鳥居優治は王の器である   作:マクロなコスモス

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最新の投稿からかなり時間が経ってますね。ゆゆゆ編第3話です。


第3話 て、天使や……!

久しぶりのお泊まり会と言う名の説教が終わり、朝を迎える。起きた後はそれぞれの家に(須美は家が離れているので銀の部屋へ)戻った。

 

まあ、その後に案の定「果物屋だー!そのメロンをよこせー!」という声が聞こえたが、気にしないのが吉だろう。というより近所迷惑だろうし、怒られても俺はしらない。

 

登校している途中、ふと思ったことがある。俺は美少女三人と一緒に仲良く登校している。もしかして、このまま登校したら……。

 

俺、他の男子とかに嫉妬の目で見られるんじゃね?

 

と思ったが、なぜかいやな視線を感じない。大丈夫……なのか?

 

このまま、学校に着き、教室へ入った。

 

「鳥居優治だ!ひっ捕らえよ!」

 

黒いローブを着た謎の集団が教室で待ち構えていた。

 

「え、は、ちょっと!?」

 

突然の出来事に俺は何も抵抗できずに謎のローブ集団に捕まり、貼り付けにされる。

 

「では、異端審問会を始める」

 

「い、異端審問会!?」

 

え、なんだ!?俺は何かの宗教に入信していたのか!?俺はそんな覚えないぞ!

 

「被告、鳥居優治。貴様は2年の乃木園子様、東郷美森、三ノ輪銀と一緒に登校したことで間違いないか?」

 

「「「「「間違いなし!」」」」」

 

あ、これわかった。こいつら、男子のクラスメイトだ。俺が入ったクラスは何か可笑しいと思っていたが、ここまでとは……。

 

「被告よ、この後に全クラスの異端審問会が始まる。覚悟せよ……!」

 

訂正。この2年の全クラスだった。

 

「さて、鳥居被告。貴様は園子様、三ノ輪、東郷とはどのような関係なのだ?」

 

ん?何で園子に様付けなんだ?いや、気持ちはわかるぞ。大赦のトップである乃木家のご息女。しかも、可愛い!そして、天使だからな!

 

……さて、ここは正直に答えたほうが良いだろう。まあ、嘘ついても本当のことを言っても死ぬのは確定しているのか。

 

俺は正直に園子達との関係性を話した。

 

「な…んだと……」

 

「言えることは言ったから早く解いてくれ」

 

「貴様の存在そのものが重罪(ギルティ)!よって、貴様には火あぶりの刑だ!」

 

「はぁっ!?というか、どこから持ってきたんだその松明は!」

 

燃える松明。そして、その下には藁が敷いてあった。

 

「おい待て!燃えてる!燃えてるーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

何とか異端審問会から生き延びることができた。精神的に疲れたせいか、ボーッとしてしまい、いつのまにか入学式は終わっていた。うちのクラスが入学式の後片付けをすることになっている。

 

 

「おい、後輩。あとは俺たちがやるから、先に帰って良いぞ」

 

「良いんすか?」

 

「良いも何もここからは委員の仕事だからな。ありがとな、おかげで早くおわりそうだしな」

 

「じゃあ、お言葉に甘えて。お疲れ様でした」

 

「おう、お疲れさん!犬吠埼にもよろしく言ってくれ」

 

あれ?意外と知られているんだな。俺が勇者部に入ったこと。

 

SHRは今日はないため、このまま部室へ向かう。

 

「ちわーす」

 

「あ、優治くん、ちわーす!」

 

友奈が俺に元気よく挨拶をする。須美達もすでに来ており、ケーキは均等に切って皿に置かれている。そして、ジュースも置かれていた。もうすでに歓迎会の準備はすでに済んでいるようだ。

 

え、あれ?ちょっと待って……もしかして、遅刻したか!?

 

「俺、もしかして遅刻した?」

 

「全然、大丈夫だぞ。そこまで時間がかかったわけじゃないしな。たった、5分程度だったし」

 

だから心配すんなと言う銀。どうやら、本当にそこまで時間はかかってないようだった。

 

「そうか、なら良かった」

 

ホッと安心する俺。だけど、パーティーの片づけの時はできるだけ多く片づけるか。

 

「みんな集まったわね?じゃあ、あたしは樹を迎えにいくから、それまで待機しててね!」

 

そう言って犬吠埼先輩は樹ちゃんを迎えに行った。

 

「よし、じゃあ、迎え入れる準備をしよう」

 

俺たちはクラッカーを1ずつ持って先輩が戻るのを待つ。この家庭科準備室から1年生の教室まではそう離れていなかったはずだから、すぐに来るはずだ。

 

しばらくすると、扉が開き、先輩が部室に戻った。

 

「待たせたわね!それじゃあ、あたしの愛しき妹を紹介しよう!」

 

うーむ……。何だか先輩からシスコンの匂いがするな。え、そんなの匂いを嗅いだことがあるのかって?いや、ないですよ。そんな感じがしただけです。はい。

 

ガラガラ

 

扉がゆっくりと開く。

 

パンッ!

 

「きゃっ!?」

 

余程緊張していたのか、クラッカーの音で樹ちゃんは驚き、後ろへ倒れようとした。

 

「おっと」

 

咄嗟に手を伸ばし、樹ちゃんの手を掴む。何とか後頭部を床にぶつけずに済んだようだ。

 

「……ふぅ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「いや、別に気にしな……っ!?」

 

俺はこの時、樹ちゃんの顔を初めて見た。小動物のような可愛らしさを感じ、おどおどとした感じが、俺の保護欲を刺激する。つまりだ……。

 

「(ちょ、超可愛いじゃねぇか!)」

 

て、天使や!天使が現れた!園子に続く天使が……!どうすれば良いんだ!?俺をそんなに尊死させたいのか、この部は!?

 

「あ、あのどうしたんですか?」

 

おそるおそる俺の様子を伺う樹ちゃん。よし、ここは冷静に……。

 

「俺と結婚しあばぁっ!?」

 

俺の腹に強力な蹴りが入った。

 

「優治くん今何を言おうとしたのかな?」

「人の妹に堂々と手を出そうだなんて良い度胸してるわね……」

 

俺の目の前には物凄いオーラを出している須美と犬吠埼先輩がいた。

 

「あ、あのすみません。すごく可愛かったものでつい……」

 

「ほーう……」

 

銀が俺を睨みつける。

 

「風先輩。ちょっと、優治くんとちょっとお話ししてきますね」

 

「え、待て!引きずらないでー!俺を地獄へ連れて行こうとしないでくれー!」

 

 

 

 

 

 

友奈side

 

東郷さんに襟を掴まれて引きずられる優治くんを見送った後……。

 

『ぎゃあぁぁっ!?ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさーい!』

 

『捥ぐ!?一体何を捥ぐつもりなんだよ!?や、やめろー!!』

 

その叫び声を最後に優治くんの声が聞こえなくなった。しばらくすると、優治くんは東郷さんに部室の中に放り出された。ピクリとも動く様子がなかった。だけど、このポーズどこかで見たことがあった気がした。

 

とある有名なアニメのシーンで、野菜みたいな名前をした宇宙人が種を植えることで生まれる緑色の小さな生き物を使って地球人を爆死させるというのがあった。

 

今の優治くんはその時に死んだ地球人と同じポーズになっていた。

 

「と、東郷さん。優治くんは大丈夫なの?」

 

「大丈夫よ」

 

円満の笑みで私を見る東郷さん。表情こそ明るいが、周りから溢れ出る黒いオーラがその明るさをかき消していた。

 

「本当に「大丈夫よ」……」

 

こ、怖い!こんな怖い東郷さん、初めて見たよ〜!

 

そんな震える私に銀ちゃんが私の肩にポンと手を置いた。

 

「大丈夫。気にする必要はないから」

 

「う、うん……」

 

カバッ

 

「はっ、俺は一体何を?」

 

優治くんが起き上がる。

 

「ユウさん、おはよう」

 

「ああ、おはよう。って、あれ?なんか、ちょっと前までの記憶が飛んでるような……。園子、何か知ってるか?」

 

「うーん?気のせいじゃないかな〜」

 

「そ、そうか。なら、いいんだけどよ」

 

やっぱり、怒った東郷さんはとても怖いです!

 

友奈sideout

 

 

「「「「「「樹(ちゃん)入学おめでとー!!」」」」」」

 

ようやく、樹ちゃんの歓迎会が始まる。

 

「樹ちゃん。なんか、さっき俺が変なことを言いかけたらしいな。悪いな」

 

「い、いえ、大丈夫です!気にしてませんから」

 

「はぁ〜……良かった……」

 

「(ええ子や、この子はとてもええ子や)」

 

ホロリと涙が出る。絶対守ろう。

 

 

 

 

 

 

樹ちゃんの歓迎会が終わり、片付けをする。片付けが終わった後、「かめや」といううどん屋で二次会をやるらしい。

 

「『かめや』?行ったことないな……」

 

「かめやに行ったことないなんて、あんた1年いや10年分の損をしてるわよ!」

 

風先輩に驚いた表情で俺に話した。どうやら、一押しのお店らしく。とても美味しいらしい。それと、学生でも手軽に食べれる値段という理由で人気なんだとか。

 

「じゃあ、みんなは何を食べる?」

 

風先輩からメニューを渡される。どれも美味しそうなうどんばかりだ。さて……何にするべきか。

 

「じゃあ、私、肉うどん!」

 

「あたしはぶっかけうどんかな」

 

「私は月見うどんにします!」

 

他のみんながどんどん決まっていく。早く決めないとな。

 

「ん?」

 

メニューの中の一つのうどんが目に留まった。それは真っ赤で豆腐が入ったいかにも辛そうなうどん。いや、もはやうどんと呼べるものなのか疑問になるほど、真っ赤なうどんだった。だけど、それがまた唆られる。

 

『超激辛麻婆うどん!30分以内で全てたべきれた方にはお連れ様も含めてタダにします!』

 

「じゃあ、俺、超激辛麻婆うどんで」

 

「「「「「「……え?」」」」」」

 

 

 

 

「はいよ。『超激辛麻婆うどん』ね」

 

おばちゃんが真っ赤なうどんを持ってくる。

 

「な、なあ、優治。本気なのか?」

 

銀が心配そうにこちらを見つめる。

 

「ああ。別に俺甘いもの好きだけど、辛いのも好きだし」

 

「ほ、本当に食べるんですか?」

 

樹ちゃんも俺のことを心配してくれている。大丈夫だ。これがどんな辛さだろうと俺は、君の笑顔になるなら喜んで食べるよ。

 

「それじゃあ、30分間計測するよ。よーい、スタート!」

 

おばちゃんがストップウォッチを押した瞬間、俺は箸を動かした。

 

 

 

 

 

 

 

 

30分後

 

「ふぅ……。ご馳走様でした」

 

「ほ、本当に食べちゃった。30分以内に」

 

「お、おめでとう。じゃあ、この子達の分を含めたうどんはタダだよ」

 

真っ赤なうどんは優治の胃袋の中へと姿を消し、そこにあるのは空のお椀だった。

 

「ア、アタシ、今日はここまでにしよう」

 

「「「「「あ、あの風(フーミン)先輩(お姉ちゃん)が一杯で終わるなんて!?」」」」」

 

「?俺はまだまだいけるぞ。そうだな。あと、二杯くら……どうしたんだ須美」

 

須美が俺の両肩を掴んだ。

 

「優治くん。ここまでにしよう?」

 

「……そうだな」

 

俺以外のみんなは顔が青ざめていたため、店を出た。

2回もあの地獄のようなうどんを見たくなかったと、後で銀が俺に話してくれた。それと、あの日以来、超激辛麻婆うどんはメニューから姿を消し、幻のうどんとなった。




まさかの優治が愉悦部に所属していたことが発覚!?何とか投稿日が3のつく日にできたので良かったです!さて、次話からはアニメ本編に突入したいと思います!


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