正義の味方候補の魔術使い   作:ラグーン

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師匠ッーーーーーーーーー!!!(ライネス師匠を見つつ


はい、3ヶ月も更新が遅れてすみませんっ!実はスランプ気味でして思うように執筆が進みませんでした……(吐血
書きたいのはイメージ出来ていたのですがそれを文にするとなると悪戦苦闘しておりました……もしかしたらこの話は後で少し修正するかもしれません(実はまだスランプ気味だったり

今回の前書きは短めです!それでは本文にどうぞっ!


第25話 ひとときの休息

「最近は恭介さん頑張りすぎているッス。こうやって身体を休めるのも大事ッスよ」

 

「……君の言い分はわかったから解放してくれ」

 

「駄目ッス。最近は碌に休憩してない人への罰ッスよー」

 

いったいどうしてこうなったんだ?と我ながら不思議に思うが屈託の無い笑顔である彼女は気づいていないだろう。……いや、風間レヴィという少女ならばその笑顔の裏になにかしらの企みがあるのかもしれない。

 

「むっ、いま恭介さん割りと失礼なことを考えてないッスか?」

 

「……さてな、考えすぎじゃないか?俺はどうしてこの体勢になったんだと思っただけさ」

 

相変わらず鋭いなと内心で苦笑いを浮かべながら疑ってくる彼女を宥める。しかし、俺が先ほど言ったことは本音の一つであり俺と彼女の体勢には疑問を持たざるを得ない。率直に言ってしまえば俺はレヴィから膝枕をされている。今日は王立図書館検閲官(グリモワールセキリティ)としての活動もなくいつも通りに放課後の鍛錬に励んでいた。前はたまに見にくる程度だったのに今はいつものように彼女はいつも放課後に行う鍛錬を見学している。理由を聞いてもはぐらかされるオチだろうし聞くだけ無駄、それに鍛錬を見られていても減るものではないだろう。……まぁ、話が脱線しかけたので戻すとしよう。いつもの鍛錬を終えると俺は彼女から腕を引っ張られて中庭に連れてこられ、そして何故か膝枕をされることになり結果このような状態になった。……本当になんでさ、整理していたはずなのに逆に混乱することになってるぞ。

 

「本当にこんな時ぐらいは気を休めていいんッスよ。いつも気を引き締めてばかりなんッスから。自分と2人きりの時ぐらいは気軽にしてほしいッス」

 

「……そこまで気を引き締めているばかりじゃないんだが」

 

「それは恭介さんが気づいてないだけッス」

 

俺が否定をすれば彼女は苦笑いを浮かべる。そして優しい手つきで俺の頭を何度も何度も撫で始める。膝枕をされてる以上は彼女の顔が視界に入るし後頭部が感じる感触に関しては意識しないようにしても俺とて男、少しばかりはどうしても温かく柔らかい感触に意識を向けてしまう。

 

「やっぱり少し髪の色が変色してるッスね。前より白髪が増えてるということは魔力を限界まで使ったッスね」

 

「……バレることはないと踏んでいたんだが。やはり君には隠し事はできないらしい」

 

「それはもちろんお世話係ッスから。正直に話すのなら今のうちッスよ?その様子ですと身体の方にも少しばかり前より肌が変色してる部分があるんッスよね?」

 

「軽い代償だ、君が気にする必要はないさ」

 

これは無茶をした代償であり、その代償を払った結果に双子の姉妹が笑い合える日常を取り戻せた。その光景は幻想ではなく本物の日常の光景の一つ、それを見るためならたかが髪と肌が変色するなんて安いものだ。

 

「自分はもうこれ以上は言わないッスよ。自分は恭介さんがボロボロになってでも誰かの為に動く人だってそれなりに理解はしてるッスから」

 

少しだけ哀しそうに笑う少女はジッと俺を見つめている。しかし、それは一瞬のことでいつものように飄々としている彼女に戻る。すまないと静かに呟けば彼女はただ優しく笑いずっと頭を撫で続ける。

 

「どうッスか?自分の膝枕は。こんな大サービスはあまりないッスよ?」

 

「別に答える必要はないだろ?……悪くはないと答えてはおく」

 

「素直じゃないッスねー。でも、恭介さんが堪能して休んでくれているようでなによりッス。今後もどうッスか?恭介さんならサービスするッスよ?」

 

「いや、堪能しているわけではないんだが。あと、今後については俺から遠慮させてもらう。後が色々と怖そうだしな」

 

俺としてはまずなぜこのようなことをしたのかを聞きたいが無駄であろう。だからその不満そうな声を出すのは止めるんだ、まるで俺が悪いと言っているようではないか。……堪能していることを否定はしたがこの体勢の時点で説得力は皆無だな。

 

「……そろそろ解放してくれると助かるんだが。これ以上は流石にマズイんじゃないか?」

 

「んー、別に周りのことなんて自分は全然気にしないッスよ。むしろ周りにそういった関係と誤認してくれた方が自分としては色々と楽しいですし」

 

「君が楽しむために俺が巻き込まなければならないのか……」

 

「恭介さんと一緒だから楽しいんッスよ」

 

そう言われると嬉しいが結局のところ俺が巻き込まれるのは確定じゃないかそれは。はぁ、せめて巻き込むとしても厄介だけは勘弁してくれよ?彼女の性格を考えるとその願いは徒労になるだろうがなにも願わないよりマシだ。

 

「……たまには、こうやってのんびりするのも悪くないかもしれないな」

 

「誰だってこうやってのんびり過ごすのは必要なことッスから」

 

目を閉じてそう呟けば嬉しそうな声で彼女は言う。頰を撫でられてくすぐったいが心地がよく、そのまま再度俺の頭を撫ではじめる。……ああ、訂正せねばならないらしい、どうやら俺は膝枕を堪能しているようだ。

 

「……いくら俺でもあの雰囲気の中に入るのは躊躇いがあるんだが?」

 

「だんな様でも躊躇うことがあるのね。……けれど少しそれはわかるわ」

 

「珍しくお兄さんが躊躇いを見せてるっ!でも、お兄さんとアリンちゃんの言うとおり、お兄ちゃんとレヴィちゃんのあの雰囲気は壊したくないかなぁ」

 

「あんなに恭介がくつろいでいるのところを見たことがあるか?俺は少なくともないな。あと、リリス的には膝枕はセーフなのか?」

 

「……膝枕程度なら別に問題はありませんよ。でもアラタの言う通り衛宮さんがあそこまで気を抜いているのは珍しいですね」

 

「むぅ、膝枕なんていつでもしてあげるのに。それ以上のことだって恭介君が望んでくれるならしてあげるのになー」

 

「お姉ちゃん駄目だからねっ!?……でも、衛宮さんをリラックスさせることぐらいは私にもできるもん」

 

「あらあら?我が妹ながらどうやって恭介君をリラックスさせるのか気になるわねぇ?」

 

「お、お姉ちゃんには教えないもんっ!」

 

……いつものメンバーの声が聞こえてきたのは気のせいではあるまい。難聴になった覚えもないし気を緩めてるとはいえ見逃すほどではない。はぁ、一部のメンバーには見られたくなかったのが本音であるが仕方あるまい。学園長に知られてしまうよりは何百倍もマシだ。……とりあえず身を起こそう。変に勘違いをさせるのは後からめんどそうだしな。だからといって名残惜しそうな表情を浮かべるのはやめてくれ。

 

「あー、2人とも邪魔したか?」

 

「俺と彼女は休憩しただけだ。別に気を使う必要はない」

 

「そうッスよー。自分と恭介さんはただ休憩してただけッスからね」

 

なぜか俺とレヴィ以外の全員が顔を見合わせているがなぜだ?俺と彼女は本当のことを言っているだけなんだが。それよりもいつものメンバーが集まっているのだから用事があるんじゃないか?それが厄介ごとかどうかはさておき。するとレヴィはなにか思い出したのか首を傾げながら尋ねる。

 

「もしかして昨日アラタさんの部屋でリリス先生が言ってた魔力回復の云々のお誘いッスか?」

 

「おう、それで今から行こうってことになってな。レヴィと恭介のことを探してたってわけだ」

 

昨日はそういえばアラタの部屋で集まるとかレヴィが言っていたような。俺は昨日野暮用がありその集まりには参加しなかったので昨日にて彼らがなにを話したのかわからない。ただ先ほど魔力回復といっていたので悪いことではないだろう。

 

「ふむ、それなら全員で行ってくるといい。誘ってくれて悪いが俺は昨日と同じく野暮用があるのでな。騒動が立て続けに起きたこともあるし魔力回復のついでに羽も伸ばしてくるといいさ」

 

「もちろん恭介さんも行くんッスよ?一番羽を伸ばしてない人を自分が連れて行かないわけないじゃないッスか」

 

「私も忍者に同意見よー。今日も下手したら野暮用とか言いながら魔物退治をしに行きかねないもの。昨日はしょうがなく見逃してあげたけど今日はそうはいかないわよ?」

 

「……」

 

リーゼロッテが昨日行ったことをなぜ知っているんだと思ったが報告書を提出したんだったな。くっ、リーゼロッテにそのことを伝えたのは十中八九ミラか。昨日も俺は実際は休みであったが手の回っていない場所に行き魔物の処理をしに行った。そのさいにリーゼロッテは学園に置いていき単独で向かったのが仇となったか?……しかし、俺の自分勝手な独断に彼女を付き合わせるわけにはいかなかったしな。

 

「……俺とて拒否権というものがあってだな」

 

「ねぇ、お兄ちゃん。ユイはきちんと休まないと駄目だと思うんだ。だから、ね?ユイ達と一緒に行こよお兄ちゃん」

 

「いや、ユイだからーーーー」

 

「お・に・い・ちゃん?」

 

詰め寄ってきたユイの表情は微笑んでいるが目が笑っていなかった。思わぬ迫力に言葉がつまり俺はただ無言に首を縦に動かしてしまう。すると先ほどまでの表情は嘘のようにユイは満面な笑みを浮かべる。あの迫力といいどこか懐かしく恐ろしさを感じるが……いまは考えるのはよしておこう。変に勘違いされて再度ユイから詰め寄られるのは遠慮したい。

 

「はぁ、もう好きにしてくれ」

 

もう足掻くだけ無駄であるのはわかっているため早々に諦める。しかし、いったいどこに休息なんてとりに行くんだ?まぁ、ついていけばどこに行くかはわかるだろう。どうも不安が拭えないが羽を伸ばすだけであるし問題は起きんだろう……多分な。

 

 

 

 

「はぅー、おっきなお風呂だねー」

 

ユイは肩まで浸かり幸せそうな表情を浮かべている。まぁ、そうするなと言われる方が無茶というもの。彼女の今までの経緯で察するに修学旅行には来てないだろう。はしゃぎ始めたユイを見てレヴィは苦笑いを浮かべる。ユイの先ほどの発言から察するに俺たちは温泉に来ている。

 

「服の上からでもわかってたけどやっぱり逞しいわ。予想以上で私、我慢できないかも」

 

「……おい、変に誤解されるようなことを言うなリーゼロッテ」

 

「えー、別に私が言ってることは間違ってないわよ?だって恭介君ってかなり鍛えてるし、その鍛えてる身体のことを言っただけだもの」

 

クスクス笑うリーゼロッテを見て軽くデコピンでも打ち込むかどうか悩んだのは悪くないはずだ。あと必要以上に密着してこようとするな。お互い水着であるためいつもより感触が直に伝わるため嫌というほど意識してしまう。

 

「んー、水着で誘惑するのも無理なんてガードが固すぎない?恭介君が同性愛者じゃないのはわかってるんだけど……」

 

「君のメイガスモードはさほど水着と変わらんだろ……」

 

リーゼロッテに呆れた視線を向けるが彼女はそう?と首を傾げるだけだった。おい、学園長を窓から突き落とした方法は色仕掛けだったのを俺は覚えているからな。それに安易に引っかかるあの男も問題だが……。

 

「……とりあえず君はセリナと仲良く温泉に浸かっているんだな。半年も寂しい思いをさせてたんだからもっと甘やかしてあげてこい」

 

「そうね、半年も寂しい思いをさせたからそうすることにするわ。それで?そう言う恭介君はどうするの?もう上がるなんてことはないでしょうけど」

 

「俺はいつも通りに少し離れ場所にいることにする。露天風呂を堪能できる機会はそう簡単にはこなさそうだから大人しくいるさ」

 

露天風呂を堪能する機会などそうないのはわかっているため今回は大人しく温泉に浸かっていることにしよう。リーゼロッテも俺が言ったのは本音だとわかっているようで少しだけ残念そうにしながらもセリナの元へと近づいていく。突然とリーゼロッテが抱きついてきたことにセリナは大きく驚くがその光景は微笑ましい。……どさくさに紛れてセリナの胸を触っているのは過剰なスキンシップであるがな。

 

「……まぁ、それを指摘するのは野暮というものか」

 

先ほど甘やかしてこいと言ったため過剰なスキンシップとはいえ止めるのは気が引ける。浅見先生が注意しているし次からはリーゼロッテも自重はするだろう。彼女とて普通に姉妹としてまた一緒に居たいと願っているしな。今回のこの温泉は浅見先生が言うには魔力回復の効果があるらしい。前回の騒動でこの場にはいないが上官2人も含めて全員の魔力の消費は激しかったため確かにうってつけだ。リーゼロッテも魔王因子がなくなったこともあり魔力に関しては本調子ではないと言ってたため丁度いい。

 

「……それにしても真っ当な理由で建設するとは意外だな。やはり学園長としての面子は保っているということか」

 

学園長の殴りたくなる笑顔が脳裏に浮かぶがすぐに忘却する。学園長の独断ではなく教員らの意見もあり設立されたとなると公私混同はしていないはずだ。いや、していないと信じさせてもらいたい。……混浴することができるようにしているのは疑わしいが全力で見て見ぬ振りしよう。それに幸いなのはこの場には学園長がいないことである。もしこの場にいてみろ、それこそ騒々しくなって収拾がつかなくなるぞ。いまアラタと浅見先生がいい雰囲気になっているというのに奴がいれば間違いなく台無しになる。みんなもその辺は理解して自重しているのか静かにしているしな。

 

「どうッスか恭介さん。疲れはとれてるッスかー?」

 

「一応な。そういう君こそ怪我の方は大丈夫なのか?日常生活に支障はなさそうだが完治しているわけではあるまい」

 

「およ、やはり恭介さんにはお見通しッスか。怪我に関しては恭介さんが言うように普通に過ごす分は大丈夫なのでそう心配しなくて大丈夫ッスよ。どうしてもという時には恭介さんやみなさんに相談するッスから」

 

戦闘しなければ彼女の怪我に関してはすぐに完治するだろう。傷跡が残るというのは意外にも気にしてしまうというものだ。全身傷跡だらけの俺が言っても説得力が皆無かもしれないがな。すると甲高い音が聞こえてなにがあったのか見てみるとどうやらアラタのラッキースケベが発動したようで浅見先生の水着が外れるというアクシデントが起きていた。

 

「……やれやれ、最後でしまらないのがアラタらしい」

 

「そうッスね。そこもある意味ではアラタさんの長所だと思うッスよ」

 

そうだなっと俺は苦笑いを浮かべながら同意する。慣れとは怖いもので前ならば呆れてしまっていただろうが苦笑いを浮かべる程度ですんでいる。まぁ、半端諦めの領域に入っているんだろうなと思いながら茜色の空を見上げるのだった。

 

 

 

 

「いやー、色々あったけど気持ちよかったな温泉。またいつかみんなで行こうぜ」

 

「……あんなことが起きるんでしたら私は遠慮しておきます」

 

「いや、だから俺は本当に違うんだってっ!?」

 

ジト目で睨む浅見先生にアラタは焦りながらも否定する。まぁ、先ほどのアクシデントの犯人はアラタの横にいる伝説の魔道書なのだがその魔道書に積極的に関わる気がないため悪いが今回の誤解は自分で解いてくれ。しかし、思った以上に温泉を満喫してしまいチラホラと空には星が見えていた。

 

「……思ったより長いしてしまったようだな」

 

「たまには衛宮さんもゆっくりするのが大切だと思いますよ?アラタさんも衛宮さんもここ最近はずっと活躍していましたから」

 

「むっ?それは違うぞセリナ。アラタはともかく俺は別に特に目立ったことはしていない」

 

「そうだとしても、貴方も今までのことに関与しているのは変わってないと思うのだけれど」

 

むっ、なかなか痛いところをついてくるなアリン。その言葉にセリナも同意するように頷いている。しかし、関与はしていても活躍しているかどうかになると違うと思うぞ。リーゼロッテ曰く俺の戦績は眼を見張るらしいが俺としてはもっと上手くやれたのではないか?が感想だ。

 

(結果的に言えば大きな騒動になる前に今までどうにかできていたが今後はそうともかぎらない。やはりまだ俺は未熟者にすぎんか)

 

空を見上げると星の中に一番星を見つけその星に視界が釘付けになる。自身がこうやって未熟者だと痛感した時には自然と星を見るため、恐らく記憶を失う前の俺がしていた癖のようなものだろう。だが何処か別の意味も含まれているような気もするが、それは記憶を失う前の俺しかわからないのだろう。

 

「いつものはしかめっ面はどうした正義の味方。珍しくセンチメンタルじゃないか」

 

「……はぁ、いま貴様に話しかけられなければだがな。それより君のマスターは助けなくていいのかね?先ほどから一生懸命に誤解を解いているようだが」

 

「まぁ、ウチのマスターだからそこら辺は上手くどうにかするさ。時間もないしちゃちゃっと言うが近い内にお前さんと2人で話したいことがある」

 

「……別に構わんが君はいいのか?主人を置いて単独行動など余り褒められた行為ではなさそうだが」

 

「そこら辺は上手く誤魔化すさ。それに私とお前さんで2人で話す方が都合がいいだろ?そうだなぁ、私のマスターがお前さんの"魔術"をコピーできるかについてとかな」

 

俺にだけ聞こえるようにアステイルの写本は小声で喋る。伝説の魔道書の名は伊達ではないと言うことか……どのタイミングでバレたのかはその時に聞けばいい。場所はともかくいつ話すのかを時間を決めなければならない。

 

「……場所は俺の部屋で構わないな?時間についてはアステイルの写本に一任する。大体は自室にいるから好きに訪ねてくれ」

 

「そうさせてもらうぜ。あと、今後は私のことを一々アステイルの写本だなんて言わずにソラって呼んでくれ。一応は私の名前みたいなものだからな」

 

「君が人の名前を言うようになったら俺もそう呼ばせてもらう」

 

「相変わらず捻くれてやんなー。もう少し私のマスターを見習って素直になれるようになるんだな」

 

「その欲望に素直すぎる結果が招いているのがあの現状ではーーーーーーっ!?」

 

なんの前触れもなく突如と膨大な魔力を感じその方向へと身体を向ける。膨大な魔力を感じた場所には空を貫くように光の柱が見え、この場にいる全員が突然と感じた魔力を感じ戸惑いを感じる。

 

『ーーーー問おう。貴方が、私の■■■■か?』

 

『ーーーこれより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある。ここに、契約は完了した』

 

あの光景が何度も何度もフラッシュバックする。青いドレスのような甲冑を着た金髪の髪を結い上げた少女の姿が。そうだ、あの光の柱がなんなのか俺は知っている。あの魔力の一撃の存在もその答えも知っているんだ。

 

「……君が、いるのか?」

 

彼女の名は俺は思い出せない。なのに彼女がこの世界の何処かにいるとと考えただけで二つの感情がせめぎ合う。自身に会う資格がないと嘆きながら、一眼でもいいから彼女に会いたいと強く思うーーーーそれが例え、俺の知らない彼女だとしても。

 

「……えっと、どうしたの恭介君?ずっと同じ方向を見つめてるけど」

 

「……ああ、いま急用ができた。俺は急いで学園にこれから戻るが君たちはゆっくり戻ってくるといい、先に失礼する」

 

用事が出来たとみんなに聞こえるようにいい一方的に会話を切り急いで学園に戻るため全速力で疾走する。異様とも言える身体能力を存分に発揮すれば数十分もかからないのは確認ずみだ。背後から誰かが呼び止める声が聞こえるが俺は振り返ることなくビブリア学園を目指すのだったーーーーー

 

◇◇◇

 

 

「おい、学園長いるかっ!」

 

ノックをすることすら忘れ勢いよく扉を開ける。そこにはタイミングが良かったと言えばいいのか上司であるミラとアキオも学園長室にいた。突然と扉が開いたこともあり訪ねてきた俺にへと視線を向けられる。

 

「ど、どうしたんだい恭介君?そんなに君が慌ててるなんて珍しいじゃないか。確かみんなと休息を含めて温泉に行ったんじゃなかったのかい?」

 

「ついさっき先に1人で戻ってきた。時期にみんなも戻ってくるだろう。……それよりも2人がいるのは突然と感じた魔力についてか?」

 

「ええ、それについてです。その様子ですと、貴方も先ほどの膨大な魔力が原因で急いで戻ってきたのでしょう。先ほどから学園長とそのことについて相談していた最中でした」

 

つまりベストタイミングで戻ってくることに成功したわけか。密かに安堵し、これからの話を外に漏らさないためにも扉を閉める。俺が慌てて戻ってきたこともあるのかミラも俺から重要な話があると気付いているようだ。

 

「……時間も少ないから単刀直入に言う、今回の件については俺に一任させてくれないか?」

 

「その理由は?恭介さんの実力については申し分ないのはわかってはいますが、今回の件を一任するかとなると話は別です。手柄を立てたいという一時期な感情に身を任せて言っているというのなら任せるわけにはいきません」

 

「私も大将も恭介がそういった感情に流されないのはわかってるけど流石に理由がないとなぁ。今回の魔力は結構派手だったから簡単な理由で任せるわけにはいかないんだ」

 

やはり理由もなしに今回の件については任せてもらえないか。学園長はなにも言ってこなかったが心情としてはミラとアキオと同じだろう。理由については白状しても信じてもらえるかどうかすらわからない……落ち着け、ならば3人を納得させる情報を引き出せばいい。

 

「簡単に一任出来ないのは2人の立場なのは理解している。しかし、俺も今回の件については簡単に引き下がるわけにはいかないんだ。……自身の記憶を取り戻すチャンスとなると尚更な」

 

「……つまり恭介君は今回の魔力については身に覚えがあるというわけかい?」

 

「その通りだ学園長。俺は魔力の?正体、そしてアレほどの膨大な魔力を放った人物がどのような姿をしているのか知っている。……記憶を回復するかどうかについてを抜かしても、今回の件は俺が最も適任だとは思わないか?」

 

あの魔力を放った正体を知っていると聞くと3人は悩み始める。未知数な魔力でその正体を知っているとなると俺に任せた方が効率もいいのはわかっているはずだ。3人がいったい何のことについて悩んでいるかわからないがあとひと押しあれば決定的になるはずだ。

 

「……はぁ、わかりました。でしたら私からも条件があります。今回の件については単独行動をせずリーゼを必ず同伴すると約束してください。それが嫌と言うのなら任せるわけにはいきません」

 

悩んだ末に妥協する形でミラは条件を出してくる。しかし、ここで次は俺が表情を歪める番だった。今回の件は単独で行動する方が都合もよければやりやすいのが正直なところだ。できれば名を思い出せない少女と2人きりで話し合いたいと言った私情もあったりする。どうしたものかと頭を悩ませていれば学園長室に新たな訪問者が来る。

 

「やっぱりここにいたのね、恭介君。……んー、もしかして話し合いの最中だったかしら?穏やかじゃない方の」

 

タイミングがいいと言えばいいのか、その逆かノックをしてリーゼロッテが学園長室に入室してくる。彼女が戻ってきたとなるとみんなも学園に戻ってきたのだろう。

 

「……強ち間違いではないな。それより俺がどうしてここにいると思ったんだ?」

 

「だってあんなに鬼気迫った表情で学園に1人で戻るんだもん。そんな恭介君が、あんな魔力を感知した後に向かう場所ってここしかないでしょ?」

 

他にもあるだろうと思うが残念ながら非常事態の際に他に立ち寄る場所は学園長室しか思い浮かばない。……むしろ日常的にも常にいる場所が自室、または鍛錬をするために外にいるのが基本だ。ふむ、我ながら行動範囲の狭さに今更気づいてしまうが、このさい気にしないようにしよう。

 

「恭介君が学園長室にいるのはわかってたけど、その他のことは把握できてないからアキオ教えてくれない?」

 

「どうやら今回の謎の魔力について恭介は心当たりがあるらしくてな。それで、もしかしたら記憶が回復するかもしれないらしいんだ。記憶が回復することについては良いことだけど、いくら心当たりがあっても流石に単独で行かせるわけには行かなくてなぁ」

 

「それなら効率面を重視して考えたら、今回の件は確かに恭介君に向いてるけど……でもセンパイ達の言い分は最もね。けど、それって恭介君が1人で向かうからが理由でしょ?それなら私が同伴すれば問題は解決よ。それに私は恭介君のサポートだから同行するとしても問題はないわよね」

 

「いや、ちょっと待ってくれ。なぜリーゼロッテが前提として同行することになってるんだ。今回の件は完全な俺個人の問題で自身で解決しなければならなくてだな……」

 

「でも、センパイ達は恭介君を1人で向かわせるつもりはないと思うわよぉ?記憶回復するためにもまずセンパイ達から許可を得ないと」

 

リーゼロッテからの正論に言葉を詰まらせる。ミラとアキオから今回の件を一任させてもらうにはまず2人から許可を得なければならない。……今回の件は完全な自分の都合でもあるし本音を言えばリーゼロッテを巻き込みたくない。

 

「……私と一緒の方が恭介君としても動きやすくなるでしょ?」

 

リーゼロッテは3人に聞こえないようにそっと耳元で囁く。彼女との方が俺としても動きやすくなるのは事実であるため彼女と同行するのは悪くはない。……今回ばかりは俺が折れるしかないようだ。好きにしてくれっと呟けば満足そうにリーゼロッテは頷く。

 

「……今回はリーゼロッテと一緒に同行する。これで今回の件は俺に一任してもらえるか?」

 

「リーゼがどうやって貴方を説得させたか気になりますが……ええ、今回の謎の魔力についてはリーゼ、そして恭介さんに任せます。私から言うとしたら記憶取り戻し、きちんと此処に帰ってきてください」

 

「おう、私も大将と大体同じだ。リーゼは恭介が無茶しようとした時は止めろよ?今回は崩壊現象でもないから自分の身に危険を感じたら退却してくれていいからな。2人は生きて帰ってくることを最優先にしてくれ」

 

「僕からは特に言うことはないよ。ただ無事に帰ってきてほしい、それだけだよ」

 

「ああ、リーゼロッテを無事に帰らせることは約束する」

 

「もう、そこは2人とも無事で戻ってくるに決まってるでしょ?」

 

全員から呆れられるように視線を向けられてしまう。……ふむ、別に間違ったことを言ったつもりはないんだがな。ただリーゼロッテを無事に帰らせることだけは必ず約束しよう。上官2人の許可も得たので向かおうとすると学園長は思い出したかのように笑いながら口を開く。

 

「あっ、ちなみに今日はもう遅いから2人は明日から出発してもらうからね。夜分遅くだと流石に危ないからネ!」

 

「……本当に貴様は最後の最後でなぜ締まらなくするんだ」

 

「そればかりはしょうがないんじゃない?ほら、学園長ってそんなキャラだし」

 

「……まぁ、学園長だからなぁ」

 

「……ええ、そこは学園長ですから。いつものことですよ」

 

「いや、ちょっとみんな僕に辛辣すぎないかなっ!?」

 

……それは今更じゃないか?だと内心で思いながら口にしないのが唯一の優しさなのだろうよ。心の中で俺はもう少し学園長に優しくなろうと静かに思うのだった。






ふっと思いましたがもう25話も続いてるんですね……25話も書いておきながら実はまだ5巻分しか進んでいなかったり。…………うん、とりあえず学園祭編まであと何話で辿り着くんだろうか(吐血
とりあえず軽く現実逃避をしながらも自分なりのペースで執筆しますので気長にお待ちになってくれると嬉しいです!(土下座

はい、そして前書きで唐突な師匠と叫んだ理由は我がカルデアにライネス師匠が来てくれたことが原因です。……どうしても師匠となるとGガンのノリになってしまうのは許してください(土下座

そしてみなさまお待ちかねのインド解放が近いですね!新章解放に続きメモリアルクエがいったい今年は誰が来るのかビクビクしながらサーヴァントの育成を頑張っておりますb新章追加で誰がモーション変更されるのか楽しみだったり……((

それでは次回の更新は未定ですが気長に待ってくれると嬉しいです!誤字&脱字報告お待ちしておりますb

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