世界にはこんなにも綺麗な人もいるんだと、常識を覆された気分。実際すんげえ美しかった」
「へぇ、そうなんだ」ゴゴゴゴゴゴ
「いや、待て、早まるな小町」
「なにが?」
「いや、美しいのは確かだった。だけどな、可愛さで言えばお前が一番だぞ」
「本当に?」
「おう。なんなら今抱きしめたいまであるぞ」
「お、おにいちゃーん!!」ダキ
「飛びつくなって。逃げたりなんかしないっての」
こうしてなんとか命の危機を乗り越えた俺は、小町と一緒にファミリア探しを始めたのだった。
ロキ・ファミリアorオリ神様or無所属。どれになるかはお楽しみに!(作者の気分で決めます)