正義の味方候補の魔術使い   作:ラグーン

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こんな夜分遅く投稿ですがこれが自分のやり方ですので……。今回遅くなったのはオリジナル回を出すか出さないか迷って遅れてしまいました。本当にすみません……ですが!月一投稿は必ずしますので!必ず!うーん、今回はfgoは見事にヒロインXは来ませんでした。悲しいです……すまないこと、ジークフリートついに我がカルデアに来てくれたこと。そしてラーマ君が宝具レベル2になってくれたことがなんとか立ち直らせてもらいました。この2人が来てくれなければ当分落ち込んでたかもしれませんねぇ……投稿ペースは落とす気はないですが(すでに手遅れ

こんな長い前書きですが本文にどうぞ!((


第10話 感謝の言葉

「お目覚めッスか、恭介さん?」

 

「…………いや、どういった状況だ」

 

俺はつい先ほど目が覚めると何故か目の前にレヴィがいた。俺の目が覚めたことにレヴィが覗き込むように見てきたのなら別に気にしない。むしろ心配かけたことに申し訳ないと思うほどだ。……だがこの状況はなんだろうか。頭部はひんやりとして硬い床の上ではなかった。むしろその逆で柔らかく温もりを感じている。いったい本当に何故このような状況なのかね?

 

「どういった状況でスか?自分が恭介さんを膝枕してるだけッスよー」

 

「なんでさ」

 

ニヤニヤとした笑みを浮かべている彼女につい口癖のような言葉が出る。状況は理解したがその理由がわからない。……あのニヤニヤは理由を話すつもりはないとわかったためこれ以上は聞くことを無駄と判断をする。とりあえずこの状況は色々と問題があるため上体を起こす。

 

「私のことも忘れないでくださいよ!私も衛宮さんの看病をしたんですからね!」

 

上体を起こせば少し不機嫌な頰を膨らませたセリナの姿があった。人の気配を感じるのは鋭い方なのだが今はどうも調子が悪いようだ。先ほどのセリナの言葉どおりどうやら2人は気を失った俺の看病をしてくれたのだろう。

 

「……すまない2人に迷惑をかけた。この恩はいつか必ず返そう」

 

「い、いえ私は当然のことをしただけですし……それにどちらかと言えば衛宮さんには助けられました方ですので」

 

「そうッスよ。それに自分は恭介さんのお世話係を引き受けてるから全然迷惑じゃないッス」

 

「俺は2人をーーーーーいや、この場にいる全員を守ることができなかったんだぞ?」

 

そう崩壊現象に巻き込まれた人もいたはずだ。あの時は矢を放つため集中していたが悲鳴が聞こえていたのは確かだった。結果的には助かったと言える状況なのだろう。しかし崩壊現象に巻き込まれた人はどうなのだ。助けられなかった人はーーーーー

 

「恭介さんが言いたいことはわかるッスよ。ですけど、崩壊現象について少し説明不足があるッス」

 

「説明不足……?」

 

「はい、崩壊現象は一度でも起こせば生命そのものを消滅させることは説明していたッスけど、一方で崩壊現象が完遂する前に崩壊現象の基点(コア)を破壊することができれば崩壊現象はストップして、元来た生命も戻ってくるッス」

 

「……そうか」

 

俺は表情を歪める。崩壊現象が止まったことは俺やレヴィやセリナがいるからわかる。しかし納得ができるかどうかかは話は別である。崩壊現象に巻き込まれた人は一度死んだと考えてもおかしくない。現に消滅させると言われているのだから。その巻き込まれた生徒が助かったのは本当に喜ばしいのだが……そんな体験をさせたと思うと心底己の未熟さを痛感する。

 

「……俺が気を失ってどれほどの時間が経ったかわかるか?」

 

「約2時間だと思います。正確な時間はこのような状態ですからわかりませんけど……」

 

「いや、それだけでも充分だ。……ああ、ならば早めに回収しにいかないとな。盗難などにあっていなければいいんだが」

 

この惨状を見ると俺の部屋も壊れているに違いない。それはつまり無防備な状態であり、あの黒い外套も部屋のどこかに埋もれているに違いない。時間帯が時間帯に起きたこともあり黒い外套は自室に置いていたのだ。価値がわかればあの外套は一級品とわかるため下手したら盗まれているかもしれない。無事だとしてもこの被害の後では多少破けたりしているだろう。……どちらにしろ被害が出るのは変わりないか。

 

「回収ってこれのことッスか?」

 

レヴィは俺のこぼした言葉に心当たりがあるのか立ち上がる。なにかをとり近づいてきたレヴィの手には丁寧に畳まれていた黒い外套があった。一瞬呆気にとられて間抜けな顔をしていらだろう。

 

「あ、ああ。その外套だが……なぜここにある?」

 

「初めてあった時からこれを纏っていたッスから大切なものだと思いましたので。部屋はともかく衣服などの関して確認したところ無事だったッスよ」

 

「……そこまで確認してくれて助かる。特にこの外套は本当に助かった」

 

「言ったじゃないッスか。自分は恭介さんのお世話係ッスから」

 

優しく微笑む彼女を見て少し見惚れるがそれを誤魔化すように俺は黒の外套を受け取る。どうするかと迷うが手元にあっても少し邪魔になるかもしれないため纏うことにする。制服を着ているよりやはりこちらの方が落ち着く。

 

「衛宮さんは何故か似合ってますね。制服の姿は少し違和感を感じてたので……」

 

「セレナさんもそう思うッスよね?恭介さんはどことなく制服姿に違和感を感じるッス」

 

「……なぜ俺は2人から似合わないと言われなくちゃいけないのだ。いや、俺自身もそう思ってはいるが……」

 

流石に2人から言われると心が色々と折れるぞ。俺だって自覚はしているんだ。それにレヴィはそろそろ見慣れてくれてもいいじゃないか?……それ以前に俺自身も慣れなければいけないんだが。内心で落ち込んでいるとセリナは少し戸惑いながらも俺に質問をしてきた。

 

「……今この状況で聞くのはアレだと思いますけど衛宮さん質問いいですか?」

 

「……俺が答えられる範囲なら構わない」

 

「衛宮さん。貴方は何者なんですか?……ずっと疑問に思ってたんですけどレヴィさんと仲が良すぎることがずっと疑問でした。席が隣であることは知っていますけど……それでも疑問に思います。アラタさんの部屋に向かう時にもレヴィさんは衛宮さんへと向かいましたし」

 

セリナは真っ直ぐと俺の目を見て聞いてくる。その瞳には戸惑いがあり少し警戒が見える。いや、セリナの感情は正しいことだ。レヴィと学園長は事情を全て知っている。アラタと浅見先生は魔術については教えてないが事情は知っている。だから納得して深くは聞いてこなかったのだ。だがセリナは俺の事情は知らないため警戒するのも無理もない。

 

「そうだな。……俺も、俺自身もわからない」

 

「……え?どういうことですか……?」

 

「……俺は記憶喪失なんだ。俺が覚えていたことは自身の名前、俺が使える魔術のみ。それ以外は全くもって覚えていなかった。最近は少し記憶が回復はしてきたが……俺が転校生の身でありながらレヴィと仲が良いのは記憶喪失の俺が彷徨っていた時にレヴィと出会い、俺はここビブリア学園に保護された。俺とレヴィが出会ったのは約1ヶ月前で、そのため彼女と親しい理由はそういうことだ」

 

「……そうだったんですか。ごめんなさい……失礼なことを聞いて」

 

「いやセリナが思ったことは当たり前だ。俺だってそんな奴が現れたら警戒もする。それなのにセリナは俺と接してくれたし話したりしてくれた。俺はきっとセレナのように接したりすることはできないだろう。……こんな怪しい俺だがこれからも仲良くしてくれると助かる」

 

「も、もちろんです!私だって衛宮さんについて色々と知りたいんので。もし衛宮さんの記憶が全て戻った時は取材させてもらいますからね!」

 

「……その時はお手柔らかに頼む」

 

その時は覚悟しておいてくださいっ言いながら笑顔を見せるセレナを見てつい苦笑いを浮かべてしまう。その時は本当にお手柔らかにしてもらいたい。洗いざらい全て話すことになりそうだからな。

 

「それに関してッスけど……恭介さん記憶の一部戻ったんッスよね?」

 

「……まあ、そうだが。大した記憶じゃないから話すほどじゃないさ」

 

記憶が蘇ったのは確かだ。けれどこの2人の少女には教えることはない、あんな地獄を話す必要なんてない。あの地獄を知っているのは俺だけでいい。それにまだ俺自身も戸惑いがあるため話すにしても躊躇いがある。ここは強引に話を変えることにしよう。ポーカフェイスは得意な方だと思うがボロがいつ出るかわからない。

 

「俺のことより、とりあえず学園長のところに行こう。今後どうするか少し聞きたいからな」

 

「……そうッスね」

 

「そうですね……こんな状態だと授業どころじゃないと思いますので」

 

強引に会話を晒したことに気づいているのか2人は渋々納得するような感じだったが俺が話すつもりないとわかったのか2人は潔く引いてくれた。今後についての話し合いをするため学園長を探すことにし教室と言えた場所から移動することにした。

 

 

意外なことに多少被害は出ているが無事な学園長室があるためそこに入れば案の定学園長はそこにいた。いつものような服装でその表情にはたいして焦った様子はなかった。そして更に意外なことにアラタ、浅見先生、アリンがいた。そして俺が一方的に知っているというわけでもないが見たことある2人の少女がいた。扉を開けて入室してきた俺たちに視線を向けるがすぐに視線を外される。

 

「……俺は後で訪問した方がいいか?」

 

「全然構わないよ恭介君。君も今回の騒動を知るために来たんだから追い返すようなことはしないさ。それに、少なくとも君も絡んでいるんだろう?」

 

……やはりこの男には魔術を使ったのがバレているか。セリナとレヴィはその場に居合わせたから知っているのだ。学園長はその場にいなかったが俺が魔術を使い崩壊現象を止めようとしたのを気づいたのだろう。バツの悪そうに表情を歪めるところを見た学園長は満足そうに笑み漏らす。

 

「うん、役者は揃ったことだし。今回の騒動についてどうするか話し合おうか」

 

それらしい(学園長)発言をする。不敵な笑みを浮かべているところを見ると企みがあるのだろう。

 

「騒動の犯人は決まっているんです。なのでそれなりの処罰を与えるべきかと。特に魔王候補である彼には」

 

ローブを纏った少女がアラタを敵視しているのか言葉に棘がある。騒動の犯人、つまりアラタが関わっていることは間違いないのだろう。

 

「浅見先生すまないが、どういったことが起きたか説明してくれませんか?イマイチ俺、レヴィ、セリナは状況が呑み込めなくて……」

 

場の空気もあるため俺は浅見先生に近づいて小声で聞く。浅見先生はコクリと頷いてアラタが起こした騒動について説明を始めてくれた。

 

「……非常にややこしい立ち位置だ。被害者でありながら加害者でもあるか」

 

浅見先生から説明したことを簡潔にまとめるとアラタの力を暴走させたアリンが原因であるが崩壊現象を起こしたのはアラタでもある。学園が崩壊現象に巻き込まれたのは崩壊現象を起こしたアラタであるため一番の加害者となっている。……被害者でもあり加害者でもある。本当にややこしい立ち位置だ。

 

「……非常にややこしいッスね」

 

流石にレヴィもため息を吐く。俺も現に頭を抱えている状況だ。セリナも唸り声を上げながら頭を捻っている。……さて本当にどうしたものか。一方的な非だあるのならばアラタの処罰に関しては文句はないのだが……今回に関しては処罰内容にもよるが黙っているわけにはいかない。

 

「学園長、アラタの処罰を与えることには別に俺は文句はない。加害者であることには変わりはないが……被害者でもあるんだ。処罰の内容によっては俺も流石に黙っていることはないと先に言っておく」

 

「……恭介いいのか?」

 

不思議そうにアラタは俺に聞いてくる。それはそうだろう。アラタ本人もややこしい立ち位置にいるということも理解してるのだから。そんなことにわざわざ首を突っ込むと言っているのは疑問に持たなくておかしくない。

 

「別にアラタが起こした、と言うのならば俺は首を突っ込むつもりなどない。どんな処罰を与えられようが自業自得だと思って手助けなどしない」

 

「……いや、流石にそれは辛辣すぎるんだが」

 

「話は最後まで聞け。ようするに今回は被害者でもあるんだ。アラタが起こしたことは変えることはできん。だが、処罰内容に関してはまだ変えれるからな。加害者だが……被害者でもある友人に重い処罰を与えることを黙って見過ごすつもりはない」

 

ありがとうっとアラタが照れくさそうに笑顔を見せてくる。……まあ、今回だけだ。次からは手助けするつもりないからな?被害者の状態でもあるんだったら多少は考えておこう。

 

「つまりアラタ君の処罰内容次第では恭介君は牙を剥くと言うことだね?」

 

「ああ、そう言うことだ。それに学園長の実力を知っておきたいかなら。その時は丁度いい機会であるため利用するかたちで挑ませてもらう」

 

もっとも学園長は今回は大目にみるつもりだろう。本当に重い処罰を与えるつもりなら部外者の人間を招き入れるようなことはしないはずだ。第三者からの意見など邪魔でしかない。俺ならばこの崩壊現象を起こした人間だけを招き入れてその場ですぐに処罰を下す。そちらの方が余計な邪魔者はいないためやりやすい。

 

「学園長、彼はいったい何者ですか?少なくとも見かけたことがないので」

 

「そうだね、紹介が遅れてしまったようだ。彼はアラタ君と同じく転校生である衛宮恭介君だよ」

 

ローブを纏った少女がジロジロと俺を見てくる。まあ、無理もないか……多少白髪が混じってるし肌も僅かに肌黒いところもある。外人だと勘違いされなくはない見た目だからな。

 

「……私は山奈ミラと言います。貴方はこの今回の騒動でどれくらい絡んでいるんですか?今回の騒動であり魔王候補である春日アラタの肩を持つのならたとえ転校生であろうと私は容赦しません」

 

「肩を持つといってもあくまでも被害者である時であって完全なる加害者なら俺は肩を持つつもりはない。容赦しなくて大いに結構、そちらの方がトリニティセブンの実力を知るには丁度いいからな」

 

お互いに牽制をしているのは周りもわかっているのだろう。山奈ミラ、この少女を見かけたことはあるが正面から話し合ったのは今回が初めてだがやはりトリニティセブンの1人雰囲気が違うな。

 

「今回は見逃すって言ってくれたんじゃなかったのか?」

 

「確かにそう言いましたが処罰であるのならば話は別です。あくまで崩壊現象についてなので、処罰について話は別です」

 

そんなのありかよっと肩を落とすアラタにほんの少し同情はするが加害者のみでもあるため彼女の判断は強ち間違ってはいない。すると突如と手を打つ音が聞こえてきたためその場にいる全員がその音に視線が向かう。その音出した正体は学園長であり笑みを見せていた。

 

「さて、それじゃ本題であるアラタ君とアリンちゃんの処罰については実はすでに決めていてね。君たち読んだのは顔合わせのようなものだったんだよ」

 

次の瞬間その場に訪れたのは静寂だった。それもそのはず俺とレヴィとセレナはともかく他のメンバーは処罰の話し合いで呼ばれていたのだ。なのに結果が、顔合わせ余りも意味がないことである。……可能性があるとすれば俺にトリニティセブンの1人であるが山奈ミラと対面させるつもりだったのか?いや、これは考えすぎだ、そんな回りくどいことをするような奴じゃない。

 

「……余りふざけないでください学園長。少なくとも私とアキオは暇ではないので。行きましょうアキオ」

 

「はいよー」

 

山奈ミラは何者かを探しているのかのように感じたが気のせいだろう。長身の少女が俺の前までくると山奈ミラと同じくジロジロと俺を見る。

 

「衛宮恭介だっけ?大将とやりあうときは私もいることを忘れるなよ?」

 

「確か名前は……」

 

「不動アキオ、アキオでいいよ。転校生」

「俺も衛宮だろうと恭介だろうと好きによんでくれ」

 

「おう。確か全力をお望みだったよな?その時は私の全力の一撃をお披露目してやるよ恭介」

 

「ふっ、ならばアキオの全力の一撃を俺の持ち合わせている最強の盾で受け止めて見せよう」

 

「だったらその時に楽しみにしておくぜ」

 

アキオは楽しそうな笑みを浮かべて先に退出した山奈ミラを追いかけるように学園長室を後にした。彼女が全力の一撃を見せると言うならばその時は俺自身が持っている最強の盾で防いで見せるさ。

 

「……もう今日はいっぱいいっぱいです」

 

声からも疲労を感じ取れるあたり実際セリナは疲れているのだろう。迷惑をかけた身として非常に申し訳なく思う。

 

「それで俺とアリンの処罰はなんなんだ?」

 

「それは後でのお楽しみってことに言いたいけど君たち2人の処罰は南の島の海の家で労働することが処罰ことだよ」

 

「そんなことでいいのか?」

 

「うん、簡単なようで繁盛している場所だから大変だから気をつけた方がいいと思うけどね?そして、恭介君には頼みがあるんだ」

 

「俺にか?内容次第だが……構わない」

 

なにか企んでいるのかと思い怪訝な表情をしてしまうがそこまでのことじゃないよっと苦笑い浮かべていた。ほんの少し警戒心はまだ解けないが内容次第でいいだろう。

 

「恭介君には海の家で労働する2人のサポートしてくれるないかな?今回はアラタ君が非常にややこしい立ち位置でもある。それに関して2人の監視してくれると助かるんだ」

 

「……生憎、そこまでお人好しではない。2人の処罰内容は比較的軽ければサポートなど必要ない。監視については賛同はするが……2人とも今回の件については反省をしているんだ。サボるようなことはしないさ」

 

「うーん、僕も信じているけど念には念を入れておきたくてね。それに君は最初に言ったことを覚えてないかい?紹介してくれって」

 

不敵な笑みを浮かべているため余計にタチが悪い。そしてその時はその場にいた俺とレヴィしか知られないように遠回しに伝えるか。……この男の掌の上にいることは癪だが仕方あるまい、今回は渋々従うことにしよう。

 

「……了解した。監視役もといサポートを引き受けよう」

 

「うん、よかった。僕としても嬉しいかぎりだよ。僕から奮発してくれるように頼んでおくから報酬内容は期待しておいてかまわないよ」

 

はあっとついため息を吐いてしまうが仕方ないと割り切ろう。それに浅見先生の苦労を減らせるとプラス面に考えれば大丈夫なはずだ。……要件は終わったことだしそろそろ俺もお暇しよう。

 

「……俺は先に戻らせてもらうぞ。流石に疲労が溜まっているからな」

 

「わ、私も先に失礼します」

 

俺が学園長室を去ろうとするとセリナもそれに便乗するように退出する。レヴィはあの場に残ったということは個人として学園長に用があるのだろう。だったら俺はとりあえず自室の様子見をすることにするかと思い自分の部屋へと向かおうとするとセリナから呼び止められる。

 

「あの、衛宮さん!」

 

「どうした、セリナ?」

 

「崩壊現象の時のお礼を言ってないので……あの時はありがとうございます」

 

俺は彼女からお礼を言われなくちゃいけないのかわからなかった。なんせ俺が崩壊現象を止めれたわけでもないし、できたといえば一撃放ったぐらいだ。

 

「いや、俺は礼を言われるほどのことをしていない。崩壊現象を止めたのはアラタだろうからな。だからその言葉は俺ではなくアラタにするべきだ」

 

「そうかもしれません……けど、あの時衛宮さんがいてくれて安心したんです。その、お礼が言いたかったんです。助けてくれてありがとうございます!」

 

首がさらに下げているカメラを握りながらセリナは少し照れくさそうに微笑んでくれた。ああ、俺はその笑顔を見れただけで充分だ。

 

「アラタにも言ってあげてくれ。セリナを救ったのは俺じゃない、アラタなんだからな。……けれど、その言葉を俺にも言ってくれてありがとう」

 

その言葉を聞けただけで、その笑顔を見れただけで俺に充分だ、俺は少し頰が緩くなり笑みを浮かべる。だからその言葉はアラタにも伝えてあげてくれ。そうした方がアラタに多少からず慰めにもなるはずだ。セリナは少しぼーっとしていた様子だったが俺の言葉に頷き彼女と俺はそのまま別れた。何か他に言いたげそうな表情だったが気のせいだろう。

 

「……たとえ黒い太陽が俺の体験したものと別だとしても、起こさせてなるものか。あんな光景を、消滅させることだって止めてみせる」

 

全てを消滅させる崩壊現象、ならば俺はそれが再度起こるのならば必ず止めてみせよう。たとえ俺の体験したアレと違うものでも全てを失うことだけは同じなのだから。だから止めてみせる、正義の味方(全てを分け隔てなく救う)として。

 

 




レヴィではなく、学園長ではなく、アキオでもなく、ミラでもなく……今回はセリナ回です!書きたかったんですよセリナも!レヴィさんも書きたかったですよ?でも、セリナも書きたかったんだ!照れるレヴィさんはもう少し、もう少し待ってください。もう一つの崩壊現象にてその時と修学旅行の時に!(

……アリンとリリスが影が薄かった?次回で許したください……((土下座

レヴィさんは修羅場を幾度もなく潜ってるかもしれませんがセリナは違うと思うんです。姉である彼女はトリニティセブンできっと魔物などと戦闘をしてます。けれどセリナはそういった経験がない、もしくは少ないと自己解釈して今回はこういった話にしてみました。自分のことを守ると言ってくれた恭介の姿は多少からず思うことがあると思うんですよ。だから彼女は精一杯の感謝の言葉を恭介に伝えた。この感謝の言葉が恭介からしては嬉しいこと思います。

実はこの投稿で祝10話!皆さんの応援や支えがあってここまで執筆できたと思っております。これからも正義の味方候補の魔術使いをよろしくお願いします!

誤字&脱字があれば報告お願いします!

(そういえばそろそろfgo第2部が始まりますね。皆さんお互いに第2部に備えましょう!お互いによきfgoライフができるようにお祈りしますb)

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