MONSTER HUNTER 〜紅嵐絵巻〜   作:ASILS

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第14話 (著:サザンクロス) 

「戻ってきたな」

 

 砂の波に揺れる砂上船の船首の上に立つ、バギィ一式を装備した少年が一人。名を村雨翔という。彼の視線が向けられている先には狩場があった。そう、今回の狩場、『砂原』である。

 

「今回は前みたいにはいかないぞ……」

 

 口の中で小さく囁きながら翔は『砂原』で待っているだろう相手、リオレイアへと思いを馳せた。そんな彼の脳内を駆け巡るのはついこの間、『陸の女王』に舐めさせられた辛酸の数々だった。容赦なく体を襲う灼熱のブレス。地を削り、轟音と共に迫りくる翡翠色の巨体。そして猛毒を秘めた刺が突き出る強靭な尾から繰り出されるサマーソルトの一撃。前の失敗を思い出し、翔の表情はどんどん青ざめていく。

 

「駄目だ駄目だ! こんな始まる前からビビッてちゃ!」

 

 両手で強めに頬を叩き、自身に渇を入れる。前回、リオレイアに敗北を喫したのは確かだ。しかし、だからといって恐れてばかりではいけない。もし、リオレイアと対峙した時に恐怖で体が竦んで動けなくなれば、それは命の危機に直結する。

 

「大丈夫。俺も蘭雪も前と同じじゃない。それに今回は雲雀だっている」

 

 翔は後ろを振り返り、相棒の黄蘭雪。そして今回の飛び入りメンバー、東雲雲雀を見た。どちらも真剣その物の表情でそれぞれの作業に没頭していた。そんな二人の顔を見て、翔の胸中には絶対に成功するという根拠の無い確信があった。

 

(俺達ならやれる)

 

 頷き、翔は『砂原』へと視線を戻す。その視線に多少の恐怖はあれど、揺らぎは無かった。

 

 

 

(これで良し、と)

 

 握った得物の感覚を確かめ、蘭雪はアルクセロルージュを折り畳む。あの鍛冶場の人々の技術は確かなようで、新調したばかりのアルクセロルージュは驚くほど蘭雪の手に馴染んだ。蘭雪は小さくしたアルクセロルージュを船縁に立てかけ、船首に立つ翔、少し離れたところで双剣を振るう雲雀へと視線を移した。雲雀の手にはドラグライト鉱石やマカライト鉱石などの鉱石系の素材がふんだんに使われた双剣、デュアルトマホークが握られていた。

 

「ふっ! はっ!!」

 

 縦に、横に。突いたとかと思えば切り払いに。縦横無尽に軌跡を描き雲雀は甲板の上で演舞をするかのように双剣を操っていた。多少、荒削りであるがその動きに淀みは無く、動作の一つ一つには彼女の豪快な性格を現すような力強さがあった。

 

「へ~。結構、いい動きするのね。あれなら確かに足は引っ張らないわね……」

 

 雲雀の動きに見入りながらも、蘭雪は船に乗る前から感じていた違和感に眉を顰める。それは雲雀が身に纏う装備、ナルガシリーズにあった。彼女の装備、ナルガシリーズは『迅竜』ナルガクルガの素材を用いて作られる。狩場の状況や個体の強さの差はあれど、ナルガクルガはリオレイアよりも強力な飛竜として認識されている。事実、生態系の強弱関係を表す危険度はリオレイアが4なのに対し、ナルガクルガは5だ。

 

(何でナルガクルガの装備を作れるのに、今更HR昇格試験でリオレイアの捕獲なんて……)

 

訝しげに送られる蘭雪の視線に気づいたのか、雲雀はデュアルトマホークを背負い、蘭雪に歩み寄った。

 

「よぉ、何か用か蘭雪?」

 

「いや、用って訳じゃないんだけど」

 

 隣に腰を下ろした雲雀を改めて観察する。よくよく見てみれば、雲雀のナルガシリーズは所々に小さな傷や修復した部分があり、かなり年季の入ったものであることが分かった。とても、雲雀のような若いハンターが着れるものではない。

 

「あぁ、コイツか」

 

 蘭雪の視線に気づき、雲雀は照れたような笑いを浮かべる。

 

「コレな、貰い物なんだ」

 

「貰い物って……ナルガシリーズ丸ごと一式くれたの?」

 

 気前が良いわね、と蘭雪は目を丸くしていた。だよな~、と相槌を打ちながら雲雀は話を続ける。

 

「その人な、親父の知り合いでさ。よくウチで装備作ってたんだ。で、上位ハンターになったのを期に装備を丸々新調するって話しになって、今まで使ってた装備をアタシにくれたのさ」

 

 その装備が今、雲雀が身に纏うナルガシリーズなのだ。そのハンターのことをかなり慕っていたのだろう。雲雀は嬉しそうな表情を浮かべていた。ふと、照れくさそうに話をしていた雲雀の表情が真剣なものになる。

 

「その人と同じ土俵に立たなきゃアタシはあの人に合わせる顔が()ェ。もらったからこそ……ハンターになったからこそ、あの人にアタシはここまで成長したってことを見せつけてやるのさッ!!」

 

 グッと力強く拳を握り熱く語る彼女の眼には真っ赤な闘志の炎が見えた。蘭雪はそんな気がした。

彼女は強い。確かに、体から感じる才能は強い。それ以上に彼女を、東雲雲雀を突き動かす“意志”の強さに蘭雪は感嘆していた。

 ――――そして、それ故にひたすら道を真っ直ぐと進み続け、例え目の前に絶壁の行き止まりがあろうとも突っ込んでしまいそうな影が見えたのも確かだった。

 

「……そうね。私からも応援するわ。…………でもね、雲雀」

 

 ん? と雲雀が呆けた顔でこちらを見て首を傾げる。

 

「絶対に、無理はしないで。生き急いだって必ず良いことがやってくる訳じゃないんだから。生きるか死ぬかの命のやり取りをする場であの人を追い抜くなんて“宿題”はしなくていいの。必要なのは、生きて帰る“使命”だから。私も、翔も、自分の前で見殺しになんてしたくないから」

 

 ある人に憧れてハンターになり、その人を超える為に狩場へと出向く者達を何度も見てきた。そして、彼らが二度と戻ってくることも無かったという事実も、彼女は目の当たりにしたことがある。

 

 蘭雪の言葉に雲雀は一瞬目を見開き、

 

「……忠告感謝するよ、蘭雪。ハハッ、こりゃあ一本取られた」

 

 自嘲気味に笑って空を仰いだ。

 

「オーケー。やってやろうじゃん。宿題は家に帰ってからで充分だ。アタシはアタシに出来ることをやる。そういうことだろ?」

 

 なぁ、蘭雪。そう言ってニカッと笑う彼女に蘭雪も「そうね」と短く返した。

 

 

 

『砂原』。ギルド管轄の保護区内の正式狩猟場に指定されている場所であり、昼夜で大きく変わる極度な気温差の中で生きるモンスターが徘徊する地だ。無論、そのモンスターが脆弱である筈がないのは百も承知。

 

 狩場は主に広大な砂漠地帯や谷間地帯、小高い丘やちょっとした広場に分かれており、狩場中央には沼がある。

 

「よっこい……せっ、と。ふぅ、意外と荷物が多いなこりゃ」

 

 ギルドからの支給品が詰まった箱を運びつつ、その上に広げた地図を見て翔は脳を働かせる。

 

 現在、翔達がいる所は北東に位置する高い崖上のベースキャンプだ。狩場を避けてアプトノスの台車で持ってきた荷物を下ろしている作業中である。翔が下ろした支給品が最後のようで、同行者二人は各々で武器の最終調整を始めていた。

 

 翔も支給品を人数分に仕分けして自分の準備に取り掛かる。

新調したばかりの骨刀【豺牙(さいが)】を引き抜き少し欠け気味の満月が優しくそれを照らした。鈍い光沢の刃が雲を斬る。

 

「……軽くなったってのに、重くなったな」

 

 思わず口をついて出た言葉の矛盾。いつの間にか重くなった自分の背負う相棒は、相も変わらず強い。

 

「俺と皆の努力と、今まで狩ってきた尊い命の塊だ。今日も頼むぜ」

 

 より一層頼もしくなった相棒には、多くの魂が籠められている。それは自分であり、鍛冶屋のおっちゃんや村の皆、命をかけて対峙してきたモンスター達だ。

命の数だけ強く重くなる相棒の刃に、翔はそっと指を当てた。

 

 

 

「よぅし、準備出来たかお前らッ」

 

(おう)ともさッ!! 体はバッチリ暖めたっ」

 

「言われなくても、完了してるわよ」

 

 威勢のいい声を返す二人に、ニッと笑って返す翔。砂原特有の乾いた風が、どこかひんやり心地よく感じるのも今だけだ。ここから一歩外へ踏み出せば容赦なく凍えるような外気と不安定な砂地が体力を奪い取り、そしてこの地に適応した強力なモンスターが命を刈り取るだろう。その点は、既に一度砂原(ここ)を訪れてい彼らも重々承知していることだ。

 

「それじゃ出発の前に体を暖めておこう」

 

「アタシはいいや、さっき暖めたし」

 

「バカ、アンタ死ぬわよホント」

 

 一行は揃って懐から液体の入ったビンを取り出し、赤黒く濁った中身を軽く煽る。ホットドリンク。低温氷雪地帯に挑む際にハンター達が必携する必需品だ。中身は粉末状にしたにが虫とトウガラシ。体に染み渡るポカポカとした感覚と辛味。対を為すクーラードリンクに比べると苦手にしている人も多く、効能に影響が出ない程度にハチミツ等を混ぜるハンターもいるようだ。やはり一同も――。

 

『か、辛いッ!』

 

 水筒を煽りながら一行はリオレイアの待つ砂原へと足を踏み出した。

 

 

 

 雌火竜リオレイア。こうしてまた相見えることになったのは、一行の代表――村雨翔が『ここは俺に任せとけ、一大事を類まれなるこの強運でくぐり抜けてきた俺に死角はない』と豪語し、逸る気持ちを抑えつつエントリーしたくじ引きで再びリオレイアの討伐を申し渡されたのが原因である。ラッキーボーイもこの時ばかりは蘭雪に罵詈雑言を浴びせかけられ、砂狼には『娘にかすり傷一つ付けてみろ、お前を刺して私も……待て母さん、止めろ、うわ、何をする、ぐわっ』と脅しまでかけられた。

 出来ればもっと戦いなれた奴が良かったなんて誰もが口を揃えるだろうが、一行の中でただ一人、東雲雲雀だけはこの事態を小指の爪の先程も悲観していなかった。それどころか、相手にとって不足なしと意気込む辺り心配でならないが、反面その前向きな姿勢が翔たちを鼓舞し、今日までにできる限りの準備をしてきた。

 

「こちら東雲。三百六十度、見渡す限り砂の海です、どーぞー」

 

「こら、ふざけんなって。わざわざ寝てるモンスターを、起こす奴があるか」

 

「起こすって言っても、どうせしつこいだけが取り柄のデルクスでしょ。活発になったらなったで、レイアが降りて来てくれるかもしれないし」

 

 一行は砂原エリア内の地図と現在地を照らし合わせながら進み、ベースキャンプに隣接する地区からシラミ潰しに探索をしていた。勿論当てずっぽうにだらだらと進んでいるだけでは、体力の消耗にしかならない。なので、前回の狩猟の際、一番最後に交戦した地区を第一目標と決めていたワケだが――――。

 

「まぁハズレか。餌も無いようなエリアにわざわざ飛んでくるほど、レイアも馬鹿じゃないってことか」

 

「あんたが任せろって言うから付いて来たのに。何よ、結局無駄足だったじゃない! おかげでこっちは、汗かいちゃったわよ」

 

「わりぃわりぃ。お詫びってわけじゃないけど、とりあえずこれで拭いとけ。体冷やすと、体力の消耗も激しくなる」

 

 ほら、とポーチには件のユクモ織り振興会から粗品として貰った手拭いが顔を覗かせる。もちろんそれはそのまま、翔の手によって蘭雪に手渡されるのだが――――。

 

「おぉ悪いな、アタシも汗かいちゃってさ」

 

 鳶に油揚げを拐われる。かの猛禽の如く横からぬっと出てきた雲雀に先を越される。

 ありがとう、と言いかけた矢先、伸ばした手のやり場がなくなる蘭雪。引き攣った笑みを浮かべながらゆっくりと降ろす手は、プルプルと震えていた。

 それは羞恥か、それともほかの何かか。少なくとも翔には、寒くて震えているように見えたようである。

 

「あ、ほら言わんこっちゃない。寒くて震えてるじゃないか。ほれこっち」

 

 翔がさらにポーチを漁ると、出てきたのは先ほどの手拭いの色違いと思わしきものが出てきた。

 

「……二枚持ってたんだ」

 

「いや、さっきのが予備でこっちは……なんだ。俺がさっき使ったやつなんだけど。嫌か?」

 

(ほぉぉ、ナンダカ面白くなってきたじゃんか~)

 

 予備らしい二枚目の手拭いは、現在雲雀が使用中だ。蘭雪としては、なにも言われなければ特に気にする事も無かったのであるが、申告された上に嫌かとまで聞かれればどうしても意識してしまう。

 

「いや、別にそんな、嫌とかじゃない……けどぉ…………」

 

 あ、う、としどろもどろになりつつ、ようやく決心して翔の手拭いを受け取ろうとした時、またもや雲雀がぬっと手を伸ばしてきた。

 

「いやぁ~、助かった助かった。ほら、蘭雪の番だぞ?」

 

 どちらを取るべきか。申し訳なさそうな表情を浮かべている翔のか。それとも意地悪な爽やかスマイルでみつめてくる小憎たらしい雲雀のか。

 

「あ、アッツいわねぇ。あーアッツいアッツい。もう防具の中とかビショビショだし両方借りるわね!」

 

「今は砂漠の夜だぞ? って、本当にビショビショじゃないか。早く拭けよ」

 

 完璧に混乱した蘭雪は、ひったくるように二人の差し出す手拭いを受け取る。翔はそんな蘭雪を不審がって近づくと、確かに額にはべったりと汗が浮かんでいた。

 

「一人じゃ大変そうだし、手伝ってあげたらイイんじゃないか~? 翔?」

 

「ちょ、汗くらい一人で拭けるわよ! 翔、アンタは向こう向いてなさい! 雲雀ぃ、狩りが終わったら覚えてなさいよ!」

 

 雲雀の言葉を素直に受け取って手伝おうとしてくる翔を牽制しながら、蘭雪は雲雀に向かって怒りの視線と呪詛を唱える。そんな二人の姿に、ニヤニヤと笑の止まらない雲雀なのであった。

 

 

 

 一行は二つある砂漠地帯の北区から南区に移動し、依然現れないリオレイアの捜索を続ける。

 時折デルクスが様子を窺うようにこちらを見ていることはあるが、別段状況に変わりはない。

 つまり、蘭雪の怒りもまだまだ収まってはいなかった。

 

「なぁなぁ、俺なんかしたかな?」

 

「さぁねぇ。でも蘭雪の年の頃ってのは浮き沈みが激しいみたいだしな。別段、気にしなくて大丈夫さ。それよりそれ」

 

 これか、と翔が持っていた物を雲雀に見せた。翔が常に持ち歩いている狩猟手帳(ハンターノート)である。

 

「……翔の父親の形見なんですって。ギルドなんかじゃ公開してないような情報ばっかりよ」

 

「ほぉ~、そうなのかぁ。なぁ~、カ~ケルゥ~。ちょ~っとだけでいいから、見せてくんない?」

 

 ん、と翔が寄越してきた手帳には、文字通りぎっしりと字が連ねられていた。

 

「うちの親父がトンデモないメモ魔っていうか、知りたがりっていうか、好奇心の塊みたいな人でさ。モンスターの目の前だろうが、街が窮地に立たされていようがメモをとっては分析を重ねてたらしい。御陰でお袋の研究も捗ったみたいだけど、帰ってくる度にボロボロだったから怒られてたっけ」

 

「研究? アンタの母親って何かの研究者なの?」

 

「あれ、言ってなかったか。お袋はロックラック支部の古龍観測隊所属なんだけど」

 

 絶句。蘭雪は目を見開いて硬直し、雲雀は手帳を思わず落としてしまう。

 

「ああ、おい! 年季入ってるんだから、大事にしてくれよ……」

 

『古龍観測隊ッ!?』

 

 手帳に気をとらわれている翔をよそに、二人はあっさりと言われたカミングアウトに仰天していた。

 古龍観測所と言えば、書士隊と並ぶ人類の英知が集まる機関だ。古龍観測隊に限定して言えば、天災級のモンスターを相手にしている分、命が幾つあっても足りないのもそうだが、生半可な実力でなれるものではない。

 その証拠に、古龍観測隊の構成員の多くは竜人族であったり、優秀なハンターや書士隊を経験していた者が多い。翔の母親も、そんな集団の一員だというのだ。

 父は一部では名の知れたハンター。母は古龍観測隊メンバー。パタパタと手帳を叩くこの青年はトンデモない人物なのではないかと勘ぐってしまう。

 

「なぁ蘭雪。翔って一体何者なんだ。全然庶民派って感じなんだがケド……」

 

「知らないわよ。私だって今さっき知ったばかりなんだから。そのうち、名のある家系だって言ってくるかもね」

 

「そりゃよかったじゃないか。ゆくゆくは玉の輿だな」

 

 雲雀は急激な殺気に身を翻すと、蘭雪の手刀が背後から振り下ろされているところだった。茶化し過ぎも良くないなと、今更ながらごめんごめんと頭を下げるが、それがまた機嫌を損ねてしまったようである。

 戦地に訪れているのだという事をまったく感じさせない、いつまでもマイペースな一行であった。

 

 

 

「『リオレイア。別名は雌火竜。高熱のブレスを吐く』ッ! 避けろ蘭雪ッ!」

 

 手帳に書いてある一文を復唱しながら、蘭雪に向けて放たれたブレスを警告する翔。距離がある分、初動を見極めて回避態勢に入っていた蘭雪は、軽々とそれを避ける。ブレスは蘭雪が立っていた沼地に、ジュウッと音を立てて着弾した。

 

「『ブレスを吐いた後は側面や背後が手薄になる』ってな! それそれそれえええ!」

 

 素早く接近した雲雀が、左足めがけて肉薄する。船の甲板で見せていた以上のスピードで次々と繰り出される斬撃に、次々と甲殻が削れてゆく。

 一行がリオレイアと遭遇したのは、砂原エリアのちょうど真ん中に位置する沼地だった。エリアに入るのと同時に降り立ったリオレイアには、既にこちらを察知していた。先制攻撃を回避した三人は、ただちに戦闘準備に入る、

 出来れば死角から一撃でも多く入れたかった翔と蘭雪とは対照に、雲雀はいよいよ始まるやり取りに闘志を(たぎ)らせていた。

 事前に立てておいた作戦通り、後衛の蘭雪が遠くから気をそらしている隙に、前衛ができる限り側面へと回り込んで攻撃する。絶対に焦らず冷静に対処し、着実に体力を削る方針だ。

 

「アンタ達、絶対にサマーソルトにだけは気をつけなさい! レイアが『屈んだら注意』よ!」

 

 大木ばりの尻尾を振り回して牽制するリオレイアを相手に、善戦する前衛二人。そんな二人に、蘭雪は檄を飛ばす。

 前回の狩りが翔の手帳の知識に実感を持たせ、一行の狩りをより正確なものにしていた。いかに無類の強さを誇るリオレイアと言えども、攻撃を読むことができればこちらのペースに持ち込むことができる。

 

 リオレイア捕獲依頼は、幸先のいいスタートで始まった。




ども、こんばんわ、サザンクロスでっす。まず、謝罪をば。
今回の話、著サザンクロスって書いてありますが、実際に書いたのは獅子乃さんとキノンさんです。
自分が書いたの、序盤だけです。半分くらいは書いたんですよ。でもね、データがぶっ飛んじゃったのよ……。

次の担当者はキノンさんです。いや本当マジですみません。データがフライアウェイするのには十二分に気をつけてください。

では、サザンクロスでっした。

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