やはり俺たちのオラリオ生活はまちがっている。   作:シェイド

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物語のスタートは原作の15年前です。


魔法

俺たちは村で使えそうなものを見つくろい、オラリオへ向かおうとしたのだが………。

 

「俺ら道わかんないよな」

「日記には書いてないの?」

「書いてないんだ。『頑張れ!』とかしか………ってなんで書いてあるんだよ。しかも親父の字っぽくないし」

「ふーん…………ま、コマチ的には願ったり叶ったりの状況だからいっか」ボソ

「ん?なんか言ったかコマチ?」

「なんでもなーい。さ、早くオラリオ探しの旅に出よう!」

「そうだな」

 

 

ここでちょっとしたステイタス(持ち物)紹介です。

 

ハチマン・ヒキガヤ 12歳 男

持ち物 黒龍の一部、果物ナイフ、五郎の日記

 

コマチ・ヒキガヤ  9歳 女

持ち物 果物ナイフ、本(魔道書)

 

 

***

 

 

二人が旅に出て少しした時だった。

 

「お、お兄ちゃん!ゴブリンだよ!」

 

モンスターが現れた。

モンスターとは古来より、たびたび世界の人々の生活を陥れてきた存在である。

『迷宮都市オラリオ』に存在するダンジョンと呼ばれる地下迷宮ががモンスターの発生源で、今では外に出られない仕様になっているが、遥昔よりあふれ出続けたモンスターが全滅するはずもなく、世界の至る所でその姿を目撃することが出来る。

そしてモンスターと遭遇した一般人はほとんどの場合、死ぬことになる。

………常人ならばの話だが。

 

「ちょっと待ってろコマチ」

 

そう言って、ハチマンは戦闘を開始した。

 

 

***

 

 

「ふっ!」

「グギャ?!」

 

戦闘はすぐに終了した。

ハチマンの圧勝である。

実は冒険者であった両親(親父)からたびたび鍛えられていたからか、一撃でゴブリンを沈めた。12歳の神の恩恵を受けていない少年が。

これははっきり言って異常なことだ。

 

「ん?お兄ちゃん、なんか落ちたよ」

「魔石だな」

 

魔石とはモンスターを倒した時にモンスターが落とす鉱石のことだ。

だが、ダンジョン以外の場所では魔石が落ちにくい(繁殖を卵で行うから)ため、結構手に入りにくい。

 

「ラッキーだったな」

「うん」

 

二人は旅を再開した。

 

 

***

 

 

その日の内に二人は20キロの距離を歩き、野宿をするために手頃な洞窟の中に身を置いていた。

途中でたびたびモンスターが襲いかかってきたが、すべてハチマンが倒した。

 

「今日は疲れたぁー!初日でこれとか………ほんと参った」

「まあ、結構歩いたからねー」

「あ、そうだコマチ。お前本二冊ほど持ってなかったか?一冊貸してくれ。読みたい」

「いいよー」

 

コマチから本を受け取ったハチマンは早速その本を読み始めた。

タイトルは【モンスターでもわかる魔法読解書】だった。

…………なんか胡散臭い気もするが、まあ読んでみないとわからんよな。

…………タイトルがあれなのに中身は結構しっかりしていてムカついた。

さらに頁を捲っていると、その内不思議な感覚に包まれた…………。

 

 

『じゃあ始めよう』

 

え?俺の声、だよな。

 

『俺にとっての魔法とはなんだ?』

 

―――――――力だ。全てを消し去ってしまうような巨大な力。

 

『どんな力だ?』

 

―――――――力、か。俺にとっての力は……闇だな。

 

『闇?』

 

―――――――ああ。真っ暗な闇。なにがあっても揺るがない闇だ。

 

『おもしろい。その力、無駄にするなよ?』

 

 

***

 

 

「ちょっと、ちょっとお兄ちゃん!」

「ん、どうしたコマチ」

「いや、お兄ちゃんがいきなり気を失ったのが悪いんでしょ?!」

 

あ、俺気失ってたのか。

さっきの不思議な感覚もなくなっていた。

だが、何故か力が湧いてくる。

 

と、そこへ………

 

「グギャ」

 

ゴブリン登場。またお前かよ。

早く倒してしまおうと近づいて行ったら……

 

「グギャ」「グギャ」「ギャ」「グギャギャ」「グギャ」「グギャ」

 

なんと総勢7体ものゴブリンがこっちにくるではありませんか。

 

「お、お兄ちゃん。早く逃げよ!戦ったらいくらお兄ちゃんでも死んじゃうよ!!」

 

確かに数は武器だ。だが、すでに接近を許してしまっている。

ここから逃げ出すと片方は死ぬだろう。

 

 

『その力、無駄にするなよ?』

 

 

こんなときにさっきの言葉が俺の脳内を駆け巡る。

意味はわからない。だが、どうすればいいかはわかる。

 

 

「コマチ、ちょっと離れてろ」

「お、お兄ちゃん?!まさか戦う気!?や、やめて!コマチはお兄ちゃんに死なれたら………死なれたらぁ!!」

「はぁ、ったく」ナデナデ

「お、お兄ちゃん?」

「見てろ」

 

自分でもわかるほど笑みを浮かべた俺はついに力を開放する―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【悪夢(ナイトメア)】」

 

それを口にした瞬間、全身から力が湧きあがるのを感じた。

これが、俺が求めた…………闇の力なのか。

 

「グギャギャ!」

 

ゴブリンの一匹が俺に向かってくる。

俺はぶん殴ろうと腕を振り上げた。

 

すると、俺の腕に巻きつくように()()()()()()()()()()()()()()()、俺はそのまま殴った。

 

その瞬間、ゴブリンはあとかたもなく消えてしまった。

俺は殴ったからか感じ取ることが出来た。

俺がゴブリンの体に触れた瞬間、ゴブリンが塵と化したのがわかった。

 

その後、俺は残りのゴブリン達も同じように殴り、ゴブリン達は皆塵と化していった。

 

「お兄ちゃん?!その右手にまとわりついてるもやは何!?」

「お、落ち着けコマチ。こんな時こそ親父の日記の出番だ」

「た、確かにお父さんの日記になにか書かれてるかも」

 

 

***

 

 

 

てなわけで発見しました。

 

「なになに…………『異能が発現したらだいたい魔法だ。スキルとかもあるが、スキルは神様に恩恵を与えられないと使えない。ま、魔法が覚えられたら俺たちヒューマンにとってはラッキーだって覚えとけよ』か」

 

やっぱり俺は魔法が使えるように………。

 

ヤ、ヤベエ。今になってだがめっちゃ興奮してきた。だって魔法だぜ?そんな本でしか呼んだことなかったものが今、自分に!って考えると興奮してくる。

 

「コマチ。お兄ちゃん、魔法が使えるようになった」

「す、凄いよお兄ちゃん!!コマチ、魔法を生で見たの初めてだよ!」

 

今夜は眠れないだろうな。俺ら、テンションあがりすぎてるし。

明日からが楽しみだ。

 




悪夢(ナイトメア)

自身に闇の力を纏わせたりすることが出来る。補助魔法に該当する、のかな?
闇の力を攻撃、防御、スピードなど様々な力に変換したり、纏わせることが可能。
アイズの【エアリアル】の下位互換(今はまだ)


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