艦これif ~隻眼の鬼神~   作:にゃるし~

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ついに敵防衛主力艦隊を発見した第1艦隊。
南西諸島沖海域への進軍ルートを確保するための最後の戦いが始まるーーー。


第11話「南西諸島防衛線・6」

ーーーーー南西諸島沖・13:15 第1艦隊ーーーーー

 

 

 

「先発した航空隊より入電!『我ガ方優勢ナレド敵攻撃隊最低24機ガ艦隊ヘ向カウ、警戒サレタシ』!!」

 

「やはり空母ヲ級が相手となると抜けてくる敵機も多いですね・・・。全艦、対空戦闘用意!第2戦速で敵艦隊へと接近しつつ、敵機を迎撃します!」

 

「主砲、三式弾装填!指示を待て!」

 

「来なさい!何機来ようと撃ち落としてやるわ!!」

 

赤城航空隊からの警戒要請を受けて、艦隊は対空戦闘へ備え始める。

今回の相手は、空母ヲ級を2隻擁する強力な機動部隊だ。

敵艦載機の数も、ヌ級とは比べ物にならない程多く、空母1隻の戦力では敵攻撃隊が抜けてくるのは必然だった。

 

「少佐、俺たちから離れないように気をつけろよ。」

 

「ええ、分かっています。操舵手、艦娘の皆さんとの距離に注意してくださいね。」

 

「合点でさぁ!」

 

先程の反省を踏まえ指揮艦は今、輪形陣の中央へ位置し、艦娘に護られている。

輪形陣内にいれば、敵機の攻撃に晒される危険も少しは抑えられるだろうという木曾の具申を受け入れたのだ。

 

「・・・・・・対空電探に感あり!2時方向より敵影18、さらに9時方向からも敵影16!!来るぞ!!」

 

そうこうしているうちに、敵攻撃隊がすぐ近くまで迫っていたようだ。

敵機発見の報があがる。

 

「攻撃隊より入電!『我、此ヨリ攻撃ヲ開始ス』!」

 

ほぼ同時に、赤城攻撃隊が敵艦隊への攻撃を開始したとの連絡が入る。

 

「・・・・・・数が多いけど、やりますか。」

 

「やはり報告よりも数が多い・・・!対空射撃開始!!まずは一番近い2時方向の敵編隊を迎撃してください!」

 

安住の号令と共に対空戦闘が開始される。

 

「三式弾、撃てーー!!」

 

「敵機を近づけさせるな!機銃、撃ち方始め!!」

 

伊勢の主砲が三式弾を発射し、赤城も自衛のために装備していた対空機銃を撃ち始めた。

敵機の数が多い分、各艦が機銃弾をばら蒔くようにして密度の濃い弾幕を形成する。

 

「機銃弾の炸裂が遅い!時限信管の調整急いで!!低空の敵機には砲弾で対応してください!伊勢さん!!」

 

「りょーかい少佐!副砲、低空の敵機を狙って!水柱に引っ掛けて墜落させるよ!!」

 

「響さんと木曾さんは9時方向の敵機へ標的を変更、迎撃してください!」

 

「いいだろう、やってやる!」

 

Ура(ウラー)ーーー!」

 

安住の鋭い指示に従い、次々と敵機を撃墜する艦娘たち。

そこへ由良が更なる敵機の来襲を叫ぶ。

 

「さらに5時方向から敵編隊を確認!数は20!!」

 

「5時方向の敵機には赤城さんと由良さんで対処してください!」

 

「了解!ってーー!!」

 

「2時方向からの敵機全滅したわ!」

 

「伊勢さんは9時方向、叢雲さんは5時方向の敵機へ対応を!!通信手、更なる敵の増援を警戒!」

 

「あいあいさ!」

 

目まぐるしく変わる戦況、その度に安住の指示が行き渡る。

 

 

 

ーーーーー十数分後ーーーーー

 

 

 

「後続の敵機確認できず!」

 

「各艦、被害状況を報告してください!」

 

最後の敵機が撃墜され、対空砲火が止む。

空襲は突然始まり、突然終わるというが、まさにその通りだった。

 

「伊勢、無事だよ。」

 

「由良も無傷です。」

 

「響、問題ない。」

 

「叢雲、損傷無しよ。」

 

「木曾だ、俺も特に被害はない。」

 

「赤城、被弾無しです。」

 

航空隊の報告よりもかなり多い敵機の襲撃だったにも関わらず、艦隊への被害は全くなかった。

被害報告が終わると、赤城へ攻撃隊からの報告が入った。

 

「少佐、攻撃隊から入電です。『我、敵艦隊ヘノ攻撃ニ成功セリ。第2次攻撃ノ要ヲ認ム』とのことです。」

 

「分かりました。赤城さんは帰艦する航空隊を収容次第、第2次攻撃隊の準備を。ですが追って指示があるまで発艦はせず、待機させてください。」

 

「了解しました。上々ね。」

 

第2次攻撃の指示を出すと、安住は艦隊へ更なる指示をだす。

 

「では、敵艦隊への砲雷撃戦へ移行します。陣形を単縦陣へ変更。単縦陣が完結次第、機関増速。第4戦速にて敵艦隊へ突撃します!」

 

「「「「「「了解!!」」」」」」

 

安住の指示に、艦娘たちは力強く応えた。

 

 

 

ーーーーー南西諸島沖・13:35 敵艦隊付近上空ーーーーー

 

 

 

「艦隊への打電完了。全機帰艦するぞ。」

 

「野郎共、引き上げだ!」

 

開幕航空攻撃を終えた艦攻隊と艦爆隊は艦隊へ戦果を打電し、帰艦しようとしていた。

 

「本機はこのまま触接を継続し、弾着観測に移ります。」

 

「了解した。」

 

「おう。水偵のあんちゃん、気を付けてな。」

 

由良の水偵はこの空域に残り、砲雷撃戦の弾着観測をするようだ。

 

「はい。皆さんもお気を付けて。」

 

水偵に通信を送ると、攻撃隊は赤城へと帰艦するため艦隊へ向かって飛び去っていった。

 

「よし、じきに艦隊がくるはずだが・・・。ん、先にあちらのご到着か。さすが、絶妙なタイミングだ。」

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

赤城隊が飛び去った直後、敵艦隊上空に接近する編隊があった。

 

「敵艦隊を視認。赤城隊はうまくやったようだ。」

 

「やれやれ、司令官殿も妖精使いもとい、艦娘使いが荒いですなぁ。」

 

「まったくだ。我らが女神、加賀をこき使いよって・・・。」

 

「これは後で一発、ビシッと言ってやらんとなりませんな。」

 

「まあ、敵艦隊は空母健在なれど、随伴艦は虫の息。我ら加賀攻撃隊が、第1艦隊の到着を待たずして引導を渡してやりましょう!」

 

そう、第2艦隊旗艦・加賀の航空隊の支援攻撃が始まろうとしていたのだった。

 

「って、もしかしてオイラたちの出番ってこれだけ!?」

 

 

 

ーーーーー南西諸島沖・13:45ーーーーー

 

 

 

加賀航空隊が攻撃を開始して間もなく、第1艦隊が敵艦隊を捉えた。

 

「敵艦隊を視認!司令官さん、水偵からの報告通り、加賀航空隊が敵艦隊を攻撃中です!」

 

「さすがは加賀さん、絶妙のタイミングです。」

 

「現時点での敵艦隊の被害状況は分かりますか?」

 

「はい。水偵から報告が上がっています。」

 

由良が水偵からの報告を安住へ伝える。

 

「空母ヲ級は2隻とも大破。重巡リ級は1隻中破、1隻撃沈。軽巡ホ級が大破。駆逐ニ級が撃沈です。」

 

「あと一息と言ったところですね。・・・加賀航空隊には待避命令。ケリをつけましょう。」

 

待避命令を受けた加賀航空隊は、戦闘空域から離れて加賀へと帰艦するため飛び去っていく。

敵空母は無力化され、もはや航空部隊からの反撃は無い。

 

「ここで艦隊を2つに分けます。赤城さんは指揮艦と共に後方へ待避、伊勢さんも護衛を兼ねて我々と共に下がって貰いますが、長距離からの艦砲射撃をお願いします。」

 

「少佐!?この赤城、第2次攻撃隊の準備は整っています!機銃も副砲もあります!砲雷撃戦も可能です!」

 

「ダメです。こちらが圧倒的有利とはいえ、まだ伏兵が潜んでいるかもしれません。ですから赤城さんには直掩機を出して上空掩護と周辺警戒をお願いします。これは命令です。」

 

待避の指示に赤城が食いつくが、有無を言わさぬ安住の威圧に、引き下がるしかなかった。

 

「・・・・・・わかりました。直掩機を上げます。」

 

「では、由良さん以下4隻の水雷戦隊で突入。敵艦隊へ肉薄し、これを撃滅します!水雷戦隊の指揮は由良さんに一任します。」

 

「了解。水雷戦隊、お預かりしますね。」

 

「それでは・・・行動開始!」

 

その言葉を合図に、単縦陣最後尾の指揮艦が減速、赤城と伊勢も左右に別れて道を開ける。

そして残った4隻が敵艦隊へ引導を渡すべく突撃していく。

 

「水雷戦隊、突撃します!」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーつづく




第11話です。

いかがでしたでしょうか。
本当は今回で南西諸島防衛線は終わる予定だったんですが、長くなりそうだったので切りました(+_+)

ようやく登場した加賀航空隊ですが、出番はとりあえずあれだけです。
ごめんよ・・・間話で活躍を書くからね・・・。

次回は水雷戦隊の砲雷撃戦の予定です。
今回書いたのは結局対空戦闘だけやんか・・・。

では、また次回をお楽しみに。

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