艦これif ~隻眼の鬼神~   作:にゃるし~

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零戦隊の援護を受けて戦闘空域を離脱した艦攻隊と艦爆隊。
敵機動部隊を粉砕すべく、彼らの猛攻が、今始まるーーー。


第8話「南西諸島防衛線・3」

ーーーーー南西諸島沖・12:15 敵機動部隊付近ーーーーー

 

 

 

「敵艦隊見ゆ!」

 

高空から敵艦隊を探していた艦爆隊の1機から攻撃隊全機へ報告が上がった。

 

「あれか、索敵機からの報告通りだ。輪形陣でヌ級のカス共を守っていやがる。」

 

「中央列の先頭が重巡リ級、続いて軽空母ヌ級が2隻、両側面に駆逐ハ級が1隻づつか。艦攻隊長、どう攻める?」

 

敵艦隊の個艦ごとの位置を確認し、艦爆隊長が艦攻隊長に相談をもちかけた。

 

「そうだな・・・5隻とはいえ相手は輪形陣で対空戦闘に備えてやがるからな。ここはオイラたち艦攻隊が先に突っ込んで対空砲火を引き付ける。その隙をついて、艦爆隊が突入するのはどうだ?」

 

「ふむ、艦爆隊に華を持たせてくれるのか・・・悪くない。だがそれだと艦攻隊が敵の弾幕にまともに突っ込むことになるが、大丈夫なのか?」

 

深海棲艦の対空砲火は凄まじく、まさに弾幕と形容するに相応しい。

それに身を晒そうという艦攻隊を、艦爆隊長は心配しているようだ。

 

「そりゃあキツくないって言ったら嘘になるけどな。それでも九九艦爆よりも九七艦攻の方が足が早いし、海面スレスレを飛べば敵の対空砲火も当たりづらくなるだろ。それに、魚雷を投下したらさっさとズラかればいい話だ。」

 

艦爆隊長の心配をよそに、艦攻隊長はヘラヘラと笑う。

 

「そういうことですぜ、艦爆のダンナ!オイラたち艦攻乗りは低空での飛行になれていやす。だから心配はご無用でさあ!」

 

「むしろ、敵直上からの急降下なんてする艦爆隊の方が心配になりやすな。」

 

艦攻隊の面々も、自信ありといった様子で、むしろ艦爆隊の心配をしている者もいるようだ。

 

「ふっ・・・ならば先鋒は諸君らに任せよう。頃合いを見て我々も続く。」

 

艦爆隊長は、血気盛んな艦攻隊の様子に観念した様子で作戦を受け入れた。

実際、九九艦爆は固定脚で足が遅い。対空砲火を引き付けてもらえるというのなら、願ったりだ。

 

(しかし、艦攻隊には少なくない犠牲がでるだろうな・・・。仕方のないこととはいえ・・・。)

 

「いよぅし、野郎共!深海棲艦に魚雷のプレゼントを届けるぞ!!ついでに、艦爆隊の露払いと洒落こもうぜ!」

 

「「「「やっちゃるぜ!」」」」

 

作戦が決まり、ついに敵艦隊への攻撃が開始されるーーー。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「艦攻隊全機!突撃体形作れ!!敵艦隊の右翼から接近するぞ!!」

 

隊長の指示に従い、艦攻隊各機が突撃体形を作る。

 

「全機よぅく聞け!我々赤城艦攻隊が、敵艦隊攻撃の一番槍の名誉を戴く!ここまでの戦闘では温存するためとはいえ、加賀航空隊にケツを拭いて貰ってきた!今こそ屈辱と鬱憤を晴らす時!我らの狙いは重巡リ級と駆逐ハ級!野郎共、魚雷の槍を敵さんにブッ刺すぞおおおおお!!」

 

「「「「我らの魚雷は最強の槍ィィィィィィ!!」」」」

 

隊長の鼓舞に燃え上がる艦攻隊が、低空から敵艦隊へ接近していく。

深海棲艦もそれに気づいたようで、すぐさま対空射撃が開始され、視界が弾幕で覆われる。

 

「ふはははは!そんなへなちょこ弾があたるかいな!」

 

しかし、艦攻隊は大笑いしながら低空飛行を続け、弾幕の下を潜っていく。

肝が座っているのか、怖いもの知らずなのか・・・まあそれは今はどうでもいいことだ。

 

「これで弾幕ってか?なめられたもんdうわちぃ!?」

 

「4番機!?くそ!4番機がやられた!」

 

それでも弾幕は弾幕。絶え間なく射撃される機関銃が艦攻隊の行く手を阻む。

そして不運にもつかまった艦攻が空中で爆散する。

弾幕はパワーとは、よくいったものだ。

 

「ビビってるんじゃねぇぞ野郎共!タマぁついてんなら度胸を見せやがれ!」

 

「下品ですぜ隊長っととと!?右翼に被弾した!だがこのくらいで退くと思ったか!進路ヨーソロー!」

 

数十機からなる艦攻隊だが敵艦隊に近づくごとに、被弾し、墜落や爆散する機が増えていく。

 

「ぐはぁっ!・・・・・・赤城・・・オイラの・・・牛缶・・・・・・食うな・・・よ・・・。」

 

「被弾した!?このオイラが!?・・・だがまだいけrぐわあっ!?」

 

だが機体に穴が空き、発動機が黒煙を噴こうとも、彼らは一歩も退かない。

そしてついに、隊長機が魚雷を投下する。

 

「この弾幕を抜ければ・・・!よぅし、投下地点だ!魚雷投下ァ!!たっぷり味わいなぁ!!」

 

「隊長に続きやすぜ!赤城デリバリーから魚雷のお届けでーーす!!投下ァ!」

 

「返品、交換は受け付けておりませーーーん!魚雷投下ァ!!」

 

「クーリングオフ?なにそれ、おいしいの?魚雷投下ァ!!」

 

弾幕を掻い潜った後続機も続いて魚雷を投下していく。

魚雷は水面下を凄まじい速度で敵目掛けて走り続け、そしてーーー。

 

「G")oe!?4G"'33!?」

 

「bbW2・・・dR"]k・・・?」

 

重巡リ級と右翼の駆逐ハ級に魚雷が命中し、悲鳴があがる。

駆逐ハ級にはその後も次々と魚雷が襲いかかり、あっという間に撃沈された。

 

「これで終わりと思うなよ?カス共め!」

 

そう、まだ航空攻撃は終わってはいないーーー。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

敵艦隊のはるか上空、眼下に見える艦攻隊が突撃体形を作るのを確認し、艦爆隊長が口を開く。

 

「・・・・・・始まったようだな。では、こちらも始めよう。全機、突撃体形を作れ。」

 

隊長の静かな指示に従い、艦爆隊が2隊に別れ、縦列の突撃体形を形成する。

 

「我々の目標は2隻の軽空母ヌ級だ。これを爆撃し、敵の発艦能力を奪って第2次航空攻撃を阻止する。」

 

艦爆隊の各機は静かに隊長の言葉を聞いている。

血の気の多い艦攻隊とは対象的に、こちらは落ち着いた雰囲気だ。

 

「敵の対空砲火は艦攻隊が引き付けてくれている。我々にとってこれ以上のお膳立てはない。」

 

隊長は隊列各機へ通信を送りながら、再び眼下の艦攻隊の様子を見る。

作戦通り、敵は艦攻隊に気を取られてこちらには気づいていない。

 

(やはり、全砲火が集中した弾幕を抜けるのは至難の技か・・・。何機か墜とされているな。)

 

「我らが艦爆隊には、急降下に怖じ気づいて操縦悍を引く臆病者はいない。そうだろう?」

 

隊長の静かな鼓舞に、隊列機が応える。

 

「いつでも準備はできています!」

 

「艦攻隊の犠牲、無駄にはしませんよ!」

 

艦爆隊も、艦攻隊に負けず劣らず、士気は高いようだ。

燃え盛る業火が艦攻隊ならば、こちらは静かに燃える炎といったところか。

そして艦爆隊が敵艦隊の直上へと到達する。

 

「敵がようやくこちらに気づいたようだな。だがもう遅い。全機突入!こちらからもプレゼントをお届けしよう!」

 

「「「「了解!」」」」

 

いよいよ始まった対空砲火をものともせず、隊長の合図と共に機体を反転させ、急降下に入る艦爆隊。

敵艦隊を見ると、艦攻隊の魚雷攻撃が成功し、損害を与えているようだった。

 

「駆逐ハ級を1隻葬ったようだな。対空砲火も弱くなっている。」

 

「この程度の対空砲火など恐れるに足らず。ですね。」

 

急降下しつつも状況を分析する艦爆隊。

余裕の落ち着きということだろうか。

 

「高度よし、角度よし、爆弾を投下する。」

 

そんな1コマも束の間、隊長機が爆弾を投下した。

隊列機もそれに続く。

 

「ここだ!爆弾投下!」

 

「爆弾投下ー!離脱しmうわあ!」

 

「くそ!7番機が対空砲火に捕まったぞ!投下!」

 

「誰だ、ビッグ7ならぬラッキー7とか言ったやつは!爆弾投下!」

 

弱くなったとはいえ、さすがの対空砲火だ。

爆弾を投下し、離脱の為に機体を起こした所を狙われて、数機が弾幕につかまる。

 

「やはりこちらにも被害はでるか・・・しかし!」

 

投下された爆弾は目標目掛けてまっすぐに落ちていき、そして・・・。

 

「命中を確認。軽空母ヌ級の撃沈を確認。」

 

「こちらもヌ級の中破を確認しました。これで敵の第2次攻撃はありません。」

 

艦爆隊の爆弾も次々に命中し、敵空母の無力化に成功した。

戦果を確認した攻撃隊は、用は済んだとばかりに空域から離脱していく。

 

「よろしい。では艦攻隊と合流して赤城に帰投しつつ、戦果を報告するとしよう。艦隊はもうそこまできているはずだ。」

 

「「了解!」」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーつづく




第8話です。

いかがでしたでしょうか・・・。
今回は艦攻隊と艦爆隊の連携攻撃でした・・・が。
・・・・・・書いててめっちゃ疲れました・・・(@q@)

今後は省略していくと思われます・・・たぶん。
まあ、艦これでは一瞬の出来事ですが、その中にはこんなドラマがあるんだろうなーって思って楽しんで貰えてたら幸いです。

次回はいよいよ砲雷撃戦に突入していきます。
ちゃんと書けるのか心配になってきました・・・。


では、次もお楽しみくださいませ。また~

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