日本近海に現れ、その窮地を救ったのは・・・。
「航空部隊、発艦!」
弓の弦を限界まで引き絞り、矢を放つ。
放たれた矢は空を裂くように飛び、やがて光に包まれその姿を変える。
光の中から現れたのは、九九式艦上爆撃機。その数8機。
第2次世界大戦で大日本帝国海軍により開発・運用された、旧型の爆撃機である。
「これは、演習ではなくて、実戦よ!」
飛び立った艦載機へ向けて、号令を叫ぶ。
「目標、敵駆逐艦!
号令を受けた九九艦爆が縦一列に並び突撃形態を整え、深海棲艦 駆逐イ級へと迫る。
「uyQ"3;f?」
敵機の接近に気づいた駆逐イ級が、その黒い不気味な身体を震わせる。
そしてその牙の並んだ口を、顎が外れたかのように大きく開き、喉の奥から這い出してきた主砲で敵機へ砲撃を開始する。
しかし、録な対空火器を持たないその砲撃は九九艦爆にかすりもしない。
対艦用の主砲では仰角を満足にとれず、対空射撃をあてられるはずもない。
「3qoue!?」
九九艦爆は1機も撃墜されることなく、駆逐イ級の直上へとたどり着く。
そして1番機が主翼下の制動板を開き機体をロールさせ、反転急降下の体勢に入る。急降下爆撃だ。
後続機も次々と反転急降下していき、ついに1番機が機体の腹に搭載した爆弾を投下する。
「やるときは、やるのです!」
鳴り響く爆発音。
最初の1発を皮切りに次々と爆弾が投下され、駆逐イ級にシャワーのように降り注ぐ。
「G"'3!eqe!?eqe9・・・3・・・」
次々と命中する爆弾に断末魔の声をあげながら、駆逐イ級が撃沈する。
爆音が奏でたそれは、まるで沈みゆく深海棲艦への葬送歌のようだった。
ーーーーー数分後ーーーーー
「ふぅ・・・艦載機のみなさん、ありがとう。お疲れさまです。」
左上腕に備え付けられた飛行甲板へ、仕事を終えて帰還した九九艦爆を着艦させる。
全機の着艦が完了すると、九九艦爆は再び矢へと姿を変えた。
「ゆっくり休んでくださいね。」
矢を背負った矢筒へ戻し、艦載機を労う。
やっと一息つけるというものだ。
(さて、と・・・それにしてもここは一体どこなのでしょう?)
最初に浮かんだ疑問。可愛らしく小首を傾げ、再びそれに思考を巡らせようとして、自身の後方に軍艦がいたことを思い出す。
(あの軍艦は、味方・・・・・・かどうかはわからないけれど、守るべきものだというのはわかります。)
振り返り、軍艦のいた方角を見る。
すると、小型挺が近づいてきているのが見えた。
(大発動挺・・・とは違うようですね・・・。人が乗っていますね、お話を聞くことはできるでしょうか?)
小型挺の方に向き直り、弓を左手に持つ。両手はお腹の前へ移動させ、背筋を伸ばして到着を待つ。
何故だか、そうしなければいけないような気がした。
ーーーーーボート上ーーーーー
「もうすぐ着きます、艦長!」
ボートの速度を落としながら、若い男が言った。
「おう。さて、話の通じる相手だといいが・・・」
艦長と呼ばれた男は、先程までの緊張感の無さが嘘のように、声色に不安感を滲ませていた。
不快感を感じて、腕で額を拭うと、冷や汗がべっとりと腕を濡らしていた。
それから数分後、ボートは海上に立つ人の元へたどり着き、止まった。
「・・・・・・・・・」
遠目からは分からなかったが、その人は女性だった。
大和撫子を思わせる長い黒髪。それを頭の後ろで括り、ポニーテールにしている。
小豆色の着物を着て、膝上程の丈のスカート型の袴をはいている、古風な雰囲気を持つ女性だ。
さらには両手をお腹の前に置いて微笑み、背筋を伸ばして立つ様はまるで・・・夫の帰りを出迎える新妻のようだった。
しかし、普通の人とは違う部分があった。
海上に立っているというのもそうだが、弓を左手に持ち、背中には矢の入った矢筒を背負っている。
そしてなにより、左腕に装着されたものが一際目を引いた。
空母の飛行甲板のようにも見えるが・・・。
「あの・・・少し、大袈裟でしょうか・・・?」
二人がそれを凝視していると、女性が恐る恐る、といった様子で話しかけてきた。
「「あっ!?いえ、美しい女性だと思ってつい見とれておりました!!」」
艦長と若い男は突然のことに驚き、日頃上官にしているように背筋をピンと伸ばし、敬礼をして謝罪した。
行動と言動がピッタリと一致したのは、偶然か、必然か。それは誰にも知る由もない。
「ふふ・・・お上手ですね。でも、誉めても何も出ませんよ?」
女性は少し照れた様子で頬を薄い朱に染め、敬礼を返した。
(綺麗な
その仕草に見とれる若い男を尻目に、敬礼したままの体勢で艦長が女性へと名乗る。
「申し遅れました。私は日本海上自衛隊、空母[ほうしょう]の艦長で
(こんな
ほんの少しの沈黙、続いて名乗る気配のない副官をちらりと見て、その横腹を小突く。
早く名乗れ!と催促するように。
「いでっ!?あ、同じく空母[ほうしょう]の副長を務めております、
女性は一瞬驚いた様子で目を見開いたが、直ぐに元の微笑みに戻ると、敬礼し直してこう名乗った。
「航空母艦、鳳翔です。ふつつか者ですが、よろしくお願い致します。」
今度は比良と安住が驚きのあまり、目を見開く番だった。
これが、人類と艦娘との初の邂逅となった。
ーーーーーーーーーーつづく
第1話を投稿して早々、第2話です。はい。(^q^)ホイ
書き溜め?なにそれ、美味しいの?
第2話、いかがでしたでしょうか?
人類と艦娘との初のコンタクト、伝わるように書けてるかなぁ・・・
更新ペースが早すぎるかな、とは思ったんですが。
一晩寝たら、なんだか妄想が暴走し始めたので書いてしまいました。(^q^)イイレス
第1話でお気づきの方が殆どだったと思います。
日本近海で深海棲艦を撃退したのは我らがお艦、鳳翔さんです。
鳳翔さんに膝枕されながら、優しく耳掻きとかしてもらいたいなぁ・・・
未来の話、ということで、鳳翔さんとコンタクトした二人は、海自の空母[ほうしょう]の乗組員ということにしました。
ああ・・・やってしまった・・・変な所から怒られないよね・・・?(;_;)
深海棲艦の台詞も、解読出来る方は出来ると思いますので、そちらも楽しんで頂けると幸いです。
それでは、また・・・ニゲロー(^q^)テッターイ