鳥居優治は王の器である   作:マクロなコスモス

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連続投稿です!字数は前回より多めで、急展開になります。頑張って面白い小説にしたいと思います!応援よろしくお願いします!


第2話 交差する二つの力

「ふっ!はあっ!」

 

転生してからまる1ヶ月が経った。練習できる森を見つけることができ、今は、俺は朝から気合を入れた掛け声を出しながら剣術の練習をしている。練習してる場所が森なので、声が響いても問題はないし、真剣を使っていることもバレない。しかも、その練習場所をまで行くのに坂道を登っていかなきゃならないので、体力トレーニングにはもってこいだ。

 

俺は、朝は森で剣術の練習、夜では、誰にも気づかれないように、海辺で魔法の練習をしている。魔装はできるようになったのだが、残念ながら全身魔装まではいってない。感覚としては、あともう少しだとは思うのだが。

 

「さて、そろそろ時間だし家に戻るか」

 

俺は家に戻り、朝ごはんを食べて家を出た。

 

 

 

 

ここ最近、登校中、俺はある女の子と会うようになってる。なぜ、ここまで会うのかわからないけど。

 

「おい、三ノ輪。今日も人助けか?」

 

「お、優治!ちょうど良かった!一緒に手伝ってくれないか?あたしだけじゃ、どうしてもキツイんだ」

 

お婆ちゃんが背負っていたものを重そうに背負っている女の子は、三ノ輪銀(みのわ ぎん)。いつも、俺と彼女が会う時は、いつも三ノ輪が誰かを助けている時だ。俺も、困ってる人は放っておけないので、いつも彼女と一緒に助けているのだ。

今回は、どうやらお婆ちゃんが重い荷物で、腰を痛めたらしく、それを見た三ノ輪が荷物を背負って運んでいる。

 

「わかった!お婆ちゃん、さあ、背中に乗って」

 

「ごめんね、坊や。迷惑をかけちゃったね……」

 

「気にしないでください。こんなのお安い御用です」

 

俺はお婆ちゃんを背負って、お婆ちゃんの住む家まで送っていた。道まではさほど遠くはないが、腰を痛めているお婆ちゃんのことを考えれると、ゆっくり歩かなくちゃいけない。遅刻にはならないが、三ノ輪の方が遅刻になる可能性がある。

 

「ありがとうね、おかげで助かったよ」

 

お婆ちゃんはにっこりと笑う。お婆ちゃんの笑顔って、何だかほっこりするから気分が良くなる。

 

「良いって良いって!」

 

「困った時はお互いさまですから」

 

俺と三ノ輪は少し照れた雰囲気でお礼の言葉を受けた。

 

「なあ、いつ言おうか迷って、結局、今言うことにしたんだけどよ」

 

「何?」

 

三ノ輪は首傾げる。

 

「このままだと、お前遅刻するんじゃない?」

 

そう言うと、段々、三ノ輪の顔が青ざめた。

 

「あー!そうだった!じゃあな、優治!」

 

三ノ輪は全速力で走って学校へ向かった。

 

「さて、俺も行きますか」

 

俺も駆け足で、学校へ向かった。

俺は、遅刻はしなかったけど、三ノ輪の方はどうだろうか?ふと、俺は思った。

 

 

 

 

「日直、朝の会を始めるよー」

キンコーンカーンとチャイムが鳴った時、担任の先生が日直に呼びかけた。

 

「起立!」

 

ガタッ

 

日直がそう言った後、俺は立ち上がった。しかし、その時、違和感を覚えた。普通、立つ時に生徒達が立つことで生まれる椅子がズレる音が聞こえるはずなのに、出たのは俺が座ってた椅子がズレる音だけだった。

 

「?」

 

俺は周りを見ると、先生を含め、俺以外の教室のみんなが止まっているのだ。立ち上がろうとする時の姿勢で。

 

「おいおい、新手のいじめはよし子ちゃんだぜ」

 

俺はいじめは受けてないが、少々、弄られている。その原因は俺の顔だ。俺の顔は女の子よりな顔つきなので、よく揶揄われている。

 

まあ、それは置いといて。ここから、ピクッとも動かない。まさか、時が止まっているわけじゃ……ないよな。

 

俺は時計の方を見る。すると、予想通り時計の針が止まっていたのだ。

 

「なんだよ、一体何が……うわっ!?」

 

俺は何が起こってるか頭の中で整理しようとしたが、突然、光に包まれた。俺は思わず、目を瞑ってしまう。そして、光が収まっていくと、訳のわからない色鮮やかな幻想的な景色が現れた。

 

「綺麗だ……」

 

俺はゴクリと唾を飲み込み、その景色を見続けた。まるで、神の領域だと言いそうになった。

 

「って、あれ?」

 

俺は何か握ってることに気がついた。別に呼び出してもいないのに、俺の剣が出ていたのだ。その剣の刀身に八芒星の形をした光が出ていた。つまり、俺のジンが何かに反応しているということだ。

 

「マジで一体何が……」

 

俺は景色を見続けていると、その中に何やら変なものがいた。言葉にしにくいが、とにかく大きな水玉が左右についてるのが大きな特徴だ。

 

変なやつの周りをよく見ると、弓を持つ女の子、槍を持つ女の子、2丁の斧を持ってる女の子がいた。特に、俺はその斧を持ってる女の子に見覚えがあった。

 

「あれって……三ノ輪だよな」

 

そう、俺の知り合いである三ノ輪銀がそこにいたのだ。そして、三ノ輪たちはその変なやつに向かって跳んだ。

そして、あのヘンテコなやつは水の弾を発射し、三ノ輪を落とした。

 

俺は今、この状況はどんな状況なのか、わかったような気がする。 この光景を見るに、多分、彼女たちは侵略者からこの世界を守る戦士で、今、それに苦戦している、ということだろう。

 

「ったく、目の前で困ってる人がいたら、助けないといけないでしょ」

 

困った人がいたら、例えどんな人でも助ける。これが俺の師匠にして、祖父の教えだ。

それに、魔法の練習の成果を知ることができるしな。

俺はダッシュで、三ノ輪たちの方へ向かった。

 

 

三人称視点

 

優治が3人の勇者のところまで向かっている間に、バーテックスは水の弾を発射させたり、高水圧の水を放射したりと3人の勇者を苦戦させてた。中でも、乃木園子(のぎそのこ)はバーテックスの強力な攻撃に耐えていた。

 

「台風のすごいのみたい〜!」

 

バーテックスの攻撃が園子に集中している間、鷲尾須美(わしお すみ)は弓の弦を引き狙いを定めて、花びらのゲージが溜まるのを待った。

 

「早く…!」

 

そして、ゲージの花びらが全て光った時、弦を離して矢を放った。しかし、バーテックスの水の弾が矢の勢いを殺して、それを防いだ。

 

「そんな!……えっ、あれは」

 

自分の攻撃を防いだバーテックスを見ていると、優治がバーテックスの方に向かっている姿を見た。服装は勇者服ではなく、普通の洋服。須美から見れば、優治は同じ年くらいで、女の子か男の子かわからない中性的な顔つきである小学生だ。

 

「ダメ!早く逃げて!」

 

普通の小学生の場合、バーテックスの攻撃を受けたら怪我だけじゃ済まされない。それを知っている須美は優治に叫んだ。

しかし、優治は違っていた。手に持つ剣を構え、竜の形をした白い炎を刀身に纏わせた。そして、敵に向かって思いっきり剣を突き出した。

 

白閃煉獄竜の咆哮(アシュトル・ハディール)!」

 

そう優治が叫ぶと、白い炎の竜は一直線にバーテックスの方へ向かい、水の弾を一気に蒸発させ、園子に向けて発射されている水の口を攻撃し、バーテックスの攻撃を中断させた。

 

「あれ?水が……うわわっ!?」

 

園子は全力で押し戻そうとした力の行き場を無くしたことにより、少しバランスを崩し、倒れそうになった。

 

「おっと」

 

バーテックスに攻撃した後、園子が倒れそうになったところを優治は受け止めた。

 

 

優治視点

 

「大丈夫か?」

 

俺は3人の中で一番、髪の長い女の子がバランスを崩して倒れそうなところを受け止めた。

 

「うん、ありがとう〜」

 

ホンワカとした雰囲気を出しているこの女の子。

何この癒し系の生き物、めっちゃ可愛いんですけど。これは人間ではない、人間の姿をした天使だ。守りたいこの笑顔。

 

「えっ、優治!?何でここにいるんだよ!」

 

当然の如く、三ノ輪は俺がいることに疑問を感じた。だが、それは俺も同じ疑問を持っている。

 

「それはこっちも同じだよ。何で三ノ輪がいるんだよ」

 

「あたしは、勇者だからな!」

 

えっへん、と言わんばかりに胸を張る三ノ輪。俺はその言葉に首を傾げる。

 

「なあ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勇者って何だ?」

 

ズコーッ!

 

俺はそう言うと、三ノ輪と長い髪の女の子は漫画やアニメのように転んだ。こんな綺麗な転び方見たことがない。

 

「何か変なこと言ったか?」

 

勇者とか、そのまんまだとは思うけど、よくわかんないな。日本史でそんな言葉があったような……なかったような……。うん、覚えてない。覚えているのは、縄文から平成くらいだから。

 

「お前、社会の勉強しただろ!」

 

「いや〜、覚えているのは平成までだ。まだ、神世紀は覚えきってない」

 

だって、転生してまだ1ヶ月しか経ってないもん。まだ、把握しきれてないところがあって当然だ。俺は悪くない。

 

「まあ、とにかく、今はあいつを倒すのが先決じゃないのか」

 

無駄話をするわけにはいかない。このヘンテコなやつが髪の長い女の子にした攻撃を見るに、あれは厄介だ。しかし、あの攻撃は大きな隙を作る。だから、ワザとその攻撃をさせて、速攻で片付ける。この戦法が良いだろう。

 

「私も彼と同じ意見です。まずは、話はバーテックスを倒してからにしましょう」

 

後ろにもう一人、さっきの弓を持っている女の子がいた。

 

「えっと……誰?」

 

「初めまして、鷲尾須美といいます」

 

「こちらこそ初めまして。鳥居優治です」

 

「私は乃木園子だよ〜。よろしく、鳥居くん」

 

「よろしく、乃木さん」

 

「それで、俺が思いついた作戦聞いてくれるかな?」

 

「作戦!なになに?」

 

「わあ〜、作戦か〜。ドキドキ」

 

「それで、どんな作戦でしょうか?」

 

「それは……」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「みんな、準備は良いかい?」

 

「おうよ!準備万端だ!」

 

「こっちも大丈夫〜」

 

「こっちも準備万端よ」

 

「よし!作戦開始!」

 

俺が作戦の開始を伝えると、鷲尾さんはバーテックスという敵に弓を射る。攻撃を受けたバーテックスの注意がこっちに向いた。

 

「いくぞー!突撃!」

 

俺たちは、バーテックスに向かって走って突撃をした。バーテックスは水の弾を放つが、俺たちには当たらなかった。そして、俺たちは4人で固まり、一直線にバーテックスへ向かう。

バーテックスは、纏まって突撃しているのを好機だと思ったのか、水鉄砲を俺たちに向けて撃とうとする。俺はその瞬間に、

 

「陣形解除!鷲尾さんは後退して俺と三ノ輪と乃木さんを援護射撃!三ノ輪と乃木さんは横に避けて!」

 

「「「了解(〜)!」」」

 

俺は走るスピードを上げて、スライディングをしてバーテックスの水鉄砲を避ける。そして、水鉄砲を撃っている間に、乃木さんと三ノ輪は右の方の大きな水玉を、俺は左の水玉の方へ向かった。

 

バーテックスは水の弾を放って、俺たちの接近を阻もうとするが、鷲尾さんの後ろからの援護射撃で、俺たちは足止めをくらうことなく、バーテックスの真上まで跳んだ。

 

「白閃煉獄竜の咆哮!」

 

俺はゼロ距離で魔法を放ち、一気に大きい水玉を壊した。

 

「三ノ輪、いっけえぇぇぇぇ!」

 

「うおおおおっ!」

 

三ノ輪はバーテックスを切り刻んでいった。

 

「どうだー!」

 

三ノ輪がそう叫んだ後、夜のような景色は昼のような景色に変わった。

 

「……やった…のか?」

 

俺はドッと疲れが来てしまったのか、尻餅をついてしまった。俺はそのまま、上を見上げ、降ってくる桜の花びらのようなものを見る。

 

「あー、これからどうなるんだろうな……」

 

 

 

 

 

 




第2話の方はどうだったでしょうか?できれば感想を書いてくださるととても嬉しいです!それでは、第3話でお会いしましょう!

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