鳥居優治は王の器である   作:マクロなコスモス

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久しぶりの投稿です!大学生になって初めてのアルバイトをしたら、執筆する時間があまりなくなってしまい、書き終えるのが遅くなってしまいました。

気づいたらUA数は8500を超え、お気に入り数が70を超しました!本当にありがとうございます!自分自身、ここまでいくとは思っていませんでしたw

それでは第十九話、わすゆ編はこれにて終了です!


第十八話 たった一つの約束

夏休みが終わり、秋になった。まだ青々しかった木々の葉は、9月から10月に変わるとすっかり秋の紅葉に変わっていた。それと、その間に須美たちは勇者システムのパワーアップを終えたらしい。

 

10月11日。俺たちはいつも通りに学校から家に帰っていた。そんなとき、銀は立ち止まった。

 

「もう、十月か……。そういえば、そろそろ半年経つんだな」

 

「半年?何から半年が経つんだ?」

 

「優治が転校してきて半年ってことだよ」

 

「あ、そっか。俺が神樹館に転入してもう半年か……」

 

「確かにそうね……。あっという間に感じたわ」

 

「この半年、色々なことがあったね〜」

 

須美と園子が口を揃えてそう言った。

 

「って、それを言うのはせめて1年後だろう。半年経って言う話じゃないでしょ」

 

「まあ、そうだけどね。だけど、あたしにとって、とても内容が濃い半年だと思えたから……」

 

「確かに……」

 

確かに内容が濃かったな。バーテックスと戦ったり、そのバーテックスとの戦いのために合宿したり、遠足したり。まあ、あと死んだりしたな。他には……あまり思い出したくないけど、女装されたな。

 

「それに俺たち、みんなから横断幕をもらったしな。あれはガチで泣きそうだった」

 

そう。これは9月の中旬の時に、6年1組のみんなが俺たちの応援のために横断幕を作ってくれたのだ。俺はみんなから応援してくれるだなんて初めてだったので、感動のあまり泣きそうだったのだ。

 

「優治くん、涙目になっていたよね。あんな優治くん、初めて見た」

 

「は、恥ずかしいから、忘れたくれ……」

 

ちなみに、その横断幕は俺の部屋に保管してある。勇者のことについて触れるのは本当はいけないことらしく、大赦の家柄である乃木家、鷲尾家、三ノ輪家に持って帰るのはNGなのだ。そこで、一般家庭である鳥居家に持って帰ることにしたのだ。

 

「お役目のある私たちは幸せものだ」

 

「そうだな」

 

俺たちはまた歩き出そうとする。そんな時だ。違和感のある風が吹いた。周りにいる人たちはいつも吹いている風のように感じているようだが、俺たちはそうは感じなかった。

 

「……来るの?」

 

「うん、来る」

 

「なんだか……分かってきちゃったな」

 

銀はそう言って苦笑いをする。

 

「まあ、良いんじゃないの?心の準備ができるから」

 

「前向きに考えようってこと〜?」

 

「そういうことだ」

 

俺がそう答えると、三人のスマホから何かを知らせる音が聞こえてきた。三人のスマホの画面には「樹海化警報」とあった。

 

そして、樹海化警報が鳴って数秒後、俺たちの視界は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……?」

 

樹海化が完了した後、三人の周りに何かが浮かんでいた。

 

「おい、三人とも。周りに何かが浮かんでいるけど……」

 

「あ、優治くんはまだ見たことがなかったんだよね。これが勇者システムの新機能の『精霊』よ」

 

「精霊?」

 

俺は改めて三人の精霊たちを見る。まず、園子は烏かな?烏っぽい精霊。須美は卵みたいな精霊。最後に銀の精霊は、剣を持った女の鬼だ。

 

「なんだかユニークな精霊だな。名前とかあるのか?」

 

「私のは『烏天狗』だよ〜。名前はセバスチャン」

 

セバスチャンと名付けられた烏天狗。執事服でもないのになんでセバスチャンなんだ?不思議でならない。

 

「私のは『青坊主』よ。見た目は卵みたいだけど……」

 

卵の殻と殻の間に目だけを見せている青坊主。一体、中身はどんな姿をしているのかが気になってしまう。

 

「それと、銀の精霊は人型か……」

 

「すごいだろ!あたしの精霊は『鈴鹿御前』っていうんだ」

 

鈴鹿御前……。名前の通り昔の日本の時、姫に付けられていた名前だ。一体、誰の姫なのだろうか……。いや、見た目が鬼だから、実在していないのか。

 

「そういえば、ユウさんの剣に精霊が宿っているって言ってたけど、その精霊は出すことはできないの〜?」

 

「すまん、その精霊は出すことができないんだ」

 

それに、精霊(ジン)が出たら少しの間パニックになるだろう。バーテックスほどではないけど、ものすごく大きいから。

 

「そっか……」

 

「この話は一旦ここで終わりにしましょう。敵が来るわ」

 

須美の声で俺たちは頭の中のスイッチを切り替え、俺たちは迫って来る敵を見た。

そこには、海を泳いでいるバーテックスと空を飛んでいるバーテックス。そして、その奥にいる今までで一番大きいバーテックスがいた。

 

「バーテックスが3体!?」

 

「そういうことか……」

 

「須美、どうしたんだ?『そういうことか』って」

 

銀は須美に聞く。

 

「ううん、なんでもない。みんな、気を引き締めていくわよ!」

 

「当たり前だ!あの時の借りを返させてもらうぜ!我が身に宿れ『アシュタロス』!」

 

俺はすぐに全身魔装をする。三人も勇者になる。この時、彼女たちの勇者の姿がいつもと違っていた。特に須美は武器が弓から銃に変わっている。それと、銀の武器も斧から刀になっていた。

 

「みんなの装備が色々と変わってないか?」

 

「変わってなかったら、パワーアップじゃないでしょ?」

 

「まあ、そうだな」

 

俺は銀の言うことに納得した。

 

「じゃあ、行くよ〜!私とミノさん、ユウさんはフォワードでいくよ!」

 

「「「了解!」」」

 

その後、俺と銀は空を飛んでいるバーテックスを、園子と須美は水中にいるバーテックスを相手にすることにした。というのも、俺が使っている精霊は水に弱く、水中戦には無力だからだ。

 

「てやあぁぁぁ!」

 

先に銀が空を飛んでいるバーテックスに攻撃を仕掛ける。バーテックスはあっけなく銀によって真っ二つに斬られた。確かにアップデートのおかげで銀の武器は今までよりも強力になっていたが、バーテックスのあまりものあっけなさで、逆に俺は警戒心を覚えた。

 

「よし!優治、一緒に園子の援護をしよう!」

 

「いや、まだだよ。銀」

 

「えっ」

 

銀は振り返り、自分が倒したはずのバーテックスを見る。バーテックスは体を再生させて、復活をしようとしていた。区別するためにこいつのことは「ナメック・バーテックス」と名付けておこう。

 

「斬られたところが再生してる!?」

 

しかし、それだけでは済まなかった。

 

「そうじゃない……。斬られたところから新しい体ができている!?」

 

ちくしょう!こいつはナメックじゃなくて、切ったら増殖するプラナリアだったのかよ!?

 

1体から2体になったナメック改めプラナリア・バーテックスは、俺たちに向けて電撃を放った。俺と銀は思わず、後ろへ下がってしまう。

 

「あいつ、電撃まで使えるのか!」

 

「いや、電撃のことよりも、あの切っても増殖して再生することだ!」

 

俺は追撃に備えるが、バーテックスは追撃をしてこなかった。まるで、何かを待っているかのように。

 

「銀、優治くん!すぐそこにガスが来ているわよ!」

 

「「ガス!?」」

 

俺は須美の声で目線を地上に向けると、黒い霧状のものが俺たちに迫っていた。よく見てみると、海で泳いでいたバーテックスが出しているものだった。

 

「しまった!?上だけを集中していた!」

 

俺と銀はガスに飲み込まれた。俺はすぐに口を手で抑えるが、すでにガスを吸ってしまった。

 

「ゲホッゲホッ!」

 

「優治!」

 

銀は俺の方に近づいて、不思議な空間に入れてくれた。よく見てみると、銀の精霊がバリアを張って守っていたのだ。

 

「大丈夫か?」

 

「スー…ハー…。ああ、助かった!」

 

「どういたしまして!それよりも、優治。あれ!」

 

銀は上空にいるバーテックスを指差した。あのプラナリア・バーテックスが電気を溜めて放とうとしているのだ。

 

「銀!俺の後ろに隠れて!」

 

「わかった!」

 

銀が俺の後ろへ下がった。その瞬間、電撃が放たれ、ガスを一気に炎の嵐へと変えた。俺は迫ってくる炎を自分の炎で相殺した。

 

「銀。怪我はないか?」

 

「大丈夫!ありがとう、優治!」

 

「よし!今度はこっちの反撃だ!」

 

「待って!」

 

俺がバーテックスに向かって飛ぼうするが、須美に止められた。

 

「ここは私たちに任せて、ユウさんとミノさんは休んで!」

 

俺と銀にそう言ってくる園子。何か秘策でもあるのだろうか……。

 

「いくよ〜!」

 

「「満開!」」

 

二人は大きく声で言い放つ。すると、二人に何か不思議な光が集まってきた。そして、二つの大輪の花が咲き誇った。

 

そこには、砲座を束ねている須美と箱舟のようなものに乗っている園子がいた。その箱舟の両側には、複数の刃がついてあった。

これが勇者の切り札の「満開」というものらしい。

 

バーテックスは須美と園子に攻撃を仕掛ける。しかし、バリアで二人に攻撃は届かなかった。

 

「お前たちの攻撃はもう通らない!」

 

須美は手を前にだすと、それぞれの砲口から出てくる光線を一箇所に集め始めた。そして、それは巨大な光線へと変わり、2体になっていたプラナリア・バーテックスを一気に殲滅した。須美の攻撃はどこぞの宇宙戦艦の砲撃に似ていたが、それは敢えてつっこまないことにした。

 

「おぉ〜。潰しにきた〜!」

 

一方、園子は箱舟の両側についていた複数の刃を伸ばして近づいてくる海を泳いでいたバーテックスを突き刺して、距離を取らせた。

そして、刃を飛ばして、バーテックスを四方八方から突き刺して、倒した。

 

「え、えげつないな……」

 

2体のバーテックスを倒し終えると、二人の満開は解除され、二人とも仰向けのまま落ちようとした。俺はすかさず、須美と園子を抱き抱え、ゆっくりと地上に下ろした。

 

「大丈夫か、二人とも」

 

「ありがとう〜」

 

「どういたしまして。でも、どうしたんだ?いきなり、満開が解除されてたけど」

 

「わからない……。バーテックスを倒したら、目眩がして、それと同時に満開が解除されていたの」

 

「園子もか?」

 

「うん」

 

「そうか……」

 

満開は使える時間が限られているのか……。そして、体の負担も大きい。あまり、何度も使うのは得策ではないだろう。

 

俺がそう考えていると、園子は自分の右目をパチパチと開けたり閉じたりを繰り返したり、目を擦っていてた。

 

「あれ?なんでだろう……右目が見えない!?」

 

「……!?私も足が動かない!?」

 

園子の右目がいきなり見えなくなったり、須美の両足が動かなくなったり、とても偶然とは思えない。これも満開の影響だろうか……。

 

俺は魔装をアシュタロスからフェニクスに変えて、二人の治療を始めようとしたが、敵はそんな暇を与えるほど、甘くはなかった。

 

一番大きいバーテックスが俺たちに攻撃を仕掛けてきたのだ。あのバーテックスは、壁の外にいたバーテックスの素のヤツに炎を纏わせた状態で射出してきた。

 

「くそっ!」

 

俺はまた魔装を切り替え、俺は敵を迎え討とうとした。

 

「優治、ここはあたしがやる!その間に、須美の足と園子の目を治して!」

 

銀は満開を使い、敵の攻撃に備えた。

 

「わかった!治したらすぐに援護する!頼むぞ、フェニクス!」

 

俺は二人に剣を向けてフェニクスを使う。桃色の鳥が二人を包み込む。そして、桃色の鳥は自然と消えていった。これで治療は完了した。

 

「園子、目は見えるか?」

 

園子は目を開けて、右目が見えるようになったのかを確認する。

 

「ユウさん。右目、まだ見えてない……」

 

「!?まさか、須美も!」

 

「私もまだ足が動かない!?」

 

「(フェニクスで治らない!?どういうことだ?フェニクスで治せない例としては、体の機能が完全に失われることぐらいしか……まさか!?)」

 

俺の頭の中にある結論が出てきた。考えたくもない。だけど、この結論しかなかった。

 

「(満開は……体の機能を代償にすることで、強力な力を発揮する)」

 

俺は体の向きをバーテックスの方へ向ける。銀はすでに満開を使い、今、敵の攻撃を防いでいる。今なら……今なら、間に合うかもしれない!

 

「ユウさん?」

 

「須美、園子。二人は休んでて。今から銀を連れ戻す」

 

 

 

 

 

 

銀視点

 

あたしは満開を使い、一番大きいバーテックスの攻撃を防いでいた。あたしの満開は、4本の大きな刀を装備しており、敵からある程度距離があっても、刀を振ることで斬撃を飛ばすことができる。

 

「そりゃぁぁ!」

 

あたしはバーテックスが射出したヤツらを薙ぎ払う。最初は数が多かったものの、相手の攻撃に限りが見えてきた。

 

「このままなら、いける!」

 

あたしはこのまま突っ込んで畳み掛ける。しかし、その時、敵の攻撃が止んだ。

 

「なんで敵の攻撃止んだんだ……。あっ!?」

 

バーテックスは巨大な火球を作り出していた。そして、その火球が神樹様に向けて発射された。

 

「ぐうぅぅぅぅっ!!」

 

あたしは巨大な火球を受け止める。しかし、あまりにもの威力に押されてしまう。

 

「があっ!?」

 

あたしは何とか火球の軌道を変えるが、その代わり跳ね飛ばされてしまった。それと、同時に満開が解けてしまった。

 

「銀!」

 

ガシッ

 

落ちてしまうところを優治に抱き抱えられて、須美と園子が休んでいるところに降ろされた。

 

「銀、大丈夫か?」

 

「あたしは大丈夫。それよりも、あいつがまた!」

 

あたしはバーテックスを睨みつける。あのバーテックスはまた、射出してあたし達を攻撃しようとしていた。

 

 

 

優治視点

 

 

「くっ!」

 

間に合わなかった!このままじゃあ、三人とも自分の体を犠牲にしながら、戦い続けてしまう!そんなのはだめだ!

 

「須美、園子、銀」

 

「どうしたの、優治くん」

 

「満開を使ったあと、須美は足が動かなくなって、園子は右目が見えなくなったなんだよな?」

 

「え、ええ」

 

「銀は満開を使ったあと、どこか動かなくなったりしなかったか?」

 

「あたしは左腕が……」

 

「わかった。ありがとう」

 

フェニクスは、体で失われたものは治すことができない。だけど、誰かの体を代償にすることで、体の失われたところを元に戻すことができる。

 

つまり、俺の右目、両足、左腕の機能と引き換えにして、三人の動かなくなったところ、見えなくなったところを治す、ということだ。

 

「フェニクス」

 

俺はフェニクスを再び使う。俺の体から桃色のオーラみたいなものが出てきて、それが三人に注がれた。

 

「……これで、満開の代償は治ったはずだよ」

 

「ほんとだ!右目が見える〜!」

 

「私も両足が動く!」

 

「あたしの左腕も!ありがとう、優治!一体、どうやって」

 

「そんなことは後で話す。三人は早く遠くのところで避難して。あとは俺一人でやる」

 

「えっ、それはどういうことだよ……。何言ってんだよ、優治!あたしも戦うよ!」

 

「そうだよ!ユウさんらしくないよ!ユウさんのおかげで右目が見えるようになったし!」

 

「四人で戦えば、絶対勝てるわよ!だから…「ダメだ!!!」!?」

 

俺の声で三人を驚かせてしまう。しかし、こう言うしかなかった。

 

「三人とも満開を使って、今度は自分の体のどこを失う?視力か、聴力か、味覚か、心臓の機能か、肺の機能か、どこを失うかわからない!もしも……もしも、記憶まで失われるのだとしたら、俺は……俺は耐えられない!」

 

「優治……」

 

俺は無我夢中で、三人を説得しようとする。正直、俺には勝算がある。相手が炎を使うなら、俺にとって一番有利なはずだ。

 

「……はぁ。わかったよ、優治」

 

「銀!?」

「ミノさん!?」

 

「こうなった優治は須美でも手がつけられないほど頑固ものなのはわかってるでしょ?」

 

「そ、そうだけど……」

 

須美と園子は納得していない表情だ。当然と言えば、当然だ。

 

「その代わり、こっちから交わして欲しい約束がある」

 

「約束?」

 

「どんなに時間をかけてもいいから、必ず生きて帰ってきて。それが約束」

 

「ああ、当たり前だ!約束する!」

 

「それと、帰る時間をかけた分、説教する時間を増やすからね」

 

須美が約束の付け足しをする。

 

「それはマジでキツイっす!」

 

「ふふっ。じゃあ、なおさら早く帰らなきゃいけないわね」

 

「まったく、こういう時に言うものかよ……」

 

「こういう時だからだよ、優治。緊張もほぐれたでしょ?」

 

「ったく、おかげ様でな」

 

「優治、絶対に帰ってこいよ!もし、また死んだら、『この人でなし!』って言ってやるからな!」

 

「俺はラ○サーか、サウ○○ークか!?」

 

「私は帰ってくるって信じてるからね。ユウさん」

 

「ああ、行ってくる」

 

俺はバーテックスに向かって飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴー……

ヴー……

 

俺がバーテックスを倒すために飛んでいると、携帯の着信音が鳴っていた。

 

「女神様。」

 

着信画面には、そう表示してあった。アドレス交換なんてした覚えがないぞ。

 

ピッ

 

「もしもし?」

 

『優治くん、しばらくぶりだね』

 

電話をかけてきたのはやはり、女神様だった。

 

「すいません、今、忙しいんです」

 

『わかってるわよ。だからかけたの。優治くん、今戦おうとしている敵との相性が良いからと言っても、右腕一本だと、次の戦いがキツくなるでしょ?』

 

「次の戦い?」

 

『あの大きなバーテックスを倒した後、バーテックスは総攻撃を仕掛けてくるわよ』

 

「マジか……。とんだクソゲーですね」

 

『だからね。あなたが戦っている間だけ、右目と両足、左腕を動かせるようにしてあげる』

 

「良いんですか?」

 

『私が勝手に助けるから良いの!あと、同じ人を二回も生き返らせたり、転生させるのはごめんだから!』

 

本当、この女神様には頭が上がらないな……。

 

「ごめんなさい……」

 

『わかってるなら、良し!それと、あなたと話したい人がいるわ』

 

「俺とですか?」

 

『久しぶりだな、優治。大きくなったな』

 

この渋い声。間違えることがない。俺をここまで育ててくれた人の声だ。

 

「爺ちゃん……」

 

『もう時間がないから、短く伝えるぞ。交わした約束を守ってこい(・・・・・・・・・・・・)!』

 

「は、はい!」

 

『良い返事だ。これからも見守っているからな』

 

爺ちゃんはそう言ったとの同時に、通話が切れた。自然と爺ちゃんが笑顔になっている姿が思い浮かんでいた。

気がつくと、右目は見えるようになり、左腕も両足も動くようになった。

 

 

 

「さて、いくか……。鳥居優治、これが最後の大喧嘩だ!」

 

 

 




解釈とこの話での設定

マギでは、フェニクスは欠損状態の体を自身の体を代償にして欠損状態のところを蘇生させることができる能力を持っています。
ということは、満開による体の機能が欠損した場合でも、フェニクスで自身の体を代償にして、失った体の機能を復活させることができるのでは、と考えています。

そして、アシュタロスの能力。アシュタロスの能力の性質は炎と熱。よって、魚座と山羊座の連携攻撃による炎の嵐、そして獅子座の火球や星屑を炎に纏わせて射出する攻撃から魔力を得ることができるため、優治にとっては無力です。なので、獅子座に対して勝算があったのです。
また、逆に魚座単体ならば、優治は苦戦すると思っています。
設定と解釈はこんな感じですかね。

ではわすゆ編は終了と前書きではありますが、まだエピローグが残っております。エピローグでは、大橋跡地の合戦後の話になります。

ここまで読んでくださった方々に改めて感謝です!わすゆ編の次は、本編の本編「結城友奈は勇者である」編に入ります!
また、ゆゆゆい編も書いていけたらと思っております!お楽しみに!

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